モンペリエ地中海映画祭2013 受賞結果!

 第35回モンペリエ地中海映画祭(10月25日-11月2日)の受賞結果が発表になりました。

 【モンペリエ地中海国際映画祭】

 モンペリエ地中海国際映画祭(Cinemed Montpellier International Festival of Mediterranean Films)は、地中海周諸国の作品に限った映画祭で、日本ではそんなに知られてはいないと思いますが、今年で35回を迎えます。(似たような趣向を持った映画祭には、アジア太平洋映画祭(今年で58回)、ハワイ映画祭(今年で33回)があります。)

 地中海をはさんで、国どうしが向かい合っているとはいえ、この30年間、国家間レベルではいろいろあったはずで、そうでありながらも、この映画祭が現在まで続いているというのは、たぶん、政治や信条、国境を超えて、個人レベルではわりと簡単に交流ができ、実際にいろんな形で近隣諸国の人々とつきあいがあるからであり、また、開催地が移民を受け入れるのにわりと積極的な(という風に見える)フランスだからこうした催しがやりやすい、ということもあるのでしょうか。

 個人の特集も充実していて、今回は、以下の特集が組まれています。

 ・ダニエル・オートゥイユ:12本
 ・Claude Maurin:3本
 ・マリサ・パレデス:11本
 ・アグスティ・ビジャロンガ:10本
 ・マッテオ・ガローネ:8本 +カルト・ブランシュ
 ・ユーセフ・シャヒーン:7本
 ・ジル・ジャコブ 関連作品:2本
 ・ブライアン・デ・パルマ:4本
 ・マノエル・デ・オリヴェイラ:2本

 本年度のコンペティション部門のラインナップ&受賞結果は以下の通りです。

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 【長編コンペティション部門】

 ※審査員:ユースリー・ナッスラッラー(Yousry Nasrallah:エジプトの監督/審査員長)、アンドレア・フェレオル(Andréa Ferréol:フランスの女優)、Kerem Ayan(イスタンブール国際映画祭の代理ディレクター)、Jean-Marie Besset(CDN Theâtre des 13 ventsのディレクター/フランスの脚本家/監督)、 Driss Khrouz (Bibliothèque nationale du Royaume du Marocのディレクター)

 ◆最優秀作品賞/Golden Antigone
 ◎“Rags and Tatters(Farsh w ghatta)”(エジプト) 監督:Ahmad Abdalla
 物語:エジプトの刑務所の扉が突然開放され、何千人もの囚人が、カイロとアレクサンドリアの間にある砂漠地帯に逃げ出す。その中の名もない1人が、家路につこうとするが、家へと続くカイロへの道は、1月25日の革命ですっかり荒らされてしまっている。なんとか家族の元にたどり着いた彼は、国がバラバラになり、何もかも以前とは変わってしまったことに気づく。
 トロント国際映画祭2013 CONTEMPORARY WORLD CINEMA部門出品。
 BFIロンドン映画祭2013 オフィシャル・コンペティション部門出品。
 アブダビ国際映画祭2013 ナラティヴ長編コンペティション部門出品。

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 ◆スペシャル・メンション
 ◎Ghazi Albuliwi(男優) “Only in New York(Peace After Marriage”(米・仏・トルコ)(監督:Ghazi Albuliwi)

 “Only in New York(Peace After Marriage”(米・仏・トルコ) 監督:Ghazi Albuliwi
 物語:アラファトは、30代のパレスチナ人ニューヨーカーで、両親と一緒に暮らしている。彼は、結婚相手としてムスリムの女性を探すが、ニューヨークではなかなか見つけられない。彼は、ポルノ中毒を解消するために、SCA(性的強迫症者の匿名の会)に参加し、そこでケニーと出会う。ケニーは、とても話しやすく、彼のよき相談相手となる。ある夜、2人は、ナンパして、南部娘をひっかけ、アラファトは、そのうちの1人を家に連れ帰る。ところが、セックスをしている最中に、父親にみつかり、とてもバツが悪い思いをする。ケニーは、彼に家を出た方がいいとアドバイスするが、仕事もお金もなくては、それはかなわない。そこで、ケニーは、グリーンカードを欲しがっているイスラエル人女性との結婚を勧める……。
 トライベッカ映画祭2010 Tribeca All Access Creative Promise Award受賞。

