【注目!】 第2回ビュースター・オンライン映画祭 受賞作のクオリティーも凄いが、賞金も凄いゾ!

 第2回ビュースター・オンライン映画祭(Viewster Online Film Festival #VOFF)の受賞結果が発表されました。(7月7日)

 ビュースター(Viewster)は、2007年に設立されたオンライン・ビデオ・サービスで、本部はスイスのチューリヒにあります。

 そのビュースターが始めたビュースター・オンライン映画祭は、これでまだ2回目ですが、今回、いくつもの映画情報サイトでその受賞結果が報じられたりして、世界的に大きな話題になっていました。

 注目を集めた最大のポイントは、まず間違いなく、賞金の額で、優勝賞金が7万USドル(約700万円)で、第2位は2万USドル、第3位は7500USドル、第4位は2500USドルで、第4位までの賞金総額が10万USドルとなっています。

 当ブログでは、世界の映画祭の賞金について書き出していますが、それを見てもらえれば、これがいかに破格の賞金か、わかってもらえると思います。エントリー作品は、短編作品には限定していませんが、少なくとも今回の受賞作はすべて短編で、おそらく短編作品に贈られる賞金金額としては史上最高金額になっているはずです。

 *映画祭・映画賞の賞金について調べてみました:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201402/article_11.html

 今回が第2回と書きましたが、このビュースター・オンライン映画祭は、実は年に4回開催される予定で、第1回は今年3月に開催され、次回の第3回は9月に、第4回は11月に開催されると予告されています。(次回のエントリー締め切りは、8月7日。次回の映画祭開催は9月11日~25日。受賞結果の発表は、10月3日です。)

 こんなに高額の賞金を出しながら、そんなに短いスパンで開催してやっていけるのかと心配になったりもしますが、どういうやり方でか、ちゃんとリクープできるように考えられてあるのでしょう(たぶん)。

 エントリーの条件も、エントリーする側にかなり有利になっていて、以下のように決められています。

 ・長編作品、または、シリーズ作品、ウェブ・シリーズ作品、短編作品、ドキュメンタリー。

 ・当映画祭のテーマ(“Be afraid. Be VERY afraid.”)にフィットしていること。

 ・クレジットを除いて、3分以上あること。

 ・8年未満(2006年以降)の作品であること。

 ・既に500万人以上の人々が鑑賞したとみなされる作品は不可。

 ・英語作品か、英語の字幕がつけられていること。

 ・使用している音楽も含め、グローバル・ライツが明確であること。

 ・スクリーニング用にHDが用意できること。

 ・エントリー料は無料。

 ・先行する映画祭やTV・オンライン等で、上映・放映・配信されていても、視聴者が500万人未満であれば、エントリー可。

 ・賞金を獲得しても、特別の条件を課せられることはない。

 初期の公開や放映、映画祭等のエントリーに恵まれなかった作品にも十分なチャンスが与えられている、ということになります。

 審査(賞の選出)は、一般からの投票が済んだ後で、審査員によって行なわれます。

 第1回開催時にどの程度のニュースになったのかはわかりませんが、第2回となる今回は、世界70カ国から1000本の応募があり、その中の500本が審査対象となったと伝えられています。(現在は、第1回分も第2回分もコンペティションのページは残っていないので、どのくらいの数の作品がどのように公開されて、どのように投票が行なわれたのかはわかっていません。)

 で、今回の受賞結果となるわけですが、賞金が高額なだけあって、クオリティーの高い、見ごたえのある作品が集まってきています。

 現在は、公式サイトで受賞作品の無料視聴ができますが、第1回の受賞作が既に視聴できなくなっているところを見ると、無料公開は期間限定であるようです。なので、
 
興味のある方は早めにご覧ください!

 ちなみに――
 “Dad’s Fragile Doll”は、台詞も字幕もないので、外国語がわからなくても理解できます。
 “Wrong”は、台詞が韓国語で、字幕が英語ですが、字幕の文字数が多く、読み取るのが少々大変です。
 “Your Place”は、台詞がドイツ語で、字幕が英語ですが、台詞は多くはなく、字幕も平易なので、わかりやすい作品になっています。
 “Next”は、ネットでのやりとりを英語で読ませる作品で、ちょっと厳しいかもしれません。少なくとも私には、苦痛でしかなく、途中で観るのを断念してしまいました(笑)。

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 【第2回ビュースター・オンライン映画祭 受賞作品】

 第1位:“Dad’s Fragile Doll”(2014年/イラン/15分16秒) 監督:Ali Zare Ghanatnowi
 物語:1980年(イラン暦1359年)のテヘラン。母と娘。檻を思わせる部屋。当局をイメージさせる「ハサミ」のマークと、それを象徴する巨漢の男。さらにその男を連想させるグロテスクな人形。現在と過去、現実と妄想が、人形を介して交錯する。やがて、少女の父親が、当局により逮捕され、殺されて、それが少女にとって深いトラウマになっていることが明らかになる。
 イランの作家Hushang Golshiriの短編の映画化。
 描写がリアルなのは、実際に俳優に演じさせて、撮影した映像を元に原画を描いているから。
 アニマ・ムンディ2014 コンペティション部門出品。
 *本編動画:http://www.viewster.com/movie/1262-17399-000/dads-fragile-doll?utm_source=blog&utm_medium=post&utm_campaign=voffwinners

 [コメント]
 現在と過去、現実と妄想、リアルなデッサンと戯画化して描かれた人形。これら2つの世界をすみやかに行ったり来たりしつつ、少女とその家族に何が起こったのかを示す手腕が鮮やか。
 いまのイランではこうした過去をストレートに描くことができないから、こういう手法を取ったのか、それともこういう風に描くことでしか、少女を見舞った悲劇と、その結果生じた彼女の心の傷を表現することができなかったということなのか。
 残念なのは、せっかくの力作なのに、冒頭のインサートが間違っていることです。1977年ではイラン革命前の出来事になってしまって、何が原因でどういうことが起きたのか、さっぱりわからなくなってしまいます。

