今年も期待作がいっぱい! カルロヴィ・ヴァリ国際映画祭2014 コンペティション部門 ラインナップ!

 第49回カルロヴィ・ヴァリ国際映画祭(7月4日-12日)のラインナップです。

 【カルロヴィ・ヴァリ国際映画祭】

 カルロヴィ・ヴァリ国際映画祭は、1946年創設という世界でも最も歴史のある国際映画祭の1つです。
 1946年創設なのに、今年で48回目というのは、計算が合いませんが、これは、共産党政権のコントロールを受けていた時代のうち約40年間は、モスクワ国際映画祭と隔年で開催されていたためです。
 映画祭の歴史としては、1989年のビロード革命により民主化が進行し、1990年にはこれまで上映禁止になっていた作品が上映されたりもしましたが、逆に、映画祭自体は経済的危機にさらされ、連邦が解体した翌年の1994年の第29回大会からチェコ文化省やカルロヴィ・ヴァリ市等の運営によって再スタートしています。(1998年以降はFilm Servis Festival Karlovy Varyという合資会社の運営に移行。)

 映画祭に長い歴史があり、開催時期や開催場所の地域性も新作上映にちょうどよくて、現在、カルロヴィ・ヴァリ国際映画祭は、ワールド・プレミア作品が数多く上映されて、カンヌやベルリン、ベネチアの各国際映画祭に準じる重要な国際映画祭となっています。
 カンヌ国際映画祭でプレミア上映された一連の作品が、次に上映されるのも、カルロヴィ・ヴァリ国際映画祭だったりします。

 コンペ作品は、大半が知られざる監督の知られざる作品ばかりですが、これまでに、『ケス』(ケン・ローチ)、『芙蓉鎮』(謝晋)、『コーカサスの虜』(セルゲイ・ボドロフ)、『ぼくのバラ色の人生』(アラン・ベルリネール)、『アメリ』、『向かいの窓』(フェルザン・オズペテク)、『ニキフォル 知られざる天才画家の肖像』といった作品をグランプリに選出しています。

 東欧で開催される映画祭ということもあってか、日本からの出品作は、あまり多くありませんが(1994年から2012年までに109本出品)、1958年に家城巳代治監督の『異母兄弟』がグランプリを受賞したほか、2002年に池谷薫監督の『延安の娘』が最優秀ドキュメンタリー賞、同年、辻仁成監督の『フィラメント』がエキュメニック審査員賞スペシャル・メンションを受賞、2004年に園子温監督の『紀子の食卓』がスペシャル・メンション&ドン・キホーテ賞を受賞しています。

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 【オフィシャル・セレクション】

 ※審査員:ルイス・ミニャーロ(審査員長/ポルトガルの監督・プロデューサー)、Mira Fornay(スロヴァキアの監督)、フェドン・パパマイケル(撮影監督)、キャルタン・スヴェィンソン(アイスランドのミュージシャン)、Viktor Tauš(チェコの監督・プロデューサー)

 ・“Patchwork Family(Du goudron et des plumes)”(仏) 監督:Pascal Rabaté [ワールド・プレミア]
 出演:サミー・ブワジラ(Sami Bouajila)、イザベル・カレ、Talina Boyaci
 物語:クリスチャンは、離婚経験者で、思いやりがなく、人生の失敗者である。しかし、彼は、12歳の娘には手本でありたいと考えていて、現実と理想のギャップから失敗ばかり起こす。夏が来て、父娘は、大きなスポーツ・イベントに参加し、そこで未婚の妊婦クリスティンと出会う。クリスチャンは、彼女となら人生をやり直せるのではないかと考える。
 原題の“Du goudron et des plumes”は、「悪事を働いた者は、体にタールを塗られ、鳥の羽根をつけられて、かついで、さらし者にされた」という中世に行われた罰のこと。
 コミック作家であり、“Holidays by the Sea (Ni à vendre ni à louer)”でカルロヴィ・ヴァリ国際映画祭2011監督賞を受賞しているPascal Rabaté監督第3作。


