『そして父になる』、またも受賞! バンクーバー国際映画祭2013 受賞結果!

 第32回バンクーバー国際映画祭(9月26日-10月11日)の各賞が発表されました。

 バンクーバー国際映画祭は、トロント国際映画祭、モントリオール世界映画祭に次ぐ、カナダで三番目に大きな国際映画祭で、それら2つの映画祭と1ヶ月と空けずに開催される映画祭でありながら、独自の差別化を図って、それらと勝るとも劣らぬ個性的な映画祭として頑張っている映画祭です。

 特徴としては、トロントやモントリオールよりは、地元カナダ映画の上映に力を入れていること(カナディアン・イメージ部門)、まとまった形で最新のアジア映画を紹介していること(ドラゴンズ&タイガース部門)、そして、100本近いドキュメンタリー作品を複数の部門(Nonfiction Features部門、Arts and Letters部門)に分けて上映していることでしょうか。

 そのほかには、常設部門として、ワールド・シネマを上映する「我らの時代の映画」(Cinema of Our Time)部門や、最新フランス映画を上映する「スポットライト・オン・フランス」部門などがあります。

 本年度の受賞結果は以下の通り。

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 【審査員賞】

 ◆最優秀カナダ映画賞(Award for Best Canadian Feature Film)
 ◎“Rhymes for Young Ghouls”(カナダ) 監督:Jeff Barnaby [カナディアン・イメージ部門]
 物語:1976年、レッド・クロウ居留地のインディアンにも、18歳未満であれば、学校に通うように法令で定められる。学校は、寄宿制で、インディアンにとって監獄のようなものであり、学校を運営する「ポッパー」が、サディスティックに、自分の意のままにしていた。15歳のアイラは、レッド・クロウにおける雑草の中のプリンスで、叔父のバーナーとともに麻薬を商って、そのお金でポッパーに「不登校税」を払い、登校を免れていた。しかし、売上金が盗まれ、父も刑務所から出所することになって、いままで通りというわけにはいかなくなる。逃げるか、闘うか。彼女は、闘う覚悟を決める。
 トロント国際映画祭2013 DISCOVERY部門出品。

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 ◎“That Burning Feeling”(カナダ) 監督:Jason James [カナディアン・イメージ部門]
 物語:アダム・マーフィーは、ガールフレンドも家庭も仕事もダメになり、文字通り、下着姿で噴水に飛び込むような気持ちで、自分を変えようと決心する。そして、50のチャレンジや50の冒険、アダム2.0になるための50のステップというリストを作る。手始めに、デートからスタートさせるが、そこで思ってもみない頂き物をもらう。淋病というありがたくない頂き物を。一夜の相手として思い浮かぶのはリヴだった。彼女は、彼がアダム2.0に変わろうとするのに、妙に理解があり、協力的だった。アダムは、彼女に対する自分の気持ちが高まりつつあることもあり、彼女と寝たことでどういう結果を招いたか、後になればなるほど話せなくなっていく。彼は、自分を変えたいと奮起したが、結果的に確かに変わることにはなった。彼にこれまでの償いを求めるような形で……。

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 ◆ドラゴンズ&タイガース賞/最優秀アジア映画賞(Dragons & Tigers Award for Young Cinema)
 ◎『山守クリップ工場の辺り』“Anatomy of A Paper Clip”(日) 監督:池田暁

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 [その他のノミネート作品]
 ・“The Spider's Lair”(フィリピン) 監督:Jason Paul Lazamana
 ・“Four Ways To Die In My Hometown(我故郷的四種死亡方式)”(中) 監督:Chai Chunya(柴春芽)
 ・“Trap Street(水印街)”(中) 監督:Vivian Qu(文晏)
 ・“Burn, Release, Explode, The Invincible”(韓) 監督:Kim Soohyun
 ・“9 Muses of Star Empire”(韓) 監督:Lee Harkjoon
 ・『はつ恋』“My First Love”(日) 監督:鶴岡慧子

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 ※審査員:Geoff Gardner(元メルボルン国際映画祭 ディレクター)、Adam Cook(バンクーバーの映画批評家)、Tom Charity(Time Out Londonの編集者)
 プログラマーはトニー・レインズ。

