日本勢も大健闘! ベルリン国際映画祭2012 受賞結果!

 第62回ベルリン国際映画祭の各賞が発表になりました。

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 【コンペティション部門】

 ・“Dictado (Childish Games)”(西) 監督:アントニオ・カバリアス(Antonio Chavarrías)

 ・“Tabu”(ポルトガル・独・ブラジル) 監督:ミゲル・ゴメス(Miguel Gomes)
 国際批評家連盟賞、アルフレッド・バウアー賞受賞。

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 ・“A moi seule (Coming Home)”(仏) 監督:Frédéric Videau
 Prize of The Guild of German Art House Cinemas受賞。

 ・“Les adieux à la Reine (Farewell My Queen)”(仏・西) 監督:ブノワ・ジャコー

 ・“Cesare deve morire (Caesar Must Die)”(伊) 監督:パオロ&ヴィットリオ・タヴィアーニ
 金熊賞、エキュメニカル審査員賞受賞。

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 ・“L’Enfant d’en haut (Sister)”(スイス・仏) 監督:ウルスラ・メイヤー(Ursula Meier)
 特別銀熊賞受賞。

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 ・“Barbara”(独) 監督:クリスチャン・ペツォルト(Christian Petzold)
 銀熊賞(監督賞)、ベルリナー・モルゲンポスト読者賞受賞。

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 ・“Was bleibt (Home For The Weekend)”(独) 監督:ハンス=クリスティアン・シュミット(Hans-Christian Schmid)
 ・“Gnade (Mercy)”(独・ノルウェー) 監督:マティアス・グラスナー(Matthias Glasner)

 ・“Csak a szél (Just The Wind)”(ハンガリー・独・仏) 監督:Bence Fliegauf
 銀熊賞(審査員グランプリ)、平和映画賞、アムネスティ・インターナショナル賞受賞。

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 ・“Metéora (Meteora)”(独・ギリシャ) 監督:スピロス・スタソロプロス(Spiros Stathoulopoulos)

 ・“En Kongelig Affære (A Royal Affair)”(デンマーク・チェコ・スウェーデン・独) 監督:ニコライ・アーセル(Nikolaj Arcel)
 銀熊賞(男優賞:Mikkel Boe Følsgaard)、銀熊賞(脚本賞:ニコライ・アーセル、ラスマス・ヘイスターバング)受賞。

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 ・“Captive (Captured)”(仏・フィリピン) 監督:ブリランテ・メンドーサ
 ・“Kebun binatang (Postcards From The Zoo)”(インドネシア・独・香港・中) 監督:エドウィン

 ・“Bai lu yuan (白鹿原/White Deer Plain)”(中) 監督:ワン・チュアンアン
 銀熊賞(芸術貢献賞:ルッツ・ライテマイヤー(撮影))授賞。

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 ・“Rebelle (War Witch)”(カナダ) 監督:Kim Nguyen
 銀熊賞(女優賞:Rachel Mwanza)、エキュメニカル審査員賞スペシャル・メンション受賞。

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 ・“Jayne Mansfield's Car”(米・ロシア) 監督:ビリー・ボブ・ソーントン
 ・“Aujourd'hui (Tey)”(仏・セネガル) 監督:Alain Gomis

 【パノラマ部門】

 ◆国際批評家連盟賞
 ◎“L'âge atomique (Atomic Age)”(仏) 監督:Héléna Klotz

 ◆Europa Cinemas Label
 ◎“My Brother The Devil”(英) 監督:Sally El Hosaini

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 ◆Europa Cinemas Label スペシャル・メンション
 ◎“Dollhouse”(アイルランド) 監督:カーステン・シェリダン

 ◆エキュメニカル審査員賞
 ◎“Die Wand (The Wall)”(オーストリア・独) 監督:Julian Roman Pölsler

 ◆エキュメニカル審査員賞 スペシャル・メンション
 ◎“Parada (The Parade)”(セルビア・クロアチア・マケドニア・スロヴェニア) 監督:Srdjan Dragojevic

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 ◆C.I.C.A.E.賞
 ◎“Death for Sale”(ベルギー・仏・モロッコ) 監督:Faouzi Bensaïdi

 ◆テディー賞
 ◎“Keep The Lights On”(米) 監督:アイラ・サックス

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 ◆テディー賞 最優秀ドキュメンタリー賞
 ◎“Call Me Kuchu”(米) 監督:Malika Zouhali-Worrall 、Katherine Fairfax Wright

 ◆テディー賞 Zuschauerpreis der Siegessaeule/Else
 ◎“Parada (The Parade)”(セルビア・クロアチア・マケドニア・スロヴェニア) 監督:Srdjan Dragojevic