 ・“All Yours(Je suis à toi)”(ベルギー・カナダ) 監督:David Lambert [ワールド・プレミア]
 物語:若いアルゼンチン人のLucasは、インターネットを通じて、ベルギー人のアンリと知り合う。アンリは、ゲイのパン屋で、Lucasに飛行機のチケットを送り、ベルギーに呼び寄せる。Lucasとベッドを共にし、パン屋でも働かせるつもりでいたアンリと、よりよい生活を求めてベルギーにやって来たLucasとは、思惑にズレがあり、Lucasが、カナダ人女性のオドレイとその息子のジェフと出会ったことで、それは決定的になる。
 監督第2作。


 ・“Free Fall(Szabadesés)”(ハンガリー・仏・韓) 監督:パールフィ・ジョルジ(György Pálfi) [インターナショナル・プレミア]
 物語:老女が夫にお茶をすすめるが、夫は無関心だ。家の中は散らかっている。彼女はアパートの屋上に上がっていって、スモッグに覆われたブダペストの夜空を見上げる。次の瞬間、彼女は、そこから飛び降り、窓を突き破って落ちていく。しかし、彼女は死なず、ガラスの破片を拾って、またフロアに戻っていく。エレバーターは故障しているので、階段を上らなければならない。彼女が自分の部屋へと戻るまでの間に、アパートの7つの部屋に暮らす住人たちそれぞれの生活が、明らかにされていく。
 全州国際映画祭2014出品。全州デジタル・プロジェクト作品。


 ・“Nowhere in Moravia(Díra u Hanušovic)”(チェコ) 監督:ミロスラヴ・クロボット(Miroslav Krobot) [ワールド・プレミア]
 物語:30代のマルナは、眠ったような北モラヴィアの町のパブで働いている。それ以外の時間は、彼女は、優柔不断の市長のJuraや心優しいアウトサイダーのオリン、いちゃいちゃする屋根職人のKódlらと過ごしている。彼女は、よく傲慢な母親とケンカをするが、母親の関心は妹のJarunaへと移りつつある。そのJarunaは、このわびしい土地から抜け出すチャンスを手に入れる。
 『倫敦から来た男』などへの出演で知られる俳優で舞台監督のミロスラヴ・クロボット初監督作品。

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 ・“Fair Play”(チェコ・スロヴァキア・独) 監督:Andrea Sedláčková  [インターナショナル・プレミア]
 物語:1980年代のチェコスロヴァキア。10代のアンナは、トップ・スプリンターで、コーチは、彼女ならオリンピックも狙えると考えていた。彼女の母親の期待も大きく、娘の活躍次第では、鉄のカーテンの向こうに住めるようになるのではないかと考えた。母親は、娘に期待するあまり、薬物を使用させるが、それが娘の体にどんな影響を及ぼすかまでは考えていなかった。
 フランス時代には編集技師として『君を想って海をゆく』や『戦場のアリア』の編集を手がけたAndrea Sedláčkováの第3長編。


 ・“Paris of the North(París norðursins)”(アイスランド・仏・デンマーク) 監督:Hafsteinn Gunnar Sigurðsson [ワールド・プレミア]
 物語:Hujiは、アイスランド東部の村で教師をしている。彼の元に遠縁になっていた父親が訪ねてくる。快楽主義の父親と、37歳で、禁酒センターに通って、アル中から回復しつつあるHuji。2人の性格はあまりにも違い、いろんなことで衝突する。
 初監督作品“Either Way (Á annan veg)”(2011)がサンセバスチャン国際映画祭のコンペティション部門に選出され、高い評価を得たHafsteinn Gunnar Sigurðssonの第2監督長編。


