クラクフ映画祭2016 受賞結果!

 第56回クラクフ映画祭(5月29日-6月2日)の受賞結果です。

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 【音楽ドキュメンタリー・コンペティション部門】(DOCFILMMUSIC COMPETITION)

 ◆Golden Heynal/最優秀作品賞

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 ◎“Melody of Noise”(スイス) 監督:Gitta Gsell
 自然界の中に音楽を見出したり、古い工場やゴミ捨て場にある廃棄物を楽器に変えてしまったりする現代アーティストたち。ノイズとサウンド、リズムと静寂の間で、聞こうとすれば、あらゆるものが音楽になり得るし、われわれのまわりには、豊かな「サウンド」があふれているのだ。

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 【ナショナル・コンペティション部門】(POLISH COMPETITION)

 ◆Golden Hobby-Horse/最優秀作品賞

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 ◎“Icon”(51’) 監督:Wojciech Kasperski
 シベリアのカントリーサイドにある精神病院で、働く年老いた医師と、数十年にわたってそこで暮らしている患者たち。本作では、患者の日常生活を、控えめに、かつ深い洞察力をもって観察し、人間の本質について考察する。

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 ◆Silver Hobby-Horse/最優秀ドキュメンタリー賞

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 ◎“You Have No Idea How Much I Love You(Nawet nie wiesz jak bardzo cię kocham)”(75’) 監督:Paweł Łoziński
 “Ojciec i syn(Father and son)”で自分と父との関係を扱った監督Paweł Łozińskiは、今回は、心理療法士立ち合いの下、ある母と娘の関係に焦点を当てる。セッションが続けられる中で、2人の間の古い傷がこじ開けられ、深く埋められていた感情が目覚める。そうして昔のトラウマを乗り越え、家族関係の再構築が図られる。
 “Chemo”でクラクフ映画祭2009 Silver Hobby-Horse受賞、“Ojciec i syn(Father and son)”でポーランド映画賞2014ドキュメンタリー賞ノミネート、のPaweł Łoziński最新作。同じくドキュメンタリー作家である父Marcel Łozińskiも、“Father and Son on a Journey(Ojciec i syn)”で、自分と息子の関係を描き、クラクフ映画祭2013 長編ドキュメンタリー部門Silver Horn、モスクワ国際映画祭2013 ドキュメンタリー・コンペティション部門グランプリを受賞している。

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 ◆Silver Hobby-Horse/最優秀アニメーション賞

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 ◎『インポッシブル フィギュアズ アンド アザー ストーリーズ II』“Impossible Figures and Other Stories II”(14’) 監督:マルタ・パイェク(Marta Pajek)
 物語:主人公は、家事が忙しすぎて、生活のリズムを見失い、自分のまわりのものが不快で、悪意を持っているように感じるようになる。予測可能性と安全性が失われ、世界は統合失調症的に奇妙な形を取り始める。
 ポーランドアニメーション映画祭2011で『スリーピン・コード』が紹介されているマルタ・パイェクの最新作。
 広島国際アニメーションフェスティバル2016 コンペティション部門出品。

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 ◆Silver Hobby-Horse/最優秀フィクション賞

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 ◎“The Opening(Otwarcie)”(30’) 監督:Piotr Adamski
 物語:癌にかかっているアーティストが、現代アート・ギャラリーのオープニングに、最後のパフォーマンスを計画する。医療機器とつながったまま、ベッドに乗せられて、彼はエキジビション・ルームに入る。明かりが点けられ、カメラがまわる。客たちは、ワインを飲みながら、昏睡中の男がいる部屋に入っていく。ナースとギャラリーのディレクターの間の緊張が最高潮に達する。

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 ◆編集賞/ポーランド映画製作者協会賞(The Award of the Polish Filmmakers Association for the best film editing)
 ◎“Icon”(ポーランド/51') 監督:Wojciech Kasperski

 ◆社会意識賞/Maciej Szumowski Award for remarkable social awareness
 ◎“Icon”(ポーランド/51') 監督:Wojciech Kasperski

