トロント国際映画祭2014 ラインナップ その10 DISCOVERY部門

 【DISCOVERY部門】

 ・“’71”(英) 監督:Yann Demange [カナダ・プレミア]
 出演:ジャック・オコンネル(Jack O’Connell)、ショーン・ハリス(Sean Harris)、リチャード・ドーマー(Richard Dormer)
 物語:1971年、紛争が激化している北アイルランドのベルファストに、イギリス軍の新兵ゲイリーが着任する。町は、王党派プロテスタントと敵対するカトリックによって分断され、さらに、過激なギャングや秘密のエージェントが、それぞれの側で、主導権を握ろうと暗躍していた。ゲイリーは、パトロールの最中に、争いに巻き込まれ、その間に、泥棒に武器を盗まれてしまう。彼は、群集の中に逃げ込んだ泥棒を追うが、自分が敵のテリトリーにたった独りで入り込んでしまっていることに気づく……。
 ベルリン国際映画祭2014 コンペティション部門出品。エキュメニカル審査員賞 スペシャル・メンション受賞。
 カルロヴィ・ヴァリ国際映画祭2014 ホライズンズ部門出品。


 ・“Second Coming”(英) 監督:Debbie Tucker Green [ワールド・プレミア]
 出演:Nadine Marshall、イドリス・エルバ、Kai Francis-Lewis、Sharlene Whyte
 物語:ジャッキーが第二子を妊娠する。ところが、彼女は、しばらく夫のマークとは寝ておらず、これが夫の子ではないことがわかっている。2人は、幸せな結婚をしたが、仕事が忙しく、ゆっくりと夕食を取る時間もない。彼女は、夫や息子に真実を話してしまうのが怖い。しかし、いつまでも黙っているわけにはいかない……。
 初監督長編。


 ・“X +Y”(英) 監督:Morgan Matthews [ワールド・プレミア]
 出演:エイサ・バターフィールド(Asa Butterfield)、レイフ・スポール(Rafe Spall)、サリー・ホーキンス、エディー・マーサン、Jo Yang
 物語:ネイサンは、人とつきあうことが苦手で、父親は既になく、大好きな母親ジュリーにすら自分の気持ちをうまく表現できずにいて、医者からは自閉症と診断される。ところが、彼は、数字に安らぎを覚え、特に素数が大好きだった。そんな彼の才能に、教師のハンフリーズが気づき、彼を数学オリンピックのイギリス・チームに入れる。チームは、リーダーのリチャードに導かれて、台北にトレーニング・キャンプをし、ネイサンは、そこで初恋を経験する。


 ・“Magical Girl”(西) 監督:Carlos Vermut [ワールド・プレミア]
 出演:ホセ・サクリスタン(José Sacristán)、バルバラ・レニー(Bárbara Lennie)、Luis Bermejo、Lucía Pollán
 物語:ルイスの娘が、末期の病気にかかっている。彼女の最期の望みは、日本のアニメーション「魔法少女ユキコ」の高価なコスプレを手に入れること。ルイスは、失業中で、将来の展望もなく、悲しみのあまり自暴自棄になって、精神に障害を抱えるバルバラにブラックメールを送るという行動に出る。彼女は、しぶしぶ彼に応じるが、そこから危険と下落へのスパイラルに入り込んでしまう。バルバラは、ルイスに復讐しようとして、彼女の苦しみを知る唯一の人間、引退した数学教師のダミアンに助けを求める。だが、ダミアンもまた、暗い秘密を抱えていた……。


 ・“The Great Man (Le Grand Homme)”(仏) 監督:Sarah Leonor [ワールド・プレミア]
 出演:ジェレミー・レニエ、Surho Sugaipov、Ramzan Idiev
 物語:フランスの外国人部隊に所属しているアミルトンは、アフガニスタンで負傷し、パリで静養していた。彼は、パリで、アフガニスタンで彼の命を救ってくれたマルコフと再会する。マルコフは、すぐに除隊してしまっていたため、アミルトンは、これまで彼に礼を言うこともできなかったのだ。アミルトンが、今でもまだ軍隊に残りたいと考えていたのに対し、マルコフは、今は市民生活に戻っていた。ところが、マルコフは、チェチェン人の友人がフランスで働けるようにと、自分のIDを貸してしまっていたために、正式な書類もなく、偽名を使って生活していた。ある日、マルコフが姿を消し、後には、マルコフの息子Khadjiが残された……。


