ラックス賞2014 ノミネーション発表!
第8回ラックス賞(Lux Prize)のノミネーションがベネチア国際映画祭2014 ベネチア・デイズのプレス会見で発表になりました。(7月22日)
【ラックス賞】
ラックス賞というのは、欧州議会(European Parliament)によって贈られる映画賞で、ヨーロッパの現状(拡大と交流)を示すような題材の映画を通して公衆に議論を呼び起こすことと、EU加盟国での映画の普及とを目的として、2007年からスタートしたものです。
内容から言うと、①ローカルで、ドメスティックな内容のものではなく、いろんな出自(出身国や民族)のバックグラウンドを持つ登場人物が出てくる現代劇で、しかもそのことが物語の根幹に関わってくるような作品、あるいは、②物語が複数のヨーロッパ諸国にまたがっていて、物語の展開に従って、それぞれの国の実情(現状)が映画の中に映し出されていくような作品、といったインターナショナル、トランスナショナルなヨーロッパ映画がピックアップされるという印象だったのですが、最近では、ヨーロッパ各国固有の事情を描いていても、それがそのまま「ヨーロッパのいま」と見なされ、共通の問題意識をもって受け止められるようになってきたようで、よりシンプルに、③ヨーロッパの現状を示していると思われるような、優れた現代ヨーロッパ映画、がピックアップされるようになってきたようです。
投票資格があるのは、欧州議会の議員約750名のみ(2014年7月現在は751名)で、議員には、ノミネート発表後、作品の無料の上映会が行なわれることになっています。(そのために、24の言語による字幕が用意され、ヨーロッパ28ヵ国で3ヶ月にわたって上映会が実施されます。)
選考は、前年の5月1日から当年の6月1日までに劇場公開された作品の中から、欧州議会の文化教育委員会のメンバー16名がセレクションを行なって、まずオフィシャル・セレクションとして10本を選び(発表し)、そこからノミネート作品3本に絞り込み、さらに上映会による上映&投票を経て、年間最優秀作品(ラックス賞)を決定するというプロセスが取られています。(※「前年の5月1日から当年の6月1日までに劇場公開された作品の中から」という部分は、今年の公式サイトには明記されていませんでした。特にルールは変わっていないようなので、単に記載するのを忘れただけかもしれません。)
過去7回のノミネート&受賞作品は以下の通りです。
◆2007年
◎『そして、私たちは愛に帰る』(独・トルコ) 監督:ファティ・アキン
・『4ヶ月、3週と2日』(ルーマニア) 監督:クリスティアン・ムンジウ
・『夜顔』(西・仏) 監督:マノエル・デ・オリヴェイラ
◆2008年
・『デルタ』(ハンガリー・独) 監督:コーネル・ムンドルッツォ
◎『ロルナの祈り』(ベルギー・仏・伊) 監督:ジャン=ピエール&リュック・ダルデンヌ
・“Občan Havel”(チェコ) 監督:Miroslav Janek、Pavel Koutecký
◆2009年
・『ソフィアの夜明け』(映画祭上映題:『イースタン・プレイ』)(ブルガリア) 監督:カメン・カレフ
・“Sturm”(独・デンマーク・オランダ) 監督:ハンス=クリスチャン・シュミット
◎『君を想って海をゆく』(仏) 監督:フィリップ・リオレ
◆2010年
・“Plato's Academy(Akadimia Platonos)”(ギリシャ・独) 監督:Filippos Tsitos
◎“When We Leave (Die Fremde)”(独) 監督:Feo Aladag
・『イリーガル』“Illégal”(仏・ベルギー・ルクセンブルク) 監督:オリヴィエ・マッセ=ドパス(Olivier Masset-Depasse)
◆2011年
・“Attenberg”(ギリシャ) 監督:Athina Rachel Tsangari
◎『キリマンジャロの雪』“Les neiges du Kilimanjaro (The Snows Of Kilimanjaro)”(仏) 監督:ロベール・ゲディギャン
・『プレイ』“Play”(スウェーデン・仏・デンマーク) 監督:リューベン・オストルンド
◆2012年
・『熱波』(ポルトガル・独・仏・ブラジル) 監督:ミゲル・ゴメス(Miguel Gomes)
◎『ある海辺の詩人 -小さなヴェニスで-』“Io sono Li (Shun Li and the Poet)”(伊・仏) 監督:アンドレア・セグレ
・“Csak a szél (Just the Wind)”(ハンガリー・独・仏) 監督:Bence Fliegauf
◆2013年
・“The Selfish Giant”(英) 監督:クリオ・バーナード(Clio Barnard)
◎『オーバー・ザ・ブルースカイ』(オランダ・ベルギー) 監督:フェリックス・ファン・ヒュルーニンゲン
・『ミエーレ』“Miele (Honey)”(伊・仏) 監督:ヴァレリア・ゴリーノ
