今年も秀作がいっぱい! トライベッカ映画祭2016 受賞結果!

 第15回トライベッカ映画祭(4月13日-24日)の受賞結果です。

 トライベッカ映画祭は、同時多発テロの被害を受けて元気を失ってしまったニューヨークを、映画を通じて元気づけようという目的で2002年から始められた映画祭で、今年で15回目になります。

 コンペ部門には、巨匠やベテラン、期待の新鋭などがこぞって作品を出品するという感じでもなく、ほとんど知られていないような監督の作品ばかりになってしまいますが、そのかわりプレミア度は高く、ワールド・プレミア作品か北米プレミア作品ばかりが並ぶことになります。

 ワールド・ナラティヴ・コンペティション(今回より「インターナショナル・ナラティヴ・コンペティション」と改称)は、近年は、後々高い評価を得ていくことになる作品も集まるようになってきていて、『好きにならずにはいられない』、“The Rocket”、『魔女と呼ばれた少女』、『彼女が消えた浜辺』、『ぼくのエリ 200歳の少女』などが最優秀作品賞を受賞しています。
 一方、ワールド・ドキュメンタリー・コンペティションの方は、“The Kill Team”、“The World Before Her”、“Bombay Beach”、『米国“闇”へ』などが最優秀ドキュメンタリー賞を受賞しています。

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 【USナラティヴ・コンペティション部門】(US NARRATIVE COMPETITION CATEGORIES) [新設]

 ※審査員:アン・ケリー(Anne Carey:プロデューサー)、ジェームズ・レグロス(James Le Gros)、Chris Nashawaty、マイア・テイラー(Mya Taylor)、ジェニファー・ウェストフェルト(Jennifer Westfeldt)

 ◆作品賞(The Founders Award for Best Narrative Feature)
 ◎“Dean”(米) 監督:Demetri Martin


 “Dean”(米) 監督:ディミトリ・マーティン(Demetri Martin)
 出演:ディミトリ・マーティン、ケヴィン・クライン、ジリアン・ジェイコブズ(Gillian Jacobs)、Rory Scovel、ジンジャー・ゴンザーガ(Ginger Gonzaga)、リード・スコット(Reid Scott)、メアリー・スティンバーゲン、クリスティン・ウッズ(Christine Woods)、ベック・ベネット(Beck Bennett)、ブリガ・ヒーラン(Briga Heelan)
 物語:ニューヨークに住むイラストレーターのディーンは、1年前に母が亡くなった喪失感を乗り越えられずにいた。父のロバートも同様で、彼はセラピーを受け、思い出の残る家を売ってしまおうかと考えていた。ディーンは、LAで唯一の親友エリックに会いに出かけ、パーティーでニッキーに出会ったことで、LAでの滞在を延長する。一方、ロバートは不動産屋のキャロルで出会い、彼女が家を売りに出してくれることになる。父子ともに新しい女性と出会って新しい人生が見出せそうになるが、まだ大切な家族を失った苦しみが強く、次への一歩が出せずにいる……。
 コメディアンで俳優のディミトリ・マーティンの初監督作品。評判も上々で、ウディ・アレンやウェス・アンダーソンも引き合いに出されている。


 ◆男優賞(Best Actor in a U.S. Narrative Feature Film)
 ◎ドミニク・レインズ(Dominic Rains) “The Fixer”

 “The Fixer”(米) 監督:Ian Olds
 出演:ドミニク・レインズ、ジェームズ・フランコ、レイチェル・ブロズナハン(Rachel Brosnahan)、メリッサ・レオ、Igor Campos Garcia、トーマス・ジェイ・ライアン(Thomas Jay Ryan)
 物語:オスマンは、アフガニスタンで、西側ジャーナリストのフィクサーとして戦争の報道に関わっていたが、今は、北カリフォルニアの友人の母の家に泊めてもらって、地元の新聞の犯罪ページの担当をしていた。彼は、新しい生活になじもうとして、地元で暮らす夫婦、エキセントリックで落ち着きのないリンゼイととらえどころのないサンドラとつきあい始める。彼は、2人に地元特有のサブカルチャーを紹介してもらおうとするが、リンゼイが謎の失踪を遂げる。オスマンは、リンゼイを捜し出そうとして、思いもかけない現実と直面する。
 Ian Oldsは、“Fixer: The Taking of Ajmal Naqshbandi”でトライベッカ映画祭2009 ニュー・ドキュメンタリー・フィルムメイカー賞を受賞している。本作は初めてのフィクション作品。