 ・“May Allah Bless France! (Qu’Allah bénisse la France!)”(仏) 監督:アブダル・マリック(Abd Al Malik) [ワールド・プレミア]
 出演:マルク・ジンガ(Marc Zinga)、サブリナ・ウアザニ(Sabrina Ouazani)、Larouci Didi
 物語:1980年代末。マリクは、本名はレジス・フェイエット=マリカノで、ストラスブールの低所得者地区で、シングルマザーと6人の兄弟とともに暮らしている。彼は、3重生活を送っている。昼は、名門の高校に通い、夜は、スリをし、ドラッグを売る。そして、週末は、ニュー・アフリカン・ポエッツと名乗るMC仲間とつるみ、地元のヒップ・ポップ・クラブに入り浸っている。仲間の何人かが、暴力沙汰で命を失った後、彼は、イスラムの教えに導かれる。これがきっかけとなって、彼の人生は変わり、マリクは、偉大なミュージシャンとなり、政治について書いて、賞を受賞したりするようになる。
 フランス人ラッパーで作家でもあるアブダル・マリックが、2004年に発表した自伝を基に映画化した作品。初監督作品。


 ・“Atlantic”(オランダ・ベルギー・独・モロッコ) 監督:Jan-Willem van Ewijk [ワールド・プレミア]
 出演:Fettah Lamara、テクラ・リューテン(Thekla Reuten)、モハメド・マジュド(Mohamed Majd)
 物語:モロッコの海岸沿いにある小さな村。Fettahは、長年、ヨーロッパやアメリカから観光客がやってきて、バカンスを楽しむのを見ていた。ある夏、彼は、繰り返しこの村にやってきている美しい女性と知り合いになる。彼女が去った時、彼は、ウィンドサーフィンのボードで、モロッコからヨーロッパへ、3000キロの旅に出ることに決める。
 第2監督作品。


 ・“The Intruder (Infiltrant)”(オランダ) 監督:Shariff Korver [ワールド・プレミア]
 出演:ナスルディン・チャー(Nasrdin Dchar)、Walid Benmbarek、Rachid el Ghazaoui
 物語:サムは、母はオランダ人で、父はモロッコ人だ。彼は、アムステルダムの警察の刑事sw、自分の仕事に忠実だが、地元の人々がモロッコ人に示す人種差別的な態度に複雑な思いを抱いてもいる。ある時、彼は、モロッコ人のドラッグ・ファミリーに潜入捜査を命じられる。最初は、初めての経験に刺激を受けたサムだったが、組織に深く入り込むうち、この組織こそ本当の家族であるように感じ、組織の仲間は高潔であり、警察こそ腐敗しているという考え方を受け入れつつあることに気づく。
 初監督長編。


 ・“Senza nessuna pietà”(伊) 監督:ミケーレ・アルハイク(Michele Alhaique) [インターナショナル・プレミア]
 出演:ピエルフランチェスコ・ファヴィーノ、グレタ・スカラーノ(Greta Scarano)、クラウディオ・ジョエ(Claudio Gioè)、アドリアーノ・ジャンニーニ(Adriano Giannini)、ニネット・ダボリ(Ninetto Davoli)
 物語:ミンモは、みんなから尊敬される模範的な労働者である。彼は、叔父の手で息子同然に育てられ、今は、その叔父の作った借金を懸命に返している。ところが、ある日、エスコート嬢のタニアと出会い、自分の人生を取り戻したいと考えるようになる。
 俳優ミケーレ・アルハイクの初監督長編。
 ベネチア国際映画祭2014 Orizzonti部門出品。Francesco Pasinetti Award スペシャル・メンション受賞(ピエロフランチェスコ・ファヴィーノ)。


