フランドル映画賞 The Ensor Awards 2013 発表!

 ベルギーのフランドル映画の映画賞であるThe Ensor Awardsが発表されました。

 この賞は、ベルギーのオステンデで開催されているオステンデ映画祭(Filmfestival van Oostende)で発表されるもので、オステンデ映画祭は今年で第7回を迎えています。(9月6日-14日)

 今回の各賞の結果は、以下の通りです。

 ※The Ensor Awardsは、アカデミー賞のように同業者の投票により選ばれる映画賞ではなく、選出された少数の審査員によって決定される映画賞です。

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 ◆作品賞(Beste Film)
 ◎“The Broken Circle Breakdown”(ベルギー)(監督:Felix Van Groeningen)
 ・“Kid”(ベルギー・オランダ・独)(監督:Fien Troch)
 ・“Offline”(ベルギー)(監督:Peter Monsaert)

 ◆監督賞(Beste Regie)
 ◎Felix Van Groeningen “The Broken Circle Breakdown”
 ・Peter Monsaert “Offline”
 ・Patrice Toye “Little Black Spiders”(ベルギー)

 ◆主演男優賞(Beste Acteur)
 ・Johan Heldenbergh “The Broken Circle Breakdown”
 ◎Wim Willaert “Offline”
 ・Bent Simons “Kid”

 ◆主演女優賞(Beste Actrice)
 ◎Veerle Baetens “The Broken Circle Breakdown”
 ・アネモネ・ファルケ(Anemone Valcke) “Offline”
 ・Charlotte De Bruyne “Little Black Spiders”

 ◆助演男優賞(Beste Acteur In Een Bijrol)
 ・Mathijs Scheepers “Brasserie Romantiek”(ベルギー)(監督:Joël Vanhoebrouck)
 ◎Mourade Zeguendi “Offline”
 ・Manou Kersting “Crimi Clowns”(ベルギー)(監督:Luk Wyns)

 ◆助演女優賞(Beste Actrice In Een Bijrol)
 ◎バーバラ・パラフィアン(Barbara Sarafian) “Brasserie Romantiek”
 ・Marjan De Schutter “Little Black Spiders”
 ・Ineke Nijssen “Little Black Spiders”

 ◆脚本賞(Beste Scenario)
 ・カール・ヨース(Carl Joos)、Felix Van Groeningen “The Broken Circle Breakdown”
 ◎Dominique Willaert、Peter Monsaert、Tom Dupont “Offline”
 ・Ina Vandewijer、Patrice Toye “Little Black Spiders”

 ◆撮影監督賞(Beste D.O.P)
 ◎Rubens Impens  “The Broken Circle Breakdown”
 ・Hans Bruch Jr. “Het Vijfde Seizoen(The Fifth Season)”(ベルギー・オランダ・仏)(監督:Peter Brosens、Jessica Woodworth)
 ・Richard Van Oosterhout “Little Black Spiders”

 ◆編集賞(Beste Montage)
 ◎ニコ・ルーネン(Nico Leunen) “The Broken Circle Breakdown”
 ・Alain Dessauvage “Offline”
 ・ニコ・ルーネン(Nico Leunen) “Kid”

 ◆美術賞(Beste Art Direction)
 ◎Kurt Rigolle “The Broken Circle Breakdown”
 ・フィンセント・デ・パーテル(Vincent De Pater) “Little Black Spiders”
 ・クルト・ローエンズ(Kurt Loyens) “Frits En Franky(Fritz & Franky)”(ベルギー)(監督:Marc Punt)

 ◆衣裳賞(Beste Kostuum)
 ◎Ann Lauwerys “The Broken Circle Breakdown”
 ・ヤン・タックス(Yan Tax) “Little Black Spiders”
 ・Judith Van Herck “Kid”

 ◆音楽賞(Beste Muziek)
 ◎Bjorn Eriksson “The Broken Circle Breakdown”
 ・John Parish “Little Black Spiders”
 ・センヤン・ヤンセン(Senjan Jansen) “Kid”

 ◆新人賞(Beste Debuut)
 ◎Charlotte De Bruyne “Little Black Spiders”
 ・Line Pillet “Little Black Spiders”
 ・Bent Simons “Kid”

 ◆短編映画賞(Beste Kortfilm)
 ◎『死の影』“Dood van een Schaduw(Death of A Shadow)”(ベルギー・仏) 監督:Tom van Avermaet
 ・“Tweesprong”(ベルギー) 監督:Wouter Bovijn
 ・“Mont Blanc”(ベルギー・スイス) 監督:Gilles Coullier

 ◆短編アニメーション賞(Beste Kortfilm animatie)
 ◎“Betty’s Blues” 監督:Rémi Vandenitte

 ◆ドキュメンタリー賞(Beste Documentaire )
 ・“The Art of Becoming”(ベルギー・トルコ) 監督:Hanne Phlypo
 ・“Dry Branches of Iran”(ベルギー) 監督:Daniel Lambo
 ◎“The Sound of Belgium”(ベルギー) 監督:Jozef Devillé

