米国アカデミー賞2016 短編映画賞ショートリスト 10作品発表!

 第88回米国アカデミー賞 短編映画賞のショートリストが発表されました。(11月19日)

 ・“Stutterer”(英) 監督:Benjamin Cleary
 物語:グリーンウッドは、タイポグラファーの仕事をしている。オンラインでコミュニケーションを取るには問題ないし、頭の中では表情豊かに話しているつもりだが、実際に人前で話すとなると、どもってしまってうまくいかない。
 ゴールウェイ映画祭2015出品。
 L.A.短編映画祭2015 最優秀外国映画賞受賞。
 ワシントンDC短編映画祭2015 観客賞受賞。
 オフライン映画祭2015 審査員スペシャル・メンション、観客賞受賞。
 サバンナ映画祭2015審査員特別賞受賞。
 ケリー映画祭2015 最優秀インターナショナル作品賞、観客賞受賞。
 Fesancorチリ国際映画祭2015 最優秀フィクション賞次点、男優賞(Matthew Needham)受賞。
 Aesthetica短編映画祭2015 最優秀ドラマ賞受賞。

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 ・“Shok”(英・コソボ) 監督:Jamie Donoughue
 物語:コソボ紛争が始まり、2人の少年の友情が試される。Petritは、自称ビジネスマンで、街を占領した軍隊と協力関係を持とうとする。一方、Okiは、慎重で、次第に、Petritとの関係に亀裂が入る。ある日、Okiは、Petritに「君はビジネスマンなんじゃない。臆病なだけで、嘘つきで裏切りものだ」とぶちまけてしまう。2人の友情はいったん修復に向かうが、そんな時、戦争の歯車がまわり、2人に偏見が襲いかかる。実話に基づく物語。
 アスペン短編映画祭2015 最優秀ドラマ賞、ユース審査員賞、観客賞特別賞(Special Recognition)受賞。
 ホーリーショーツ映画祭2015 Best Panavision Future Filmmaker Award受賞。
 ワシントンDC短編映画祭2015 最優秀短編賞(Outstanding Live Action Short)、観客賞受賞。
 マンハッタン短編映画祭 2015 Silver Medal受賞。
 サンホセ国際短編映画祭2015 最優秀ドラマ賞受賞。
 ベルリン・インターフィルム・フェスティバル2015 オンライン賞第1席受賞。

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 ・“Bad Hunter”(ベルギー・UAE・イラク) 監督:Sahim Omar Kalifa
 物語: Bahozは、19歳で、クルディスタンの田舎で猟師をしている。まわりは美しい自然で囲まれていて、たくさんの猟師が狩りにやってくる。彼も、毎日、山に狩りに行くが、収獲は少ない。彼は、狩りが得意でない猟師なのだ。ある日、彼は、年上の男にレイプされている娘をみつける。彼は、男を追い払い、娘を助けて、家族のもとに帰れるように服を繕ってあげる。その夜、彼は、思いがけない訪問を受ける。
 “Land of Heroes”がベルリン国際映画祭2011 国際審査員賞特別賞を受賞し、『小さなメッシ』が米国アカデミー賞2015短編映画賞ショートリストに選ばれているSahim Omar Kalifaの作品。
 ブリュッセル映画祭2014 短編ナショナル・コンペティション部門出品。スペシャル・メンション受賞。
 モントリオール世界映画祭2014 ワールド・コンペティション 短編部門出品。審査員賞受賞。
 ドバイ国際映画祭2014 Muhr審査員特別賞受賞。
 *公式サイト:http://www.gonella-productions.com/badhunter

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 ・“Everything Will Be Okay(Alles wird gut)”(独・オーストリア) 監督:Patrick Vollrath(Filmakademie Wien)
 物語:両親が離婚し、8歳の娘レアは、毎月第2週末に父に引き取られることになる。しかし、しばらくして彼女はそれが何か正しくないと感じるようになる。それから運命の旅が始まる。
 マックス・オフュルス・フェスティバル2015 中編コンペティション部門出品。最優秀中編賞受賞。
 カンヌ国際映画祭2015 批評家週間出品。Rail D’ Or受賞。
 Fest New Directors | New Films Festival 2015(ポルトガル) オフィシャル・セレクション。最優秀短編フィクション賞受賞。
 マンチェスター国際映画祭2015 インターナショナル・コンペティション部門出品。最優秀短編賞、最優秀女優賞受賞。
 イェレヴァン国際映画祭2015(アルメニア) インターナショナル短編コンペティション部門出品。最優秀短編賞受賞。
 メルボルン国際映画祭2015 オフィシャル・セレクション。最優秀短編賞メルボルン市賞受賞。
 ミラノ映画祭2015 インターナショナル・コンペティション部門出品。短編コンペティション部門観客賞受賞。
 First Steps Awards 2015(ベルリン)出品。最優秀中編賞受賞。
 学生アカデミー賞2015 外国映画部門 ブロンズ賞受賞。
 *公式サイト:http://www.patrickvollrath.com/