 ◆女優賞(Best Actress in a U.S. Narrative Feature Film)
 ◎マッケンジー・デイヴィス(Mackenzie Davis) “Always Shine”

 “Always Shine”(米) 監督:ソフィア・タカール(Sophia Takal)
 出演:マッケンジー・デイヴィス、ケイトリン・フィッツジェラルド(Caitlin FitzGerald)、ローレンス・マイケル・レヴィン(Lawrence Michael Levine)、アレクサンダー・コック(Alexander Koch)、ジェーン・アダムス(Jane Adams)
 物語:アンナとベスは、ともに女優をしていて、かつては仲がよかったが、何年もの競争と嫉妬の積み重ねによって、女優としての成功にもポジションにも差がついていた。2人は、久しぶりにロサンゼルスからビッグサーまで旅をし、人里離れた森の中の療養所にたどり着く。だが、関係が悪化したことで、会話も無理やりになり、裏切り(リアルなものと妄想によるもの)と嫉妬と根深い恨みを積もらせていることに気づく。やがて、感情を解き放ち、互いの関係性や自分自身について語り始める……。


 ◆脚本賞(Best Screenplay in a U.S. Narrative Feature Film)
 ◎Ingrid Jungermann “Women Who Kill”

 “Women Who Kill”(米) 監督:Ingrid Jungermann
 出演:Ingrid Jungermann、Ann Carr、シェイラ・ヴァンド(Sheila Vand)、Shannon O'Neill、Annette O'Toole、グレイス・レックス(Grace Rex)、デボラ・ラッシュ(Deborah Rush)
 物語:モーガンとジーンは、かつては恋人どうしで、今は別れているが、それでも一緒に犯罪をモチーフとしたポッドキャストのホストをして、多くの時間を一緒に過ごしている。モーガンは、スーパーでシモーヌと出会い、彼女に夢中になる。シモーヌには、どこか秘密があるように見え、それが元カノのジーンをフアンにさせる……。


 ◆撮影賞(Best Cinematography in a U.S. Narrative Feature Film)
 ◎Michael Ragen “Kicks”

 “Kicks”(米) 監督:Justin Tipping
 出演:Jahking Guillory、マハーシャラルハズバズ・アリ(Mahershala Ali)、コフィ・シリボー(Kofi Siriboe)、Christopher Jordan Wallace、クリストファー・メイヤー(Christopher Meyer)
 物語:15歳のブランドンは、最新のスニーカーが欲しかった。それがあれば、貧しさを隠せるし、異性に無視されたり、親友からもからかわれたりすることがなくなると考えたからだ。ブランドンは、目的のために懸命に働く。彼は、目標のスニーカーを決めるが、それを買う前に地元のチンピラ、フラコに盗まれてしまう。ブランドンは、親友2人とともに、フラコからスニーカーを取り戻そうとするが、フラコにも複雑な事情があることがわかる。
 初監督作品。


 [その他のエントリー作品] すべてワールド・プレミア
 ・“AWOL”(米) 監督:Deb Shoval
 ・“Dreamland”(米) 監督:Robert Schwartzman
 ・“Folk Hero & Funny Guy”(米) 監督:Jeff Grace
 ・“Live Cargo”(米・バハマ) 監督:Logan Sandler
 ・“The Ticket”(米) 監督:Ido Fluk

 【インターナショナル・ナラティヴ長編コンペティション部門】(INTERNATIONAL NARRATIVE FEATURE COMPETITION CATEGORIES) [改称]

 ※審査員:ハニ・アブ・アサド、ジャン・レノ、リディア・ディーン・ピルチャー(Lydia Dean Pilcher:プロデューサー)、サム・テイラー=ジョンソン(Sam Taylor-Johnson)、ダニー・グローヴァー

 ◆作品賞(Best International Narrative Feature)
 ◎“Junction 48”(米・独・イスラエル) 監督:Udi Aloni