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 ◆批評家賞
 ◎“Funeral at Noon(Levaya Bazaharaim)”(イスラエル) 監督:Adam Sanderson
 物語:1950年代。イスラエルの小さな村。近くには、元々はアラブ人の村で、いまではイスラエル国防軍が訓練するのに使っている場所がある。Hagar Erlichは、新婚だが、地元のコミュニティーにも、新しい生活にもなじめないでいる。彼女は、隣人の10歳の少年Yiftachと親しくなり、彼を彼女の秘密の隠れ家に招待する。そこは、彼女が好奇心から兵隊の後をつけていって見つけたところだった。Yiftachは、Hagarとのゲームに夢中になり、彼女が興味を持っていた兵隊に会えるよう手助けしたりもする。こうして2人は秘密を分かち合うようになるが、そんな2人に悲劇の影が忍び寄ってくる……。
 Yeshhayahu Korenの小説の映画化。
 監督は、父親に買ってもらったビデオで、9歳から映画を撮り始めたというAdam Sandersonで、ミュージック・ビデオの世界でキャリアを積み、3人で組んで監督した作品で長編監督デビュー。単独での監督長編はこれが初めて。
 ハイファ国際映画祭2013出品。
 サンセバスチャン国際映画祭2013 ニュー・ディレクターズ部門出品。


 ◆Filmgoers’ Award
 ◎“Only in New York(Peace After Marriage”(米・仏・トルコ) 監督:Ghazi Albuliwi

 ◆音楽賞/JAM award for best music
 ◎Wisam Gibran “Funeral at Noon(Levaya Bazaharaim)”

 ◆ヤング審査員賞(Young People’s Award)
 ◎“The Referee(L'Arbitro)”(伊・仏) 監督:Paolo Zucca
 出演:ステファノ・アルコシ、Geppi Cucciari、Jacopo Cullin、マルコ・メッセーリ(Marco Messeri)、Benito Urgu、フランチェスコ・パノフィーノ(Francesco Pannofino)、アレッシオ・ディ・クレメンテ(Alessio Di Clemente)
 物語:サルジニアの強豪Atletico Bonacattuが、サッカーリーグの第3層で低迷して、やり手のコーチBraiが率いるSant´Andriaに敗北する。Atletico Bonacattuは、若き移民Matzutziをリクルートして、盛り返し、両チームは一進一退を繰り返すようになる。しかし、国際試合でも活躍する野心的な審判が、驚くべき不快な判定を下す……。
 ベネチア・デイズ部門出品。
 釜山国際映画祭2013 フラッシュ・フォワード部門出品。


 [その他のエントリー作品]

 ・“Stockholm”(西) 監督:Rodrigo Sorogoyen

 ・“One Shot(Hitac)”(クロアチア) 監督:Robert Orhel

 ・“September”(ギリシャ・独) 監督:Penny Panayotopoulou

 ・“Ladder to Damascus(Soullam Ila Dimashk)”(レバノン・シリア・カタール) 監督:Mohamed Malas

 ・“Girafada”(パレスチナ・仏) 監督:Rani Massalah

 ・“The Impeccables(Kusursuzlar)”(トルコ) 監督:Ramin Matin

 ・“Paradjanov”(ウクライナ・仏・グルジア・アルメニア) 監督:Serge Avédikian、Olena Fetisova

 ・“They Are the Dogs(C'est eux les chiens)”(モロッコ) 監督:Hicham Lasri

 【ドキュメンタリー・コンペティション部門】

 ※審査員:Dominique Tiberi(フランスのプロデューサー)、Bernard Bouthier(フランスの監督/プロデューサー)、Angelo Caperna(フランスの監督)

