ロカルノ国際映画祭2018 インターナショナル・コンペティション部門 ラインナップ!

 第71回ロカルノ国際映画祭(8月1日-11日)のインターナショナル・コンペティション部門のラインナップです。

 【インターナショナル・コンペティション部門】(Concorso internazionale)

 ・“Ray & Liz”(英) 監督:リチャード・ビリンガム(Richard Billingham) [ワールド・プレミア]
 ターナー賞ノミネート、Deutsche Börse Prize受賞のアーティスト、リチャード・ビリンガムの初監督長編。Ray & Lizとは、リチャードの両親のことで、本作はブラック・カントリーの公営住宅で育った彼の記憶に基づく家族の物語であり、サッチャー時代の、日々のもめごとと孤独と愛と喪失といったユニバーサルな物語を語っている。
 物語:1990年。アルコールのせいで、リチャードの父レイは自分の寝室に封じ込められて出られなくなってしまう。レイとうまくいっていない妻のリズは、隣人のシドと、レイの扱いについてケンカをする。レイは、まだ希望を持っていて、自殺を通してリズを操作すれば、彼女は自分のところに戻ってきてくれると考えていた。
 10年かそのくらい前、リチャードの弟のジェイソンは、3歳で、不運なロルおじさんに預けられていた。同居人は、ロルをだまして、家に隠していた酒を飲ませ、ジェイソンのことを忘れるように仕向けた。リズは、戻ってきて、暴力で彼を罰した。
 1985年、10歳のジェイソンは、友だちとBonfire Nightに出かけ、帰り道がわからなくなって、納屋で夜を明かした。最終的に彼は保護された。ソーシャルワーカーがこのことをレイとリズに伝えた時、リズはちょっとだけ泣いて、すぐに忘れた。

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 ・“M”(仏) 監督:Yolande Zauberman [ワールド・プレミア]
 物語:この作品は、ヘブライ語で「信心深い」を意味するハレディーム、すなわち超正統派ユダヤ教の中心都市、Bnei Brakのど真ん中への旅である。Menahem Langは、ここで育った。彼は、おもいやり、タルムード学校への献身、特に黄金の声の持ち主として知られ、聖歌のパフォーマーとしての才能が彼を有名にした。しかし、20歳の時、彼は宗教生活を棄てて、テルアビブに移った。明るい笑顔の少年には秘密があったのだ。何年もの間、彼は、彼を尊敬していたコミュニティーのメンバーからレイプされていた。Menahemは、この禁じられた世界へとドアを開くことに成功した。これは、犯罪の現場への帰還であり、また、彼が愛した場所への帰還である。ところどころに、信じられない出会いや回復された儀式、和解が待っている。磁石が引き合うように、同じ試練を経験した者がそれを明かし、語る。レイプの犠牲者がレイピストになる悪夢のサークル“galgal”の呪いを払いのけるように。
 イディッシュ語で撮影された。

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 ・“Menocchio”(伊・ルーマニア) 監督:アルベルト・ファズーロ(Alberto Fasulo) [ワールド・プレミア]
 物語:16世紀末のイタリア。プロテスタントの宗教革命によって、覇権を脅かされたと感じたローマ・カトリック教会は、良心に対する完全なコントロールのために、国を挙げて、最初の組織的なイデオロギー戦争を仕かけた。何年かかけて、新しい告解室は魂を慰める場所から精神を審判する場所に改められた。隣人のことを聴き、スパイし、非難することが強制的な仕事になり、破門や投獄で罰せられたり、報奨金が出されたりした。Menocchioは、フリウリの山の中の見棄てられた小さな村に住む、年老いて頑固で独学の製粉業者だが、こうした動きに抵抗することに決めた。異端扱いされたが、彼は弁護する友人や家族の言うことを聞かず、逃亡も申し立てもせずに裁判を受けることになった。彼は、ただ賦課や虐待、税金、不公平にうんざりしていた。人間として、Menocchioは、純粋に司教にも、異端審問官にも、ローマ法王にも平等であると確信していたし、内面では、彼らを改心させて貧しき者や愛の理想に戻らせたいと望み、思い、信じてすらいた。
 第2監督長編。

