SIGGRAPH 2018 コンピュータ・アニメーション・フェスティバル ラインナップ

 第45回SIGGRAPH 2018のコンピューター・アニメーション・フェスティバル(8月13日-15日)のラインナップです。

 SIGGRAPH(シーグラフ:Special Interest Group on Computer GRAPHics)は、コンピューター・グラフィックとインタラクティヴ・テクニックに関する国際的なイベント(CGとインタラクティヴ・テクニックに関する専門的な発表会や会議、技術交流などを目的とした業界的・学界的な催し)で、「世界最大で最高のCGの祭典」とも呼ばれ、毎年夏にアメリカで開催され、今年で45回を迎えています。

 コンピューター・アニメーション・フェスティバルは、SIGGRAPHの中で、CG映像のショーケース&コンテストといった側面を担うもので、SIGGRAPH開催期間中に上映されます。
 2015年までは、短編アニメーション作品、ゲーム、長編アニメーション作品、長編実写作品のための視覚効果、ミュージック・ビデオ、ヴィジュアライゼーション&シミュレーションといった部門で募集が行なわれ、その中から優秀作品がセレクトされていましたが、2016年からは、短編アニメーション作品、リアルタイム・グラフィックス、視覚効果、ヴィジュアライゼーション、シミュレーションといった項目での募集に変わり、贈られる賞も、最優秀作品賞、審査員賞、最優秀学生プロジェクト賞の3つだけ、というごくシンプルなものになっています。
 現在は、またちょっと審査対象が変わったのか、「アニメーションだけでなく、映画やゲームの視覚効果も扱う」という風に説明が変わっています。

 エントリー作品のうち、最優秀作品賞(Best in Show)受賞作品は、米国アカデミー賞短編アニメーション賞エントリーの資格を与えられることになっていて、2016年の最優秀作品賞(Best in Show)受賞作品『与えられた時間』“Borrowed Time”は見事にノミネーションに選出され、そのほか、ここでの受賞こそなかったもののオフィシャル・セレクションに選出されていた『ひな鳥の冒険』は米国アカデミー賞2017で短編アニメーション賞を受賞、同じくオフィシャル・セレクションに選出されていた『インナー・ワーキング』“Inner Workings”もショートリスト10作品まで進出しています。
 2018年は最優秀学生プロジェクト受賞の『ガーデン・パーティー』と、『ルー/Lou』が、米国アカデミー賞2018 短編アニメーション賞にノミネートされています。

 本年度は、400以上の応募作品の中から25作品が選出された、と発表されています。

 また、2017年からは、VR作品のセクション(VR THEATER)が新設されています。

 選出作品のうち、ネット上で視聴可能な作品は、動画を張り付けておきましたが、いつ観られなくなるかわからないので、興味がある作品は、早めに御覧ください。

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 【Electronic Theater】

 [オフィシャル・セレクション](OFFICIAL SELECTION)

 ・『パディントン2』“Paddington 2“(英) 監督:ポール・キング Framestore、StudioCanal [CG]

 ・“Beyond Good and Evil 2 “Cinematic Trailer(仏/3分52秒 Léon Bérelle、Dominique Boidin、Maxime Luere、Rémi Kozyra,/ Unit Image) [ビデオ・ゲームのシネマティック・トレーラー]



 ・“Hybrids“(仏/6分) 監督:Florian Brauch、Kim Tailhades、Matthieu Pujol、Yohan Thireau、Romain Thirion(MoPA) [短編アニメーション]
 物語:「オイル缶に覆われた魚、甲羅が鍋でできた亀、殻が瓶の王冠のヤドカリなど、環境汚染が進んだ世界では、生物たちの体が順応して工業製品とのハイブリッドになるという設定。それに伴い、獲物の探し方、敵からの身の守り方などその生態にも変化が生じた。とある未来の海の姿をCGを駆使してリアリスティックに描いた作品。」
 シッチェス・カタロニア国際ファンタスティック映画祭2017 アニメーション部門出品。短編アニメーション賞受賞。
 ヴィルールバンヌ短編映画祭2017出品。
 視覚効果協会賞2018 学生作品賞受賞。
 ColCoa(米)2018 アニメーション賞受賞。
 シュトゥットガルト国際アニメーションフェスティバル2018 Tricks for Kids部門出品。アマゾン観客賞受賞。
 文化庁メディア芸術祭2018 アニメーション部門審査委員会推薦作品。
 最優秀作品賞(Best in Show)