 ◆Cinema Fairbindet Prize
 ◎“Call Me Kuchu”(米) 監督:Malika Zouhali-Worrall 、Katherine Fairfax Wright

 ◆Siegessäule Readers’ Award
 ◎“Parada (The Parade)”(セルビア・クロアチア・マケドニア・スロヴェニア) 監督:Srdjan Dragojevic

 ◆Siegessäule Readers’ Award スペシャル・メンション
 ◎“Call Me Kuchu”(米) 監督:Malika Zouhali-Worrall 、Katherine Fairfax Wright

 ◆観客賞
 1位:“Parada (The Parade)”(セルビア・クロアチア・マケドニア・スロヴェニア) 監督:Srdjan Dragojevic

 2位:“Diaz - Don’t Clean Up This Blood”(伊・ルーマニア・仏) 監督:ダニエレ・ヴィカリ(Daniele Vicari)

 3位:“Xingu”(ブラジル) 監督:Cao Hamburger

 ◆観客賞 ドキュメンタリー部門

 1位:“Marina Abramović The Artist is Present”(米) 監督:Matthew Akers

 2位:“Call Me Kuchu”(米) 監督:Malika Zouhali-Worrall 、Katherine Fairfax Wright

 3位:“La Vierge, les Coptes et Moi (The Virgin, the Copts and Me)”(仏・カタール・エジプト) 監督:Namir Abdel Messeeh

 【フォーラム部門】

 ◆第1回作品賞スペシャル・メンション
 ◎“Tepenin Ardı (Beyond the Hill)”(トルコ・ギリシャ) 監督:Emin Alper

 ◆国際批評家連盟賞
 ◎“Hemel”(オランダ・西) 監督:Sacha Polak

 ◆エキュメニカル審査員賞
 ◎“La demora (The Delay)”(ウルグアイ・メキシコ・仏) 監督:ロドリゴ・プラ(Rodrigo Plá)

 ◆C.I.C.A.E.賞
 ◎『かぞくのくに』“Kazoku no kuni (Our Homeland)”(日) 監督:ヤン・ヨンヒ

 ◆カリガリ賞
 ◎“Tepenin Ardı (Beyond the Hill)”(トルコ・ギリシャ) 監督:Emin Alper

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 ◆カリガリ賞スペシャル・メンション
 ◎“Bagrut Lochamim (Soldier/Citizen)”(イスラエル) 監督:Silvina Landsmann
 ◎“Escuela normal (Normal School)”(アルゼンチン) 監督:Celina Murga
 ◎“Jaurès”(仏) 監督:Vincent Dieutre

 ◆NETPAC賞
 ◎“Paziraie Sadeh (Modest Reception)”(イラン) 監督:マニ・ハギギ

 ◆テディー賞 審査員特別賞
 ◎“Jaurès”(仏) 監督:Vincent Dieutre

 ◆Tagesspiegel Readers’ Prize
 ◎“La demora (The Delay)”(ウルグアイ・メキシコ・仏) 監督:ロドリゴ・プラ(Rodrigo Plá)

 【ジェネレーション Kplus部門】

 ◆クリスタル・ベア
 ◎“Arcadia”(米) 監督:Olivia Silver

 ◆クリスタル・ベア スペシャル・メンション
 ◎『聴こえてる、ふりをしただけ』“Kikoeteru, furi wo sita dake (Just Pretend to Hear)”(日) 監督:今泉かおり

 ◆ドイツ児童救済組織賞(Grand Prix of the Deutsches Kinderhilfswerk for the Best Film)
 ◎“Kauwboy”(オランダ) 監督:Boudewijn Koole

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 ◆ドイツ児童救済組織賞(Grand Prix of the Deutsches Kinderhilfswerk for the Best Film)スペシャル・メンション
 ◎“Gattu”(インド) 監督:Rajan Khosa

 ◆第1回作品賞
 ◎“Kauwboy”(オランダ) 監督:Boudewijn Koole

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 【ジェネレーション Kplus短編部門】

 ◆クリスタル・ベア
 ◎“Julian”(オーストラリア) 監督:Matthew Moore

 ◆クリスタル・ベア スペシャル・メンション
 ◎B I N O(オーストラリア) 監督:Billie Pleffer

 ◆ドイツ児童救済組織賞特別短編賞(Special Prize of the Deutsche Kinderhilfswerk for the Best Short Film)
 ◎B I N O(オーストラリア) 監督:Billie Pleffer

 ◆ドイツ児童救済組織賞特別短編賞スペシャル・メンション(Special Prize of the Deutsche Kinderhilfswerk for the Best Short Film)
 ◎“L”(ブラジル) 監督:Thais Fujinaga

