「フィルム・コメント」誌が選ぶベスト・フィルム・オブ・ザ・イヤー2012!

 「フィルム・コメント」誌の年間トップ50が発表されました。

 【「フィルム・コメント」誌】

 “Film Comment”は、ニューヨークで、映画の上映活動をしているリンカーン・センターが発行している雑誌(アート&カルチャー・マガジン)です。
 創刊は、1962年で、創刊当時は季刊だったのが、10年後に隔月間になって、現在に至っています。

 そんなところが出している雑誌なので、そのベスト50も、映画作家の作品ばかりで、アメリカ映画は3分の1程度しかなく、残る3分の2はアメリカ以外の世界各国の映画で構成されています。

 あまりにも「真面目」すぎて、「あんたも好きね~」的な趣味的な部分やマニアックな部分が全くないのはどうかなと思ったりもしますが、まあ、これはこれでなかなかのセレクションになっています。

 なお、「ベスト50」と銘打たれてはいますが、劇場公開作品から50本と、劇場未公開作品(つまり映画祭等で上映された作品)から50本、併せて100本が発表されています。

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 【劇場公開作品】 (Released 2012)

 *公式サイト:http://www.filmcomment.com/entry/50-best-films-of-2012

 1.“Holy Motors”(仏・独) 監督:レオス・カラックス
 2.『ザ・マスター』 監督:ポール・トーマス・アンダーソン
 3.『ムーンライズ・キングダム』 監督:ウェス・アンダーソン
 4.『これは映画ではない』(イラン) 監督:ジャファール・パナヒ、モジタバ・ミルタマスブ [ドキュメンタリー]
 5.『愛、アムール』(オーストリア・仏・独) 監督:ミヒャエル・ハネケ
 6.『ニーチェの馬』(ハンガリー・仏・スイス・独) 監督:タル・ベーラ
 7.『少年と自転車』(ベルギー・仏・伊) 監督:ジャン=ピエール&リュック・ダルデンヌ
 8.『昔々、アナトリアで』(トルコ) 監督:ヌリ・ビルゲ・ジェイラン
 9.『リンカーン』 監督:スティーヴン・スピルバーグ
 10.『ゼロ・ダーク・サーティ』 監督:キャスリン・ビグロー
 11.“Tabu”(ポルトガル・独・ブラジル・仏) 監督:ミゲル・ゴメス
 12.“The Deep Blue Sea”(米・英) 監督:テレンス・デイヴィス
 13.“Bernie” 監督:リチャード・リンクレイター
 14.『ハッシュパピー~バスタブ島の少女~』 監督:ベン・ザイトリン
 15.“Cosmopolis”(カナダ・仏・ポルトガル・伊) 監督:デイヴィッド・クローネンバーグ
 16.『東ベルリンから来た女』(独) 監督:クリスティアン・ペツォールト
 17.“The Loneliest Planet”(米・独) 監督:Julia Loktev
 18.『世界にひとつのプレイブック』 監督:デイヴィッド・O・ラッセル
 19.“Oslo, August 31st”(ノルウェー) 監督:Joachim Trier
