パリ映画祭2012 コンペティション部門ラインナップ&受賞結果!

 第10回パリ映画祭(6月29日-7月10日)の各賞が発表されました。

 【パリ映画祭】

 フランスには、カンヌ国際映画祭があり、ナント三大陸映画祭があり、アヌシー国際アニメーションフェスティバルがあり、クレモンフェラン国際短編映画祭があり、という具合に、世界的に有名な国際映画祭がいくつもありますが、いずれもなぜか地方都市での開催で、映画の都であるはずのパリにはこれまで映画祭らしい映画祭はありませんでした。

 世界的に見て、映画祭を持たない大都市というのは非常に珍しく、おそらくパリ市民もパリの映画人も不思議に思っていたのではないかと思われますが、そんなパリで2003年からスタートしたのが、パリ映画祭です。

 映画祭としては、規模も注目度もさほど大きくありませんが、パリ中の映画館を会場として使って、なかなかユニークなプログラムを組んでいます(街の映画館全体で映画祭を盛り上げようとしている感じは初期の東京国際映画祭にも似ているでしょうか)。

 この時期に開催されるのは、もちろんパリ祭のプレ・イベントという意味合いもあるのでしょう。

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 【コンペティション部門】

 ・“Tabu”(ポルトガル・独・仏・ブラジル) 監督:ミゲル・ゴメス(Miguel Gomes)
 ・“Csak a szél (Just the Wind)”(ハンガリー・独・仏) 監督:Bence Fliegauf
 ・“Tepenin Ardi(Beyond the Hill)”(トルコ・ギリシャ) 監督:Emin Alper
 ・『桃さんのしあわせ』“A Simple life”(香港) 監督:アン・ホイ
 ・“The King of pigs”(韓) 監督:Yeun Sang-ho
 ・『かぞくのくに』“Our homeland”(日) 監督:ヤン・ヨンヒ
 ・“Rebelle (War Witch)”(カナダ) 監督:Kim Nguyen
 ・“Historias que so existem quando lembradas”(アルゼンチン・ブラジル・仏) 監督:Julia Murat

 ※審査員:エミリー・シモン(音楽家)、Alice Belaïdi(女優)、レティシア・マッソン(監督)、ルイ=ドー・ド・ランクザン(男優)、イヴ・シモン(映画監督・作曲家)

 ◆審査員グランプリ(Prix du jury)
 ◎“Csak a szél (Just the Wind)”(ハンガリー・独・仏) 監督:Bence Fliegauf

 ・“Csak a szél (Just the Wind)”(ハンガリー・独・仏) 監督:Bence Fliegauf
 出演:Lajos Sárkány、Katalin Toldi、Gyöngyi Lendvai、György Toldi
 物語:ハンガリーの村でロマ人一家が殺される。犯人は逃げて、もう誰の仕業かはわからない。近くにもう1つのロマ人一家が暮らしているが、彼らにとっては、注意深く抑えてきた恐怖が現実のものになっただけだった。家長は遠くカナダにいて、彼は、ニュースを聞いて、妻や子供たちや父を自分のもとへできるだけ早く集めようとする。人種差別主義者たちのテロに怯えながら暮らし、沈黙を決め込んだ多数派に囲まれて、感情を露わにすることもなく、彼らは、じっと襲撃されるまで、日々が過ぎていくのを耐える。夜の帳が落ち、彼らはいつもよりもベッドを引き寄せて眠る。恐怖から逃げ出したいという願いは叶えられそうにない。
 ハンガリーで実際に起こった一連の殺人事件を元に映画化。
 Bence Fliegauf監督は、数多くの短編やドキュメンタリーを発表していて、既に10年以上のキャリアを持つ。
 ベルリン国際映画祭2012 コンペティション部門出品。銀熊賞(審査員グランプリ)、平和映画賞、アムネスティ・インターナショナル賞受賞。

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 ◆審査員のハートを射止めたで賞(Coup de coeur du jury)
 ◎“Tabu”(ポルトガル・独・仏・ブラジル) 監督:ミゲル・ゴメス(Miguel Gomes)

 ・“Tabu”(ポルトガル・独・仏・ブラジル) 監督:ミゲル・ゴメス(Miguel Gomes)
 出演:テレサ・マドゥルガ、Laura Soveral、Ana Moreira、Carloto Cotta
 物語:ピラーは、カポベルデ人で、年輩のポルトガル人女性オーロラの隣に住んで、彼女の家政婦をしていた。オーロラは、なけなしの蓄えをエストリルのカジノですることで余生を過ごしていて、ピラーに感謝の言葉1つかけることもなかったが、ピラーにとってはよいことをすることが人生の目的なのだった。老女が死んだ時、ピラーは、昔の恋人の足跡をたどることにする。
 日本ではポルトガル映画祭2010で『私たちの好きな八月』(2008)が上映されています。本作は、『私たちの好きな八月』に続く第3監督長編。
 ベルリン国際映画祭2012コンペティション部門出品。国際批評家連盟賞、アルフレッド・バウアー賞受賞。

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 ◆学生審査員賞(Prix des étudiants)
 ◎『桃さんのしあわせ』“A Simple life”(香港) 監督:アン・ホイ

