『The Clock』とか“Margaret”とか ボストン映画批評家協会賞2011 発表!

 ボストン映画批評家協会賞2011が発表されました。(12月11日)

 ◆作品賞
 ◎“The Artist” 監督:ミシェル・アザナヴィシウス
 次点:『ヒューゴの不思議な発明』 監督:マーティン・スコセッシ
 次点:“Margaret” 監督:ケネス・ロナーガン(Kenneth Lonergan)

 ◆監督賞
 ◎マーティン・スコセッシ 『ヒューゴの不思議な発明』
 次点:ミシェル・アザナヴィシウス “The Artist”

 ◆主演男優賞
 ◎ブラッド・ピット 『マネーボール』
 次点:ジョージ・クルーニー “The Decendants”
 次点:マイケル・ファスベンダー “Shame”

 ◆主演女優賞
 ◎ミシェル・ウィリアムズ 『マリリン 7日間の恋』
 次点:メリル・ストリープ “The Iron Lady”

 ◆助演男優賞
 ◎アルバート・ブルックス 『ドライヴ』

 ◆助演女優賞
 ◎メリッサ・マッカーシー “Bridesmaids”
 次点:ジーニー・バーリン(Jeannie Berlin) “Margaret”

 ◆脚本賞
 ◎『マネーボール』
 次点:“Margaret”

 ◆撮影賞
 ◎『ツリー・オブ・ライフ』
 次点:『ヒューゴの不思議な発明』

 ◆編集賞(Best Film Editing (awarded in memory of Karen Schmeer))
 ◎『The Clock』“The Clock” 監督:クリスチャン・マークレー(Christian Marclay)
 次点:『ヒューゴの不思議な発明』

 ◆音楽賞(Best Use of Music in a Film)
 ◎“The Artist”
 ◎『ドライヴ』
 次点:“The Descendants”

 ◆アンサンブル・キャスト賞(Best Ensemble Cast)
 ◎“Carnage”(監督:ロマン・ポランスキー)
 次点:“Margaret”

 ◆新人監督賞(Best New Filmmaker (awarded in memory of David Brudnoy))
 ◎Sean Durkin “Martha Marcy May Marlene”
 次点:J・C・チャンダー 『マージン・コール』

 ◆ドキュメンタリー賞
 ◎『プロジェクト・ニム』 監督:ジェームズ・マーシュ
 次点:“Bill Cunningham, New York” 監督:Richard Press

 ◆外国映画賞
 ◎『灼熱の魂』(カナダ) 監督:デニ・ヴィルヌーヴ
 次点;『別離』(イラン) 監督:アスガー・ファルハディ
 次点:『ポエトリー アグネスの詩』(韓) 監督:イ・チャンドン

 ◆最優秀特集上映(Best Film Series)

 ◎「この道はどこへも通じない:モンテ・ヘルマンの映画」‘All Roads Lead to Nowhere: The Films of Monte Hellman’(HFA/ハーバート映画アーカイブ)