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 ・“Glaubenberg”(スイス) 監督:トーマス・イムバッハ(Thomas Imbach)  [ワールド・プレミア]
 物語:16歳のレナは、兄のノアに兄妹以上の愛情を感じていた。彼女は、それを紛らわすために、ノアの友人であるEnisにちょっかいを出したりした。しかし、ノアに対する思いは強すぎて、抑えることができなかった。彼女は、白昼夢を見、現実の世界より幻想の世界で生活するようになった。レナは、ついにノアに告白した。彼はショックを受け、彼女を追い払った。レナは見知らぬ地へと旅に出かけた。
 『終わりゆく一日』のトーマス・イムバッハ監督最新作。

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 ・“Wintermärchen(A Winter's Tale)”(独) 監督:Jan Bonny [ワールド・プレミア]
 物語:ベッキー、トミ、マイクは、右翼のテロ・グループを結成して、地下で生活し、国中から注目を浴びたいと夢見ていた。愛、憎しみ、友情といった複雑な関係性の中で、彼らは一連の暴力的な犯罪へとつながる破壊行動へと進んだ。名誉やプライド、忠誠といったいわゆる彼らの価値は、どんどん方向性が見失われていくことで低下していった。

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 ・“Alice T.”(ルーマニア・仏・スウェーデン) 監督:ラドゥー・ムンテアン(Radu Muntean) [ワールド・プレミア]
 物語:Aliceは、快活で生意気で赤髪のティーンエージャー。彼女は、母親が自分の子どもができないとわかって、養女に迎えたチャーミングで小さな少女からすっかり変わっていた。続けざまに問題を起こすので、母親はすっかり失望していた。 Aliceは、嘘をでっちあげて、自分が作り出したフィクションと自分の存在という現実との境界を曖昧にした。やがて母親はAliceが妊娠していることに気がつく。

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 ・“Sibel“(トルコ・仏・独・ルクセンブルク) 監督:チャーラ・ゼンジルジ(Çağla Zencirci)、ギョーム・ジョヴァネッティ(Guillaume Giovanetti)  [ワールド・プレミア]
 物語:25歳のSibelは、トルコの黒海地区の山の中の人里離れた村で、父と妹と一緒に暮らしていた。彼女は口が利けなかったが、地域に伝わる口笛言語でコミュニケーションを果たした。Sibelは、仲間の村人に拒まれて、近隣の森の中を徘徊して、村の女性たちに恐怖と妄想をバラましている狼を執拗に追った。そこで彼女は逃亡者と出会う。傷つき、怯え、衰弱した彼は、これまで誰も見たことのない目線で彼女を見た初めての男性になった。
 日本で『人間-Ningen-』を撮影した監督コンビの最新作。第3長編。

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 ・“Yara”(レバノン・イラク・仏) 監督:アッバス・ファデル(Abbas Fahdel) [ワールド・プレミア]
 物語:若いYaraは、レバノン北部の谷に祖母と一緒に暮らしている。ほとんどの住民は死ぬか、外国へ移住していった。ある日、若いハイカーのEliasが、2人の農場にやってくる。Yaraは、彼と一緒に喜びと初恋の痛みを経験する。
 『祖国 ― イラク零年』が、山形国際ドキュメンタリー映画祭2015で上映されているアッバス・ファデル監督の最新作。

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 ・“A Land Imagined(幻土)”(シンガポール・仏・オランダ) 監督:Yeo Siew Hua(楊修華)  [ワールド・プレミア]
 物語:ミステリアスなゲーマーとヴァーチャルな友情を築いた後、中国からやってきた建設作業員のWangは、シンガポールの埋め立て地で行方不明になる。警察の捜査官のLokは、彼を見つけ出すために、真実を明かさなければならない。
 第2監督長編。

