詳細! ベネチア国際映画祭2013 コンペティション部門!

 第70回ベネチア国際映画祭 コンペティション部門のラインナップが発表されました。(7月25日)

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 【第70回ベネチア国際映画祭 コンペティション部門】

 ・“Philomena”(英) 監督:スティーヴン・フリアーズ
 出演:ジュディー・デンチ、スティーヴ・クーガン
 物語:Philomena Leeは、結婚に破綻して、アイリッシュ・カトリックのコミュニティーに入り、残された息子をアメリカに養子に出す。教会のきまりで、養子に出した息子の行方は捜さないという契約書にサインする。数年後、彼女は、イングランドで家族をもうける。しばらくして、彼女はBBCの特派員Martin Sixsmithと出会い、一度は手放した息子の行方を2人で捜すことになる。
 BBCの特派員Martin Sixsmithが2009年に発表した“The Lost Child of Philomena Lee”に基づいて映画化した作品。
 [3大映画祭との関わり]
 1987年 『プリック・アップ』:カンヌ
 1993年 『靴をなくした天使』:ベルリン(パノラマ部門)
 1996年 『ジキル&ハイド』:ベルリン
 1997年 『スティーヴン・フリアーズのザ・ヴァン』:カンヌ
 1999年 『ハイロー・カントリー』:ベルリン ~銀熊賞受賞
 2000年 『がんばれ、リアム』:ベネチア~OCIC Award
 2002年 『堕天使のパスポート』:ベネチア~Sergio Trasatti Award
 2006年 『クィーン』:ベネチア~国際批評家連盟賞受賞
 2009年 『わたしの可愛い人 シェリ』:ベルリン
 2010年 『タマラ・ドゥルー~恋のさや当て~』:カンヌ(アウト・オブ・コンペティション部門)
 2013年 “Muhammad Ali's Greatest Fight”:カンヌ(特別上映作品)


 ・“Tracks”(英・オーストラリア) 監督:ジョン・カラン(John Curran)
 出演:ミア・ワシコウスカ、アダム・ドライヴァー
 Robyn Davidson(1950~ )が1977年に行なった冒険旅行と、彼女が書いた“Tracks”を元に映画した作品。
 物語:Robyn Davidsonは、オーストラリア中央のアリススプリングスから、4頭のラクダを連れて、砂漠地帯を横切って、オーストラリアを横断する計画を立てる。そのために、2年かけて、ラクダを調教し、砂漠地帯でのサイバイバル術も身につける。また、アリススプリングスに住む「ナショナル・ジオグラフィック」誌のカメラマン、Rick Smolanと知り合い、彼とロマンチックな関係を築く。そして、1977年、1頭の犬と、4頭のラクダを連れた彼女は、9ヶ月かけて、1700マイルものトレッキングを成功させる。旅の間に、Rickは、3度彼女を訪ねて、撮影を行ない、その様子は、1978年の「ナショナル・ジオグラフィック」誌に掲載された。彼女の残した記録は、単なる冒険旅行にとどまらず、アボリジニの生活を伝える社会人類学的な価値をも持つものと見なされている。
 [3大映画祭との関わり]
 初めて。


 ・“The Zero Theorem”(英・米) 監督:テリー・ギリアム
 出演:クリストフ・ヴァルツ、マット・デイモン、メラニー・ティエリー、デイヴィッド・シューリス、Lucas Hedges、ベン・ウィショウ、ティルダ・スウィントン
 物語:Qohen Leth(クリスト・ヴァルツ)は、風変わりで、引きこもりがちだが、コンピュータに関しては天才で、実存的な不安を抱えながら、ジョージ・オーウェル的な企業的社会で暮らしている。命令は、「マネージメント」と呼ばれる影の人物から下されるが、新しく「マネージメント」から“Zero Theorem”を解くように命じられる。“Zero Theorem”は、人生には価値があるかどうかを決定づける数学的な演算のようなものだった。彼は、焼け落ちたチャペルを家代わりにしていたが、そこに魅力的な女性Bainsleyと。「マネージメント」の10代の息子ボブがやってきて、彼の邪魔をする。
 [3大映画祭との関わり]
 1991年 『フィッシャー・キング』:ベネチア~銀獅子賞、Little Golden Lion、Pasinetti Award(女優賞(マーセデス・ルール))受賞
 1996年 『12モンキーズ』:ベルリン~Reader Jury of the "Berliner Morgenpost"第3席
 1998年 『ラスベガスをやっつけろ』:カンヌ
 2005年 『ブラザーズ・グリム』:ベネチア
 2009年 『Dr.パルナサスの鏡』:カンヌ(アウト・オブ・コンペティション部門)