 ・“Rocks in My Pockets”(米・ラトヴィア) 監督:Signe Baumane [ワールド・プレミア]
 物語:1920年代のラトヴィア。アンナは、若く、教育もあり、30歳も年上の野心的な企業家と恋をし、結婚する。しかし、結婚したとたんに、夫に嫉妬心が芽生え、妻を森の中に閉じ込め、そこで8人の子供を育てさせる。アンナは、Signe Baumane監督の実の祖母である。Signe Baumaneは、アンナのほか、3人のいとこ(アーティストのミランダ、野心的な学生のリンダ、無口な音楽教師のイルバ)と自分自身をも含めた一族の5人の女性たちを通して、一家の歴史を探り、このクレージーな世界(戦争、離婚、政治、セックス、ビジネス、教育、マネー、秘密、結婚、権力、母性、暴力……)を考える。
 Signe Baumaneは、ラトビア出身のアニメーション作家で、モスクワ大学で哲学を学び、リガのアニメーション・スタジオに勤め、1996年から2003年まではニューヨークに渡って、ビル・プリンプトン・スタジオで働いたという経歴の持ち主。いくつもの短編を発表していて、本作が初長編となる。


 ・“Welkome Home”(ロシア) 監督:Angelina Nikonova [インターナショナル・プレミア]
 物語:元ロシア人モデルのサーシャは早く結婚したくて我慢できない。絨毯売りのアルメニア人バブケンは、アメリカで有名な俳優になるのを夢見ている。そのいとこのハムレットは、性転換したいと考えている。ロシア人年金受給者のマリ・ヴァンナは、プールつきの家を持つのが願いだ。4人は、ニューヨークにやってきて、それぞれに夢をかなえようとする……。
 デビュー作“Twilight Portrait (Portret v sumerkakh)”(2011)がベネチア・デイズで上映されるなど高い評価を受けたAngelina Nikonovaの第2作。


 ・“Adventure(Priklyuchenie)”(カザフスタン・仏) 監督:Nariman Turebayev  [ワールド・プレミア]
 物語:マラットは、仕事でもプライベートでも孤独だ。彼は、大きな会社で夜警をしている。ある夜、彼は、窓からひとりの女性を見かける。その女性は誰かを待っているように見える。次の日、彼は、その女性が絡まれているのを見つけ、助ける。彼は、その女性マリヤムを家まで送っていく。マリヤムは、毎夜、彼女が愛している人が戻ってくるのを待っているのだという。続く日々で、マリヤムはマラットをいろんな場所に誘う。彼は、彼女に惹かれていく気持ちをどうすることもできなかった。
 ドストエフスキーの『白夜』の翻案。
 監督は、ダルジャン・オミルバエフのアシスタントを務めたこともあり、これが長編第3作。前2作はロカルノ国際映画祭のコンペティション部門に出品され、第1作はカルロヴィ・ヴァリ国際映画祭2004 イースト・オブ・ウェスト コンペティション部門にも出品された。


 ・“Corn Island(Simindis kundzuli)”(グルジア・独・仏・チェコ・カザフスタン) 監督:George Ovashvili [ワールド・プレミア]
 物語:Inguri川は、グルジアとアブハジアを分ける自然境界線となっている。ある時、洪水が起こって、川に中洲ができる。長年の農作業で、顔がすっかり日焼けしているひとりの老農夫は、その土地がとうもろこし作りに適しているのではないかと考える。彼は、16歳の孫とそこにとうもろこしの種を蒔くが、他人にじゃまされ、国境警察もやってくる。
 デビュー作“The Other Bank (Gagma Napiri)”(2008)でヨーロッパ映画賞ディスカバリー賞にもノミネートされたGeorge Ovashviliの監督第2作。