 “Junction 48”(米・独・イスラエル) 監督:Udi Aloni [インターナショナル・プレミア]
 物語:Lodは、テルアヴィヴから数キロの距離にある貧しい町で、アラブ人とユダヤ人が隣り合わせで暮らしている。Kareemは、若きパレスチナ人ミュージシャンで、通常の事務所仕事をするほかは、ドラッグ・ディーラーの友人とつるんだりして、目的もなく日々を過ごしている。ある日、彼の両親が自動車事故に遭い、父が死に、母は車椅子生活を余儀なくされる。Kareemは、ヒップホップの世界に避難場所を求める。コンサートで、ガールフレンドのManarが書いた詞が、人種差別主義者のラッパーに攻撃され、また、近所の友人の家が、政府により、取り壊されると脅かされる。KareemとManarは、歌によって、イスラエル社会の圧迫や、家父長制によって支配された保守的社会に潜む暴力と、闘おうと決心する。
 ベルリン国際映画祭2016 パノラマ部門 観客賞第1席。


 ◆審査員スペシャル・メンション(Special Jury Mention, Best International Narrative Feature)
 ◎“El Clásico”(イラク・ノルウェー・UAE) 監督:Halkawt Mustafa

 “El Clásico”(イラク・ノルウェー・UAE) 監督:Halkawt Mustafa [北米プレミア]
 物語:アランは、ゴナを愛しているが、何年間もそれを秘密にしてきて、ついにゴナの父親に彼女と結婚したいと話す。しかし、ゴナの父は、アランは背が低いといって、断る。彼は、大のレアル・マドリード・ファンである兄Shirwanに話して、一緒にクリスティアーノ・ロナルドの元にクルド製のハンドメイドのサッカーシューズを届けようと説得する。アランは、それが達成できれば、ゴナの父も彼のことを認めてくれるのではないかと考えたのだ。
 ドバイ国際映画祭2015 Muhr長編部門出品。


 ◆男優賞(Best Actor in an International Narrative Feature Film)
 ◎Alan Sabbagh “The Tenth Man”

 “The Tenth Man(El rey del Once)”(アルゼンチン) 監督:ダニエル・ブルマン [北米プレミア]
 物語:アリエルは、数年ぶりにブエノスアイレスに帰ってきて、父との関係を修復しようとする。父Usherは、アリエルが青少年時代を過ごしたブエノスアイレスのユダヤ人地区Onceに父がチャリティー基金を創設していた。ところが、父は、アリエルを遠ざけて会おうともしない。アリエルは、父のチャリティーでボランティアをしているエヴァと出会う。エヴァもまた自分の父親と疎遠になっていて、口も聞かない関係になっていた。エヴァの内なる力と独立した精神は、アリエルを刺激し、彼は、過去を振り返って、ユダヤ人コミュニティーでの宗教的な習慣であり、かつて父と交わしたしきたりを思い出す。それは、彼自身のアイデンティティーを再考させることにもなった。
 ベルリン国際映画祭2016 パノラマ部門出品。


 ◆女優賞(Best Actress in an International Narrative Feature Film)
 ◎Radhika Apte “Madly”-‘Clean Shaven’