 ・“Life in a Fishbowl (Vonarstræti)”(アイスランド・フィンランド・スウェーデン・チェコ) 監督:Baldvin Zophoníasson [インターナショナル・プレミア]
 出演:ヘラ・ヒルマー(Hera Hilmar)、Thorsteinn Bachmann、ソー・クリスチャンソン(Thor Kristjansson)
 物語:全く異なる生き方をしてきた3人の人生が絡み合う。モリは、かつては作家として有名だったが、今はアルコールに溺れている。エリクは、シングルマザーで、生きるために売春をしている。Sölviは、かつてはサッカーのスター選手だったが、国際的な金融の世界に入り、「望む以上のものを残せ」という哲学を持つ独裁的なボスの下で働いていて、家族との時間が持てなくなっている。


 ・“Villa Touma”(イスラエル) 監督:スハ・アラフ(Suha Arraf) [北米プレミア]
 物語:ヨルダン川西岸地区のラッマラー出身の未婚の3人姉妹がいる。彼らは、貴族階級のクリスチャンで、占領や、パレスチナ貴族の大量移民といった現実が受け入れられずにいる。生き残るために、彼らは、自分たちの村に閉じこもることに決める。そこに、親を亡くした姪のバディアがやってきて、3人の日常はひっくり返される。彼らは、一族の名前を残すために、理想の相手を求めて、彼女を葬式や結婚式に連れまわし、貴族階級のクリスチャンと結婚させようとする。
 『シリアの花嫁』の脚本家スハ・アラフの初監督作品。
 ベネチア国際映画祭2014 国際批評家週間出品。


 ・“Theeb”(ヨルダン・カタール・UAE・英) 監督:Naji Abu Nowar [北米プレミア]
 出演:Jacir Eid、Hussein Salameh、Hassan Mutlag、Marji Audeh、Jack Fox
 物語:1916年のアラビア。Theeb(狼の意味)は、ベドウィン族の少年で、オスマントルコ帝国の、忘れ去られたような辺境の地で、家族とともに暮らしている。父が死に、兄のフセインが彼の父親代わりになる。フセインは、弟に、ベドウィン族の生きていく術を授けようとするが、Theebは、まだそうしたことを覚えるより、いたずらをすることの方が好きだ。ある日、彼らの元にイギリス軍がやってくる。フセインは、死んだ父の名声を傷つけることを恐れて、イギリス軍への協力を拒むことができない。彼は、イギリス軍をメッカへの巡礼のルート途上にある井戸へと案内する。Theebは、兄を心配して、彼らの後をつける。やがて第一次世界大戦が起こり、この過酷な地も、トルコの金の亡者のターゲットになり、アラブ革命が起こり、ベドウィン族の襲撃者がさまようようになる。Theebも、信頼と裏切りを学び、早く大人になることが求められる。父が、彼の名前に込めてくれた思いに応えなければならない。
 ベネチア国際映画祭2014 Orizzonti部門出品。監督賞受賞。


 ・“The Tribe (Plemya)”(ウクライナ) 監督:Myroslav Slaboshpytskiy [北米プレミア]
 出演:Yana Novikova、Grigoriy Fesenko
 物語:セルゲイは、耳と口が不自由なため、専門の学校に入る。その学校では、生徒間にはっきりした上下関係が形成されていたが、そのどこに入るかは、どれだけワルであるか、すなわち、犯罪や売春への経験によって決められていた。セルゲイは、何回か泥棒の一味に加わることによって、組織の中でより高いポジションを得る。それから彼は、族のリーダーの愛人のひとりアンナと出会い、意図的にではなかったが、族における、暗黙のルールを破っていく。
 初監督作品。
 カンヌ国際映画祭2014 批評家週間出品。グランプリ、ヴィジョナリー賞、配給支援賞受賞。
 カルロヴィ・ヴァリ国際映画祭2014 スペシャル・イベント部門出品。
 ロカルノ国際映画祭2014出品。
 サラエボ映画祭2014 キノスコープ部門出品。


 ・“Mardan”(クルディスタン) 監督:Batin Ghobadi [ワールド・プレミア]
 出演:Hossein Hassan、Helan Abdullah、Esmail Zagros、Feyaz Duman
 物語:レイラは、行方不明になった夫を捜して、4歳の息子とともに、イラクにやってくる。彼女は、マルダンという名の警察官に助けを求めるが、マルダンは、彼女に協力するうち、妻がいるのにも拘らず、レイラのことが好きになってしまう。
 バフマン・ゴバディの弟であるBatin Ghobadiの初監督作品。


