タイ映画、コム・チャット・ルック映画賞2013 受賞結果!

 タイの日刊紙コム・チャット・ルック紙が発表している映画賞、第10回コム・チャット・ルック映画賞の受賞結果です(2月20日発表)。

 タイの主な映画賞には、このコム・チャット・ルック映画賞と、タイの映画雑誌が発表するスターピクス・アワード、それからバンコク映画批評家協会賞、タイ・アカデミー賞であるSuphanahongse Awardがあり、さらに2011年にはタイ映画監督協会賞が創設されています。

 コム・チャット・ルック映画賞(The Kom Chad Luek Awards)は、日刊紙「コム・チャット・ルック」紙(2001年創刊)が発表している映画賞で、作品賞と監督賞と脚本賞とキャスト4部門しかなく、新聞が発表する賞だけあって、ノミネーションと受賞結果は比較的スタンダードです。タイの映画賞の中では最も早く発表されます。
 「コム・チャット・ルック」紙の公式サイト(タイ語):http://www.komchadluek.com/

 今年の結果は以下の通り。

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 ◆作品賞
 ◎“36”(タイ) 監督:Nawapol Thamrongrattanarit

 “36”(タイ) 監督:Nawapol Thamrongrattanarit
 物語:サイは、写真スタジオのためにロケハンをする仕事をしていて、その映像をコンピューターの中に保存している。しかし、ある日、それがすっかり失われてしまっていることがわかり、友人のカイに手伝ってもらって、それを復元しようとする。
 36の静的なカメラ・ショットで構成される実験映画、または、デジタル時代にわれわれはどのように記憶を蓄積するかということを示そうとした作品。
 釜山国際映画祭2012 ニュー・カレント部門出品。ニュー・カレント賞、国際批評家連盟賞受賞。
 シネマニラ国際映画祭2012 インターナショナル・コンペティション部門出品。
 ロッテルダム国際映画祭2013 コンペティション部門出品。
 ヨーテボリ国際映画祭2013 Tibida部門出品。

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 ◆監督賞
 ◎コンデート・チャトゥランラッサミー(Kongdej Jaturanrasmee) 『P-047』“P-047 (Tae Peang Phu Deaw)”

 『P-047』“P-047 (Tae Peang Phu Deaw)”(2011/タイ) 監督:コンデート・チャトゥランラッサミー(Kongdej Jaturanrasmee)
 出演:アピチャイ・トラクーンパデットクライ(Apichai Tragoolpadetgrai)、パリンヤー・ガームウォンワーン(Parinya Kwamwongwan)
 物語:レクは、孤独な鍵屋で、これまでの人生で恋人がいたことがない。コンは、小説家志望で、母親と同居している。2人は、同じショッピングモールで働いている。一方は、鍵を複製し、もう一方はタブロイド雑誌を売っている。
 ある時、2人はそれぞれの才能を生かした計画を実行することにする。それは、住人がでかけた後の家に侵入することだ。盗みはしない。ただその場所を借りるだけだ。
 ある時、レクは病院で目覚める。混乱しているレクを落ち着かせるために、コンが呼ばれる。レクは、タバコを吸いに病院の屋上に上がる。そこで、空っぽの容器の匂いをかぐのが好きな若い女性の入院患者オイと出会い、2人には奇妙な友情が芽生える。
 退院したレクは、コンの家に侵入する。そこで、レクが知らなかったことを発見する……。
 大阪アジアン映画祭2011にて上映。
 『手あつく、ハグして』の監督であり、『レター 僕を忘れないで』で脚本を手がけたコンデート・チャトゥランラッサミーの2011年の監督作品。

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 ◆主演男優賞
 ◎クリサダ・スコソル・クラップ(Krissada Sukosol Clapp) “Antapal”(監督:コンギアット・コムシリ(Kongkiat Khomsiri))

 “Antapal(The Gangster)”(タイ) 監督:コンギアット・コムシリ(Kongkiat Khomsiri))
 出演:クリサダ・スコソル・クラップ(Krissada Sukosol Clapp)、Somchai Khemglad、 Kritsada Suphapphaphrom、Sakrin Suthammasamai
 物語:20世紀半ばのタイ。Jodはまわりから一目置かれるギャング。当時は、タイのギャングの世界に初めて銃が持ち込まれた時代で、彼らは銃器を使ってライバルとの抗争を繰り返した。やがて軍事クーデターが起こり、ギャングの世界も弾圧される。ギャングが牛耳っていたギャンブルや売春や密輸を軍が行なうようになり、ギャングは追放されるか、投獄された。Jodも刑務所に入れられたひとりで、出所後は、態度を改めてまっとうな世界で生きていこうとするが、ギャング以外の生き方を知らないJodは結局ギャングの世界に逆戻りしてしまう。
 1998年のノンスィー・ニミブット監督のデビュー作“Dang Bireley and the Young Gangsters”と同じ物語を、主人公をDang Bireleyから、その仲間のJodに換えて、新たな視点で語り下ろした作品。