 ・“Under The Skin”(英・米) 監督:ジョナサン・グレイザー(Jonathan Glazer)
 出演:スカーレット・ヨハンソン、アントニア・キャンベル=ヒューズ、ポール・ブラニガン、クリシュトフ・ハーディック(Krystof Hádek)、Robert J. Goodwin
 物語:主人公は、人間に姿を変えたエイリアンで、彼女は、故郷の企業から地球に派遣されてきた。彼女の目的は、地球人を捕獲して、故郷に送ることだ。捕獲された地球人は、バラバラに切断されたり、太らされたりして、最終的には肉にされる。彼女の故郷は食糧が乏しくて、地球人の肉は珍味なのだ。
 Michel Faberの同名の小説の映画化。
 [3大映画祭との関わり]
 2004年に『記憶の棘』をベネチア国際映画祭コンペティション部門に出品。


 ・“La Jalousie”(仏) 監督:フィリップ・ガレル
 出演:ルイ・ガレル、アナ・ムグラリス
 物語:主人公は、30歳の舞台俳優で、女とアパートで暮らしている。彼には、別の女に産ませた娘があり、彼は狂おしいほど、その女のことを愛している。彼女は、かつては将来を期待された女優だったが、今はすっかり干されてしまっている。彼は、あらゆる手を使って、彼女のために役を手に入れようとするがうまくいかない。彼女は、彼を欺き、彼の元を去る。彼は、自殺を試みるが、失敗する。病院に妹が訪ねてくる。彼には、もう妹と舞台しかのこされていないのだ。
 *参考:https://www.facebook.com/ph.garrel#!/ph.garrel
 [3大映画祭との関わり]
 1982年 『秘密の子供』:ベルリン(フォーラム部門)
 1983年 『自由、夜』:カンヌ(Perspectives du Cinéma Français部門)~Perspectives du Cinéma Award受賞
 1989年 “Les baisers de secours(救助の接吻)”:ベネチア(Orizzonti部門)
 1991年 『ギターはもう聞こえない』:ベネチア~銀獅子賞受賞
 1999年 『夜風の匂い』:ベネチア
 2001年 『白と黒の恋人たち』:ベネチア~国際批評家連盟賞受賞
 2005年 『恋人たちの失われた革命』:ベネチア~銀獅子賞(監督賞)受賞
 2008年 『愛の残像』:カンヌ
 2011年 『灼熱の肌』:ベネチア


 ・“L'intrepido”(伊) 監督:ジャンニ・アメリオ
 出演:アントニオ・アルバネーゼ、Livia Rossi、Gabriele Rendina、アルフォンソ・サンタガータ(Alfonso Santagata)、サンドラ・チェッカレッリ(Sandra Ceccarelli)
 物語:主人公は、ミラノに住む中年男で、コックだろうと、現場作業員だろうと、働けるものなら何でもやって生活している。財政は不安定だが、情熱と威厳だけは見失わないように、懸命に生き抜こうとしている。
 [3大映画祭との関わり]
 1990年 『宣告』:カンヌ(監督週間)
 1992年 『小さな旅人』:カンヌ~審査員グランプリ、エキュメニカル審査員賞受賞
 1994年 “Lamerica”:ベネチア~金のオゼッラ賞(監督賞)、CICAE賞、OCIC賞、Pasinetti Award(作品賞)受賞
 1998年 『いつか来た道』:ベネチア~金獅子賞、Sergio Trasatti Award - Special Mention、金のオゼッラ賞(撮影賞:ルカ・ビガッツィ)受賞
 2004年 『家の鍵』:ベネチア~'CinemAvvenire' Award、Sergio Trasatti Award、Pasinetti Award(男優賞(キム・ロッシ・スチュアート)、作品賞)受賞
 2006年 “La stella che non c'è”:ベネチア~Mimmo Rotella Foundation Award受賞
 2012年 ベネチア~ピエトロ・ビアンキ賞受賞