 ・“Dukhtar”(パキスタン・米・ノルウェー) 監督:Afia Nathaniel [ワールド・プレミア]
 出演:Samiya Mumtaz、Mohib Mirza、Saleha Aref
 物語:Allah Rakhiは、15歳で、山中に住む年の離れた部族長Daulat Khanと結婚することになり、ラホールから嫁いで行く。10年後、Daulat Khanは、ライバルの部族と平和協定を結ぶことになる。ライバルの部族長であるTor Gulは、友好の証として、Daulat Khanの娘である10歳のZainabを嫁に欲しいと言う。娘の将来を悲しんだAllah Rakhiは、Zainabを連れて逃げ出し、Daulat KhanやTor Gulらは、逃げた2人を追う。トラック運転手のSohailが母娘を拾うが、2人が逃げている訳を知った彼は、命を懸けて、2人をラホールまで届けることを誓う。
 初監督長編。


 ・“The Crow’s Egg (Kaakkaa Muttai)”(インド) 監督:M. Manikandan [ワールド・プレミア]
 物語:チェンナイの小さな家に、小さな兄弟と母と祖母が暮らしている。彼らは、おもちゃが欲しかったが、母と祖母にはそんな余裕はなく、家にはテレビすらなかった。彼らには、自分たちが望むものをなぜ母と祖母が与えてくれないのか、まだ理解できていなかった。ある日、母が家にテレビを持って帰る。テレビの世界は、兄弟にとって、初めて見るものばかりで、中でも彼らはピザのCMに魅了され、ピザを食べることを夢見るようになった。ある日、近所に、ピザ・パーラーがオープンする。これで念願のピザが食べられると思ったが、ピザの値段は、彼らの家の月収よりも高かった。彼らは、ピザを食べるためにお金を稼ごうとするが、それが町中を巻き込む大騒動に発展する。


 ・“Sway”(米・仏・タイ) 監督:Rooth Tang [ワールド・プレミア]
 出演:Matt Wu、Huang Lu、アナンダ・エヴァリンハム(Ananda Everingham)、サジー・アピウォン(Sajee Apiwong)
 物語:3つの都市を舞台にした、3つの世代のアジア系移民の物語。パリ。香港人の翻訳家が、かつては中国で女優として人気を博していたジャーナリストと深い仲になる。バンコク。旅行好きで、野心家の若者が、自分のビジネスを立ち上げようとする。一方、彼のガールフレンドは、町を飛び出していたが、自分が妊娠していることを知る。ロサンゼルス。コーカサス人の女性が日本人ビジネスマンの後妻となるが、ティーンエージャーのまま娘の敵意に遭い、将来が心配になる。
 初監督長編。


 ・“Flapping in the Middle of Nowhere (Ðap Cánh Giua Không Trung)”(ベトナム) 監督:Nguyen Hoang Diep [北米プレミア]
 出演:Nguyên Thuy Anh、Hoàng Hà、Trân Bao Son、Thanh Duy
 物語:Huyenは、ティーンエージャーで、若いニートとつきあって、妊娠してしまう。彼女は、堕胎のお金を稼ぐために、売春婦になるが、喜んでお金を払ってくれたのは、皮肉にも妊婦にオブセッションを持っている男性だった。状況は複雑になる。彼は、彼女を喜ばせようとするあまり、Huyenは、自分のお腹の中で赤ん坊が成長していることを忘れてしまう。
 ベネチア国際映画祭2014 国際批評家週間出品。FEDEORA Award 最優秀作品賞受賞。


 ・“Unlucky Plaza”(シンガポール) 監督:Ken Kwek [ワールド・プレミア]
 出演:エピィ・キソン(Epy Quizon)、エイドリアン・パン(Adrian Pang)、Judee Tan
 物語:スカイは、裕福で、尊大な演説家で、ポルシェと高価なアート・コレクションとゴージャスな家を持っていた。彼は、チャイニーズ・マフィアに借金があったが、妻ミシェルが親から相続したアパートを売って、助けてくれないかと考えていた。しかし、ミシェルには、ミシェルの考えがあった。彼女は、スカイといても不幸せで、将来の不安を感じていて、そんな時、フィリピン人のシングルファザー、オナシスと出会う。オナシスは、かつてはシンガポールで最も有名なフィリピン・レストランのオーナーだったが、不満を持ったコックのおかげで倒産に追い込まれ、さらに信用詐欺に遭って、にっちもさっちも行かなくなっていた。そんなオナシスに、ミシェルは、市場の半額でアパートを貸すことにする。彼女は、よいことをしたつもりでいたが、やがてこれがとんでもない災難に発展する。