 ・“Low Down”(米) 監督:ジェフ・プレイス(Jeff Preiss) [インターナショナル・プレミア]
 出演:ジョン・ホークス、エル・ファニング、グレン・クローズ、レナ・ヘディ、ピーター・ディンクレイジ
 伝説のジャズ・ピアニスト、ジョー・オールバニー(Joe Albany)の人生を、娘エイミーの視点で描いた作品で、エイミー・オールバニー自身が脚本に参加している。
 物語:70年代のハリウッド。エイミーは、天才ジャズ・ピアニスト、ジョー・オールバニーの娘に生まれる。彼女が住むアパートには、父を慕って、ミュージシャンやアーティストや流れ者がひっきりなしにやってくる。その一方で、才能とヘロイン中毒で苦しむ父の姿も目撃する。やがて、エイミーは、成長し、父の影から脱し、自分のアイデンティティーを確立する時期を迎える。
 『レッツ・ゲッツ・ロスト』などドキュメンタリーの撮影監督を務めるジェフ・プレイスの初監督長編。
 サンダンス映画祭2014出品。撮影賞受賞。


 ・“La Tirisia(Perpetual sadness)”(メキシコ) 監督:Jorge Pérez Solano [インターナショナル・プレミア]
 物語:「5月はマリアの月」 チェバは、男の子を産むが、父親は夫ではない。息子の父親は、シルヴェストレで、彼は自分の継娘との間にも子供をもうけている。赤ん坊を取り上げた友人は、チェバの夫がアメリカでの出稼ぎから帰ってきたら、トラブルになるだろうと予言する。
 「6月はイエスの聖なる心の月」 シルヴェストレの妻と娘が言い争いをしている。その間、シルヴェストレは製塩工場で働いていて、空を行く飛行機を見て、自分もどこかへ行ってしまいたいと夢想する。彼は、女たちを侮辱することでしか自分のフラストレーションを発散できない。
 「7月はイエスの尊き血の月」 チェバの夫カルメロが出稼ぎから帰ってくる。チェバは、赤ん坊を、乳が出るシルヴェストレの継娘に託すが、彼女は赤ん坊2人の世話をする責任を負いきれず、いなくなってしまう。
 「8月はマリアの純粋なる心の月」 チェバは、息子との絆を失い、へその緒も川に流されて、絶望し、病気になってしまう。
 「11月は煉獄の魂の月」 チェバの魂は空高く舞い上がり、夫や、彼女が手放さなければならなくなった息子を見下ろす。
 第2監督作品。
 グアダラハラ国際映画祭2014 イベロアメリカ長編コンペティション部門出品。男優賞受賞(グスターヴォ・サンチェス・パラ)。

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 【イースト・オブ・ウェスト コンペティション】(East of the West Competition)

 ※審査員:Ahmet Boyacioğlu(審査員長/トルコの監督・映画祭オーガナイザー)、Ivana Ivišić(クロアチア出身のフェスティバル・プロデューサー、プロジェクト・マネージャー)、レヴァン・コグアシュヴィリ、Amanda Livanou(ギリシャのプロデューサー)、Tomasz Wasilewski(ポーランドの監督)

 ・“For Some Inexplicable Reason(VAN valami furcsa és megmagyarázhatatlan)”(ハンガリー) 監督:Gábor Reisz [ワールド・プレミア]
 物語:アーロンは、つい最近大学を卒業したばかりで、仕事を探しているが、自分はどうしたいのかがわかっていない。もうすぐ30歳になるというのに、親からの金銭的支援に頼っていて、彼らが私生活に介入してくるのを許している。アーロンは、ガールフレンドのエスターに振られるが、親には内緒にする。30歳のバースデー・パーティーの夜、彼は、エスターが別の男と一緒にいるのを見て、打ちのめされる。目覚めた彼は、リスボン行きの片道キップを手に未知の世界へと旅立つ決心をする。
 初監督作品。


 ・“Afterlife(Utóélet)”(ハンガリー) 監督:Virág Zomborácz [ワールド・プレミア]
 物語:モーゼスは、内気で頼りない若者で、神学の勉強を終えて、家族と一緒に田舎の村で暮らしている。牧師として権威ある父親との関係は複雑で、父は息子に厳しくはしないが、軽蔑を隠そうとしない。ある日、父親が突然死ぬ。父親は亡霊になって、モーゼスの前に現れる。というのも亡霊となった父の姿が見えるのはモーゼスだけだったからだ。モーゼスは父親に安らかに眠ってもらいたいと想う一方で、この機会に父親との関係を修繕しようとする。
 初監督作品。カンヌ国際映画祭2011 MEDIA Talent prize受賞。