 ・“Sacro Gra”(伊) 監督:Gianfranco Rosi
 ドキュメンタリー。GRAとは、ローマを取り囲む周囲68.2kmの無料の環状高速道路、グランデ・ラッコルド・アヌラーレ(Grande Raccordo Anulare)のこと。そこには、アスファルトが延び、荒地が広がり、街灯が立ち、目に見えないモンスターが息を潜めている。監督は、3年にわたって、ミニバンで生活しながら、このベルト地帯に住む人を取材し、物語を集めた。輝かしい未来と、そこから取り残されたものたち。空から覆いかぶさる高速雲。境界のへりでアパート暮らしをする大学の名士とその娘。「シュロ林」の手入れに余念がない人。年配のソープオペラの俳優。映画を思わせるローマの歴史的記憶。夢と名声を追う若者。陸橋からウナギ釣りをする人。これらの風景の中に、イタリアの行く末が見え隠れする。
 *参考:http://www.06blog.it/post/82733/sacro-gra-il-film-sul-raccordo-di-roma-in-concorso-a-venezia
 [3大映画祭との関わり]
 コンペティション部門出品は初めて。
 2008年 “Below Sea Level”:ベネチア(Orizzonti部門)~Doc/It Award、Orizzonti部門ドキュメンタリー賞受賞。
 2010年 “El Sicario, Room 164”ベネチア(Orizzonti部門)~国際批評家連盟賞受賞


 ・“Via Castellana Bandiera”(伊・スイス・仏) 監督:Emma Dante
 出演:Elena Cotta、Emma Dante、アルバ・ロルヴァケル、Renato Malfatti、Dario Casarolo、Carmine Maringola
 物語:日曜日の午後。南風がパレルモを吹きわたる。ロサとクララは、友人の結婚を祝うために、出かけてきたが、街中で迷子になってしまう。そこに、反対方向からサミラの運転する車がやってくる。サミラの車は女だらけの家族がすし詰め状態になっている。一方が道を譲らなければ、身動きができないが、どちらもそうしようとしない。双方が無言で向き合ったまま、飲みも食べも眠りもせずに、時間だけが過ぎ去っていく。パレルモの太陽が容赦なく照りつける。女たちの頑固さは男以上だ。それがまるで生死を分ける戦いでもあるかのように。
 *参考:http://www.mymovies.it/film/2013/viacastellanabandiera/
 [3大映画祭との関わり]
 初めて。舞台演出家Emma Danteの初監督作品。


 ・“Die Frau Des Polizisten(The Police Officer’s Wife)”(独) 監督:Philip Gröning
 出演:Alexandra Finder、David Zimmerschied、Pia Kleemann、Chiara Kleemann、Horst Rehberg、Katharina Susewind、ラルス・ルドルフ(Lars Rudolph)
 物語:若い夫婦が4歳の娘とともにドイツの小さな町に引っ越してくる。彼らは少しずつ新しい町のことを知っていくが、その一方で、警察官になった夫は、妻と娘にとって、次第に別人のように感じられてくる。 もはやなんらかの衝突は時間の問題のように思える……。
 物語は、4歳の娘クララ(実際には双子を使って撮影された)の視点で描かれ、大人が変わっていく様子が子供の目にどう映るか、そして子供の心がどのように成長していくか、が示される。撮影は、脚本なしで進められた。175分。
 *参考:http://www.ruhrnachrichten.de/nachrichten/region/hierundheute/nams/Regisseur-dreht-Kinofilm-in-Stadtlohn;art1757,952141
 [3大映画祭との関わり]
 コンペティション部門出品は初めて。
 1993年 “Die Terroristen!”:ベルリン(ニュー・ジャーマン・フィルム部門)
 2001年 “L'amour, l'argent, l'amour”:ベルリン(ニュー・ジャーマン・フィルム部門)