 ・“The Little Death”(オーストラリア) 監督:ジョシュ・ローソン(Josh Lawson) [インターナショナル・プレミア]
 出演:ジョシュ・ローソン(Josh Lawson)、ボヤナ・ノヴァコヴィッチ(Bojana Novakovic)、デイモン・ヘリマン(Damon Herriman)、ケイト・マルヴァニー(Kate Mulvany)
 物語:シドニー郊外に暮らす5組の夫婦を主人公とするセックス・コメディー。ある若い夫婦は、完璧なセックス・ライフに十分な満足を感じていたが、ただひとつ困ったことは、妻がセックスに危険な味付けを求めていることだった。ある女性は、パートナーが涙を流している時に、オルガスムスを感じることを発見する。ある男性は、何年もの間、妻から罵倒され続けて、自分がカサノバにもなれるように思い込む。フラストレーションを抱えるある夫婦が、セックスにスパイスを加えようとして、ロール・プレーイング・ゲームを始めるが、興奮のあまり、セックスからどんどん離れていってしまう。
 オーストラリア出身の俳優ジョシュ・ローソンの初監督長編。


 ・“Adult Beginners”(米) 監督:ロス・ケイツ(Ross Katz) [ワールド・プレミア]
 出演:ローズ・バーン、ニック・ロール(Nick Kroll)、ボビー・カナヴェイル(Bobby Cannavale)
 物語:ジェイクは、事業を立ち上げる予定だった前日にひとつの失策をして、すべてをパーにしてしまう。ガールフレンドは去り、信用を失い、投資した250万ドルも無駄になる。彼は、マンハッタンを離れ、いつも自分を受け入れてくれる唯一の場所、すなわち、実家に帰ることにする。実家には、妊娠中の妹ジャスティンとその夫ダニー、そして3歳になる彼らの息子テディーが暮らしている。妹夫婦は、ジェイクにいたいだけいさせてあげることにし、ウィークデーのテディーの世話を彼に任せることにする。子供の扱い方など全く知らず、手こずるジェイクだったが、やがて家族とはどういうものなのかがわかってくる。
 『イン・ザ・ベッドルーム』や『ロスト・イン・トランスレーション』の製作で知られるプロデューサー、ロス・ケイツの初監督長編。


 ・“Los Hongos”(コロンビア・アルゼンチン・仏・独) 監督:Oscar Ruiz Navia [北米プレミア]
 物語:ラスは、建設労働者だが、夜は、グラフィティ・アーティストとして活動していた。彼は、夜も眠らないため、白昼夢を見るようになり、大きな壁画を描くために何本かスプレー缶を盗み、仕事をクビになる。彼は、お金も持たず、もうひとりのグラフィティ・アーティスト、Calvinに会いに行く。Calvinは、美術を学んでいたが、両親が離婚し、祖母が癌になって、悩める日々を送っていた。彼ら2人は、当てもなく町周辺をさまようが、世界という大きな壁を自分たちの作品で塗りつぶすような自由を手に入れたいと考えていた。
 ロカルノ国際映画祭2014フィルムメーカーズ・オブ・ザ・プレゼント コンペティション部門出品。審査員特別賞受賞。


 ・“The Vanished Elephant (El Elefante Desaparecido)”(ペルー・コロンビア・西) 監督:ハビエル・フエンテゥ・レオン(Javier Fuentes-León) [ワールド・プレミア]
 出演:サルバドール・デラ・ソラール(Salvador del Solar)、アンジー・セペダ(Angie Cepeda)、Lucho Cáceres、Tatiana Astengo
 物語:エド・セレステは、有名な犯罪小説家で、2007年のペルー地震で行方不明になったフィアンセ、セリアのことがずっと頭から離れない。失踪から7年後。彼は、人気シリーズである、探偵フェリペ・アランダの最後の作品を書き上げようとしていて、謎の女性マラから呼び出しを受ける。彼女によると、セリアがいなくなったその日に、彼女の夫が死んだと言い、手紙には、失踪の手がかりになるような写真が同封されていた……。
 『波に流れて』(2009)が高く評価されたハビエル・フエンテス・レオンの第2長編。