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 第2位:“Wrong”(2013年/韓/26分21秒) 監督:Taegue Lim
 物語:サンヘは、喫煙がみつかって、他の男子生徒とともに、社会奉仕活動をするハメになり、障害児施設へ送られる。つきそいのキム先生は、初めてこうしたペナルティーを受けることになった彼を信じると言ってくれ、一方、サンヘも、キム先生の期待に応えようとして、仲間に誘われてももうタバコは吸わない。サンヘは、生理になって困っているらしい女性の障害児をみつけ、部屋に入って、助けてあげようとするが、それがシスターやキム先生に知られることになり、サンヘが彼女にいたずらしようとしたと疑われてしまう。本当のことを言おうとしても信じてもらえない。サンヘは、裏切られたように感じる……。
 *本編動画:http://www.viewster.com/movie/1262-17949-000/wrong?utm_source=blog&utm_medium=post&utm_campaign=voffwinners

 [コメント]
 大人は判ってくれない……。
 全くの善人でもなく、かといって、完全な不良にもなり切れない。心根はやさしいのに、自分の気持ちをうまく表現できず、誤解されてしまう。そんな主人公をYun Geun Gwonが好演しています。
 説明描写は少なく、手持ちカメラで、ドキュメンタリー風に、主人公の行動を追う。

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 第3位:“Your Place(Zu dir?)”(2012/独/28分45秒) 監督:Sylvia Borges
 物語:夜のクラブ。音楽とダンスを通して、男と女が出会う。会話を交わさずとも、お互いに何か通じ合うものを感じる。しかし、音楽とダンスが止んだ時、2人は現実に引き戻される。クラブから外へ出た時、男は、「ぼくのところへ来るかい? それとも君のところへ行く?」と訊くが、女は「私は私のところへ、そしてあなたはあなたのところへ行きましょう」と言って、男の誘いをさらりとかわす。男は、そんな答えを聞いてちょっと立ち尽くすが、すぐに女の後を追う。それを見た女は、笑って言う。「じゃあ、こうしましょう。私はあなたのところへ、そしてあなたは私のところへ」。そうして、男と女は、相手の名前も知らぬまま、互いの鍵と住所を交換し、別々の方向へと別れる。男は女の家へ、女は男の家へ。たどりついた家の中を見てまわるうち、2人とも相手のことが少しずつわかってくる。何度かのすれ違いを経て、ようやく電話で相手と直接やりとりを交わす。もう他人という感じはしない。「目覚めたら一緒に朝食を食べましょうか。」「ぼくのところで?それとも君のところ?」「(笑)2つの真ん中にしましょう。」
 ルーヴェン国際短編映画祭2012 観客賞受賞。
 ランツフート短編映画祭2013 観客賞受賞。
 リール国際短編映画祭2013 第1回作品賞受賞。
 *本編動画:http://www.viewster.com/movie/1262-17954-000/your-place?utm_source=blog&utm_medium=post&utm_campaign=voffwinners

 [コメント]
 ベッド・シーンもキス・シーンもない、ロマンチックなボーイ・ミーツ・ガールもののラブ・ストーリー。
 出会ったばかりの男女が交わす「ぼくのところへ来るかい? それとも君のところへ行く?」というよくあるやりとりから発想した物語なのでしょうが、現実的には全くありそうにないとしても、アイディアとしては、ジョークめいていて、なかなか面白いですよね。片岡義男やわたせせいぞうが書いてもおかしくないような、ちょっとくすぐったい男女の出会いと、その後のやりとり。
 出会ったばかりで、まだ相手のことをよく知らないながらも、すぐに一緒に寝ようかという男と、さすがにすぐ寝るというのには抵抗がある女。そして相手をもっとよく知るための、思いもかけない遠回り。
 見ず知らずの相手に体を開くことと、見ず知らずの相手に素の私生活をさらけ出すこと(そして、見ず知らずの相手の素の私生活を知ること)。
 人が恋に至るまでの過程に関するシネマティックな考察、というか、ある種の恋愛論、とってもいいかもしれません。
 短編ですが、発端とその後の展開がよく考えられていて、アメリカやフランスやイギリス、あるいは、日本でも、リメイクされてもいいかもしれません。もしくは、元になったアイディアを借用して、新たな作品が作られるか。

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 第4位:“Next”(2011/ポーランド/29分40秒) 監督:Adam Janisch
 物語:インターネットのビデオチャットルームで、次から次へと相手を切り替えていくアダス。そんな匿名性の世界を通じて、彼は、ワルシャワからベルリンへと導かれていく。
 Festival Silhouette 2011 出品。
 Split Film Festival 2011出品。
 *本編動画:http://www.viewster.com/movie/1262-17681-000/next?utm_source=blog&utm_medium=post&utm_campaign=voffwinners

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 秀作や意欲作ばかりで、世界の映画祭や映画賞で上位入賞している作品と比べても全く遜色ありません。
 しかも、全く違うタイプの作品が受賞しています。

 こういった作品と競うと考えると、作品賞金獲得は、かなり難しいですが、旧作でも長編でも短編でもドキュメンタリーでも何でもいいのだから、日本人もどんどんエントリーしてみたらしいと思いますね。こんなチャンスがいつまでも転がっているとは限らないのですから。

 *ビュースター・オンライン映画祭 公式サイト:http://festival.viewster.com/

 

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 *当ブログ記事

 ・映画賞&映画祭カレンダー 2014年3月~11月:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201403/article_4.html

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