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 ・“Overrun“(仏/8分) 監督:Pierre Ropars、Antonin Derory、Diane Thirault、Jérémie Cottard、Matthieu Druaud、Adrien Zumbihl(Supinfocom Rubika) [短編アニメーション]
 物語:暗く冷たい場所に入っていくアリも物語。不穏で危険なようにも見えるけれども、魅惑的な世界、そして逃げるためのクエストを案内する。
 War on Screen 国際映画祭(仏)2017出品。
 The Fantastic Film Festival (FANCINE) of the University of Málaga2017出品。
 ヴィルールバンヌ短編映画祭2017出品。
 クレルモンフェラン国際短編映画祭2018出品。
 最優秀学生プロジェクト(Best Student Project)

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 ・“Twin Islands“(仏/7分) 監督:Manon Sailly、Charlotte Sarfati、Christine Jaudoin、Lara Cochetel、Raphaël Huot、Fanny Teisson(Supinfocom Rubika) [短編アニメーション]

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 ・“Voyagers“(仏/7分) 監督:Gauthier Ammeux、Valentine Baillon、Benjamin Chaumény、Alexandre Dumez、Léa Finucci、Marina Roger(MoPA) [短編アニメーション]

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 ・“1 Mètre/heure“(仏/9分) 監督:ニコラ・ドゥヴォー(Nicolas Deveaux) [短編アニメーション]

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 ・“Miazmat“(ポーランド/5分) 監督:Klaudiusz Wesolowski [短編アニメーション]

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 ・“Book of the Dead“(スウェーデン/3分36秒) Veselin Efremov/ Unity Technologies [ビデオ・ゲームのインタクティヴデモ]



 ・“ADAM : Episode 2“(カナダ/7分) 監督:ニール・ブロムカンプ [短編アニメーション]


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 ・“Death Van“(カナダ/6分7秒) 監督:Michael Enzbrunner [短編アニメーション]



 ・“Geometry of Artificial Intelligence“(カナダ/57秒) 監督:Serjan Burlak [短編アニメーション]



 ・“Space Between Stars“(カナダ/10分) 監督:Samuel W. Bradley [短編アニメーション]

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 ・“Animation General“(米/1分51秒) 監督:Sawyer Geffert(Ringling College of Art and Design) [短編アニメーション]



 ・『BAO』“Bao“(米/8分) 監督:ドミー・シー(Domee Shi) [短編アニメーション]
 ピクサー作品。『インクレディブル・ファミリー』の併映短編。ピクサー初の女性監督、アジア人監督作品。

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 ・『ビルビー』“Bilby“(米/8分) 監督:リロン・トペス(Liron Topaz)、ピエール・ペリフェル(Pierre Perifel)、JP・サンズ(JP Sans) [短編アニメーション]
 ドリーム・ワークス作品。『ボス・ベイビー』の併映短編。
 物語:「オーストラリアに生息する絶滅危惧種で夜行性有袋類の動物ビルビーを主人公に、砂漠で生きるために奮闘する姿を描く。砂漠で食糧確保に勤しむたびに危険動物に襲われる一匹のビルビー。なんとか逃げ切った先で、一羽の小鳥と出会う。小鳥が自分の後をついてきているのを知りながらも、自分の身を守るのに精いっぱいなビルビーは、その場を立ち去ろうとするが、危険動物が小鳥に近づいているのを見つけて……。」
 アヌシー国際アニメーションフェスティバル2018出品。
 パームスプリングス国際短編映画祭2018出品。短編アニメーション部門観客賞。
 審査員賞(Jury's Choice)

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 ・『ファークライ5』“Far Cry 5: Pastor Jerome“(米/1分27秒) Franck Balson/ Blur Studio [ビデオ・ゲームのキャラクター・トレーラー]



 ・“Hearth and Home“(米/5分48秒) 監督:Jeramiah Johnson [短編アニメーション]



 ・“A New Multi-Dimensional View of a Hurricane“(米/3分7秒) Alex Kekesi/ GST – NASA/Goddard Space Flight Center, USRA – NASA/Goddard Space Flight Center [NASAの研究者によるビデオ作品]



 ・“One Small Step“(米/8分) 監督:Bobby Pontillas、Andrew Chesworth [短編アニメーション]

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 ・“Weeds“(米/3分) 監督:Kevin Hudson [短編アニメーション]

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 ・“Afterwork“(エクアドル・西/6分5秒) 監督:Luis Uson、Andres Aguilar [短編アニメーション]



 [CURATED]

 ・『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』“Avengers: Infinity War“(ニュージーランド) Matt Aitken/ Weta Digital [CG]

 ・『ゴースト・イン・ザ・シェル』“Ghost in the Shell“(英) Guillaume Rocheron、John Dykstra/MPC [CG]

 ・“ILM Behind the Magic: The Visual Effects of Solo: A Star Wars Story“(米/ ) Rob Bredow、 Patrick Tubach/ Industrial Light & Magic [VFX]