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 ◆主演女優賞
 ◎ペンパック・シリクン(Penpak Sirikul) 『愛なんていらない』“It Gets Better”(タイ) 監督:タンワーリン・スカピシット(Tanwarin Sukkhapisit)

 『愛なんていらない』“It Gets Better”(タイ) 監督:タンワーリン・スカピシット(Tanwarin Sukkhapisit)
 出演:Panupong Waraakesiri、ペンパック・シリクン(Penpak Sirikul)、パラマ・イモーノータイ(Parama Imanothai)、Bell Nuntita Khampiranon、Kisthachapon Thananara、Pawinee Wiriyachaikit
 物語:「もう若くはないトランスジェンダーのサーイターンは、旅先の美しいタイ北部でバイクの修理をして働く青年ファイと恋に落ちる。サーイターンは、ファイが彼女の過去ではなく心の中を見てくれることを願っていたが…。父親のショーパブを相続したトンマイは、アメリカから故郷のタイにやって来た。トンマイはバーを閉めるつもりだったが、従業員からバーの存続を求められ…。高校生のディンは父親に僧院へ連れていかれる。ディンの女性的な振る舞いを心配した父親が、僧侶になれば治るのではないかと期待したからだ。ところがディンは指導係の僧侶に恋をしてしまい…。
本作は、3人の登場人物がたどる心の旅と愛の物語である。この世には、他人から教えられた常識を信じる人もいれば、自分なりの真理を探す人もいる。自分なりの愛を探し当てたとき、その愛を否定できるだろうか?タイのホアヒン国際映画祭2012で上映され観客賞を獲得。また南アフリカのケープワインランド映画祭ではコンペティション部門に選出された。」
 3つの物語は、最終的に1本の物語としてつながる。
 タイ・アカデミー賞2013 助演男優賞(パラマ・イモーノータイ)、美術賞、衣裳デザイン賞受賞。
 第4回アジアンクィア映画祭で上映予定。

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 ◆助演男優賞
 ◎パリンヤー・ガームウォンワーンParinya Kwamwongwan)  “P-047 (Tae Peang Phu Deaw)”

 ◆助演女優賞
 ◎Piyathida Worramusik “Together”(監督:Saranyoo Jiralak)

 “Together(Wan Tee Rak)”(タイ) 監督:Saranyoo Jiralak
 出演:Noppachai Chaiyanam、Piyathida Woramuksik、サハラット・サンカプリーチャー(Saharat Sangkapreecha)、Thun Kramom Ying Ubolratana、Rajakanya Sirivadhana Barnavadi
 物語:オラタイとニポンは、結婚して、約10年になる夫婦。しかし、いくつかの衝突と過去の出来事がきっかけとなって、夫婦仲が試されることになる。
 タイ・アカデミー賞2013 助演女優賞、撮影賞受賞。

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 ◆脚本賞
 ◎“36” Nawapol Thamrongrattanarit(監督・脚本)

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 冒頭で、「コム・チャット・ルック映画賞の受賞結果は比較的スタンダード」と書きましたが、今回の受賞結果は、タイ・アカデミー賞ではかすりもしなかったインディーズ寄りの作品、“36”や『P-047』を高く評価するという、ちょっと意表を突くものになりました。

 タイ・アカデミー賞のところでも書きましたが、2012年のタイ映画にはいわゆる作家性の強い作品は少なかったので、選択の余地があまりなくて、娯楽作品ばかりを選ぶくらいなら、低予算でも確かな作家性の感じられる作品を選ぼう、という判断になった、ということでしょうか。

 なお、コム・チャット・ルック映画賞は、事前にノミネーションも発表されているはずですが、ざっと捜したぐらいではノミネーションのリストは見つけられませんでした。たぶんタイ語のサイトを漁れば、見つけられたのかもしれませんが、タイ語のサイトを漁るっていうのはちょっと厳しいんですよね~。

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 *当ブログ記事

 ・コム・チャット・ルック映画賞2012:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201205/article_5.html
 ・コム・チャット・ルック映画賞2011:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201103/article_5.html
 ・コム・チャット・ルック映画賞2010:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201002/article_35.html

 ・タイ・アカデミー賞2013:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201304/article_21.html

 ・映画賞&映画祭カレンダー 2012年12月~2013年5月:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201212/article_50.html

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