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 ・“Bis Gleich (Till Then)”(独・米) 監督:Benjamin Wolff
 物語:マルタとアルベルトは、ともに70代後半で、ベルリンのミッテ地区のにぎやかな通りを挟んで暮らしている。毎朝、2人は9時になると窓を開けて、外の世界を眺めやる。何か約束を交わしたわけでもないが、それが2人の日課だった。ある朝、いつものようにマルタが窓から顔を出す。ところがいつまで経っても、アルベルトは顔を見せない。マルタは、思い切って、通りを渡り、アルベルトの家をノックする。
 ロックポート映画祭2014 最優秀短編フィクション賞受賞。
 クリーヴランド国際映画祭2015 最優秀短編実写映画賞、観客賞受賞。
 アリゾナ国際映画祭2015 審査員賞受賞。
 CineRockom国際映画祭2015 編集賞受賞。

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 ・“Ave Maria(السلام عليك يا مريم /Assalammu 'aleiki ya Maryam)”(パレスチナ・仏・独) 監督:Basil Khalil
 物語:ヨルダン川西岸の荒地に、慈善修道女会の修道院がある。修道女たちが、日々の日課として、沈黙と祈りのお勤めをしていると、敬虔なイスラエル人開拓者の家族がやってきて、車を修道院の壁にぶつけてしまう。安息日が迫ってきていて、彼らは急いで家に帰らなければならない。しかし、安息日の決まりがあって、助けを求めるのに電話を使うことができない。一方、修道女たちは、沈黙のお勤めの真っ最中だ。彼らは、協力しあって、思い切った方法を実行に移す。
 カンヌ国際映画祭2015 短編コンペティション部門出品。
 パームスプリングス国際短編映画祭2015 Cinema Without Borders Award受賞。15分未満の実写作品部門審査員賞第3席。
 グルノーブル短編映画祭2015 脚本賞受賞。
 釜山国際映画祭2015 短編映画ショーケース部門出品。

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 ・『自由人』“自由人(The Free Man)”(台湾) 監督:柯汶利(Quah Boon-Lip)(Taipei National University of the Arts)
 物語: 阿傑は、元サギ師で、生活を一新するために、クリーニング屋で働き始めた。そこは、家族経営のクリーニング屋で、主人と主人の姪が働いている。姪は、足が不自由で、親が死んだ後、だまされるようにして、ここで働くようになったのだ。阿傑は、彼女とのささやかな自由を楽しむようになる。ある夜、阿傑は、物音で目を覚まし、罪深い秘密を知ってしまう。
 台北電影奨2014 短編映画賞ノミネート。
 台湾・金鐘奨2014 ミニシリーズ・TV映画部門 最優秀作品賞・監督賞・脚本賞受賞。
 台湾・金馬奨2014 短編映画賞ノミネート。
 ユージーン国際映画祭2014 最優秀外国短編映画賞受賞。
 ショートショートフィルムフェスティバル&アジア2015出品。

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 ・“Contrapelo”(米・メキシコ・英・台湾) 監督:Gareth Dunnet-Alcocer
 物語:メキシコの麻薬カルテルのボスが床屋にヒゲを剃りにくる。床屋は、この男がメキシコを滅亡に導いている男かと思い、こいつをここで殺してしまおうか、さもなくばこいつはこれからもたくさんの人を死なせてしまうだろうと考える。ヒゲを剃り終えた後、床屋はマフィアのボスと自分が似ていることに気づく……。
 タイトルの“Contrapelo”は、スペイン語で、「bad way」(よくない方法)の意。
 トライベッカ映画祭2014 短編ナラティヴ・コンペティション部門出品。
 サンディエゴ・ラテン映画祭2015 最優秀ナラティヴ・ショート受賞。
 フェニックス映画祭2015 最優秀短編実写映画賞(Copper Wing Award)受賞。
 パームスプリングス国際短編映画祭2015 観客賞第2席。
 Shnit国際短編映画祭2015 コンペティション部門出品。shnit CINEMAS Award(観客賞)受賞。