 20.“Neighboring Sounds(O som ao redor)”(ブラジル) 監督:Kleber Mendonça Filho
 21.『ジャンゴ 繋がれざる者』 監督:クエンティン・タランティーノ
 22.“Almayer’s Folly”(2011/ベルギー・仏) 監督:シャンタル・アケルマン
 23.“Magic Mike” 監督:スティーヴン・ソダーバーグ
 24.『アルゴ』 監督:ベン・アフレック
 25.“Attenberg”(2010/ギリシャ) 監督:Athina Rachel Tsangari
 26.“The Color Wheel” 監督:Alex Ross Perry
 27.『君と歩く世界』(仏・ベルギー) 監督:ジャック・オディアール
 28.『キラー・スナイパー』“Killer Joe” 監督:ウィリアム・フリードキン
 29.『LOOPER/ルーパー』 監督:ライアン・ジョンソン
 30.『ライフ・オブ・パイ/トラと漂流した227日』 監督:アン・リー
 31.『人間蒸発』“Man Vanishes”(1967/日) 監督:今村昌平
 32.『007 スカイフォール』(米・英) 監督:サム・メンデス
 33.“The Gatekeepers 監督:Dror Moreh [ドキュメンタリー]
 34.“Elena”(2011/ロシア) 監督:アンドレイ・ズビャギンツェフ
 35.『エージェント・マロリー』 監督:スティーヴン・ソダーバーグ
 36.『ダムゼル・イン・ディストレス バイオレットの青春セラピー』“Damsels in Distress” 監督:ホイット・スティルマン
 37.『眠れぬ夜の仕事図鑑』“Abendland”(オーストリア) 監督:ニコラス・ゲイハルター [ドキュメンタリー]
 38.“Two Years at Sea”(2011/英) 監督:Ben Rivers [ドキュメンタリー]
 39.“How to Survive a Plague” 監督:David France [ドキュメンタリー]
 40.“Keep the Lights On” 監督:アイラ・サックス
 41.『灼熱の肌』(仏・スイス・伊) 監督:フィリップ・ガレル
 42.『MISS BALA/銃弾』“Miss Bala”(メキシコ) 監督:ヘラルド・ナランホ(Gerardo Naranjo)
 43.“Footnote”(2011/イスラエル) 監督:ヨセフ・シダー(Joseph Cedar)
 44.“Compliance” 監督:Craig Zobel
 45.“Alps”(ギリシャ) 監督:ヨルゴス・ランティモス
 46.『キル・リスト』“Kill List”(2011/英) 監督:ベン・ホイートリー
 47.『マリー・アントワネットに別れをつげて』(仏・西) 監督:ブノワ・ジャコー
 48.『3人のアンヌ』“In Another Country”(韓) 監督:ホン・サンス
 49.『ダークナイト・ライジング』 監督:クリストファー・ノーラン
 50.『次の朝は他人』(2011/韓) 監督:ホン・サンス