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 ・“A Family Tour(自由行)”(台湾・香港・シンガポール・マレーシア) 監督:イン・リャン(Liang Ying/応亮) [ワールド・プレミア]
 物語:映画“The Mother of One Recluse”を監督した後、監督のYang Shuは香港に亡命しなければならなくなる。四川に住んでいる母親は、胃がんで手術を受けなければならなくなる。母と娘Yang Shuは台湾で落ち合う計画を立てる。娘Yang Shuは、夫と息子と一緒に映画祭に出席し、母はツアーに参加する。家族の再会を確実にするために、全員が同じホテルに部屋を取る。ツアーは様々な行先をたどる。
 『アザー・ハーフ』『アヒルを背負った少年』のイン・リャン監督最新作。

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 ・“Hotel by the River”(韓) 監督:ホン・サンス [ワールド・プレミア]
 出演:Ki Joobong、キム・ミニ、ソン・ソンミ、クォン・ヘヒョ、ユ・ジュンサン
 物語:老いた詩人が自由を求めて、川沿いのホテルに暮らしている。彼は、疎遠になっていた2人の息子を呼ぶ。明らかな理由があったわけではないが、もう長くはないと感じていたからだ。一緒に暮らしていた男性に裏切られて、若い女性がホテルに部屋を借り、助けが欲しくて、友人を呼ぶ。
 詩人は、息子たちと一日を過ごし、自分の人生の緩やかな終わりを締めくくろうとする。だが、それを一日で済ますのは容易ではない。彼は、若い女性とその友人を見かける。それから、突然、信じられないくらい激しい雪が降る。
 『ソニはご機嫌ななめ』(2013)で監督賞、『正しい日 間違えた日』(2015)で金豹賞受賞のホン・サンス監督の3年ぶりのロカルノ国際映画祭インターナショナル・コンペティション部門登場。

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 ・“Genèse”(カナダ) 監督:Philippe Lesage [ワールド・プレミア]
 出演:Noée Abita、Théodore Pellerin、Édouard Tremblay-Grenier、Pier-Luc Funk、Émilie Bierre、Maxime Dumontier、Paul Ahmarani、Jules Roy Sicotte、Antoine Marchand-Gagnon
 物語:3人のティーンエージャーが、青春の騒ぎの中で初恋に揺れる。他の者たちが従順に従うのに対して、彼らは大地を踏みしめ、愛と自由である権利を求めて強く主張する。
 “Les démons”のPhilippe Lesage監督最新作。

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 ・“Diane”(米) 監督:ケント・ジョーンズ(Kent Jones)
 出演:メアリー・ケイ・プレイス(Mary Kay Place)、ジェイク・レイシー(Jake Lacy)、Andrea Martin、エステル・パーソンズ、ディードル・オコンネル(Deirdre O'Connell)、ジョイス・ヴァン・パタン(Joyce Van Patten)、フィリス・サマーヴィル(Phyllis Somerville)、グリニス・オコナー(Glynnis O'Connor)
 物語:ダイアンは、西マサチューセッツに独りで暮らし、他人の面倒を見、いつも自分のことは後回しにしている。孤独が知覚と存在の新たなレベルに開かれる。そこでは、過去と現在が衝突し、人々が行ったり来たりする。彼女の目の前で彼女の人生が消え失せるのを目撃し、ダイアンは許しの可能性に直面する。
 『ヒッチコック/トリュフォー』のケント・ジョーンズ監督の初めての長編フィクション作品。

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 ・“La flor (The Flower)”(アルゼンチン) 監督:Mariano Llinás
 物語:映画史へのトリビュート作品で、異なる6つの形式で6つのエピソードが語られる。いずれもジャンル作品になっていて、第1エピソードは、B級映画。かつてよくアメリカで撮られていて、今は誰も撮ろうとしない。第2エピソードは、ミステリ・タッチのミュージカル。第3エピソードは、スパイ映画。第4エピソードは、説明が難しい。第5エピソードは、ジャン・ルノワールの『ピクニック』のリメイク。人質になった19世紀の女性たちの物語。
 第1部2話3時間40分が、ロッテルダム国際映画祭2017で上映されてHubert Bals fund audience awardを受賞している。
 約10年かけて制作された。4人の女優がそれぞれに異なる役で出演している(10年間で10年分の齢を重ねている)。
 『パウリーナ』(2015)などで脚本家としても活躍している、アルゼンチンの異才Mariano Llinásの第2監督長編。
 808分。アルゼンチン映画史上最長作品。
 ブエノスアイレス国際インディペンデント映画祭インターナショナル・コンペティション部門2018出品。作品賞、女優賞(Pilar Gamboa、Valeria Correa、Elisa Carricajo、Laura Paredes)受賞。