 ◆最優秀ドキュメンタリー賞/Ulysses Award
 ◎“Camera/Woman”(モロッコ) 監督:Karima Zoubir
 Khadijaは、11歳の息子を持つ出戻りのバツイチで、カサブランカで結婚式専門のカメラマンをしている。結婚式やパーティーが続いて、朝帰りにあることもあり、家族は、彼女にそんな仕事はやめてほしいと考えているが、Khadijaは引き下がらない。モロッコの保守的なコミュニティーでは、女性が外で働くことはいまだにタブーになっている。しかし、その一方で、自分の娘の結婚式に写真を撮って欲しいという家族は多く、彼女のような女性カメラマンには大きな需要がある。華やかな結婚式とは対照的に、離婚や強制結婚という現実があり、また、自由と独立を求める彼女にも、伝統的な価値観は重くのしかかってくる。Khadijaには、同じバツイチのBouchraという友人がいて、結婚に関して、そして、男性とは対等に働けない社会について、率直に話す。
 アムステルダム国際ドキュメンタリー映画祭2012出品。
 クラクフ映画祭2013 インターナショナル・ドキュメンタリー・コンペティション 中編部門出品。

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 ◆スペシャル・メンション
 ◎“The Search for Emak Bakia(Emak Bakia baita)”(西) 監督:Oskar Alegria
 マン・レイには、『エマク・バキア』“Emak Bakia”という1926年にバスク地方で撮られた詩的な作品がある。しかし、「アマク・バキア」が何を意味するのかははっきりとはわかっていない。ビアリッツ墓地にある墓碑銘だという噂もあれば、当時、彼が暮らした家の名前だという説もある。監督のOskar Alegriaは、「アマク・バキア」の真実を探るために、あえて遠回りする。ピエロから出版人、ビンテージものを扱う衣料品店から古い写真まで、関係のありそうなものをかたっぱしから調べてまわる。そうして1つのジャンルにとどまることなく活躍したアーチスト、マン・レイの伝説に迫る。
 エジンバラ国際映画祭2012 インターナショナル長編コンペティション部門出品。
 サンセバスチャン国際映画祭2012 Zabaltegi-Specials部門出品。
 サンフランシスコ国際映画祭2013 ゴールデンゲート長編ドキュメンタリー・コンペティション部門出品。
 シドニー映画祭2013インターナショナル・ドキュメンタリー部門出品。

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 [その他のエントリー作品]

 ・“The Shebabs of Yarmouk(Les Chebabs de Yarmouk)”(仏) 監督:Axel Salvatori-Sinz

 ・“Kelly”(仏) 監督:Stéphanie Régnier

 ・“At(h)ome”(仏 監督:Élisabeth Leuvrey

 ・“My Father, the Revolution and Me(Mon père, la révolution et moi)”(スイス) 監督:Ufuk Emiroglu

 ・“In Utero Srebrenica(In Utero Srebrenica)”(ボスニア ヘルツェゴビナ・伊) 監督:Giuseppe Carrieri

 ・“To the Wolf”(ギリシャ・仏・英) 監督:Aran Hughes, Christina Koutsospyrou

 ・“The Lab(Hamaabada)”(イスラエル・仏・ベルギー) 監督:Yotam Feldman

 ・“Mohammad Saved from the Waters(Mohammad sauvé des eaux)”(仏・エジプト) 監督:Safaa Fathy

 【短編コンペティション部門】

 ※審査員:Fabienne Aguado (フランスのCentre des écritures cinématographiquesの芸術監督)、Basak Emre(トルコの映画祭ディレクター/プロデューサー)、ロラン・フィロード(Laurent Firode:フランスの脚本家/監督)、Ibrahim Letaief(チュニジアの脚本家/監督/プロデューサー)、Chadi Zeneddine(レバノンの脚本家/監督/映画祭プログラマー)