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【ラックス賞2014 ノミネート作品】
・“Bande De Files(Girlhood)”(仏) 監督:セリーヌ・シアマ
出演:Tatiana Rojo、Diabate Idrissa、ラバ・ナイト・ウフェラ(Rabah Nait Oufella)
物語:Mariemeは、16年間、家でも、学校でも、地域社会でも、あらゆることにダメ出しをされてきた。しかし、自由に、踊り、ケンカをし、おしゃべりし、大声で笑う3人組の女たちと出会い、すべてが変わる。Mariemeは、名前もVicと変え、服装も一新して、ギャングの一味に加わる。そうすることが、彼女にとって自由への道だったのだ。
カンヌ国際映画祭2014 監督週間出品。
・『イーダ』(ポーランド・デンマーク) 監督:パヴェウ・パヴリコフスキ
・“Class Enemy (Razredni Sovražnik)”(スロヴェニア) 監督:Rok Biček
物語:ドイツ語教師が産休に入って、新しい教師Zupanがやってくる。彼は、学生であるということは間違いを犯すこということであり、学習することで成長する特権を持っているという信念から、授業をラディカルなものに変える。その結果、生徒と教師との間に、緊張感が高まる。ひとりの生徒が自殺したが、それがドイツ語教師が原因だと見なされる。事実はそんなに明確なものではなかったが、何を言ってももう手遅れだった。
実話に基づく物語。
初監督作品。
ベネチア国際映画祭2013 国際批評家週間出品。FEDEORA賞受賞。
スロヴェニア映画祭2013 作品賞・主演男優賞・助演女優賞・撮影賞・衣裳デザイン賞・観客賞・アクター オブ ザ イヤー・批評家賞受賞。
米国アカデミー賞2014 外国語映画賞 スロヴェニア代表。
ヨーテボリ国際映画祭2014 イングマール・ベルイマン賞/新人監督賞コンペティション部門出品。
ヴィリニュス国際映画祭2014 New Europe-New Namesコンペティション部門出品。男優賞 (Igor Samobor)、CICAE賞受賞。
「ヴァラエティー」が選ぶヨーロッパの監督たち2014。

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本年度のラックス賞は、ヨーロッパ各国での上映会&投票を経て、12月17日に結果の発表(授賞式)が行なわれることになっています。
*当ブログ記事
・ラックス賞2014 オフィシャル・セレクション:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201407/article_10.html
・ラックス賞2013 オフィシャル・セレクション10作品:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201307/article_1.html
・ラックス賞2013 ノミネーション:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201307/article_18.html
・ラックス賞2013 受賞結果:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201312/article_29.html
・ラックス賞2012 オフィシャル・セレクション10作品:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201207/article_3.html
・ラックス賞2012 ノミネーション:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201207/article_16.html
・ラックス賞2012 受賞結果:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201211/article_21.html
・ラックス賞2011:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201111/article_2.html
・ラックス賞2010:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201007/article_27.html
・ラックス賞2009:http://umikarahajimaru.at.webry.info/200911/article_43.html
・映画賞&映画祭カレンダー 2014年3月~11月:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201403/article_4.html
追記:
・ラックス賞2014 受賞結果:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201412/article_28.html