 “Madly”(米・英・インド・オーストラリア・アルゼンチン・日) 監督:アヌラーグ・カシヤプ、ミア・ワシコウスカ、セバスティアン・シルヴァ、園子温、ガエル・ガルシア・ベルナル、Natasha Khan
 愛をテーマにした1話約15分、全6話のオムニバス映画。
 ・“Clean Shaven”(インド) 監督:アヌラーグ・カシヤプ
 物語:若い主婦の物語。彼女の結婚は、インドの古いしきたりに縛られていて、彼女と夫は互いに裸を見せ合ったこともなかった。彼女は、近所のティーンエージャーに好きだと告白されて、大胆にも彼に自分の豊富な陰毛を見せてしまう。彼女は、大笑いされてショックを受けるが、彼が見せてくれたヌード写真を参考にして、陰毛をそり落とし、夫から激怒されてしまう。
 ・“Afterbirth”(オーストラリア) 監督:ミア・ワシコウスカ
 物語:主人公は、新生児を抱えるシングル・マザー。赤ん坊に対する愛情は十分あるが、まだ母親であることに慣れていない。
 ・“Dance Dance Dance”(米) 監督:セバスティアン・シルヴァ
 物語:10代のブレイクダンサーが、両親でゲイであることをカミングアウトして家から追い出される。彼は、ホームレスの避難所に避難するが、トラブルはまだ始まったばかりだった……。
 ・“Love of Love”(日) 監督:園子温
 物語:ミオ(冨手麻妙)は、ショータ(長谷川大)と婚約する。だが、彼らは、婚約したからといって、無難に落ち着こうという気はなかった。彼らは、姉のサヤカ(櫻井夕樹)とその夫(奥野瑛太)をセックス・クラブに連れて行って、2人をあきれさせる。
 ・“Love of My Life”(アルゼンチン) 監督:ガエル・ガルシア・ベルナル
 物語:主人公は、40代の男性と20代の女性。女性が妊娠したとわかって、2人の関係が試される。
 ・“I Do”(英) 監督:Natasha Khan(ナターシャ・カーン/バット・フォー・ラッシャーズ)
 物語:若い花嫁が結婚式へ行く途中で、発作を起こす。それから、彼女は、過去から謎めいた人物の訪問を受ける。


 ◆脚本賞(Best Screenplay in an International Narrative Feature Film)
 ◎Filippo Bologna、パオロ・コステッラ(Paolo Costella)、Paolo Genovese、Paola Mammini、ロランド・ラヴェッロ(Rolando Ravello) Perfect Strangers”

 “Perfetti Sconosciuti(Perfect Strangers)”(伊) 監督:Paolo Genovese [インターナショナル・プレミア]
 出演:ジュゼッペ・バティストン、マルコ・ジャリーニ、アンア・フォリエッタ、エドアルド・レオ(Edoardo Leo)、カシア・スムトゥニアク(Kasia Smutniak)、ヴァレリオ・マスタンドレア、アルバ・ロルヴァケル
 物語:長いつきあいの友人7人がディナーを囲む。彼らは、お互いに何の隠し事もないことを示すために、携帯電話をテーブルに置き、それぞれの中身をみんなで分かち合おうと言い出す。最初は、ほんの気晴らしのはずだったが、やがて気まずい雰囲気になり、実はみんな、友人やパートナーのことをほとんど知らないということを思い知らされる……。
 バーリ国際映画祭2016 トニーノ・グエッラ賞(主題賞)受賞。
 ダヴィッド・ディ・ドナテッロ賞2016 作品賞・脚本賞受賞。


 ◆撮影賞(Best Cinematography in an International Narrative Feature Film)
 ◎Kjell Vassdal “El Clásico”

 [その他のエントリー作品] 特記以外はワールド・プレミア
 ・“Icaros: A Vision”(米・ペルー) 監督:Leonor Caraballo、Matteo Norzi
 ・“Mother”(エストニア) 監督:Kadri Kousaar [インターナショナル・プレミア]
 ・“Parents”(デンマーク) 監督:Christian Tafdrup

 【ワールド・ドキュメンタリー・コンペティション部門】(WORLD DOCUMENTARY COMPETITION CATEGORIES)

 ※審査員:ローラ・ポイトラス、Douglas Tirola、Roger Ross Williams

 ◆長編ドキュメンタリー賞(Best Documentary Feature)
 ◎“Do Not Resist”(米) 監督:Craig Atkinson

 “Do Not Resist”(米) 監督:Craig Atkinson
 ファーガソンでの暴動からキャピトル・ヒルでのいざこざまで、重装備のSWATの活動を追ったり、ニューハンプシャー州の町議会で、アメリカ国土安全保障の補助金を使って装甲車を買うための投票に立ち会ったりして、アメリカの警察機構で進んでいる急速な軍事化の動きを明らかにする。2年以上かけて、11の州で撮影を行なった。
 “Detropia”の撮影監督でプロデューサーのCraig Atkinsonの初監督作品。本作では、撮影と編集も手がける。


 ◆撮影賞(Best Documentary Cinematography)
 ◎Jarred Alterman “Contemporary Color”