 ◆グランプリ
 ◎“Wild Haggis(Gambozinos)”(ポルトガル・仏) 監督:João Nicolau

 ◆スペシャル・メンション
 ◎“Jump(Skok)”(ブルガリア) 監督:Petar Valchanov, Kristina Grozeva

 ◆Filmgoers’ Award
 ◎“Wooden Hand(Yed Ellouh)”(チュニジア・仏) 監督:Kaouther Ben Hania

 ◆ヤング観客賞(Young Audience Award)
 ◎“Way of the Danube(Calea Dunarii)”(ルーマニア) 監督:Sabin Dorohoi

 ◆Cinecourts Award
 ◎“Welcome and… Our Condolences”(イスラエル) 監督:Leonid Prudovsky

 ◆Canal+ Award
 ◎“The Pill of Happiness(Pastila fericirii)”(ルーマニア) 監督:Cecilia Felmeri

 [その他のエントリー作品]

 ・“Crossbow Killer(Loco con ballesta)”(西) 監督:Kepa Sojo

 ・“Democracy(Democracia)”(西) 監督:Borja Cobeaga

 ・“Les Oliviers”(仏) 監督:Joël Brisse

 ・“Beauduc”(仏) 監督:Laurent Teyssier

 ・“Zakaria”(仏) 監督:Leyla Bouzid

 ・“Houses with Small Windows”(ベルギー) 監督:Bülent Öztürk

 ・“The Uranians(Gli Uraniani)”(伊) 監督:Gianni Gatti

 ・“Little Darling(Balavica)”(クロアチア) 監督:Igor Mirkovic

 ・“Running Dry…(Agonas dromou)”(ギリシャ) 監督:Dimitra Nikolopoulou

 ・“A Day in 59(Une journée en 59)”(レバノン) 監督:Nadim Tabet

 ・“Summer Vacation(Chofesh Gadol”(イスラエル) 監督:Sharon Maymon, Tal Granit

 ・“Condom Lead”(パレスチナ) 監督:Arab Nasser, Tarzan Nasser

 ・“Take a Deep Breath(Derin Nefes Al)”(トルコ) 監督:Basak Buyukcelen

 ・“Dinola”(グルジア) 監督:Mariam Khatchvani

 ・“Another Ordinary Day(Youm aadi)”(アルジェリア) 監督:Bahia Allouache

 【製作助成】 (Development Grants)

 ◆€7,000 grant(funded by フランス国立映画センター)
 ◎プロジェクト(パレスチナ) 監督:Arab & Tarzan Nasser プロデューサー:Rashid Abdelhamid

 ◆€7,000 grant(funded by フランコフォニー国際機関)
 ◎“Marocco Transfert”(仏・ベルギー・モロッコ) 監督:Rodrigo Litorriaga プロデューサー:François d’Artemare 製作:Les Films de l’Après-Midi

 ◆€4,000 grant(funded by ランドック=ルシヨン地域圏)+€5,500(技術支援 by Éclair Group)
 ◎“La Folie”(トルコ・仏・独) 監督:Emin Alper プロデューサー:Pierre-Emmanuel Fleurantin 製作:Paprika films 共同製作:Bulut Film

 ◆€3,000 grant(funded by the Association Beaumarchais)
 ◎“Tant que le ciel le permet”(アルメニア・仏) 監督:Tamara Stepanyan

 ◆脚本研修(by the Centre des écritures cinématographiques Le Moulin d’Andé)
 ◎“Venise”(グルジア・仏) 監督・プロデューサー:Rusudan Chkonia

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 *当ブログ記事

 ・モンペリエ地中海映画祭2012 受賞結果:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201211/article_15.html
 ・モンペリエ地中海映画祭2010 受賞結果:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201011/article_8.html
 ・モンペリエ地中海映画祭2009 受賞結果:http://umikarahajimaru.at.webry.info/200911/article_40.html

 ・映画賞&映画祭カレンダー 2013年5月~12月:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201305/article_9.html

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