 【ジェネレーション 14plus部門】

 ◆クリスタル・ベア
 ◎“Lal Gece (Night of Silence)”(トルコ) 監督:Reis Çelik

 ◆クリスタル・ベア スペシャル・メンション
 ◎“Kronjuvelerna (The Crown Jewels)”(スウェーデン) 監督:Ella Lemhagen

 【ジェネレーション 14plus短編部門】

 ◆クリスタル・ベア
 ◎“Meathead”(ニュージーランド) 監督:Sam Holst

 ◆クリスタル・ベア スペシャル・メンション受賞
 ◎“663114”(日) 監督:平林勇

 【短編部門】

 ◆金熊賞
 ◎“Rafa”(ポルトガル・仏) 監督:João Salaviza

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 ◆審査員賞
 ◎『グレートラビット』“Gurehto Rabitto”(仏) 監督:和田淳

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 ◆スペシャル・メンション
 ◎“Licuri Surf”(ブラジル) 監督:Guile Martins

 ◆ヨーロッパ映画賞2012 短編賞部門ベルリン代表
 ◎“Vilaine Fille Mauvais Garçon”(仏) 監督:Justine Triet

 ◆DAAD短編賞(The DAAD Short Film Prize of the Artists-in-Berlin Programme of the German Academic Exchange Service (DAAD))
 ◎“The Man that Got Away”(カナダ) 監督:Trevor Anderson

 ◆テディー賞 最優秀短編賞
 ◎“The Man that Got Away”(カナダ) 監督:Trevor Anderson

 【パースペクティヴ・ドイツ映画部門】

 ◆The“Dialogue en perspective”Prize
 ・“This Ain’t California” 監督:Marten Persiel

 【その他の賞】

 ◆第9回ベルリナーレ・タレント・キャンパス 作曲コンペティション
 ◎Christoph Fleischmann(独)
 審査員:Martin Steyer、Ziska Riemann、マルティン・トードシャローヴ(Martin Todsharow)

 ◆第9回ベルリナーレ・タレント・キャンパス 短編コンペティション(Berlin Today Award)
 ◎“Batman at the Checkpoint”(イスラエル) 監督:Rafael Balulu
 審査員:ヤスミラ・ジュバニッチ、ユーディット・カウフマン、ガイ・マディン

 ◆第9回ベルリナーレ・タレント・キャンパス 短編コンペティション(Berlin Today Award)スペシャル・メンション
 ◎“White Lobster”(英) 監督:David Lalé

 ◆第1回The New Perspektive Fellowship
 ◎Annekatrin Hendel
 若く優れたドイツのフィルムメーカーに贈られる。

 ◆特別テディー賞
 ◎ウルリケ・オッティンガー(『フリーク・オルランド』の監督)

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 ◎Mario Montez(俳優)

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 ◆名誉金熊賞
 ◎メリル・ストリープ

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 コンペティション部門の受賞結果は、ちょっと意外でした。

 賞を与える意味と効果を考えるならば、タヴィアーニ兄弟のようにキャリアも知名度もある監督の作品よりも、多少荒削りなところはあっても、新しい才能を世に出す方向で、賞を割り振るという判断もあるはずですが、今回は、そういう方向では審査されなかったようです。

 コンペティション部門の顔ぶれからすると、タヴィアーニ兄弟だけが飛びぬけてキャリアの実績もあるし、実力があることはわかっているのだから、それでこういう結果を出すというのは、ずるいというか、当たり前過ぎるという気もしますね。

 タヴィアーニ兄弟が3大映画祭で最高賞を受賞するのは、1977年の『父/パードレ・パドローネ』でカンヌ国際映画祭パルムドールを受賞して以来となります。

 “Cesare deve morire (Caesar Must Die)”は、ドラマとドキュメンタリーを併せたような作品なのか、純粋なフィクションなのか、はっきりとは伝わってきていないのでわからないのですが、ドキュメンタリー作品だとすれば、3大映画祭では、2004年に『華氏911』がカンヌ国際映画祭でパルムドールを受賞して以来の快挙ということになります。
 ベルリン国際映画祭の受賞作は日本未公開作も多いし、カンヌ、ベネチアを含め、すべてをチェックできているわけではありませんが、3大映画祭の最高賞がドキュメンタリー作品であるというのは稀有の結果とということになります。(ひょっとすると、『華氏911』と今回の作品しかないかもしれません。)

 審査員グランプリは“Csak a szél (Just The Wind)”。もし若い才能を世に出すことを目的として賞を決めるとしたら、金熊賞はこの作品だったのではないでしょうか。