 ・“Miss Violence”(ギリシャ) 監督:Alexandros Avranas
 出演:Themis Panou、Eleni Roussinou
 物語:Angelikiが11歳の誕生日にバルコニーから飛び降りて死んでしまう。その顔には笑みすら浮かぶ。警察とソーシャル・サービスが、「自殺」の真相の調査に乗り出してくる。しかし、家族は事故だと主張して聞かない。家族はなぜAngelikiのことを“忘れて”、そのまま生活を続けようとするのか。手がかりは、Angelikiの弟から漏れ出してくる。何年もの間、彼らが隠してきたもの、あるいは、見ようとしなかったもの、それが明らかになれば、整理整頓された彼らの世界が崩れてしまうようなもの。家族がこのまま団結して秘密を守っていかなければ、またいつか暴力的な出来事が起こるかもしれない。
 *参考:http://plays2place.com/?portfolio=missviolence
 [3大映画祭との関わり]
 初めて。これが第2監督長編。


 ・“Ana Arabia”(イスラエル・仏) 監督:アモス・ギタイ
 出演:Yuval Scharf、サラ・アドラー(Sarah Adler)、ウーリ・ガヴリエル(Uri Gavriel)、Norman Issa、ユーセフ・アブ=ワルダ(Yussuf Abuwarda)、Shady Srur、Assi Levy
 ※ 7月26日現在、この作品については、映画祭の公式サイトに載っている情報以上の作品情報はありません。
 [3大映画祭との関わり]
 1982年 “Wadi Rushima”(1978)[短編]:ベルリン(フォーラム部門)
 1982年 “Bait”(1981):ベルリン(フォーラム部門)
 1986年 『エステル』“Esther”:カンヌ(批評家週間)
 1989年 『ベルリン・エルサレム』“Berlin-Yerushalaim”:ベネチア(非コンペ部門)~Filmcritica "Bastone Bianco" Award - Special Mention受賞
 1992年 『ラシュミア谷の人々―この20年』“Wadi 1981-1991”:ベルリン(フォーラム部門)
 1992年 『ゴーレム さまよえる魂』“Golem, l'esprit de l'exil”:ベルリン(フォーラム部門)
 1994年 “The Neo-Fascist Trilogy: I. In the Valley of the Wupper”:ベルリン(フォーラム部門)
 1995年 “Zihron Devarim”:ベネチア(非コンペ部門)
 1999年 『ヨム・ヨム』“Yom Yom”:ベルリン(フォーラム部門)
 1999年 『カドッシュ』“Kaddosh”:カンヌ
 1999年 “Zion, Auto-Emancipation”:ベネチア(非コンペ部門)~ユネスコ賞受賞
 2000年 『キプールの記憶』:カンヌ~François Chalais Award受賞
 2001年 『エデン』“Eden”:ベネチア
 2002年 『ケドマ』“Kedma”:カンヌ
 2002年 『11'09''01/セプテンバー11』:ベネチア(アウト・オブ・コンペティション部門)~ユネスコ賞受賞
 2003年 『アリラ』“Alila”:ベネチア
 2004年 『プロミスト・ランド』“Promised Land”:ベネチア
 2005年 『フリー・ゾーン』:カンヌ
 2006年 『家からの報せ、故郷からの報せ』“News from Home/News from House”:ベルリン(フォーラム部門)
 2007年 『それぞれのシネマ』:カンヌ(アウト・オブ・コンペティション部門)
 2007年 『撤退』“Disengagement”:ベネチア(特別上映作品)
 2008年 “Plus tard”:ベルリン(ベルリナーレ・スペシャル部門)
 2012年 “Lullaby to My Father”:ベネチア(アウト・オブ・コンペティション部門)

