マーティン・スコセッシが選ぶ、ポーランド映画傑作選 21作品!

 マーティン・スコセッシが選ぶ「ポーランド映画傑作選」(Martin Scorsese Presents Masterpieces of Polish Cinema)という上映プログラムが、2014年2月のリンカーン・センター(ニューヨーク)を皮切りに、米国映画芸術科学アカデミー(AMPAS)によるロサンゼルス州立美術館(LACMA)での上映会を含み、北米30ヶ所以上の劇場やシネマテーク、ホール等を巡回しています。

 これは、スコセッシが、2011年にウッチにあるポーランド国立映画学校から名誉博士号を贈られ、アンジェイ・ワイダの招きで同校を訪れたことがきっかけとなって始まったもので、そこで、ポーランド映画のクラシック作品のデジタル・リマスター化を進めていたJedrzej Sablińskiと出会ったことから生まれた企画だそうです。

 上映会場によって、上映作品のチョイス&本数に違いがあったりはしますが、オリジナルのセレクションは全部で21本あります。

画像

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 「マーティン・スコセッシが選ぶポーランド映画傑作選」(Martin Scorsese Presents Masterpieces of Polish Cinema)

 ・『エロイカ』“Eroica”(1958年(1957年)/85分) 監督:アンジェイ・ムンク
 ・『灰とダイヤモンド』“Ashes and Diamonds(Popiol I Diament)”(1958/104分) 監督:アンジェイ・ワイダ
 ・『夏の終りの日』“The Last Day of Summer(Ostatni Dzien Lata)”(1958年/61分(62分)) 監督:タデウシュ・コンヴィツキ
 ・『夜行列車』“Night Train(Pociag)”(1959年/99分(98分)) 監督:イエジー・カヴァレロヴィチ
 ・『夜の終りに』“Innocent Sorcerers(Niewinni Czarodzieje)”(1960/88分(87分)) 監督:アンジェイ・ワイダ
 ・『鉄十字軍』“Black Cross”(1960/173分) 監督:アレキサンデル・フォルド
 ・『尼僧ヨアンナ』“Mother Joan of the Angels”(1961年(1960年)/111分(110分))  監督:イエジー・カヴァレロヴィチ
 ・『サラゴサの写本』“The Saragossa Manuscript(Rekopis Znaleziony W Saragossie)”(1965年(1964年)/182分(183分、184分)) 監督:ヴォイチェフ・イエジー・ハス
 ・『サルト』“Jump(Salto)”(1965/105分) 監督:タデウシュ・コンヴィツキ
 ・『太陽の王子ファラオ』“Pharaoh(Faraon)”(1966年(1965年)/153分(151分、152分)) 監督:イエジー・カヴァレロヴィチ
 ・“To Kill This Love(Trzeba Zabic Te Milosc)”(1972年/96分(92分)) 監督:ヤヌシュ・モルゲンシュテルン(Janusz Morgenstern)
 ・“The Illumination(Iluminacja)”(1972/92分(93分)) 監督:クシシュトフ・ザヌーシ
 ・『砂時計』“The Hourglass Sanatorium”(1973/125 分(124分)) 監督:ヴォイチェフ・イエジー・ハス
 ・『婚礼』“The Wedding(Wesele)”(1973年(1972年)/107分) 監督:アンジェイ・ワイダ
 ・『保護色』“Camouflage(Barwy Ochronne)”(1977年/101分(100分)) 監督:クシシュトフ・ザヌーシ
 ・『約束の土地』“The Promised Land(Ziemia Obiecana)”(1975/170分) 監督:アンジェイ・ワイダ
 ・『コンスタンス』“The Constant Factor(Constance)”(1980/91分(90分)) 監督:クシシュトフ・ザヌーシ
 ・『偶然』“Blind Chance(Przypadek)”(1981年/123分(122分)) 監督:クシシュトフ・キェシロフスキ
 ・『鉄の男』“Man of Iron”(1981年/154分(153分)) 監督:アンジェイ・ワイダ
 ・『オーストリア』“Austeria”(1982年/107分) 監督:イエジー・カヴァレロヴィチ
 ・『殺人に関する短いフィルム』“A Short Film About Killing(Krotki Film O Zabijaniu)”(1988年(1987年)/86分(85分)) 監督:クシシュトフ・キェシロフスキ