 ・“Kebab & Horoscope”(ポーランド) 監督:Grzegorz Jaroszuk [ワールド・プレミア]
 物語:ほとんど客が来ないカーペット・ショップに2人組の男性がやってくる。彼らは、ケバブと星占いという異名を持つペテン師で、1人は、元ケバブ・ショップの店員で、もう1人は、元星占いの占い師である。2人は、マーケティングのスペシャリストだと称し、店を倒産から救うためのレッスンを始めようと言い出す。一方、彼らの訪問を受けたカーペット・ショップの従業員たちは、人生を変える機会を窺っていた……。
 短編“Frozen Stories (Opowiesci z chlodni)”がロカルノやクレモンフェランなどで受賞し、高い評価を受けたGrzegorz Jaroszuk監督の初長編。


 ・“Delight(Rozkoš)”(チェコ) 監督:Jitka Rudolfová [インターナショナル・プレミア]
 物語:Milenaは、映画の編集を仕事にしている。彼女は、Vladimirを愛しているが、愛を示すのはMilenaばかりで、彼から返されることは少ない。そもそも2人は会っていてもほとんど会話を交わさない。2人のやり取りは、ほとんど携帯電話のメールを使って行なわれる。しかも、彼は、自分にとって重要だと思えることには彼も返信するが、そうでないなら彼は返信を寄越さないのだ。彼女は、なかなか彼の思いを読み取ることができない。2人の直接的なやりとりはセックスの時くらいだ……。
 監督第2作。
 チェコ・ライオン(チェコ・アカデミー賞)11部門ノミネート(作品賞・監督賞・主演女優賞・助演男優賞・脚本賞・撮影賞・編集賞・美術賞・衣裳賞・メイク賞・録音賞)。
 チェコ映画批評家協会賞2014 監督賞・主演女優賞・脚本賞・撮影賞ノミネート。


 ・“Bota”(アルバニア・伊) 監督:Iris Elezi、Thomas Logoreci [ワールド・プレミア]
 物語:Botaとは、アルバニア語で「世界」を意味し、この物語の舞台となるカフェの名前でもある。そのカフェは、アルバニアの田舎の大きな湿地帯のヘリにある。カフェの良心とも言えるのが、Juliで、彼女は、愛想がよく、大きな経済問題を抱えながら、病気の祖母Nojeの世話もしていた。しかし、その一方で、彼女は、家族に不幸をもたらすこの地から出て行きたいとも考えていた。Juliには、Noraという魅力的な親友がいる。Noraは、カフェの意欲的なオーナーで、Juliのいとこでもある既婚男性Benとつきあうことによって、仕事を得ようとしていた。近くに高速道路の建設が始まり、彼らの生活も変わらざるを得なくなる。
 Iris Eleziは、ドキュメンタリーの監督・編集技師で、映画の分析を教えていて、Thomas Logoreciは、編集技師・撮影監督・脚本家。初監督長編。


 ・“Monument to Michael Jackson(Spomenik Majklu Džeksonu)”(セルビア・独・マケドニア・クロアチア) 監督:Darko Lungulov [ワールド・プレミア]
 物語:2009年。マルコは、夢想がちな床屋だが、夢が実現することはめったになかった。彼の結婚生活は破綻していて、妻は別れて、こんな死んだような町から出て行こうとしていた。マルコは、夫婦関係を修復しようとしていながら、またもやばかげたアイディアを思いつく。それは、共産主義者の銅像をマイケル・ジャクソンの銅像に取り替えて、観光客を呼ぼうというものだった。そのアイディアには多少の反響があったが、市長はよい顔をしなかった……。
 デビュー作“Here and There”が米国アカデミー賞2010外国語映画賞セルビア代表にも選ばれているDarko Lungulovの監督第2作。