【ラックス賞】
ラックス賞というのは、欧州議会(European Parliament)によって贈られる映画賞で、ヨーロッパの現状(拡大と交流)を示すような題材の映画を通して公衆に議論を呼び起こすことと、EU加盟国での映画の普及とを目的として、2007年からスタートしたものです。
内容から言うと、①ローカルで、ドメスティックな内容のものではなく、いろんな出自(出身国や民族)のバックグラウンドを持つ登場人物が出てくる現代劇で、しかもそのことが物語の根幹に関わってくるような作品、あるいは、②物語が複数のヨーロッパ諸国にまたがっていて、物語の展開に従って、それぞれの国の実情(現状)が映画の中に映し出されていくような作品、といったインターナショナル、トランスナショナルなヨーロッパ映画がピックアップされるという印象だったのですが、最近では、ヨーロッパ各国固有の事情を描いていても、それがそのまま「ヨーロッパのいま」と見なされ、共通の問題意識をもって受け止められるようになってきたようで、よりシンプルに、③ヨーロッパの現状を示していると思われるような、優れた現代ヨーロッパ映画、がピックアップされるようになってきたようです。
投票資格があるのは、欧州議会の議員約750名のみ(2014年7月現在は751名)で、議員には、ノミネート発表後、作品の無料の上映会が行なわれることになっています。(そのために、24の言語による字幕が用意され、ヨーロッパ28ヵ国で3ヶ月にわたって上映会が実施されます。)
選考は、前年の5月1日から当年の6月1日までに劇場公開された作品の中から、欧州議会の文化教育委員会のメンバー16名がセレクションを行なって、まずオフィシャル・セレクションとして10本を選び(発表し)、そこからノミネート作品3本に絞り込み、さらに上映会による上映&投票を経て、年間最優秀作品(ラックス賞)を決定するというプロセスが取られています。(※「前年の5月1日から当年の6月1日までに劇場公開された作品の中から」という部分は、今年の公式サイトには明記されていませんでした。特にルールは変わっていないようなので、単に記載するのを忘れただけかもしれません。)
過去7回のノミネート&受賞作品は以下の通りです。
◆2007年
◎『そして、私たちは愛に帰る』(独・トルコ) 監督:ファティ・アキン
・『4ヶ月、3週と2日』(ルーマニア) 監督:クリスティアン・ムンジウ
・『夜顔』(西・仏) 監督:マノエル・デ・オリヴェイラ
◆2008年
・『デルタ』(ハンガリー・独) 監督:コーネル・ムンドルッツォ
◎『ロルナの祈り』(ベルギー・仏・伊) 監督:ジャン=ピエール&リュック・ダルデンヌ
・“Občan Havel”(チェコ) 監督:Miroslav Janek、Pavel Koutecký
◆2009年
・『ソフィアの夜明け』(映画祭上映題:『イースタン・プレイ』)(ブルガリア) 監督:カメン・カレフ
・“Sturm”(独・デンマーク・オランダ) 監督:ハンス=クリスチャン・シュミット
◎『君を想って海をゆく』(仏) 監督:フィリップ・リオレ
◆2010年
・“Plato's Academy(Akadimia Platonos)”(ギリシャ・独) 監督:Filippos Tsitos
◎“When We Leave (Die Fremde)”(独) 監督:Feo Aladag
・『イリーガル』“Illégal”(仏・ベルギー・ルクセンブルク) 監督:オリヴィエ・マッセ=ドパス(Olivier Masset-Depasse)
◆2011年
・“Attenberg”(ギリシャ) 監督:Athina Rachel Tsangari
◎『キリマンジャロの雪』“Les neiges du Kilimanjaro (The Snows Of Kilimanjaro)”(仏) 監督:ロベール・ゲディギャン
・『プレイ』“Play”(スウェーデン・仏・デンマーク) 監督:リューベン・オストルンド
◆2012年
・『熱波』(ポルトガル・独・仏・ブラジル) 監督:ミゲル・ゴメス(Miguel Gomes)
◎『ある海辺の詩人 -小さなヴェニスで-』“Io sono Li (Shun Li and the Poet)”(伊・仏) 監督:アンドレア・セグレ
・“Csak a szél (Just the Wind)”(ハンガリー・独・仏) 監督:Bence Fliegauf
◆2013年
・“The Selfish Giant”(英) 監督:クリオ・バーナード(Clio Barnard)
◎『オーバー・ザ・ブルースカイ』(オランダ・ベルギー) 監督:フェリックス・ファン・ヒュルーニンゲン
・『ミエーレ』“Miele (Honey)”(伊・仏) 監督:ヴァレリア・ゴリーノ
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【ラックス賞2014 ノミネート作品】
・“Bande De Files(Girlhood)”(仏) 監督:セリーヌ・シアマ