 “Contemporary Color”(米) 監督:Bill Ross、Turner Ross
 デイヴィッド・バーンは、2008年に自分の曲がカラーガードに使われたのをきっかけとして、カラーガードに興味を持った。そして、自ら3年がかりでカラーガードのプロジェクトを進め、2015年夏にブルックリンのバークレイズ・センターで「Contemporary Color」と題するショーでそのお披露目を行なった。(本作はそのプロジェクトを追ったドキュメンタリーである。)プロジェクトには、セイント・ヴィンセント(Saint Vincent)、ネリー・ファータド(Nelly Furtado)、Ad-Rock、Ira Glassといったパフォーマーが参加し、アメリカとカナダから集められた10のカラーガード・チームとコラボレーションしている。


 [その他のエントリー作品] すべてワールド・プレミア
 ・“All This Panic”(米) 監督:Jenny Gage
 ・“Betting On Zero”(米) 監督:Ted Braun
 ・“Bugs”(デンマーク) 監督:アンドレアス・ジョンセン(Andreas Johnsen)
 ・“The Happy Film”(米) 監督:ステファン・サグマイスター(Stefan Sagmeister)、Ben Nabors、デイヴィッド・ヒルマン・カーティス(Hillman Curtis)
 ・“Keep Quiet”(英・ハンガリー) 監督:Sam Blair、Joseph Martin
 ・“Lovetrue”(米) 監督:Alma Har'el
 ・“Memories of A Penitent Heart”(米・プエルトリコ) 監督:Cecilia Aldarondo
 ・“The Return”(米) 監督:Kelly Duane de la Vega、Katie Galloway
 ・“Tickling Giants”(米) 監督:Sara Taksler
 ・“Untouchable”(米) 監督:デイヴィッド・フェイグ(David Feige)

 【ニュー・ナラティヴ・ディレクター・コンペティション部門】(BEST NEW NARRATIVE DIRECTOR COMPETITION)

 ※審査員:ヒル・ハーパー、Col Needham、ライ・ルッソ=ヤング(Ry Russo-Young)

 ◆監督賞(Best New Narrative Director)
 ◎Priscilla Anany “Children of the Mountain”

 “Children of the Mountain”(米・ガーナ) 監督:Priscilla Anany
 物語:口唇裂で、脳性麻痺で、ダウン症の赤ん坊を生んだせいで、Essumanの、母として妻としての未来はズタズタに引き裂かれてしまう。ガーナの言い伝えや迷信では、奇形児は悪魔の仕業とされ、彼女は、汚れた子宮を持っている者と見なされて、家から追い出され、コミュニティーからは白い目で見られた。Essumanは、赤ん坊の病気を治そうとして、無駄な病院通いをし、怪しげな宗教家や祈祷師にも会った。この悲惨な時代に、彼女は、赤ん坊への究極の献身と、自己防衛との間で揺れた。そして彼女はガーナの田舎の山に向かう。そこは子どもたちの魂が待つと言われる場所で、そこでなら未来への希望が得られるかもしれなかった。
 初監督作品。


 【ニュー・ドキュメンタリー・ディレクター・コンペティション部門】(BEST NEW DOCUMENTARY DIRECTOR COMPETITION)

 ※審査員:ジェイソン・ビッグス、Karen Cooper、セバスティアン・シルヴァ

 ◆監督賞(Albert Maysles New Documentary Director Award)
 ◎デイヴィッド・フェイグ(David Feige) “Untouchable”

 “Untouchable”(米) 監督:デイヴィッド・フェイグ(David Feige)
 あるパワフルなフロリダのロビイストが、自分の娘が乳母に性的な虐待を受けているのを発見した結果、彼は、自分の考えうる政治資金のすべてを投入し、厳しい性的加害者法を通過させる。今日、性的加害者のリストには80万人もの名前が登録されていて、それでも虐待のサイクルには終止符が打たれることなく、続いている。
 弁護士出身のデイヴィッド・フェイグが、複雑でタブーとされる問題に挑んだ1作。子ども時代に性的トラウマを体験した犠牲者や、虐待や性的加害者の根絶のために努力している組織の指導者たち、厳格な法は善よりもむしろ害をもたらすと主張する学者たちにインタビューを行なっている。その結果、システムの大きな欠陥により、犠牲者と加害者は避けがたく結びつけられてしまっているという公的健康の危機に関する実態が示される。