 【VR Theater】

 ・“Kinch & The Double World”(英) Colin Arnold、Steve Cholerton
 Figment Productions

 ・“Ashes to Ashes”(オランダ) Steye Hallema、Jamille van Wijngaarden、Ingejan Ligthart Schenk、Corine Meijers
 Submarine Channel

 ・“The Legend of Hanuman”(インド) Charuvi Agrawal、Sharad Devarajan
 Charuvi Design Labs、Graphic India

・“Trans-Dimensional Designer”(中) Erdong Gao、Siyi Zhao
 北京電影学院(Beijing Film Academy)

 ・“Space Explorers: A New Dawn”(カナダ) Félix Lajeunesse、Paul Raphaël
 Felix & Paul Studios, Oculus

 ・“Trinity”(カナダ) Patrick Boivin
 UNLTD-INC

 ・“Arden’s Wake: Expanded”(米) Eugene YK Chung
 Penrose Studios

・“Blue Bird”(米) Parnaz Rad、Seth Greenwood、Nicole Tylor、Vinod Krishnan、Armando Brown、Belen Saenz de Viteri、Chuzhong Xie、Miranda Conway、Allie Perdomo
 Savannah College of Art and Design

 ・“Under Neon Lights”(米) Jono Brandel、Zach Richter
 WITHIN

 [Kiosks]

 ・“Flying Over NanJing”(中) Yu Jin
 Nanjing Naked Light Digital Technology Co.,Ltd.

 ・“Across Dark: Beyond 4th Dimension”(韓) Park Dong-ki、Lee Jeon-Hyoung
 Hotel Lotte Co.,Ltd. Lotte World、4th Creative Party Co.,Ltd.

 ・“Beyond the Fence”(米) Goro Fujita
 Facebook

 ・“Isle of Dogs Behind the Scenes (In Virtual Reality) ”(米) Félix Lajeunesse、Paul Raphaël
 Felix & Paul Studios、Fox Searchlight Pictures、FoxNext VR Studio

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 本年度のElectronic Theaterは、あまり熱量が感じられないというか、ワクワクさせてくれるような作品がほとんど見当たりませんでした。CM作品は排除することになったのか1本もないし、関心がVRの方にシフトしてしまったということなのか、どうしてこうなっちゃったのか、原因はよくわかりません。以前はあんなに楽しませてくれたのにな。

 それでも上記の中から、米国アカデミー賞2019短編アニメーション賞のショートリストやノミネーションに1~2本は選ばれるはずですが、どうでしょうか。本年度は、大手スタジオ作品が受賞するめぐり合わせの年ですが、だとすると『BAO』が有望ということになるでしょうか。

 アメリカ作品があまり元気がない印象を受ける一方で、学生アカデミー賞に続き、ここでもフランス産の短編アニメーションが善戦しています。フランスのアニメーションを刺激するような何かがあったのか。ひょっとして昨年の『ガーデン・パーティー』の影響なんてこともあるんでしょうか。

 個人的には、ニコラ・ドゥヴォーの“1 Mètre/heure“(仏)が楽しみかな。

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 *当ブログ記事

 ・SIGGRAPH2017 コンピューター・アニメーション・フェスティバル ラインナップ:https://umikarahajimaru.at.webry.info/201707/article_17.html

 ・SIGGRAPH2016 コンピューター・アニメーション・フェスティバル ラインナップ:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201607/article_17.html

 ・SIGGRAPH 2014 コンピューター・アニメーション・フェスティバルのラインナップ:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201408/article_4.html
 ・SIGGRAPH 2014 コンピューター・アニメーション・フェスティバル 受賞結果:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201407/article_13.html

 ・SIGGRAPH 2013 コンピューター・アニメーション・フェスティバルのラインナップ その1:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201307/article_11.html
 ・SIGGRAPH 2013 コンピューター・アニメーション・フェスティバルのラインナップ その2::http://umikarahajimaru.at.webry.info/201307/article_12.html

 ・SIGGRAPH 2012 コンピューター・アニメーション・フェスティバルのラインナップ:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201207/article_23.html

 ・SIGGRAPH 2010 コンピューター・アニメーション・フェスティバルのラインナップ その1:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201007/article_19.html
 ・SIGGRAPH 2010 コンピューター・アニメーション・フェスティバルのラインナップ その2:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201007/article_20.html

 ・SIGGRAPH 2009 コンピューター・アニメーション・フェスティバル 受賞結果:http://umikarahajimaru.at.webry.info/200908/article_12.html

 ・映画賞&映画祭カレンダー 2018年3月~9月:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201803/article_33.html

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