 ・“Jiaoyou (Stray Dogs/A Diary of A Young Boy/郊遊)”(台湾・仏) 監督:ツァイ・ミンリャン
 出演:リー・カンション、ルー・イーチン、Lee Yi-Cheng、Lee Yi-Chieh、チェン・シャンチー
 物語:主人公は、台北に暮らす無職の四十男で、妻に出て行かれ、10歳の息子と6歳の娘が残される。もう何ヶ月も家賃が払えず、このままでは家を追い出されてしまう。幸いにして仕事が見つかる。それは不動産のサンドイッチマンのような仕事で、近年、台北では大企業が土地を買い上げて、贅沢なコンドミニアムを建てるというのが流行っていて、そこからそんな仕事も派生してできたのだ。実際に彼がやることは、普通の人が休みになる週末に8時間、不動産の広告ボードを持って、立ちんぼをすることで、それで30ドルもらい、そこから斡旋業者に6ドル支払うのだ。
 *参考:http://movie.mtime.com/136192/
 [3大映画祭との関わり]
 1993年 『青春神話』:ベルリン(パノラマ部門)
 1994年 『愛情萬歳』:ベネチア~金獅子賞&国際批評家連盟賞受賞
 1997年 『河』:ベルリン~銀熊賞(審査員グランプリ)受賞
 1998年 『HOLE』:カンヌ~審査員賞受賞
 2001年 『ふたつの時、ふたりの時間』:カンヌ
 2001年 『三人三色』:ベネチア(非コンペ部門)
 2003年 『楽日』:ベネチア~国際批評家連盟賞受賞
 2005年 『西瓜』:ベルリン~国際批評家連盟賞&アルフレッド・バウアー賞&銀熊賞(芸術貢献賞)受賞
 2006年 『黒い眼のオペラ』ベネチア~Cinemavvenire Awards("The Circle is not round. Cinema for peace and diversity" Award)受賞
 2007年 『それぞれのシネマ』:カンヌ(アウト・オブ・コンペティション部門)
 2009年 『ヴィザージュ』:カンヌ
 2012年 “Walker(行者)”[短編]:カンヌ(批評家週間)


 ・『風立ちぬ』“Kaze Tachinu”(日) 監督:宮崎駿
 [3大映画祭との関わり]
 2002年 『千と千尋の神隠し』:ベルリン~金熊賞受賞
 2004年 『ハウルの動く城』:ベネチア
 2005年 ベネチア~キャリア金獅子賞受賞
 2008年 『崖の上のポニョ』:ベネチア~Future Film Festival Digital Award - Special Mention、Mimmo Rotella Foundation Award受賞

 ・“Tom À La Ferme”(カナダ・仏) 監督:グザヴィエ・ドラン
 出演:グザヴィエ・ドラン、ピエール=・イヴ・カーディナル(Pierre-Yves Cardinal)、Lise Roy、Evelyne Brochu
 物語:トムは、現代的で都会派の若い広告マンで、恋人フランシスが交通事故で死んで、葬式のために、彼の生家である農場に向かう。農場には、フランシスの実母が暮らしていて、トムも彼女に会うのは初めてだったが、そこで彼は、彼女がトムの名前もトムがなぜここにいるのかも、そして自分の息子がゲイだということも知らなかったということを知る。しかも、フランシスは、エレンという女性を愛していたらしいということもわかる。トムは、詐欺を働いているような気持ちになりながら、フランシスの家族をこれ以上刺激しないように努め、この家族の中でフレンシスがどういう気持ちを味わっていたかを考える。
 『百合の伝説/シモンとヴァリエ』で知られる劇作家ミシェル・マーク・ブシャルド(Michel Marc Bouchard)の同名戯曲の映画化。
 *参考:http://www.michelmarcbouchard.com/films-67.html
 [3大映画祭との関わり]
 コンペティション部門出品は初めて。
 2009年 『マイ・マザー/青春の傷口』“J'ai tué ma mère”:カンヌ(監督週間)~アート・シネマ賞、SACD賞、Regards Jeunes Prize受賞
 2010年 “Les amours imaginaires”:カンヌ(ある視点部門)
 2012年 『わたしはロランス』:カンヌ(ある視点部門)~クィア・パルム、女優賞(スザンヌ・クレマン)受賞。


 ・“Child Of God”(米) 監督:ジェームズ・フランコ
 出演:Scott Haze、ティム・ブレイク・ネルソン、ジム・パラック(Jim Parrack)
 物語:1960年代のテネシー州セビア郡の山の中。レスター・バラードに立て続けに不幸が襲い、彼は、両親も家も失い、文字通り、洞窟暮らしをしなければならなくなる。彼の人生は転落を続け、犯罪を犯し、シリアルキラーとなり、さらにネクロフィリアと化してしまう。
 コーマック・マッカーシーが、1974年に発表した3番目の小説“Child Of God”の映画化。
 [3大映画祭との関わり]
 コンペティション部門出品は初めて。
 2010年 “The Feast of Stephen”[短編]:ベルリン(パノラマ部門)~テディー賞受賞
 2010年 “Herbert White”[短編]:ベルリン(パノラマ部門)
 2010年 “The Clerk’s Tale”[短編]:カンヌ(批評家週間)
 2011年 “Sal”:ベネチア(Orizzonti部門)
 2013年 “Interior. Leather Bar.”:ベルリン(パノラマ部門)
 2013年 “As I Lay Dying”:カンヌ(ある視点部門)