 ・“Barbarians(Varvari)”(セルビア・モンテネグロ・スロヴェニア) 監督:Ivan Ikić [ワールド・プレミア]
 物語:ティーンエージャーのLukaは、セルビアの小さな町に母親ともに住んでいる。しかし、Lukaの日常はトラブルの連続で、もう母親の手には負えなくなっている。彼と親友のFlashは、地元のサッカー・チームのファンで、彼らは、チームを応援したり、ビールを飲んだりすることばかりに時間を費やしている。
 初監督作品。


 ・“The Tree(Drevo)”(スロヴェニア) 監督:Sonja Prosenc [ワールド・プレミア]
 物語:1つの物語が、兄、弟、母という3つの視点で描かれる3部構成の作品。兄のアレクと弟のヴェリは、なかなか安全な家を出ることができない。しかし、ある悲劇が起こって、避難所であったはずの家は監獄と化す。
 初監督作品。


 ・“Norway(Norviyia)”(ギリシャ) 監督:Yiannis Veslemes [ワールド・プレミア]
 物語:1984年。ヴァンパイアのZanoがアテネにやってくる。Zanoは、快楽主義者で、ジンと美女が大好きだった。彼は、アテネの謎を探っていくうち、偶然、Zardozという名のバーに行き着く。Zardozには、あらゆるドラッグがあり、DJは客たちを忘我の淵に導いていた。Zanoは、そこで北欧の美青年Peterと妖しい美女Aliceと出会い、かりそめの関係を築く。彼らとの経験は、彼の予想を上回るものばかりで、ただのパーティーと思ったものが実は彼のためにしっかりと計画されたものだったりもした。彼に決断の時が迫る。自分の理想を放棄して悪魔に仕えるか、それとも、自分を貫いて、自らの生命を危険にさらすことも厭わないかだ。
 初監督作品。


 ・“Cherry Tobacco(Kirsitubakas)”(エストニア) 監督:Andres Maimik、Katrin Maimik [ワールド・プレミア]
 物語:夏の終わり。16歳のラウラは退屈している。彼女に興味を持っている男性はいるが、彼女は気づいていない。思いもかけず、ハイキングのプランが持ち上がる。それは、数日間、驚きを求めて、泥炭地を歩くというものだったが、夏休みも終わりかけていたし、参加すれば単調な日常も変わるかもしれなかった。もともと彼女は自然に興味はなかったし、ちょっと乱暴なリーダー、Joosepにも関心はなかった。しかし、今どきパイプタバコを吸う彼に対し、彼女は興味を引かれ、気持ちも打ち解けてくる。思わぬ時に思わぬ形で、ラウラは初恋に襲われる。
 初監督作品。


 ・“Corrections Class(Klass korrekcii)”(ロシア・独) 監督:Ivan Tverdovsky [ヨーロッパ・プレミア]
 物語:レナは、明るい障害者で、何年かの自宅学習のち、学校に復学する。彼女のクラスは、障害者のための特別クラスで、年度末までに普通学級に戻してよいか決定が下されることになっている。しかし、教師たちにはやる気がなく、生徒たちを助けようともしない。それに対して、生徒たちも最初から権利を放棄してしまっている。レナは、より困難な状況の中で、意欲を見せるが、ルーティンの中に飲み込まれていってしまう。彼女は、クラスメートのアントンとつきあうようになるが、このささやかな幸せはまわりには受け入れられず、まもなくトラブルを引き起こす。
 心理学者Ekaterina Murashovaの小説の映画化。
 初監督作品。


 ・“Down the River(Axınla Aşağı)”(アゼルバイジャン) 監督:Asif Rustamov [ワールド・プレミア]
 物語:アリは、田舎町でボート部のコーチをしている。彼のチームには息子のルスランも所属しているが、ルスランは父の期待に応えることができない。アリは、中年の危機にあり、妻と離婚したいと考えているが、かろうじてつなぎとめているのはルスランがいるからだ。アリは、ポーランド人女性サシャを愛していて、彼女もアリと新しい生活を始めることを望んでいる。大事なレースの直前に、アリはルスランを、前から決まっていた選手から外す。しかし、ある日、悲劇が起こり、アリもどうしていいのかわからなくなる。
 初監督作品。