 ※各上映会のHPを5つほどチェックしましたが、製作年や上映時間が、上映会ごとに違っていたりしました。元となった作品資料があるはずですが、それは別にして、それぞれの上映団体が持っているデータベースのデータに合わせたということでしょうか。



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 教科書的な作品と、必ずしもそうでもない作品。

 日本では、2012年と2013年にポーランド映画祭が開催されていますが、上記作品と10本も重なっています。
 ・ポーランド映画祭2012:http://www.polandfilmfes.com/2012/program.html
 ・ポーランド映画祭2013:http://www.polandfilmfes.com/program.html

 これは、たぶん偶然ではなく、少なからずポーランドでのデジタル・リマスター化の進行に関係してるんじゃないかと思われます。

 というのも、北米ではスコセッシが紹介役となりましたが、ポーランド映画のデジタル・リマスター化の流れを受けた映画祭や特集上映は、2012年あたりから世界各地で行なわれているからで、最近では、ズリーン国際映画祭でもポーランド映画の特集が組まれていました(こちらは、現在までのポーランド映画の流れを概観するプログラムでした。)
 ・ズリーン国際映画祭2014 ラインナップ:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201405/article_27.html

 そんな中でのスコセッシのセレクションは―

 ワイダが5本、カヴァレロヴィチが4本、ザヌーシが3本、コンヴィツキとハスとキェシロフスキがそれぞれ2本、あとは3人が1本ずつ。

 50年代が4本、60年代が6本、70年代が6本、80年代が5本。

 50年代から80年代までの戦後ポーランド映画史を概観しつつ、ポーランド映画を代表する映画監督の作品からセレクトした、という意図が感じられます。

 もちろん、ポーランドでのデジタル・リマスター化の進行との兼ね合いもあったんじゃないかとも思いますが、逆に、スコセッシの意向がデジタル・リマスター化作品のチョイスに反映された可能性もあるかと思います。

 映画監督としては、アニエスカ・ホランドやイエジー・スコリモフスキも無視できないんじゃないかと思ったりもしますが、近年、あちこちでレトロスペクティヴが行なわれたスコリモフスキはあえて除外されたということなのかもしれません。

 ちなみに、“Sight & Sound”の2012年のオールタイム・ベストにも、スコセッシは、『灰とダイヤモンド』を入れていますが、この作品はスコセッシにとって特に思い入れのある作品のようで、『ミーン・ストリート』の主人公チャーリーには、ズビグニエフ・チブルスキーへのオーマジュを捧げているとも語っています。
 ・20組の監督が選んだオールタイム・ベスト(“Sight & Sound”(2012年)):http://umikarahajimaru.at.webry.info/201208/article_7.html

 【関連サイト】

 ・Martin Scorsese Presents Masterpieces of Polish Cinema:http://mspresents.com/

 ・米国映画芸術科学アカデミー(AMPAS)によるロサンゼルス州立美術館(LACMA)での上映会HP:http://www.oscars.org/events-exhibitions/events/2014/05/martin-scorsese-presents-masterpieces-of-polish-cinema.html?utm_source=oscars&utm_medium=banner&utm_campaign=oscarspromo-polishcinema-may&WT.mc_id=oscarspromo-polishcinema-may

 ・ジーン・シスケル・フィルム・センター:http://www.siskelfilmcenter.org/polish_cinema_2014

 ・Milestone Films:http://www.milestonefilms.com/collections/politics-and-social-change/products/martin-scorsese-presents-masterpieces-of-polish-cinema

 

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