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 ◆カナダ短編映画 有望監督賞(Most Promising Director of a Canadian Short Film Award)
 ◎“Nathan”(カナダ) 監督:Mathieu Arsenault [カナディアン・イメージ部門]
 物語:5歳の息子を怒らせてしまい、大人になりきれないパパは、人生の岐路に立たされる。彼は、息子に、自分が父親であることを身をもって証明しなければならない。

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 【観客賞】

 ◆ロジャース・ピープルズ・チョイス賞(Rogers People’s Choice Award)
 ◎『そして父になる』(日) 監督:是枝裕和 [ドラゴンズ&タイガース部門]

 ◆観客賞 カナダ映画部門(VIFF Most Popular Canadian Film Award)
 ◎“Down River”(カナダ) 監督:Ben Ratner [ガラ部門]
 物語:才能はあるが、自分に自信がない女優フォウンと、自己破綻と自己発見の間でゆれるロックシンガーのハーパーと、スカトロジー・アーティストのアキは、同じ建物に住んでいる。彼らは、カリスマティックで気遣いのできる女性パールに、何くれとなく面倒をみてもらっていたが、突然彼女がいなくなって、人生に対する不安や恐れで途方に暮れてしまう。

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 ◆観客賞 カナダ・ドキュメンタリー部門(VIFF Most Popular Canadian Documentary Award)
 ◎“When I Walk”(カナダ・米) 監督:Jason DaSilva [カナディアン・イメージ部門]
 Jason DaSilvaは、25歳の時に、複合性硬化症と診断される。それまでドキュメンタリーの監督として世界中を飛び回っていた彼は、誰かの助けがなければ、もう歯磨きすらできない。以来7年。彼は、カメラを自分に向けて、この病気と闘う自分を撮影し、ドキュメンタリーを作り続けたいという強い意志で、この映画を完成させた。
 サンダンス映画祭2013 ドキュメンタリー・プレミア部門出品。
 HotDocsカナディアン国際ドキュメンタリー映画祭2013 最優秀カナダ長編ドキュメンタリー賞受賞。

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 ◆観客賞 インターナショナル・ドキュメンタリー部門(VIFF Most Popular International Documentary Film Award)
 ◎“Desert Runners”(米) 監督:Jennifer Steinman [Nonfiction Features部門]
 アタカマ砂漠、ゴビ砂漠、サハラ砂漠、南極砂漠。乾燥していて、風も強く、気象条件も厳しいこれらの地域で開催されている「砂漠マラソン」と、そこに参加するノン・プロフェッショナルのアスリートたちの姿を追う。

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 ◆観客賞 カナダ環境ドキュメンタリー部門(VIFF Most Popular Canadian Environmental Documentary Award)
 ◎“Salmon Confidential”(カナダ) 監督:Twyla Roscovich [カナディアン・イメージ部門]
 生物学者のアレクサンドラ・モートンは、天然のサーモンにヨーロッパ発祥のウィルスが広がっていて、それをブリティッシュ・コロンビア州当局が隠蔽していることを突き止める。彼女は、人里はなれた川から、食料品店やすし屋へと実態調査を進める。

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 ◆観客賞 第1回作品部門(VIFF Most Popular International First Feature Award)
 ◎“Wadjda”(独・サウジアラビア・UAE) 監督:Haifaa al-Mansour [Cinema of Our Time部門]
 物語:Wadjdaは、リヤド郊外に住む10歳の少女。彼女は、保守的な世界に住んでいるが、楽しいことが好きで、どんどん自分の行動範囲を広げている。友だちのアブドゥラとケンカした後、彼女は、素敵な緑の自転車が売られているのを見つけて、これならアブドゥラにも競争で勝てると考える。しかし、お母さんは自転車を買うことを許してくれない。それは、自転車に乗ることが、少女としての美徳に反していて、そのことで世間から非難を浴びるのが怖かったからだ。それでも、Wadjdaはあきらめずに、自分でお金を貯めて買おうと考える。お母さんは、夫が二番目の妻をもらおうとしているのに気を取られてWadjdaが何をしようとしているのかに気づかない。Wadjdaは、頑張ってお金を貯めようとするが、学校の行事が忙しくて、なかなかお金が貯まらない。そんな時、コーランの朗読大会があることを知る。彼女は、その賞金があれば自転車が買えると考えて、一所懸命にコーランの暗記と朗読に励んでいく……。
 ベネチア国際映画祭2012 Orizzonti部門出品。C.I.C.A.E.賞、他受賞。
 BFIロンドン映画祭2012 第1回作品コンペティション部門出品。
 ドバイ国際映画祭2013 アラブ長編コンペティション部門出品。作品賞受賞。
 ロッテルダム国際映画祭2013 The Dioraphte Award for best Hubert Bals受賞。
 ヨーテボリ国際映画祭2013出品。観客賞受賞。
 トランシルヴァニア国際映画祭2013 コンペティション部門出品。観客賞受賞。
 シドニー映画祭2013 オフィシャル・コンペティション部門出品。
 カルロヴィ・ヴァリ国際映画祭2013 アナザー・ビュー部門出品。
 ロサンゼルス映画祭2013 観客賞 インターナショナル長編部門 受賞。
 ナンタケット映画祭2013 フィーチャー・フィルムズ部門出品。
 米国アカデミー賞外国語映画賞2014 サウジアラビア代表。