 監督賞は、クリスチャン・ペツォルト。題材的には、これまで似たような題材の映画はいくつかあったし、マイク・リーを審査員長とする審査員団が監督賞に選ぶ作品としてはちょっと意外でした。ドラマツルギー的な部分が評価されたということでしょうか。

 銀熊賞をダブル受賞したのはデンマークの“En Kongelig Affære (A Royal Affair)”。やリ方によってはいくらでも泥臭くなりそうな作品ですが、現代社会へのメッセージがある作品、もしくは現代ヨーロッパへの風刺といった作品になっているのかもしれません。
 私の男優賞予想は、マッツ・ミケルセンでしたが、受賞したのは、同じ作品からMikkel Boe Følsgaardでした。

 ワン・チュアンアンは、ベルリン国際映画祭に出品しては、必ず銀熊賞以上の作品をさらっていきます。

 何らかの賞を受賞してもいいのに、無冠に終わってしまったのは、アメリカから唯一出品されていたビリー・ボブ・ソーントンの“Jayne Mansfield's Car”です。日本に紹介されている2作品を見てもある程度のクオリティーがあることは確かなはずですが、全く無視されてしまいました。
 映画祭の審査員が無視しても、その後の映画賞レースで最高の栄誉を獲得する作品もあれば(『ハート・ロッカー』のように)、映画祭で最高賞を受賞しても本国の映画賞レースで完全に無視される映画もあるので(ソフィア・コッポラの『SOMEWHERE』のように)、この作品の評価はまだわからないとも言えます。
 “Jayne Mansfield's Car”の全米公開はまだ決まっていないようですが、この作品の今後の反響を見守っていきたいと思います。

 全体としては―
 映画祭の受賞作品というのは、作品の社会性やメッセージ性、監督の作家性や将来性、などが評価されることが多いと思いますが、今回は、ジャンル映画こそなかったものの、より「映画」を感じられる、ドラマ性の強い作品に賞が与えられたような気がしますね。

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 コンペティション部門以外では、複数の賞を受賞している“Parada (The Parade)”(セルビア・クロアチア・マケドニア・スロヴェニア)と“Call Me Kuchu”(米)、および、サンダンス映画祭からの流れで高評価を決定づけた“My Brother The Devil”(英)と“Marina Abramović The Artist is Present”(米)が注目されます。

 特に、“My Brother The Devil”(英)と“Marina Abramović The Artist is Present”(米)は、早くも2012年度映画賞レースに名乗りを上げたと言ってもいいと思います。
 楽しみですね。

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 日本からは4作品が賞を受賞しました。

 このクラスの賞だと、映画情報サイトおよび通信社からの発信情報以上の展開は得られそうにありませんが、準グランプリ・クラスの作品が3つもあって、十分に凄いですね。

 短編が2本、長編が2本なので、組み合わせて、凱旋上映会なんていうのが企画されても面白いと思うのですがどうでしょうか。

 【フォーラム部門】
 ◆C.I.C.A.E.賞
 ◎『かぞくのくに』“Kazoku no kuni (Our Homeland)”(日) 監督:ヤン・ヨンヒ

 【ジェネレーション Kplus部門】
 ◆クリスタル・ベア スペシャル・メンション
 ◎『聴こえてる、ふりをしただけ』“Kikoeteru, furi wo sita dake (Just Pretend to Hear)”(日) 監督:今泉かおり

 【ジェネレーション 14plus短編部門】
 ◆クリスタル・ベア スペシャル・メンション受賞
 ◎“663114”(日) 監督:平林勇

 【短編部門】
 ◆審査員賞
 ◎『グレートラビット』“Gurehto Rabitto”(仏) 監督:和田淳

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 今回のベルリン国際映画祭に関して、当ブログでは、コンペティション部門しか記事にしていませんが、後日、改めて、コンペティション部門以外の部門の作品に関しても(受賞作品を中心に)記事にしたいと思っています。書きかけてそのままになってるんですけどね。
 お楽しみに!

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 *当ブログ記事
 ・ベルリン国際映画祭2012 コンペティション部門ラインナップ:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201202/article_11.html
 ・アウト・オブ・コンペティション部門、パノラマ部門:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201202/article_45.html
 ・フォーラム部門:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201209/article_28.html
 ・ジェネレーション部門、その他:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201202/article_46.html

 ・映画賞&映画祭カレンダー 2012年1月~6月:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201201/article_1.html

この記事へのコメント

T
2012年02月19日 19:05
タヴィアーニ兄弟は『父/パードレ・パドローネ』でパルム・ドールを受賞しているのでは?
umikarahajimaru
2012年02月19日 19:23
Tさま
ご指摘ありがとうございました。
そうですね。思い違いでした。
訂正させていただきます。

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