 【劇場未公開作品】 (Films Without Distribution 2012)

 *公式サイト:http://www.filmcomment.com/entry/50-best-undistributed-films-of-2012

 1.“Our Children(À perdre la raison)”(ベルギー・ルクセンブルク・仏・スイス) 監督:Joachim Lafosse
 2.『記憶が私を見る』“Memories Look at Me”(中) 監督:ソン・ファン(Song Fang)
 3.“First Cousin Once Removed” 監督:アラン・ベルリナー(Alan Berliner)
 4.“When Night Falls”(韓・中) 監督:Ying Liang
 5.『ブワカウ』“Bwakaw”(フィリピン) 監督:ジュン・ラブレス・ラナ(Jun Robles Lana)
 6.“Gebo and the Shadow(O Gebo e a Sombra)”(ポルトガル・仏) 監督:マノエル・デ・オリヴェイラ
 7.“differently, Molussia(Autrement, la Molussie)”(仏) 監督:Nicolas Rey
 8.“Perret in France and Algeria(Perret in Frankreich und Algerien)”(独) 監督:Heinz Emigholz [ドキュメンタリー]
 9.“The Extravagant Shadows”(米) 監督:David Gatten
 10.『三姉妹~雲南の子』“Three Sisters”(香港・仏) 監督:ワン・ビン
 11.『眠れる美女』“Dormant Beauty”(伊・仏) 監督:マルコ・ベロッキオ
 12.“Far From Afghanistan” 監督:John Gianvito、Travis Wilkerson、Jon Jost、Minda Martin、Soon-Mi Yoo [ドキュメンタリー]
 13.“Camille Rewinds(Camille redouble)”(仏) 監督:ノエミ・ルヴォフスキー
 14.“Wadjda”(サウジアラビア・独) 監督:Haifaa Al-Mansour
 15.“Greatest Hits(Los mejores temas)”(メキシコ・カナダ・オランダ) 監督:Nicolás Pereda
 16.“small roads 監督:James Benning [ドキュメンタリー]
 17.“Everybody in Our Family(Toata lumea din familia noastra)”(ルーマニア・オランダ) 監督:ラドゥ・ジュデ(Radu Jude)
 18.“Shepard and Dark” 監督:Treva Wurmfeld [ドキュメンタリー]
 19.『ハンナ・アーレント』“Hannah Arendt”(独) 監督:マルガレーテ・フォン・トロッタ
 20.『天と地の間のどこか』“Araf: Somewhere in Between”(トルコ・独) 監督:イエスィム・ウスタオウル(Yesim Ustaoglu)
 21.『木曜から日曜まで』“Thursday Through Sunday”(チリ・オランダ) 監督:ドミンガ・ソトマイヨール(Dominga Sotomayor)
 22.“Goodbye(Bé omid é didar)”(イラン) 監督:Mohammad Rasoulof
 23.“After Lucia(Después de Lucía)”(メキシコ・仏) 監督:Michel Franco
 24.“Reconversão”(ポルトガル) 監督:Thom Andersen [ドキュメンタリー]
 25.“Kon-Tiki”(英・ノルウェー・デンマーク) 監督:Joachim Roenning、Espen Sandberg
 26.“Tiger Tail in Blue” 監督:Frank V. Ross
 26.“Traveling Light” 監督:Gina Telaroli [ドキュメンタリー]
 28.“Sun Don’t Shine” 監督:Amy Seimetz
 28.『動物園からのポストカード』“Postcards from the Zoo”(インドネシア・香港・独) 監督:エドウィン(Edwin)
 28.“3”(ウルグアイ・アルゼンチン・独) 監督:パブロ・ストール(Pablo Stoll)
 31.“The Invisible Ones(Les invisibles)” 監督:Sebastien Lifshitz [ドキュメンタリー]
 32.“Everyday”(英) 監督:マイケル・ウィンターボトム
 33.“Twilight Portrait(Portret v sumerkakh)”(ロシア) 監督:Angelina Nikonova
 33.“Age Is…”(仏・英) 監督:Stephen Dwoskin
 35.“The Strawberry Tree(El árbol de las fresas)”(2011/カナダ・キューバ) 監督:Simone Rapisarda Casanova [ドキュメンタリー]
 36.『ヒア・アンド・ゼア』“Here and There”(西・米・メキシコ) 監督:アントニオ・メンデス・エスパルザ(Antonio Mendez Esparza)
 36.“Louise Wimmer”(仏) 監督:Cyril Mennegun
 38.『アウトレイジ ビヨンド』“Outrage Beyond”(日) 監督:北野武
 39.“Back to Stay(Abrir puertas y ventanas)”(アルゼンチン・スイス・オランダ) 監督:Milagros Mumenthaler
 39.“The Final Member”(カナダ・米・アイスランド・伊) 監督:Jonah Bekhor、Zach Math [ドキュメンタリー]
 41.“Kinshasa Kids”(ベルギー) 監督:Marc-Henri Wajnberg
 41.“The War” 監督:James Benning [ドキュメンタリー]
 41.“Nights with Theodore((Les Nuits avec Theodore)”(仏) 監督:Sébastien Betbeder
 44.“The Minister(L'exercice de l'État)”(2011/仏・ベルギー) 監督:ピエール・ショレーリル
 45.“Celluloid Man”(インド) 監督:Shivendra Singh Dungarpur [ドキュメンタリー]
 45.“Gangs of Wasseypur”(インド) 監督:Anurag Kashyap
 47.“The Dead Man and Being Happy(El muerto y ser feliz)”(西・仏・アルゼンチン) 監督:Javier Rebollo
 47.“The Invader(L'envahisseur)”(ベルギー) 監督:Nicolas Provost
 47.“Foxfire: Confessions of a Girl Gang”(仏) 監督:ローラン・カンテ
 50.“Donoma”(2010/仏) 監督:Djinn Carrenard

