ローマ映画祭2016のこと

 第11回ローマ映画祭(10月13日-23日)が開催されました。

 ローマ国際映画祭(Festival Internazionale del Film di Roma)は、トライベッカ映画祭に呼応する形で2002年に単発の映画祭として開催されたのが最初ですが、それが契機となって、2006年より毎年開催される映画祭として正式スタートした映画祭です。
 ホストが首都ローマであり、イタリア経済のバックアップもあって、数多くの有名映画人が参加する映画祭となって、メディアの注目も高い映画祭として出発しました。

 2012年には、2011年まで8年間にわたってベネチア国際映画祭の芸術監督を務めていたマルコ・ミュラー(Marco Müller/マルコ・ミュレール)がローマ国際映画祭の芸術監督に就任して、プログラム編成の思い切った変革を行ない、オフィシャル・セレクションをすべてワールド・プレミア作品に絞るなどして、大いに注目を集めました。

 ところが、2013年、マルコ・ミュラーが芸術監督に就任して2年目で、オフィシャル・セレクションにワールド・プレミア作品を集められなくなり、さらに、2014年にはコンペティション部門自体がなくなって、映画祭の賞も観客賞がメインになりました(この年は、第1回作品賞と最優秀イタリア・ドキュメンタリー賞は残されました)。

 最初から3年契約だったのかどうかはわかりませんが、2015年に芸術監督はマルコ・ミュラーからAntonio Mondaに替わり、映画祭のプレジデントもPaolo FerrariからPiera Detassisに替わっています。

 映画祭のトップが入れ替わると同時に、映画祭の名称も「ローマ国際映画祭」(Festival internazionale del film di Roma)から「ローマ映画祭」(Festa del Cinema di Roma)に改称されました。(映画祭の規模が大きくなって「映画祭」が「国際映画祭」になることはあっても、その逆になることは珍しい。)
 2014年は、部門ごとに観客賞を設けていたのが、2015年以降は、映画祭全体で1つの観客賞を選ぶにとどまっています。

 やはりマルコ・ミュラーのやり方では、お金がかかって仕方がなく、今はもうそれに応えることができなくなった、ということなのでしょうか。

 過去4年の映画祭の基本データを書き出すと以下のようになります。(公式サイトでの発表に基づく)

 2013年:30カ国から163作品を上映。7スクリーンでのべ402回の上映。総観客数:15万人以上。

 2014年:23カ国から113作品を上映。7スクリーンでのべ336回の上映。総観客数:15万人。

 2015年:24カ国から53作品を上映。14スクリーンでのべ313回の上映。総観客数:6万人。

 2016年:26カ国から72作品を上映。16スクリーンでのべ313回の上映。総観客数:前年比18%増(具体的な数字は示されず)

 う~ん、厳しいですね。

 映画祭にはいろんな役割がありますが、ローマ映画祭は、国際的に見て、映画産業や映画メディアにとっては、重要度の低い「ローカルな映画祭」になってしまった、と言ってもいいいかもしれません。

 マルコ・ミュラーとしては、ローマ国際映画祭を、ベネチア国際映画祭に取って代わって、イタリアを代表し、世界有数の国際映画祭にすることが目標だったと思いますが。

 個人的には、マルコ・ミュラーが、ベネチアからローマに移る時に、最新のイタリア映画を上映する部門をごっそり持っていった(ベネチア国際映画祭にあったControcampo Italianoに相当する、最新イタリア映画の上映部門「プロスペクティヴ・イタリア」(Prospective Italia)を新設した)のが、行き場を失ってしまったようになってしまったのが、ちょっと気になります。(まあ、1つの映画祭でまとめてプレミア上映されることがなくなったというだけですが。)

 ちなみに、マルコ・ミュラーは、本年度からスタートするマカオ国際映画祭(The International Film Festival and Awards Macao (IFFAM))のディレクターに就任しています。(追記:マルコ・ミュラーは、マカオ国際映画祭開幕1か月前になって、ディレクターの辞任を発表しました。)

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 ◆観客賞(BNL People’s Choice Award)
 ◎“Captain Fantastic”(米) 監督:マット・ロス
 出演:ミッシー・パイル、キャスリン・ハーン、ヴィゴ・モーテンセン、スティーヴ・ザーン、ジョージ・マッケイ、フランク・ランジェラ、アナリース・バッソ、アン・ダウド、エリン・モリアーティ
 物語:太平洋岸北西部の森の中。ベン・キャッシュは、6人の子供たちを、物理的にも、知的教育面でもしっかりと育てていた。子どもたちは、レディ・ガガや『スタートレック』は知らなかったが、自然界でのサバイバルや自己防衛、ロック・クライミング、人間の繁殖についてはもちろん、『資本論』にも精通していた。ところが、ある時、彼らに最も近い電話で、ベンは、妻レスリーが施設で自殺したことを知らされる。ベンは、子どもたちに母の死を伝え、葬儀のためにみんなで森を出る。一家は、ベンが想像していたより早く、現実世界に直面させられる。長男のBodevanは、オールナイトキャンプでかわいい女の子と出会い、それまで本の中だけで知っていたキスをした後、動揺して思わずプロポーズしてしまったりする。レスリーの祖父ジャックは、娘のための最善の葬式を開いてやりたいと考え、ベンに、ニュー・メキシコへと車を運転させるが、それはできれば避けたいとベンが考えていたことだった……。
 俳優マット・ロスの第2監督長編。
 サンダンス映画祭2016 プレミア部門出品。
 「ヴァラエティー」誌が選ぶ、観るべき10人の監督たち 2016
 カンヌ国際映画祭2016 ある視点部門出品。監督賞受賞。
 シアトル国際映画祭2016 最優秀作品賞(Golden Space Needle Award)受賞。
 ナンタケット映画祭2016 観客賞第2席。
 モスクワ国際映画祭2016 特別上映部門出品。
 ミュンヘン映画祭2016出品。
 カルロヴィ・ヴァリ国際映画祭2016 ホライズンズ部門出品。観客賞出品。
 エルサレム映画祭2016出品。
 プチョン国際ファンタスティック映画祭2016 Save Energy, Save Earth Film Award受賞。
 メルボルン国際映画祭2016出品。
 サラエボ映画祭2016出品。
 ドーヴィル・アメリカン映画祭2016 コンペティション部門出品。審査員賞、観客賞受賞。
 リオ・デ・ジャネイロ国際映画祭2016出品。
 ナパ・ヴァレー映画祭2016出品。

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 【トリビュート】

 本年度のローマ映画祭では、50のトリビュートまたはレトロスペクティヴが企画されたそうで(計算上、ほとんどの上映作品が何らかの企画に関わっていたことになりますが)、その中でも、「トリビュート・トゥ・グレゴリー・ペック」が目を引きました。

 2016年は、グレゴリー・ペックの生誕100年に当たり、ローマ映画祭では『ローマの休日』が上映され、息子で俳優のアンソニー・ペック(トニー・ペック)と娘で女優/監督/プロデューサーのセシリア・ペックが舞台挨拶したほか、スペイン階段のライトアップも行なわれました。

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 アンソニー・ペックは、父親によく似ていますね。

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 *当ブログ記事

 ・ローマ国際映画祭2013 受賞結果:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201311/article_25.html
 ・ローマ国際映画祭2012 受賞結果:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201211/article_20.html
 ・ローマ国際映画祭2010 受賞結果:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201011/article_13.html
 ・ローマ国際映画祭2009 受賞結果:http://umikarahajimaru.at.webry.info/200911/article_30.html

 ・映画賞&映画祭カレンダー 2016年6月~11月:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201606/article_2.html

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