 ・“Joe”(米) 監督:デイヴィッド・ゴードン・グリーン
 出演:ニコラス・ケイジ、タイ・シェリダン(Tye Sheridan)、ロニー・ジーン・プレヴィンズ(Ronie Gene Blevins)
 物語:ジョー・ランサムは、元詐欺師で、今は、更正して、真っ当な暮らしをしようとしている。しかし、昼間は工場で働き、夜は飲んだくれる日々だ。そんな彼が、家族を支えようと町に仕事を探しに来た15歳の少年ゲイリーと出会う。ジョーは、誰かのヒーローになりたいと思い、過去の罪滅ぼしの意味も込めて、ゲイリーを助けようとする。
 南部の作家Larry Brownの短編連作“Big Bad Love”の(二度目の)映画化。
 [3大映画祭との関わり]
 2013年ベルリン国際映画祭コンペティション部門に“Prince Avalanche”を出品。銀熊賞(監督賞)受賞。


 ・“Parkland”(米) 監督:Peter Landesman
 出演:ジェームズ・バッジ・デール(James Badge Dale)、ザック・エフロン、ジャッキー・アル・ヘイリー、コリン・ハンクス、デイヴィッド・ハーバー(David Harbour)、マルシア・ゲイ・ハーデン、ロン・リヴィングストン(Ron Livingston)、ジェレミー・ストロング(Jeremy Strong)、ビリー・ボブ・ソーントン、ジャッキー・ウィーヴァー、トム・ウェリング(Tom Welling)、ポール・ジアマッティ
 物語:1963年11月22日。この日、ジョン・F・ケネディーがダラスで暗殺され、世界は永遠に変わる。本作では、当日の出来事をほぼリアルタイムで追う。パークランド病院の医者(ザック・エフロン、コリン・ハンクス)と看護婦(マルシア・ゲイ・ハーデン)。ダラスのシークレット・サービスのチーフ。後に繰り返し観られ、調べられることになる映像を撮影するカメラマン(ポール・ジアマッティ)。狙撃手リー・ハーヴェイ・オズワルド(ジェレミー・ストロング)をつかまえるFBIのエージェント(ビリー・ボブ・ソーントン)。世界が注目する中で事態を収拾しようとする副大統領のリンドン・ジョンソン。衝撃、怒り、決断、勇気。前例のない出来事と想像を絶する結末。これまで語られたことのない物語。
 [3大映画祭との関わり]
 初めて。初監督作品。


 ・“The Unknown Known: The Life And Times Of Donald Rumsfeld”(米) 監督:エロール・モリス
 元国防長官ドナルド・ラムズフェルドがこれまでの人生を語り下ろしたドキュメンタリー。エロール・モリスをインタビュアーとして、60年代初めの下院議員時代から、強硬姿勢を崩さなかったイラク侵攻までを語る。
 エロール・モリスのフィルモグラフィーにおいては、『フォッグ・オブ・ウォー マクナマラ元米国防長官の告白』(2003)の姉妹編に当たる。タイトルは、ラムズフェルドの著書“Known and Unknown”(邦題『真珠湾からバグダッドへ~ラムズフェルド回想録』)のもじり。
 [3大映画祭との関わり]
 2000年 『死神博士の栄光と没落』:ベルリン(パノラマ部門)
 2008年 『スタンダード・オペレーティング・プロシージャー』:ベルリン~銀熊賞(審査員グランプリ)受賞


 ・“Night Moves”(米) 監督:ケリー・ライヒャルト(Kelly Reichardt)
 出演:ジェシー・アイゼンバーグ、ダコタ・ファニング、ピーター・サースガード、ジェームズ・レグロス(James Le Gros)
 物語:3人のラディカルな環境論者が、水力発電のダムの爆破を目論む。
 ジェシー・アイゼンバーグは、環境論者のメッセージとして、爆破計画を企てるグループのリーダー役で、ピーター・サースガードは計画の影の首謀者、ダコタ・ファニングは破壊的なプロジェクトに資金を提供するリッチな少女を演じる。
 [3大映画祭との関わり]
 2008年 『ウェンディ&ルーシー』“Wendy & Lucy”:カンヌ(ある視点部門)
 2010年 “Meek’s Cutoff”:ベネチア~SIGNIS賞受賞