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 ・“Day One”(米) 監督:Henry Hughes(AFI)
 物語:実話に基づく物語。30歳のアフガン系アメリカ人の女性Fedaは、離婚したばかり。彼女が暮らしているような保守的なコミュニティーでは、子供もなしに離婚した女性は白い目で見られる。それに耐えられなくなったFedaは、自分がバイリンガルの移民であることを利用して、故郷アフガニスタンの地で、通訳として米軍で働くことに決める。彼女のユニットの最初の仕事は、辺鄙なところにある爆弾作りの家を探すことだった。爆弾作りの妻は妊娠していて、Fedaは、彼女が仕事にでかける際、赤ん坊を運ぶのを手伝わなくてはならなくなる。
 オックスフォード映画祭2015出品。最優秀短編賞受賞。
 ダブリン国際映画祭2015出品。
 ミネアポリス・セントポール国際映画祭2015出品。最優秀ナラティヴ・ショート受賞。
 ナッシュヴィル映画祭2015出品。
 シアトル国際映画祭2015出品。
 インディペンデント・フィルムメーカー・ショーケース映画祭2015出品。
 ストーニー・ブルック映画祭2015出品。審査員賞最優秀短編賞受賞。
 ロサンゼルス短編映画祭2015出品。
 学生アカデミー賞2015 ナラティヴ部門 金賞受賞。
 公式サイト:http://www.dayonefilm.com/

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 ・“Winter Light”(米) 監督:ジュリアン・ヒギンズ(Julian Higgins)
 出演:レイモンド・J・ベリー、ヴィンセント・カーシーザー、オリアンカ・キルヒャー、ジョシュ・ペンス、マイケル・ボフシェーバー
 物語:冬のモンタナ。年輩の大学教授ロジャーは、自分の地所に2人のハンターが入り込んでいることに気づく。彼は、狩りをやめさせようとするが、それは、暴力と報復を生む。
 ジェームズ・リー・バーグの同名の短編小説の映画化。原作の持ち味を生かすべく、原作と同じロケーションで撮影された。
 『Dr.HOUSE ―ドクター・ハウス―』の演出も手がけたことがあるジュリアン・ヒギンズの最新短編。
 The Film Series at Cine Gear Expo - A Tribute to the Visual Art of Filmmaking2015 最優秀インディペンデント短編映画賞受賞。
 L.A.短編映画祭2015 ベスト・オブ・フェスト受賞。
 ラスベガス国際映画祭2015 撮影賞受賞。
 ブレッケンリッジ映画祭2015 撮影賞受賞。
 レインダンス映画祭2015 最優秀短編映画賞受賞。
 ニューハンプシャー映画祭2015 ニューハンプシャー・フィルム・オブ・ザ・イヤー受賞。

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 今回のショートリストは―

 ・ベルリンやカンヌ、サンダンス、トライベッカなどで、最優秀短編映画賞に輝いたような作品、あるいは、各国映画賞で最優秀短編映画賞に輝いたような作品は選ばれておらず、それらの映画祭ではノミネートには選ばれてもそこでは受賞せず、いろんな映画祭で1つずつ受賞を重ねてきたような作品が選ばれています。

 ・短編アニメーション賞ショートリストでもそうでしたが、ここでも学生アカデミー賞受賞作品が選ばれています。学生アカデミー賞が本家アカデミー賞へ道を開いていることのアピールとして、積極的にピックアップしているのだとしたら、ここで選ばれている2本のうち1本はノミネーションに選ばれるかもしれません。

 ・過去に米国アカデミー賞にからんだことのある監督はいませんが、“Bad Hunter”の監督Sahim Omar Kalifaは、前回もショートリストまで作品を送り込んでいます。

 この部門は、他の部門のように、ノミネーションや受賞結果に、これといった傾向性は見受けられませんが、それでもあえて傾向性を探すなら、以下のようなものが考えられます。