 ◆最優秀短編・ドキュメンタリー映画プロデューサー賞(The Award for the best short and documentary films producer in Poland)
 ◎Agnieszka Wasiak(Lava Films Sp. z o.o.) “21 x New York City”(70’)(監督:Piotr Stasik)
 “21 x New York City”(70’) 監督:Piotr Stasik
 コミュニケーション・ツールが進化しているのにも関わらず、人間はますます孤独になっている。Piotr Stasikは、ニューヨークの地下鉄で、人種や文化、ものの見方の異なる21人の人物の隠された物語を探る。本作は、存在の意味を問うシネマ・エッセイであり、ニューヨークという都市のヒプノティックは肖像画となっている。
 クラクフ映画祭2016オープニング作品。クラクフ映画祭2016による、ヨーロッパ映画賞2016推薦作品。

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 ◆ポーランド撮影者協会賞(PSC:The Award Of The Polish Society Of Cinematographers)
 ◎“Icon”(ポーランド/51') 監督:Wojciech Kasperski

 ◆学生審査員賞
 ◎“Impossible Figures and Other Stories II”(14’) 監督:マルタ・パイェク(Marta Pajek)

 【インターナショナル・ドキュメンタリー・コンペティション部門】(INTERNATIONAL DOCUMENTARY COMPETITION)

 ◆The Golden Horn/最優秀ドキュメンタリー賞

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 ◎“My Friend Boris Nemtsov(Moy drug Boris Nemtsov)”(エストニア・ロシア/70') 監督:Zosya Rodkievich
 ボリス・ネムツォフ(1959年-2015年2月27日)は、エリツィン政権で第一副首相を務めた人民自由党の政治家。若き映画監督のZosya Rodkievichは、彼と親密な関係を築き、数少ない公的な機会はもちろん、反プーチンのデモに関わる、選挙前旅行やミーティングで彼と同行し、カメラをまわす。ところが、彼は、モスクワで、ウクライナへの軍事介入に対する抗議デモを呼び掛ける活動を行なっている最中に銃撃されて、亡くなる。本作は、ボリス・ネムツォフの最後の活動を記録したドキュメンタリーとなった。

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 ◆The Silver Horn/最優秀中編作品賞

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 ◎“Romeo e Giulietta(Romeo and Juliet)”(伊/57') 監督:Massimo Coppola
 ローマ郊外のロマ人キャンプで、『ロミオとジュリエット』のキャスティングとリハーサルが行なわれ、その様子をカメラが記録する。その中で、若き俳優たちの家族間の諍いが甦り、旧ユーゴスラビアでの戦争の記憶が掘り返される。

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 ◆The Silver Horn/最優秀長編作品賞

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 ◎“Manor(Manoir)”(カナダ/83') 監督:Pier-Luc Latulippe、Martin Fournier
 精神病院Manoir Gaulinは、快適な環境とも言えないのにも拘わらず、人生で成功しなかった人々の避難所となっていた。ところが、土地のオーナーが投資家へ売り払うことを決めたため、施設は閉鎖され、患者たちは立ち去らなければならなくなる。本作では、Manoir Gaulinの最後の日々が記録される。

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 ◆撮影賞
 ◎“Dead Ears(Šaltos Ausys)”(リトアニア/42') 監督:Linas Mikuta
 東欧のどこかのカントリーサイド。老いた男やもめが耳の不自由な息子と暮らしている。彼らには、コミュニケーションに問題があるが、それは息子の障害のためではない。世界から孤立し、農作業に明け暮れて、2人にとって一緒に暮らしていくのがどんどん難しくなっていく。
 リトアニア・ナショナル映画賞(シルバークレーン賞)2016 短編ドキュメンタリー賞ノミネート。

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 ◆国際批評家連盟賞
 ◎“Icon”(ポーランド/51') 監督:Wojciech Kasperski

 【インターナショナル短編コンペティション】(INTERNATIONAL SHORT FILM COMPETITION)