 ・“Es-Stouh(The Rooftops)”(アルジェリア・仏) 監督:メルザック・アルアッシュ(Merzak Allouache)
 出演:Adila Bendimerad、Nassima Belmihoub、Ahcene Benzerari、Aïssa Chouat、Mourad Khen、Myriam Ait El Hadj
 物語:夜の始まりから終わりまで、5人のアルジェリア人の、5つの物語。
 [3大映画祭との関わり]
 コンペティション部門出品は初めて。
 1979年 “Mughamarat batal”:ベルリン(フォーラム部門)~Interfilm Award - Recommendation受賞
 1987年 “Un amour à Paris”:カンヌ(フランス映画の展望部門)~Perspectives du Cinéma Award受賞
 1994年 “Bab El-Oued City”:カンヌ(ある視点部門)~国際批評家連盟賞受賞
 1995年 “Dans la décapotable”[短編]:ベルリン(パノラマ部門)
 2009年 “Harragas”:ベネチア(ベネチア・デイズ)
 2012年 “El taaib”:カンヌ(監督週間)~Label Europa Cinemas受賞。

 ※ 現時点で公式サイトに各作品の内容詳細はアップされていないため、「物語」等はすべて外部サイトからの情報に拠っています。作品により、情報量に差があるのはそのためです。

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 【傾向】

 ・まず、英語圏の作品が9本もあり、全体の約半分を占めていて、明らかに例年より多い。

 ・フランスの単独製作の作品はわずかに1本ながら、共同製作を含めるとフランス作品は5本になる(それぞれ製作国が異なる)。

 ・英米を除くと、開催国であるイタリア映画が一番多くて、3本。そのうち、新人監督の作品が1本とドキュメンタリーが1本なので、やや印象が薄い。

 ・スペイン、ポルトガル、東欧、北欧、ロシア、イラン、東南アジア、中国、韓国、中南米からは1本もエントリーされなかった。
 北欧、中国、中米諸国は、ベルリンでもエントリーされず、スペイン、東欧、ロシア、イラン、韓国、南米はカンヌでもエントリーされず、ポルトガルと東南アジアはいずれの映画祭でもエントリーされなかった。

 ・監督ごとの内訳は―
 金獅子賞受賞:ジャンニ・アメリオ、ツァイ・ミンリャン
 銀獅子賞受賞:テリー・ギリアム、フィリップ・ガレル×2
 オゼッラ賞(監督賞)受賞:ジャンニ・アメリオ
 金熊賞受賞:宮崎駿
 銀熊賞受賞:スティーヴン・フリアーズ、ツァイ・ミンリャン×2(審査員グランプリ・芸術貢献賞)、エロール・モリス(審査員グランプリ)、デイヴィッド・ゴードン・グリーン(監督賞)
 カンヌ 審査員グランプリ:ジャンニ・アメリオ、ツァイ・ミンリャン

 コンペティション部門初参加:ジョン・カラン、Gianfranco Rosi、Emma Dante、Philip Gröning、Alexandros Avranas、グザヴィエ・ドラン、ジェームズ・フランコ、Peter Landesman
 初監督作品:Emma Dante、Peter Landesman

 ・今回は、3大映画祭のコンペティション部門出品が久しぶりになる監督ばかりです。
 フィリップ・ガレルが2年ぶり、ケリー・ライヒャルトが3年ぶり、フリアーズとツァイ・ミンリャンが4年ぶり、宮崎駿とエロール・モリスが5年ぶり、ジャンニ・アメリオが7年ぶり、ギリアムとギタイが8年ぶり、グレイザーは9年ぶりです。
 ある水準の監督は、数年周期でコンペ部門に選出されるのが当たり前になっていますから、これは珍しいことです。

 ・デイヴィッド・ゴードン・グリーンは、ベルリンに続いてのエントリー、ジェームズ・フランコは、コンペ部門ではありませんでしたが、3大映画祭連続エントリーです。

 全体的な印象としては―
 最初にラインナップを眺めた時の印象は、それなりの監督の作品が揃ってはいるけれど、ワクワクはしないなあ、というものでした。アニメーションが1本にドキュメンタリーが2本、そして英語圏の映画が多いのも気になりました。