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 細かく見ていくと、いろいろと興味深かったりしますが、そのいくつかに簡単に触れておくと―

 ・「フィルム・コメント」誌の、2012年のアメリカ映画のベストは、順番に、『ザ・マスター』、『ムーンライズ・キングダム』、『リンカーン』、『ゼロ・ダーク・サーティ』、“Bernie”、『ハッシュパピー~バスタブ島の少女~』、『世界にひとつのプレイブック』、『ジャンゴ 繋がれざる者』、『アルゴ』……。

 ・「フィルム・コメント」誌の、2012年の外国語映画のベストは、順番に、“Holy Motors”、『これは映画ではない』、『愛、アムール』、『ニーチェの馬』、『少年と自転車』、『昔々、アナトリアで』、“Tabu”、『東ベルリンから来た女』……。
 シッチェス・カタロニア国際ファンタスティック映画祭やシカゴ国際映画祭、および、ロサンゼルス映画批評家協会賞、オースティン映画批評家協会賞など、“Holy Motors”に非常に高い評価を与えている映画祭・映画賞がありますが、「フィルム・コメント」誌もそうしたものの1つであるということがわかります。

 ・ニューヨークは、世界の中でも特に、最新の日本映画が観られる環境にありますが、それでも上記の中にランクインしたのは45年も前の『人間蒸発』と、『アウトレイジ ビヨンド』の2本のみでした。
 昨年度はゼロだったので、躍進したと言えば躍進したのですが、最近の日本映画には観るべきものがないと言われているような気もしますね。
 『人間蒸発』は、おそらく昨年フランスでリバイバル上映された流れで、アメリカでも上映されることになったのだと思いますが、11月にニューヨークで公開されて、数々のメディアに取り上げられたようです。

 ・以下の作品は、昨年の「劇場未公開作品」リストの中に入っていた作品で、1つ1つの作品に対しとても律儀な態度で臨んでいることがわかります。
 『これは映画ではない』、『ニーチェの馬』、『少年と自転車』、『昔々、アナトリアで』、“The Deep Blue Sea”、“The Loneliest Planet”、“Oslo, August 31st”、“Almayer’s Folly” 、“The Color Wheel”、“Killer Joe”、“Elena”、『ダムゼル・イン・ディストレス バイオレットの青春セラピー』、“Two Years at Sea”、『MISS BALA/銃弾』、“Footnote”、“Alps”、『キル・リスト』。
 「劇場未公開作品」のベスト1は『これは映画ではない』で、そのほかの作品も順位の上下は少なくて、このランキングにはブレが少ない(過去に下した評価に対して忠実である)ことがわかります。

 ・上記100本に関し、日本でのリリース状況は―
 日本で劇場公開された作品:13本
 劇場公開予定作品:14本
 映画祭で上映された作品:12本
 DVDその他で紹介された作品:3本
 本数的にはほぼ例年通りですが、残された作品を見ると、今後日本で紹介されそうな作品はあまり多くはないような気がします。映画祭上映作品のいくつかが劇場公開されるくらいでしょうか。

 上記作品の多くは、当ブログのどこかで触れているので、気になる作品があたっら、右サイドバーの「ブログ内検索窓」を使って、検索してみてください。

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 *当ブログ記事

 ・「フィルム・コメント」誌が選ぶベスト・フィルム・オブ・ザ・イヤー2011:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201112/article_41.html
 ・「フィルム・コメント」誌が選ぶベスト・フィルム・オブ・ザ・イヤー2010:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201012/article_40.html

 ・“Sight & Sound”、『カイエ・デュ・シネマ』 2012年 トップ10:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201212/article_5.html

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