 ◆Golden Dragon/最優秀作品賞

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 ◎“The Mute’s House(Beit Ha'Ilemet)”(イスラエル/32’) 監督:Tamar Kay
 ヘブロンに、パレスチナ人オーナーから見捨てられた建物がある。そこは、駐留しているイスラエル人兵士や通り過ぎるツアー・ガイドからは、「ろうあ者の家」と呼ばれている。現在、そこで暮らしているのは、耳が不自由なSaharと、8歳の息子Yousefだ。2人には、イスラエルとパレスチナの対立を背景としたユニークな物語があり、それがYousefの視点で語られる。

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 ◆Silver Dragon/最優秀ドキュメンタリー賞

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 ◎“Close Ties(Więzi)”(ポーランド/18’) 監督:Zofia Kowalewska
 BarbaraとZdzisławは、結婚45周年を迎えている。それが素直に喜べないのは、8年前にZdzisławが妻を棄てて、愛人の元に走ってしまったからだ。今、再び2人は一緒に暮らしているが、それはZdzisławの脚が悪くなったからで、そうでなかったらZdzisławは未だにクラクフで女のスカートを追いかけているだろうとBarbaraは不平をもらす。そうした過去がありながら、彼らは毎日の支払いに苦労しつつ、ベッドをともにし、家具の配置換えをしたりして日々を過ごしている。彼らの関係性を説明するのは難しい。

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 ◆Silver Dragon/最優秀アニメーション賞

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 ◎“Tsunami”(デンマーク/7') 監督:Sofie Kampmark
 物語:ハルは、津波を生き延びて、今は、災害の傷跡の残る家で暮らしている。彼は、普通の生活をしようと思っているが、被災の記憶が彼を脅かす。彼は生きている、少なくとも生き続けてはいるけれども、生きる意味を見失っている。彼の恐怖心と圧迫感は、海の精霊となって実体化し、彼とともに暮らしている。

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 ◆Silver Dragon/最優秀短編フィクション賞
 ◎“How Was Your Day?”(アイルランド/14’) 監督:ダミアン・オドネル(Damien O’Donnell)
 物語:夫婦に、初めての子どもが授かる。ところが、生まれてくる子に障害があることがわかり、夫婦関係に影を落とし、特に母親の精神面に影響する。彼女は、愛することができない子を育てることに負担を感じる。
 アイルランド・アカデミー賞2016 短編映画賞ノミネート。
 SXSW映画祭2016 短編ナラティヴ部門 審査員大賞受賞。

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 ◆ヨーロッパ映画賞2016 短編映画賞クラクフ代表
 ◎“I Am Not From Here(Yo no soy de aquí)”(チリ・リトアニア・デンマーク/26’) 監督:Maite Alberdi、Giedre Zickyte
 Josebeは、バスク人だが、いまはチリの老人ホームで暮らしている。閉ざされた空間の中で、毎日が漫然と過ぎていく。彼女は、認知症を抱えていることもあって、頑固で、他の居住者とはつきあおうとしない。Josebeは、何十年もチリに暮らしているが、バスクでの若かりし幸福な日々を懐かしんでばかりいる。

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 ◆The FICC賞/ドン・キホーテ賞
 ◎“The Opening(Otwarcie)”(ポーランド/30’) 監督:Piotr Adamski

 ◆The FICC賞 スペシャル・メンション
 ◎“The Mute’s House(Beit Ha'Ilemet)”(イスラエル/32’) 監督:Tamar Kay

 ◆観客賞

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 ◎“Who's Gona Love Me Now?(Mi Yohav Oti Achshav? )”(イスラエル・米/85') 監督:トメク・ハイマン(Tomer Heymann)、Barak Heymann
 18年前、Saarは、信仰心の篤い家族で育つが、自分の同性愛的性向のために、キブツを離れなくてはならなくなり、ロンドンで暮らすようになる。3年つきあったカレと別れた後、Saarは、セックスとドラッグに溺れ、HIVポジティヴの診断を受ける。彼は、否応なく人生を再考しなければならなくなるが、London Gay Men’s Chorusと巡り合い、そこで歌うことで家族との絆を取り戻す勇気を得る。
 ベルリン国際映画祭2016 パノラマ部門出品。観客賞ドキュメンタリー部門第1席。