 ◆共同製作賞(Beste Coproductie)
 ◎『タンゴ・リブレ 君を想う』“Tango Libre”(仏・ベルギー・ルクセンブルク) 監督:フレデリック・フォンテーヌ(Frédéric Fonteyne)
 ・“Le Sac De Farine”(ベルギー・モロッコ) 監督:Kadija Leclere
 ・“Le Monde Nous Appartient(The World Belongs to Us)”(ベルギー・仏・オランダ) 監督:Stephan Streker

 ◆インダストリー賞(Industry Award voor beste film)
 ◎“The Broken Circle Breakdown”

 ◆フランドル・コミュニティー賞(Prijs van de Vlaamse Gemeenschap)
 ◎ニコ・ルーネン(Nico Leunen)
 ニコ・ルーネンは、“The Broken Circle Breakdown”や“Kid”などを手がける映画編集者。

 ※(公式サイトでは)短編アニメーションにはノミネーションは発表されていません。

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 主な作品のノミネーション&受賞結果は以下の通り。

 ・“Little Black Spiders”(0/11):監督・主演女優・助演女優・助演女優・脚本・撮影・美術・衣裳・音楽・新人・新人
 ・“The Broken Circle Breakdown”(8/10):作品・監督・主演男優・主演女優・脚本・撮影・編集・美術・衣裳・音楽
 ・“Offline”(3/7):作品・監督・主演男優・主演女優・助演男優・脚本・編集
 ・“Kid”(0/6):作品・主演男優・編集・衣裳・音楽・新人
 ・“Brasserie Romantiek”(1/2):助演男優・助演女優
 ・“Crimi Clowns”(0/1):助演男優
 ・“Het Vijfde Seizoen”(0/1):撮影
 ・“Frits En Franky”(0/1):美術

 結果は、“The Broken Circle Breakdown”がノミネートされていた10部門のうち8部門を制して、圧勝となりました。
 “The Broken Circle Breakdown”は、2012年10月10日にベルギーで公開されて、ベルギー国内で40万人、フランスで10万人を動員し、2012年のベルギーのボックスオフォスでは、ハリウッド映画ばかりの中で12位に食い込む大ヒットとなっています。
 ベルギーの人口が日本の10分の1しかいないことを考えると、ヒットの度合いがいかに凄いかがわかります。
 日本でもなんらかの形で紹介されてもよさそうですが、どうでしょうか。

 なお、オステンデ映画祭もThe Ensor Awardsも、まだ7回目という歴史の浅い映画祭・映画賞ですが、これは、1993年に、ベルギーが、ワロン語圏とフラマン語圏に分かれて、連邦制となったこととおそらく無縁ではなく、フラマン語圏=フランドルを盛り上げるべく、ナショナリスティックなイベントとして始められたものの1つなのだろう、と考えられます。

 “The Broken Circle Breakdown”(ベルギー) 監督:Felix Van Groeningen
 物語:ディディエは、ブルーグラス・バンドでバンジョーを弾き、ベルギー国内をキャラバンでまわっている。彼にとって、「自由の国」アメリカは理想の国だ。エリーゼは、タトゥー・パラーを開いている。彼女も、自分の体にもたくさんのタトゥーを入れているが、それぞれその当時につきあった相手にちなんだもので、別の相手を付き合う時に、名前だけは消している。ディディエとエリーゼは、全くタイプが異なるのに、一目ぼれで恋に落ちる。彼が話をし、彼女が聞く。彼はロマンチックな無神論者で、彼女は信仰心の篤い現実主義者だ。まもなく2人の生活はからみあい、エリーゼはディディエのバンドで歌うようになる。結婚し、ちいさなメイベルが生まれる。彼らは、古い田舎家を改装して、そこで幸福に満ちた生活を始める。やがてメイベルが病気になった時、彼らの愛が試されることになる。
 Johan Heldenberghの同名の舞台の映画化。
 ベルリン国際映画祭2013パノラマ部門出品。Label Europa Cinemas受賞、観客賞1位。
 トライベッカ映画祭2013 ワールド・ナラティヴ・コンペティション部門出品。女優賞(Veerle Baetens)・脚本賞受賞。
 シドニー映画祭2013 オフィシャル・コンペティション部門出品。
 カルロヴィ・ヴァリ国際映画祭2013「ヴァラエティー」誌による、観るべきヨーロッパの10人の監督たち。
 パリ映画祭2013 クロージング作品。
 ラックス賞2013 ノミネート。
 ヨーロッパ映画賞2013 オフィシャル・セレクション。


 “Little Black Spiders”(ベルギー) 監督:Patrice Toye
 物語:1978年のベルギー。カーチャやロキシーや同世代の女の子たちは、まだ愛には未熟だが、母親になろうとしていた。彼女たちは、こっそりと赤ん坊を生んで、このことを秘密にしてしまおうとしていたが、カーチャだけは違った考えを持っていた。というのも、カーチャ自身が孤児だったからだ。彼女は自分の赤ん坊が欲しかった。彼女たちは、この奇妙なゲームの間、喜びと悲しみを分かち合い、友情を深めた。ところが、カーチャは、尼僧が彼女たちの影で計画していることに気づき、このままにしておくわけにはいかないと考える……。
 モントリオール世界映画祭2012 フォーカス・オン・ワールド・シネマ部門出品。
 バリャドリッド国際映画祭2012 オフィシャル・セレクション出品。