 ◆映画・TVにおける女性たち バンクーバー・アーティスティック・メリット賞(Women in Film & Television Vancouver Artistic Merit Award)
 ◎“Sarah Prefers to Run”(カナダ) 監督:Chloé Robichaud [カナディアン・イメージ部門]
 物語:サラは、中距離の若いランナーである。彼女の家は、ケベック・シティーの近くにあるが、そこから遠く離れたモントリオールの大学のクラブから来ないかと誘いを受ける。家を離れるとなれば、お金がかかるが、母からの援助は受けたくない。それなら、政府の奨学金か、ローンの方がいい。自分の選んだ道で誰にも迷惑はかけたくないのだ。彼女には、アンソニーという恋人がいるが、結婚には消極的だ。これまで20年生きてきて、いま結婚することがベストとは思えない。とにかくサラはレースが好きだ。
 初監督長編。
 カンヌ国際映画祭2013 ある視点部門出品。
 トロント国際映画祭2013 DISOVERY部門出品。
 釜山国際映画祭2013 フラッシュ・フォワード部門出品。
 BFIロンドン映画祭2013 第1回作品コンペティション部門出品。
 ワルシャワ国際映画祭2013 ディスカバリーズ部門出品。


 【ブリティッシュ・コロンビア スポットライト】

 ◆最優秀ブリティッシュ・コロンビア映画賞
 ◎“The Dick Knost Show”(カナダ) 監督:Bruce Sweeney

 ◆最優秀ブリティッシュ・コロンビア映画賞 オナラブル・メンション
 ◎“Cinemanovels”(カナダ) 監督:テリー・マイルズ(Terry Miles)

 ◆最優秀ブリティッシュ・コロンビア エマージング・フィルムメーカー賞(The BC Emerging Filmmaker Award)
 ◎“Lawrence & Holloman”(カナダ) 監督:Matthew Kowalchuk

 ◆最優秀ブリティッシュ・コロンビア エマージング・フィルムメーカー賞 オナラブル・メンション
 ◎“Down River”(カナダ) 監督:ベンジャミン・ラトナー(Benjamin Ratner)

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 『そして父になる』は、サンセバスチャン国際映画祭に続き、ここでも観客賞を受賞し、釜山国際映画祭にも出品されていた『山守クリップ工場の辺り』は、最優秀アジア映画賞に輝きました。

 ◆Facts & Figures

 ・入場者数:140000人
 ・ゲスト:600人
 ・ボランティア:750人
 ・上映本数:341本(75カ国)
 長編作品:208本
 長編カナダ映画:31本
 中編カナダ映画:6本
 短編カナダ映画:55本
 ・総上映回数:500以上
 ・スクリーン数:7劇場9スクリーン

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 *当ブログ記事

 ・バンクーバー国際映画祭2012 受賞結果:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201210/article_25.html
 ・バンクーバー国際映画祭2010 ラインナップ:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201009/article_46.html
 ・バンクーバー国際映画祭2010 受賞結果:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201010/article_27.html
 ・バンクーバー国際映画祭2009 ラインナップ その1:http://umikarahajimaru.at.webry.info/200911/article_35.html
 ・バンクーバー国際映画祭2009 ラインナップその2&受賞結果:http://umikarahajimaru.at.webry.info/200911/article_36.html

 ・映画賞&映画祭カレンダー 2013年5月~12月:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201305/article_9.html

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