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 ◎“The Chop”(英/17’) 監督:Lewis Rose
 物語:肉屋で働いていたイギリス人のヨシは、失業して、すぐに職探しを行なう。まずは、「ユダヤ教の教えに則った肉屋」のドアをたたくが、仕事は得られない。そこで彼はユセフと改名し、「ユダヤ教の教えに則らない肉屋」のドアをたたく……。

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 【DOC LAB POLAND AWARDS】(製作支援)

 [DOCS TO START]

 ◆HBO Award
 ◎“Boylesque” 監督:Bogna Kowalczyk プロデューサー:Tomasz Morawski(BOFFO)

 ◆クラクフ映画クラスター賞(Krakow Film Cluster Award)
 ◎“Study of Chaos” 監督:Tomasz Śliwiński、Magdalena Hueckel プロデューサー:Marika Kuźmicz(ARTON FOUNDATION)

 ◆ヨーロッパ・ドキュメンタリー・ネットワーク スペシャル・メンション(European Documentary Network Special Mention(EDN))
 ◎“Mission” 監督:Monika Krupa プロデューサー:Dorota Mandziara(TRZY FILM)

 ◆DOK ライプチヒ スペシャル・メンション(DOK Leipzig Special Mention)
 ◎“Volte” 監督:Monika Kotecka、Karolina Poryzała プロデューサー:Agnieszka Wasiak(LAVA FILMS)

 [DOCS TO GO!]

 ◆ポーランド映画製作者協会賞(Polish Filmmakers Association Award)
 ◎“Uncoditional Love” 監督:Rafał Łysak プロデューサー:Jacek Bławut、Victoria Ogneva(JACEK BŁAWUT FILM PRODUCTION)

 ◆クラクフ・テクノロジー・パーク賞(Krakow Technology Park Award)
 ◎“The Ugliest Car in The World” 監督:Grzegorz Szczepaniak プロデューサー:Grzegorz Szczepaniak(WYDAWNICTWO FONOGRAFICZNE ANAGRAM)

 ◆イースト・ドック・プラットフォーム スペシャル・メンション(East Doc Platform Special Mention)
 ◎“Village of The Swimming Cows” 監督:Katarzyna Trzaska プロデューサー:Katarzyna Trzaska(ZYGIZAGA ROBERT ZYGMUNTOWSKI)

 【名誉賞】

 ◆ドラゴン・オブ・ドラゴンズ賞(The Dragon of Dragons award)
 ◎マルツェル・ウォジンスキ(Marcel Łoziński)

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 *当ブログ記事

 ・クラクフ映画祭2016 ラインナップ:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201605/article_42.html
 ・クラクフ映画祭2014 ラインナップ:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201405/article_28.html
 ・クラクフ映画祭2014 受賞結果:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201406/article_2.html
 ・クラクフ映画祭2013 ラインナップ:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201305/article_36.html
 ・クラクフ映画祭2013 受賞結果:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201306/article_4.html
 ・クラクフ映画祭2012 ラインナップ:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201205/article_28.html
 ・クラクフ映画祭2012 受賞結果:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201206/article_7.html
 ・クラクフ映画祭2011 ラインナップ&受賞結果:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201106/article_1.html
 ・クラクフ映画祭2010ラインナップ:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201006/article_1.html
 ・クラクフ映画祭2010 受賞結果:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201006/article_8.html
 ・クラクフ映画祭2009 ラインナップ:http://umikarahajimaru.at.webry.info/200905/article_17.html
 ・クラクフ映画祭2009 受賞結果:http://umikarahajimaru.at.webry.info/200906/article_6.html

 ・映画賞&映画祭カレンダー 2016年1月~5月:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201601/article_49.html
 ・映画賞&映画祭カレンダー 2016年6月~11月:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201606/article_2.html

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