 ・“OBRA”(ブラジル) 監督:Gregorio Graziosi [ワールド・プレミア]
 出演:Irandhir Santos、ローラ・ペプロー(Lola Peploe)、Julio Andrade、Marku Ribas
 物語:サンパウロ。Joao Carlos Ribeiro de Almeido Netoは、若き建築家で、彼の最初の大きなプロジェクトがスタートし、そして、ちょうど時を同じくして、彼は父親になろうとしていた。ある時、彼は、プロジェクトの現場を歩いていて、墓地で、彼の祖先に関する思いもかけない発見をする。それは、彼が受け継いだ富や地位を失ってしまいかねないほどの衝撃的な発見だった。やがてプロジェクト進行とともに、墓地が掘り返され、彼の家族に関わる陰謀が明らかになっていく。
 初監督長編。


 ・“La Salada”(アルゼンチン) 監督:Juan Martín Hsu [?プレミア]
 出演:Ignacio Huang、Yunseon Kim、Chang Sun Kim、Nicolás Mateo
 物語:La Saladaは、1940年代に作られ、ラグーンと3つのプールのおかげで、数千人の人が訪れるリゾート地になった。1990年代にも数千人が訪れていたが、それはリフレッシュのためではなく、そこにブラックマーケットがあるからだった。ブラックマーケットは、1991年にボリビア人により始められ、様々な国籍の移民たちによって牛耳られ、人種の坩堝と化した。アルゼンチンの経済危機は、逆に、ここを活気づかせることになり、今では南米最大の非公認マーケットにまで発展している。本作では、そんなLa Saladaを舞台にした3つの物語が語られる。1人目の主人公は若い台湾人のフアンで、彼は狭いスペースで、昼間は海賊版のDVDを売り、夜は、アルゼンチンの映画を観て過ごしている。2人の主人公は、18歳のボリビア人のブルーノで、彼は叔父と一緒にこの地にやってきて、仕事を求め、眠る場所を探してうろつきまわっている。3人目の主人公は17歳の韓国人娘のユンジンで、彼女は、衣類のスタンドをやっている父親キムのために通訳をしている。彼女は、若いアルゼンチン人と出会ったことで、果たしてこのまま父親が勧める結婚相手と結婚することがいいことなのかどうか、疑問を持つようになる。
 サンセバスチャン国際映画祭2013 Films in Progress 24 Industry Award受賞。
 ブエノスアイレス国際インディペンデント映画祭2014 インターナショナル・コンペティション部門出品。SIGNIS賞受賞。
 初監督長編。


 ・“I am not Lorena (No soy Lorena)”(チリ・アルゼンチン) 監督:Isidora Marras [ワールド・プレミア]
 出演:Loreto Aravena、パウリーナ・ガルシア(Paulina García)、Maureen Junott
 物語:女優のオリヴィアは、精神的な病を抱える母親を訪ねて、彼女にヘンな電話がかかってきていることを知る。それは、集金代行業者が、「ロレーナ・ルイス」を捜していて、彼女が電話料金をかなり溜め込んでいるというものだった。オリヴィアは、間違い電話だったのだろうと考えて、その場はそれで済ませる。ところが、オリヴィアの方にも集金代行業者から電話がかかり始める。オリヴィアは、自分はロレーナ・ルイスなどではないと言っても、信じてもらえない。代行集金業者の1つを訪ねたことで事態はさらに悪する。「ロレーナ」問題は、オリヴィアの財政的・個人的生活を圧迫し始め、彼女の家族や友人ですら彼女を疑いの目で見始める。ロレーナに会いたいという電話を受け取った彼女は、自分でロレーナを探して、問題を解決しようとするが、その結果、彼女はサンチアゴ文化のダークな側面を知ることになる。
 初監督長編。