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 ・“Too Late to Die Young(Tarde para morir joven)”(チリ・ブラジル・アルゼンチン・オランダ・カタール) 監督:ドミンガ・ソトマイヨール(Dominga Sotomayor) [ワールド・プレミア]
 物語: 1990年の夏。チリの、アンデス山脈の麓の孤立したコミュニティー。小さな家族グループが、都会的な過剰さから離れて新しい世界を作り出そうとしている。国の独裁制が終わってまもなく、そこから生まれた自由をよい方に役立てなければいけない。この変化と計画の時の中で、ティーンエージャーのSofíaとLucasとClaraは、親たちとともに、初恋や恐れに立ち向かっている。彼らは、大みそかの大きなパーティーの準備をしている。ここは都会の危険からは遠く離れているが、大自然の危険はすぐそばにある。
 『木曜から日曜まで』のドミンガ・ソトマイヨール監督最新作。

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 ※審査員:ジャ・ジャンクー(審査員長)、エマニュエル・カレール(フランスの作家)、ショーン・ベイカー、Tizza Covi(イタリア/オーストリアのフィルムメイカー)、イザベラ・ラゴネーゼ

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 いろいろと面白そうな作品はありますが、注目は、ひとりだけキャリアが突出しているホン・サンスと、上映時間が808分もあって、ブエノスアイレス国際インディペンデント映画祭で作品賞と女優賞を受賞している“La flor (The Flower)”でしょうか。

 “La flor (The Flower)”は、3つに分けて劇場公開できるようにしてあるらしいけれど、それでも長いし、日本での劇場公開は無理でしょうか。東京国際映画祭でもどうかなあ。強引にラテンビートで上映するか。

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 ・ロカルノ国際映画祭2017 インターナショナル・コンペティション部門 ラインナップ:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201707/article_18.html
 ・ロカルノ国際映画祭2017 フィルムメイカーズ・オブ・ザ・プレゼント コンペティション部門 ラインナップ:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201707/article_19.html
 ・ロカルノ国際映画祭2017 コンペティション部門以外のラインナップ:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201707/article_21.html
 ・ロカルノ国際映画祭2017 受賞結果:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201708/article_17.html
 ・ロカルノ国際映画祭2016 ラインナップ:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201607/article_25.html
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 ・ロカルノ国際映画祭2016 受賞結果:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201608/article_18.html
 ・ロカルノ国際映画祭2014 ラインナップ:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201407/article_18.html
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 ・ロカルノ国際映画祭2013 受賞結果:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201309/article_2.html
 ・ロカルノ国際映画祭2010 ラインナップ その1:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201007/article_16.html
 ・ロカルノ国際映画祭2010 ラインナップ その2:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201007/article_17.html
 ・ロカルノ国際映画祭2010 受賞結果発表:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201008/article_7.html
 ・ロカルノ国際映画祭2009 ラインナップ:http://umikarahajimaru.at.webry.info/200907/article_16.html
 ・ロカルノ国際映画祭2009 受賞結果:http://umikarahajimaru.at.webry.info/200908/article_10.html

 ・映画賞&映画祭カレンダー 2018年3月~9月:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201803/article_33.html

 追記: 
 ・ロカルノ国際映画祭2018 フィルムメイカーズ・オブ・ザ・プレゼント コンペティション部門 ラインナップ:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201807/article_14.html
 ・ロカルノ国際映画祭2018 コンペティション部門以外のラインナップ:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201808/article_1.html
 ・ロカルノ国際映画祭2018 受賞結果:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201808/article_12.html

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