 ところが、作品情報を書き出していくうちに、印象が変わって、なかなかバラエティーに富んだ作品が集められていることがわかってきました。

 今回のセレクションの意図していることの1つは、おそらく、現在、映画の置かれている状況、そのバラエティーさ、あるいは、「映画」の広がり、を示すことなのではないか。
 ドキュメンタリー、アニメーション、俳優出身の監督、舞台出身の監督、脚本なしで制作された作品、「フランス映画」の広がり、文学作品、SF、実話の映画化……。
 1個の作品としてはちょっと弱いと感じられる作品もありますが、それでもあえて選んでいるのは、たぶんそうした意図があるからではないかと思われます。

 セレクションのもう1つの意図は、前任のディレクターだったら、やりそうなことをやらない、ということですね、たぶん。
 前任のディレクターだったら、コンペティション部門にエントリーさせたんじゃないかと思われる作品がいくつもあるのに(キム・ギドクとか、アルフォンソ・キュアロン、エットーレ・スコラ、アンジェイ・ワイダなど)、あえてそれらを入れず、代わりに、コンペ部門入選が久しぶりの監督の作品ばかりを選んでいるのはそのためです。2連覇がかかったキム・ギドクや、米国アカデミー賞がかかったアルフォンソ・キュアロンが入っていたらもっと盛り上がったのは確実ですが。

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 【受賞予想】

 今回の審査員は、ベルナルド・ベルトルッチ(審査員長)、アンドレア・アーノルド、レナート・ベルタ、マルティナ・ゲデック、パブロ・ラライン、ヴィルジニ・ルドワイヤン、坂本龍一、チアン・ウェンです。

 芸術性の高い作品に理解を示す審査員ばかりで、みんなベルトルッチのキャリアを高く評価して敬うような面子だし、ベルトルッチの強い意向があれば、すんなり通りそうな気もしますね。(そんなに意見が分かれそうな作品はありませんし、実際にそんなに意見は分かれないと思いますが。)

 上位の賞は、ドラマ性が強い作品や、映画のマジックを感じさせてくれるような作品に贈られるような気がしますね。

 ◆金獅子賞:“L'intrepido”、“Die Frau Des Polizisten”、“Jiaoyou (郊遊)”

 ◆銀獅子賞(監督賞):ジャンニ・アメリオ、Philip Gröning、ツァイ・ミンリャン

 ◆審査員グランプリ(New!):“L'intrepido”、“Die Frau Des Polizisten”、“Jiaoyou (郊遊)”

 ◆審査員特別賞:“La Jalousie”、“Sacro Gra”、『風立ちぬ』、“The Unknown Known: The Life And Times Of Donald Rumsfeld”、“Es-Stouh(The Rooftops)”

 ◆男優賞:アントニオ・アルバネーゼ(“L'intrepido”)、ニコラス・ケイジ(“Joe”)

 ◆女優賞:ジュディー・デンチ(“Philomena”)、“Via Castellana Bandiera”の女優たち

 ◆マルチェロ・マストロヤンニ賞:“Die Frau Des Polizisten”の子役、タイ・シェリダン(“Joe”)

 ◆脚本賞:“L'intrepido”、“Via Castellana Bandiera”、“Jiaoyou (郊遊)”、“Parkland”

 上位は3作品に絞られたような気がしますね。
 Philip Gröning作品は、長く、監督にもこれといったキャリアはありませんが、冗長だと感じられないような作品に仕上がっていれば、なんらかの賞が贈られるんじゃないでしょうか。
 “L'intrepido”が金獅子賞ではイタリア人の身びいきとも受け取られかねないと考えあれれば、“Jiaoyou (郊遊)”が金獅子賞に推される可能性もあります。(だとすれば“Jiaoyou (郊遊)”が金獅子賞最有力です。)
 男優賞・女優賞に関しては、それほど強い候補は見当たりません。
 デイヴィッド・ゴードン・グリーンの連続受賞や、宮崎駿の受賞、ドキュメンタリー作品のどちらかの受賞は、ちょっと難しいように思います。

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