 ・“The Narrow Frame of Midnight (Itar el-Layl)”(モロッコ・英・仏) 監督:Tala Hadid [ワールド・プレミア]
 出演:ハリド・アブダラ(Khalid Abdalla)、マリー・ジョゼ・クローズ、Fadwa Boujouane、 Hocine Choutri
 物語:ザカリアは、モロッコ-イラク人ライターで、行方不明になった兄を捜す旅に出る。兄は、聖戦士集団の一員で、刑務所でモロッコの秘密警察に拷問されて、失明していたが、ザカリアはそんな兄を助け出したいと考えていた。アイシャは孤児で、犯罪グループに売り飛ばされる。彼女は、そこから逃げ出して、森の中に入り込む。ジュディスは、ザカリアの恋人で、子供が欲しいと思っていた。3人それぞれの旅はからみ合って、互いを助け合うことになる。
 Tala Hadidは、ロンドン生まれで、ニューヨークのコロンビア大学を卒業し、サンダンス・インスティチュート・ディレクターズ・ラボに参加。短編“Your Dark Hair Ihsan”(2005)はベルリン国際映画祭に出品されて、パノラマ部門短編賞を受賞している。これが、初監督長編。


 ・“Run”(仏・コートジボアール) 監督:Philippe Lacôte [北米プレミア]
 出演:Abdoul Karim Konaté、イザック・ド・バンコレ、Reine Sali Coulibaly、Abdoul Bah
 物語:ラン(Run)は、逃走中である。彼は、自分の国の首相を殺してきたばかりで、狂人ようなお面をつけ、狂人のような服を着て、町にさまよい出る。彼のこれまでの人生がフラッシュバックする。子供時代のトゥールー先生、雨降らし師になるのを夢見たこと、グラディス・ザ・イーターとの冒険、コートジボワールの政治的軍事的抗争の中心で、ひとりの「若き愛国者」として民兵を務めた過去……。それらは、いずれも彼が自分で選んだものではない。前の人生から転がり込んだ先がそうだっただけだ。だから彼は「ラン」と呼ばれるのだ。
 カンヌ国際映画祭2014 ある視点部門出品。


 ・“Stories of Our Lives”(ケニア) 監督:匿名 [ワールド・プレミア]
 物語:ナイロビで活躍するアーティストやソーシャル・ワーカー、事業家のグループのメンバー10人が、ゲイやレズビアン、バイセクシャル、トランスジェンダー、インターセックスのケニア人から話を聞き、それを5つの短編にして、1つの作品としてつないだもの。作り手が刑罰に処せられるのを防ぐため、監督は匿名にされている。


--------------------------------

 *この記事がなかなかよかった!と思ったら、人気ブログランキングにクリックをお願いします。
 ↓ ↓ ↓ ↓
 
 ↑ ↑ ↑ ↑
 クリックしてね!

 *当ブログ記事

 ・トロント国際映画祭2014 ラインナップ その1 GALA部門、SPECIAL PRESENTATIONS部門 ラインナップ:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201407/article_19.html
 ・トロント国際映画祭2014 ラインナップ その2 SPECIAL PRESENTATIONS部門 ラインナップ:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201407/article_20.html
 ・トロント国際映画祭2014 ラインナップ その3 TIFF DOCS部門、MASTERS部門:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201407/article_27.html
 ・トロント国際映画祭2014 その4 MIDNIGHT MADNESS部門、VANGUARD部門 ラインナップ:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201408/article_1.html
 ・トロント国際映画祭2014 その5 カナダ映画 ラインナップ:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201408/article_13.html
 ・トロント国際映画祭2014 その6 GALA部門、SPECIAL PRESENTATIONS部門 ラインナップ その2:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201408/article_15.html
 ・トロント国際映画祭2014 CONTEMPORARY WORLD CINEMA部門 ラインナップ:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201408/article_17.html
 ・トロント国際映画祭2014 CONTEMPORARY WORLD CINEMA部門 ラインナップ その2:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201408/article_18.html
 ・トロント国際映画祭2014 CITY TO CITY部門、WAVELENGTHS部門 ラインナップ:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201409/article_5.html

 ・映画賞&映画祭カレンダー 2014年3月~11月:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201403/article_4.html

この記事へのコメント

この記事へのトラックバック