 【短編コンペティション部門】(SHORT FILM COMPETITION CATEGORIES)

 ※審査員:マイク・バービグリア、クリエ・グレース・モレッツ、シーラ・ネヴィンス(TVプロデューサー)

 ◆最優秀ナラティヴ・ショート(Best Narrative Short)
 ◎“Hold On (Houvast)”(オランダ) 監督:Charlotte Scott-Wilson

 “Hold On (Houvast)”(オランダ) 監督:Charlotte Scott-Wilson
 物語:若いチェリストがいて、彼女がオーケストラでの自分のポジションをキープするためには、恐怖心に打ち勝たなければならない。


 ◆審査員スペシャル・メンション(Special Jury Mention, Best Narrative Short)
 ◎“The Chauffeur”(米) 監督:Brian Burton

 “The Chauffeur”(米) 監督:Brian Burton
 物語:ドナルドはアーティストであり、ミュージシャンである。しかし、彼は、ロサンゼルスに住み、運転手をしている。


 【短編ドキュメンタリー部門、学生ヴィジョナリー賞部門】(The 2016 Best Documentary Short and Student Visionary Award)

 ※審査員:Maria Cuomo Cole、Mark Conseulos、ジェシカ・ユー、パーカー・ポージー、アラン・ヤン(Alan Yang)

 ◆最優秀ドキュメンタリー・ショート(Best Documentary Short)
 ◎“Extremis”(米) 監督:Dan Krauss

 “Extremis”(米) 監督:Dan Krauss
 公立病院で、人生の終わりを決定する倫理的決断の瞬間に立ち会う。


 ◆審査員スペシャル・メンション(Special Jury Mention, Best Documentary Short)
 ◎“Northbound”(ノルウェー) 監督:Jørn Nyseth Ranum

 “Northbound(Mot Nord)”(ノルウェー) 監督:Jørn Nyseth Ranum
 冬の北極圏。4人のスケートボーダーが、ノルウェー北部の凍った砂浜でスケートボードに挑戦する。
 グリムスター短編映画祭2015出品。


 ◆学生ヴィジョナリー賞(Student Visionary Award)
 ◎“Ping Pong Coach (乒乓)”(台湾・米) 監督:Yi Liu

 “Ping Pong Coach (乒乓)”(台湾・米) 監督:Yi Liu
 物語:15歳のTsi-Anが卓球のコーチに恋をするが、コーチは父の友人である。それでも彼女は、彼に近づくために個人レッスンを頼む。


 【STORYSCAPES AWARD部門】

 ストーリーテリングと技術に優れた作品に贈られる。新設。

 ◆Storyscapes Award
 ◎“Notes on Blindness: Into Darkness” クリエイター:Arnaud Colinart、Amaury La Burthe、Peter Middleton、James Spinney

 【ノラ・エフロン賞】(THE NORA EPHRON PRIZE)

 女性作家の作品を対象とした賞。

 ※審査員:レイチェル・リー・クック、ジュディー・グリア、メアリー・スチュアート・マスターソン

 ◆ノラ・エフロン賞(The Nora Ephron Prize)
 ◎Rachel Tunnard(監督・脚本・編集) “Adult Life Skills”(英)

 “Adult Life Skills”(英) 監督:Rachel Tunnard [ワールド・プレミア]
 出演:ジョディ・ウィッテカー(Jodie Whittaker)、ロレイン・アシュボーン(Lorraine Ashbourne)、ブレット・ゴールドスタイン(Brett Goldstein)、Rachael Deering、アイリーン・デイヴィス(Eileen Davies)、アリス・ロウ(Alice Lowe)、エドワード・ホッグ(Edward Hogg)、Ozzy Myers
 物語:アナは、30歳手前で故郷の田舎町に帰ってくる。彼女は、地元のボート・センターでつまらない仕事をして時間をつぶしているほかは、イマジネーションの世界に隠れて、指人形を使った映画を撮っている。そんな娘を見かねた母親は、彼女を外の世界に連れ出そうとする。その後、アナはトラブルに遭った少年と出会い、意外な友情を芽生えさせる……。
 2014年の短編『エモーショナル・ヒューズボックス』“Emotional Fusebox”の長編版。本作が初監督長編。