 『桃さんのしあわせ』“A Simple life(桃姐)”(香港) 監督:アン・ホイ
 出演:アンディー・ラウ、デニー・イップ、チョン・プイ、チン・ハイルー、アンソニー・ウォン、ツイ・ハーク
 物語:実話に基づく物語。チュンチュン・タオは、台山に生まれるが、幼くして、養女となる。しかし、戦争で養父は死に、養母も労働に送られる。その結果、彼女は、10代で、レオン家にお手伝いさんとして入ることになる。それから60年、レオン家の人々は、ある者は死に、またある者は移住して、最後にはロジャーだけが残される。ある日、家に帰ってきたロジャーは、彼女が脳卒中で倒れているのを見つけ、病院に運ぶ。彼女は、最後の望みとして、生家に帰りたいとロジャーに告げる。
 ベネチア国際映画祭2011 コンペティション部門出品。女優賞(デニー・イップ)、SIGNIS賞スペシャル・メンション、Nazareno Taddei Award、La Navicella – Venezia Cinema Award、Equal Opportunity Award受賞。
 トロント国際映画祭2011 SPECIAL PRESENTATIONS部門出品。
 米国アカデミー賞2012 外国語映画賞香港代表。
 台湾・金馬奨2011 監督賞・主演男優賞(アンディー・ラウ)・主演女優賞(デニー・イップ)受賞、作品賞・脚本賞・編集賞ノミネート。
 アジア映画賞2012 主演女優賞受賞(デニー・イップ)。
 香港電影金像奨2012 作品賞・監督賞・主演男優賞(アンディー・ラウ)・主演女優賞(デニー・イップ)・脚本賞受賞。

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 ◆ブロガー&ウェブ審査員賞(Prix du jury des blogueurs et du web)
 ◎“Tabu”(ポルトガル・独・仏・ブラジル) 監督:ミゲル・ゴメス(Miguel Gomes)

 ◆ブロガーのハートを射止めたで賞(Coup de coeur du jury blogueur)
 ◎『かぞくのくに』“Our homeland”(日) 監督:ヤン・ヨンヒ

 ◆ニュメリカブル賞(Prix numéricable)
 ◎“Rebelle (War Witch)”(カナダ) 監督:Kim Nguyen

 ・“Rebelle (War Witch)”(カナダ) 監督:Kim Nguyen
 出演:Rachel Mwanza、Alain Bastien、Serge Kanyinda、Ralph Prosper、Mizinga Mwinga
 物語:コモナは、アフリカの内戦で叛徒に村を焼かれ、両親も殺されて、兵士としてジャングルに入られなければならなくなる。彼女の残忍な司令官は、彼女を兵士として鍛えるだけではなく、自分との添い寝を要求した。コモナは、恐怖の中に、憩いの場所を求めていたが、少し年長で白髪の少年と出会い、恋に落ちる。2人は一緒にキャンプを逃げることに決める。彼女は、村に戻って、両親を墓に埋め、魂が不毛な大地をさまようことがないようにしたかったのだ。
 [3大映画祭との関わり]:初めて。
 これがKim Nguyenの第4監督長編。
 ベルリン国際映画祭2012コンペティション部門出品。銀熊賞(女優賞:Rachel Mwanza)、エキュメニカル審査員賞スペシャル・メンション受賞。

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 ◆観客賞(Prix du public)
 ◎『桃さんのしあわせ』“A Simple life”(香港) 監督:アン・ホイ

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 パリ映画祭は、プレミア度を誇るような映画祭ではなくて、この時期に開催される各地の映画祭と似たり寄ったりのラインナップになっていますが、そうした中で、やはり、頭ひとつ飛びぬけた作品というものは出てくるわけで、「ここでもこの作品が受賞か!」というような作品が見て取れます。要チェックですね。

 コンペティション以外では、世界の最新作を上映するプレミア部門(39本)、Honor&Tribute部門(ジョニー・トー:最新作+関連作品、オリヴィエ・アサイヤス:17本、レオス・カラックス:7本、ラウル・ルイス:16本)、10周年記念プログラム(各年から1作品ずつピックアップ)などがありますが、

 なんと言っても圧巻なのは、香港映画の大特集で、

 「50年代と60年代」、「ニューウェーブ」、「その他のレア・タイトルとエッセンシャル」という3つのプログラムで90本もの作品が上映されます。

 全部書き出しておきたい気もしますが、ちょっと負担が大きいので、今回はやめておきます。

 いつまで見られるかわかりませんが、香港映画特集で上映される作品のリストのページのみ、リンク先を貼っておくので、興味のある方はご覧ください。

 Hong Kong Panorama:http://www.pariscinema.org/uk/programmes-2012/hong-kong/liste-2.html

 なお、日本からの出品作は、今回2本のみで、園子温の『恋の罪』と新海誠の『星を追う子ども』。ともにavant-premières部門での上映となっています。

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 *当ブログ記事

 ・パリ映画祭2009:http://umikarahajimaru.at.webry.info/200907/article_13.html
 ・パリ映画祭2010 日本映画特集ラインナップ:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201006/article_17.html
 ・パリ映画祭2010 ラインナップ:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201006/article_24.html
 ・パリ映画祭2010 受賞結果:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201007/article_15.html

 ・映画賞&映画祭カレンダー 2012年6月~2013年1月:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201206/article_9.html

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