 ・ノミネーションには、ヨーロッパ偏重の傾向あり。といってもショートリストの時点で、ヨーロッパ作品ばかりですが。

 ・アジア作品は選ばれにくい。ノミネーションでも2年に1本あるかどうか。

 ・ノミネーションでは、大体1カ国1作品。

 ・受賞作は、どちらかと言えば英語作品が選ばれやすい。

 ・見知らぬ2人(バックグラウンドの違う2人)が出会って、心を通い合わせるといったタイプの作品が好まれる。

 ・ショートショート的な作品や実験的な作品より、ちょっとした感動が味わえる作品が好まれる。

 ・たくさんの観客賞を受賞してきたような作品が好まれる。

 ・それなりのキャリアがある監督の作品が選ばれたりする一方で、学生作品が選ばれることもある。

 ・隔年で英米作品が受賞する。本年度は、非英米作品が選ばれる年に当たる。

 この部門は、映画賞(米国アカデミー賞)の中でも、ほぼ唯一プロを目指す人のいない部門で、このジャンルで腕を認められたら、みんな長編映画かテレビの世界に移っていくので、このジャンルのベテランや巨匠というのもおらず、新作が期待される監督というのも存在しません。そういう意味で、他の部門とはちょっと違いがありますね。(アニメーションは、一生、短編しか作らない人もいますし、短編アニメーションと長編アニメーションは作り方がまるで違います。ドキュメンタリーは、作品によって、長さが決まってくるようなところがあります。)

 ノミネーション予想は、この時点でもうノミネーションに入る確率は50%で、選者のほんのちょっとした気分で作品は入れ替わったりもしそうですが、それでもあえて選んでみるなら、
 ・“Stutterer”
 ・“Shok”
 ・“Bis Gleich (Till Then)”
 ・“Ave Maria”
 ・“Contrapelo”
 あたりでしょうか。これらがノミネーションに選ばれるんじゃないかという予想ではなくて、受賞作として有望ではないかという程度のチョイスで、ノミネーションにはバランスを考えて、あえて違うタイプの作品が入れられたりすることも考えられます。
 現時点で、1本だけ選ぶなら、アメリカ国内での受賞歴が多いことと、観客賞の受賞歴が多いところから、“Shok”、でしょうか。

 ノミネーションの発表は、2016年1月14日です。

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 *当ブログ記事

 ・米国アカデミー賞2015 短編映画賞 ショートリスト:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201411/article_23.html
 ・米国アカデミー賞2014 短編映画賞 ショートリスト:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201311/article_36.html
 ・米国アカデミー賞2013 短編映画賞 ショートリスト:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201211/article_29.html
 ・米国アカデミー賞2012 短編映画賞 ショートリスト:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201112/article_39.html
 ・米国アカデミー賞2011 短編映画賞 ショートリスト:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201012/article_17.html
 ・米国アカデミー賞2010 短編映画賞 ショートリスト:http://umikarahajimaru.at.webry.info/200912/article_8.html

 ・学生アカデミー賞2015 受賞結果: http://umikarahajimaru.at.webry.info/201510/article_16.html

 ・米国アカデミー賞2016 外国語映画賞 各国代表作品 リスト その1:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201511/article_20.html
 ・米国アカデミー賞2016 外国語映画賞 各国代表作品 リスト その2:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201511/article_21.html
 ・米国アカデミー賞2016 外国語映画賞 各国代表作品 リスト その3:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201511/article_24.html
 ・完全ガイト!米国アカデミー賞2016 外国語映画賞 各国代表作品:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201511/article_25.html

 ・米国アカデミー賞2016 長編ドキュメンタリー賞エントリー作品124作品 リスト:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201511/article_11.html
 ・米国アカデミー賞2016 長編ドキュメンタリー賞エントリー作品124作品に関するちょっとした考察:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201511/article_12.html
 ・米国アカデミー賞2016 短編アニメーション賞ショートリスト:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201511/article_26.html
 ・米国アカデミー賞2016 短編アニメーション賞 ロングリスト:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201511/article_10.html

 ・米国アカデミー賞2016 長編アニメーション賞 エントリー作品:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201511/article_7.html

 ・米国アカデミー賞2016 短編ドキュメンタリー賞ショートリスト:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201510/article_28.html

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