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 “Offline”(ベルギー) 監督:Peter Monsaert
 物語:ルビーは、40代で、洗濯機の修理工だったが、いまは失業していた。なんとかして人生を立て直そうとするが、自身の過去に足元をすくわれる。ところが、インターネットを通して、チャンスが巡ってきて、彼に転機が訪れる。
 バリャドリッド国際映画祭2012 ミーティング・ポイント部門出品。

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 “Kid”(ベルギー・オランダ・独) 監督:Fien Troch
 物語:7歳の少年と兄が、母親と一緒に、小さな町の郊外にある農場で暮らしている。父親は、数年前に彼らを捨て、彼らは自分たちだけで生活していかなければならなくなる。そしてついに破綻し、兄弟は伯父さん夫婦のところに預けられる。2人の、母と一緒に暮らしたいという思いが募っていく。
 ゲント国際映画祭2012 インターナショナル・コンペティション部門出品。スペシャル・メンション受賞。
 テッサロニキ国際映画祭2012オープン・ホライズンズ部門出品。
 ロッテルダム国際映画祭2013スペクトラム部門出品。
 パリ映画祭2013 学生審査員賞受賞。

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 【LOOK】

 オステンデ映画祭にはコンペティション部門はありませんでしたが、今回から、LOOKという部門が新設され、審査&賞の授与が行なわれるようになりました。

 この部門は、映画のビジュアル要素、すなわち、撮影、美術、衣裳、メイキャップ、視覚効果という5つのカテゴリーに関して、作品を審査し、最も優れた作品に賞を贈るというもので、審査は、審査員と観客の投票によって行なわれます。

 今回のエントリー作品は以下の6作品で、その中から“In Bloom”が最優秀作品に選ばれました。

 ・『ボーグマン』(オランダ) 監督:アレックス・ファン・ヴァーメルダム
 ・“La Grande Bellezza ism Filmclub 62(The Great Beauty)”(伊・仏) 監督:パオロ・ソレンティーノ
 ・“Circles”(セルビア・独・仏・スロヴェニア・クロアチア) 監督:Srdan Golubovic
 ◎“In Bloom”(グルジア・独・仏) 監督:Nana Ekvtimishvili、Simon Groß
 ・“The Rocket”(オーストラリア) 監督:Kim Mordaunt
 ・“Promised Land”(米・UAE) 監督:ガス・ヴァン・サント

 “In Bloom(Grzeli nateli dgeebi)”(グルジア・独・仏) 監督:Nana Ekvtimishvili、Simon Gross
 物語:ソ連が崩壊して数年経ったグルジアのトビリシ。エカとナティアは、仲良しの10代の少女。ナティアの家は、父親が刑務所に入っていて、母と姉とで暮らしている。母の戸棚には、大切にしまわれている箱があって、その中には、手紙とソ連時代のパスポートと意味ありげなタバコが入っている。一方、エカの家は、アル中で口うるさい父親がいて、いつも騒々しい。エカには、彼女のことが好きな男の子が2人いて、1人はハンサムなラドで、もう1人は、悪い仲間とつるんでいるコテ(Kote)だ。コテは、エカをさらい、強引に妻にしようとする。コテがラドを殺した時、エカとナティアは、運命の選択を迫られる。エカには、ラドから預かった1発の銃弾が入った銃があった……。
 ベルリン国際映画祭2013 フォーラム部門出品。C.I.C.A.E.賞受賞。
 香港国際映画祭2013 ヤング・シネマ・コンペティション部門出品。グランプリ受賞。
 パリ映画祭2013 Graziaマガジン賞受賞。
 オデッサ国際映画祭2013 演技賞受賞。
 ラックス賞2013 オフィシャル・セレクション。
 サラエボ映画祭2013 長編コンペティション部門出品。グランプリ受賞。
 ヨーロッパ映画賞2013 オフィシャル・セレクション。
 米国アカデミー賞2014 外国語映画賞 グルジア代表。

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 公式サイトでは、ヨーロッパでは類を見ないとてもユニークな賞であると自画自賛していますが、それぞれの部門ごとに審査するならともかく、演出や脚本、俳優のパフォーマンスなどを切り離して、ビジュアル面だけで作品を評価できるものなのかどうか、ちょっと難しいような気がしますね。最終的には、ただの観客賞と変わらない賞になってしまうような印象を持ちましたが、そんなこともないんでしょうか。
 意義がある賞だと認められれば、来年以降、長く続いていく賞になると想いますが、まあ、これから5年間は様子見、というところでしょうか。

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 *当ブログ記事

 ・映画賞&映画祭カレンダー 2013年5月~12月:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201305/article_9.html

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