出演:Tatiana Rojo、Diabate Idrissa、ラバ・ナイト・ウフェラ(Rabah Nait Oufella)
物語:Mariemeは、16年間、家でも、学校でも、地域社会でも、あらゆることにダメ出しをされてきた。しかし、自由に、踊り、ケンカをし、おしゃべりし、大声で笑う3人組の女たちと出会い、すべてが変わる。Mariemeは、名前もVicと変え、服装も一新して、ギャングの一味に加わる。そうすることが、彼女にとって自由への道だったのだ。
カンヌ国際映画祭2014 監督週間出品。
・『イーダ』(ポーランド・デンマーク) 監督:パヴェウ・パヴリコフスキ
・“Class Enemy (Razredni Sovražnik)”(スロヴェニア) 監督:Rok Biček
物語:ドイツ語教師が産休に入って、新しい教師Zupanがやってくる。彼は、学生であるということは間違いを犯すこということであり、学習することで成長する特権を持っているという信念から、授業をラディカルなものに変える。その結果、生徒と教師との間に、緊張感が高まる。ひとりの生徒が自殺したが、それがドイツ語教師が原因だと見なされる。事実はそんなに明確なものではなかったが、何を言ってももう手遅れだった。
実話に基づく物語。
初監督作品。
ベネチア国際映画祭2013 国際批評家週間出品。FEDEORA賞受賞。
スロヴェニア映画祭2013 作品賞・主演男優賞・助演女優賞・撮影賞・衣裳デザイン賞・観客賞・アクター オブ ザ イヤー・批評家賞受賞。
米国アカデミー賞2014 外国語映画賞 スロヴェニア代表。
ヨーテボリ国際映画祭2014 イングマール・ベルイマン賞/新人監督賞コンペティション部門出品。
ヴィリニュス国際映画祭2014 New Europe-New Namesコンペティション部門出品。男優賞 (Igor Samobor)、CICAE賞受賞。
「ヴァラエティー」が選ぶヨーロッパの監督たち2014。

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本年度のラックス賞は、ヨーロッパ各国での上映会&投票を経て、12月17日に結果の発表(授賞式)が行なわれることになっています。
*当ブログ記事
・ラックス賞2014 オフィシャル・セレクション:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201407/article_10.html
・ラックス賞2013 オフィシャル・セレクション10作品:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201307/article_1.html
・ラックス賞2013 ノミネーション:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201307/article_18.html
・ラックス賞2013 受賞結果:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201312/article_29.html
・ラックス賞2012 オフィシャル・セレクション10作品:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201207/article_3.html
・ラックス賞2012 ノミネーション:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201207/article_16.html
・ラックス賞2012 受賞結果:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201211/article_21.html
・ラックス賞2011:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201111/article_2.html
・ラックス賞2010:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201007/article_27.html
・ラックス賞2009:http://umikarahajimaru.at.webry.info/200911/article_43.html
・映画賞&映画祭カレンダー 2014年3月~11月:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201403/article_4.html
追記:
・ラックス賞2014 受賞結果:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201412/article_28.html
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