 【TRIBECA X AWARD】

 広告とエンタテインメントのジャンルでの脚本のコンペティション。100以上の応募があり、8作品がファイナリストに選ばれた。新設。

 ※審査員:ローリー・アンダーソン、Scott Carlson、Judy McGrath、リーヴ・シュレイバー、Hank Willis Thomas

 ◆Tribeca X Award
 ◎“Hearing Colors” クリエイター:Greg Brunkalla for Samsung

 【観客賞】

 ◆ナラティヴ部門
 ◎“Here Alone”(米) 監督:Rod Blackhurst

 “Here Alone”(米) 監督:Rod Blackhurst
 出演:ルーシー・ウォルターズ(Lucy Walters)、Gina Piersanti、アダム・デイヴィッド・トンプソン(Adam David Thompson)、シェーン・ウェスト(Shane West)
 物語:恐ろしいウィルスが人間社会を混乱に陥れる。20代後半のアンは、過去の記憶に怯え、血の渇きに飢えた感染者たちから逃れて、独り森の中に隠れていた。ラジオを持っていたが、聞こえてくるのはフランス語で放送している放送が1つあるだけだ。食糧の備蓄が乏しくなり、彼女は近くの町へ出かけ、10代の少女オリヴィアとケガをしている継父クリスと出会う。彼らは、感染が落ち着いているらしい北部へと向かうのだという。アンは最初は、警戒していたが、クリスの愛想のよさに触れて、心を開いていき、彼と親しくなる。その一方、オリヴィアとの関係は気まずくなる。森に感染者の脅威が迫る。アンは、自らの過去と向き合い、自分たちの運命を変えてしまうかもしれない決断を下さなければならなくなる。


 ◆ナラティヴ部門次点
 ◎“Children of the Mountain”(米・ガーナ) 監督:Priscilla Anany

 ◆ドキュメンタリー部門
 ◎“The Return”(米) 監督:Kelly Duane de la Vega、Katie Galloway

 “The Return”(米) 監督:Kelly Duane de la Vega、Katie Galloway
 アメリカでは、重罪の前科が2回以上ある場合、3度目の有罪判決を受けると、それがどんな罪であっても終身刑にされるという、いわゆる「三振法」が90年代に成立した。この法は、悪名高い法律として知られ、2012年のカリフォルニア州では議案36が可決され、「三振法」は廃止された。しかし、一度終身刑を言い渡された者が、どのように社会復帰すればいいのか? 本作では、2つのケースを例に採り、刑務所から出所した元終身刑囚が、人間関係を修復し、再雇用を受け、刑務所内で受けた精神的ダメージを克服していく様子をドキュメントする。
 2011-2012年に“Better This World”でWGAを含む数々の賞に輝いた監督コンビの最新作。


 ◆ドキュメンタリー部門次点
 ◎“Midsummer in Newtown”(米) 監督:Lloyd Kramer

 “Midsummer in Newtown”(米) 監督:Lloyd Kramer
 2012年サンディフック小学校銃乱射事件は、地域に大きな衝撃を与えた。事件から数年が過ぎ、事件によって、ダメージを受けた地元のコミュニティーを癒すために『真夏の夜の夢』のロック・ポップ・バージョンの上演が企画される。オーディションから、読み合わせ、衣裳をつけてのリハーサル。その中で、子どもたちが自分の声を見出し、自信をつけ、輝かしい初日を迎える様子がドキュメントされる。それと並行して、家族を失った者が、悲しみを克服していく様子もとらえられていく。


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 *当ブログ記事

 ・トライベッカ映画祭2015 受賞結果:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201505/article_5.html

 ・トライベッカ映画祭2014 受賞結果:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201404/article_31.html

 ・トライベッカ映画祭2013 受賞結果:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201305/article_25.html

 ・トライベッカ映画祭2010 受賞結果:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201005/article_2.html

 ・映画賞&映画祭カレンダー 2016年1月~5月:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201601/article_49.html

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