 【ドキュメンタリー・コンペティション】(The Documentary Films Competition)

 ・“Waiting for August”(ベルギー) 監督:Teodora Ana Mihai

 ・“Wild Zwijn(Wild Boar)”(オランダ) 監督:Willem Baptist

 ・“Il treno va a Mosca(The Train to Moscow: A Journey to Utopia)”(伊・英) 監督: Federico Ferrone、Michele Manzolini

 ・“Le mur et l´eau(The Water and the Wall)”(スイス) 監督:Alice Fargier [インターナショナル・プレミア]

 ・“Sitzfleisch(Steadiness)”(オーストリア) 監督:Lisa Weber

 ・“Istanbul United”(独・チェコ・トルコ) 監督:Farid Eslam、Olli Waldhauer [インターナショナル・プレミア]

 ・“K oblakům vzhlížíme(Into the Clouds We Gaze)”(チェコ) 監督:Martin Dušek [ワールド・プレミア]

 ・“Opři žebřík o nebe(Lean a Ladder against Heaven)”(チェコ) 監督:Jana Ševčíková [ワールド・プレミア]

 ・“Comeback”(スロヴァキア) 監督:Miro Remo [ワールド・プレミア]

 ・“Autofocus”(クロアチア) 監督:Boris Poljak

 ・“Tal R: The Virgin”(デンマーク・独) 監督:Daniel Dencik [インターナショナル・プレミア]

 ・“Srok(The Term)”(ロシア・エストニア) 監督:Pavel Kostomarov、Alexander Rastorguyev、Alexey Pivovarov

 ・“Fishtail”(米) 監督:Andrew Renzi [インターナショナル・プレミア]

 ・“Solitary Plains”(米) 監督:J Christian Jensen [ヨーロッパ・プレミア]

 ・“La Reina(The Queen)”(アルゼンチン) 監督:Manuel Abramovich

 ・“El tiempo nublado(Cloudy Times)”(スイス・パラグアイ) 監督:Arami Ullón [インターナショナル・プレミア]

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 田舎の小さな町を舞台とし、夢と希望とフラストレーションを抱えながら生きている普通の人々を主人公とした物語が多いですね。

 いま、確かにそういう物語が求められていて、映画祭でもそうした作品が受賞しやすいということはあるようですが。

 カルロヴィ・ヴァリ国際映画祭のラインナップはまだまだ続きます。

 ・カルロヴィ・ヴァリ国際映画祭2014 ラインナップ その2:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201407/article_5.html

 

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 *当ブログ記事

 ・カルロヴィ・ヴァリ国際映画祭2013 コンペティション部門出品 ラインナップ:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201306/article_17.html
 ・カルロヴィ・ヴァリ国際映画祭2013 コンペティション部門以外のラインナップ:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201306/article_18.html
 ・カルロヴィ・ヴァリ国際映画祭2013 受賞結果:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201307/article_9.html
 ・カルロヴィ・ヴァリ国際映画祭2012 ラインナップ&受賞結果:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201207/article_4.html
 ・カルロヴィ・ヴァリ国際映画祭2010 ラインナップ:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201007/article_10.html
 ・カルロヴィ・ヴァリ国際映画祭2010 受賞結果発表:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201007/article_12.html
 ・カルロヴィ・ヴァリ国際映画祭2009 ラインナップ:http://umikarahajimaru.at.webry.info/200906/article_28.html
 ・カルロヴィ・ヴァリ国際映画祭2009 受賞結果発表:http://umikarahajimaru.at.webry.info/200907/article_11.html

 ・映画賞&映画祭カレンダー 2013年5月~12月:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201305/article_9.html

 追記:
 ・カルロヴィ・ヴァリ国際映画祭2014 受賞結果:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201407/article_16.html

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