 ◎「アメリカン・パンク」‘American Punk’(HFA)
 ・『BLANK GENERATION ブランク・ジェネレーション』“The Blank Generation”(1976) 監督:エイモス・ポー、アイヴァン・クラール
 ・『タイムズ・スクエア』“Times Square”(1980) 監督:アラン・モイル(Allan Moyle)
 ・『D.O.A.:』“D.O.A.: A Right of Passage”(1981) 監督:レック・コワルスキー
 ・『ザ・デクライン』“The Decline of Western Civilization”(1981) 監督:ペネロープ・スフィーリス(Penelope Spheeris)
 ・『反逆のパンク・ロック』“Suburbia”(1983) 監督:ペネロープ・スフィーリス
 ・『バタリアン』“The Return of the Living Dead”(1985) 監督:ダン・オバノン
 ・『ボーダー・レディオ』“Border Radio”(1987) 監督:アリソン・アンダース
 ・『ノー・スキン・オフ・マイ・アス』“No Skin Off My Ass”(1991) 監督:ブルース・ラ・ブルース
 ・“Desperate Teenage Lovedolls”(1984) 監督:ディヴ・マーキー(Dave Markey)
 ・“Third Reich and Roll”(1977) 監督:The Residents [短編]
 ・“Deaf/Punk”(1979) 監督:Richard Gaikowski [短編]
 ・“Louder, Faster, Shorter”(1979) 監督:Mindaugis Bagdon [短編]
 ・“The Units' Training Film”(1980) 監督:Scott Ryser、Rachel Webber [短編]
 ・“Your World Dies Screaming”(1981) 監督:Dale Hoyt [短編]
 ・“Dancing Death Monsters”(1981) 監督:Dale Hoyt [短編]
 ・“Thought Crimes in the Satiation Pool”(1987) 監督:Barney Haynes、Barry Shrwartz [短編]
 ・“Brent Aske”(1987) 監督:Ivar Smedstad [短編]
 ・“Selections from Target Video”(1977–1980) [短編集]

 ◎「アンリ=ジョルジュ・クルーゾー全作上映」‘The Complete Henri-Georges Clouzot’(HFA)

 ◎「ノワール・ナイト」‘Noir Nights’(ArtsEmerson)
 リチャード・シオドマーク
 ・『暗い鏡』“The Dark Mirror”(1946) 監督:ロバート・シオドマーク
 ・『都会の叫び』“Cry of the City”(1948) 監督:ロバート・シオドマーク
 レイ・ミランド
 ・“So Evil My Love”(1948) 監督:ルイス・アレン(Lewis Allen)
 ・『夜霧の誘惑』“Alias Nick Beal”(1949) 監督:ジョン・V・ファロー(John Farrow)
 裁きの手(Hand of Justice)
 ・『消された証人』“Tight Spot”(1955) 監督:フィル・カールソン(Phil Karlson)
 ・『条理ある疑いの彼方に』“Beyond a Reasonable Doubt”(1956) 監督:フリッツ・ラング

 ◎「サイエンス・オン・スクリーン」‘Science on Screen’(Coolidge Corner)

 ◆最優秀‘再発見’プログラム(Best Rediscoveries)

 ◎「広島の子どもたち:新藤兼人傑作選」‘Children of Hiroshima’(Masterworks by Kaneto Shindo, HFA)
 ・『原爆の子』(1952)
 ・『裸の島』(1960)
 ・『鬼婆』(1964)
 ・『藪の中の黒猫』(1968)
 ・『裸の十九才』(1970)
 ・『一枚のハガキ』(2010)
 ※「広島の子どもたち」‘Children of Hiroshima’とは、『原爆の子』 の英題です。

 ◎「森の中の昼と夜/シャルミラ・タゴールとソハ・アリ・カーン:インド映画の2つの世代」‘Days and Nights in the Forest’(Sharmila Tagore and Soha Ali Khan: Two Generations in Indian Cinema, HFA)
 ・『大樹のうた』(1959) 監督:サタジット・レイ
 ・“The Goddess (Devi)”(1960) 監督:サタジット・レイ
 ・“The Hero (Nayak)”(1966) 監督:サタジット・レイ
 ・“Days and Nights in the Forest (Aranyer Din Ratri)”(1970) 監督:サタジット・レイ
 ・“Khoya khoya chand”(2007) 監督:Sudhir Mishra
 ・“Rang de Basanti”(2006) 監督:Rakeysh Omprakash Mehra

 ◎「ディープ・エンド:イエジー・スコリモフスキのラディカルなヴィジョン」‘Deep End’ (The Radical Visions of Jerzy Skolimowski, HFA)

 ◎『細雪』ニュープリント復元版“The Makioka Sisters”(New and Restored Prints, MFA)

 ◎「この道はどこへも通じない:モンテ・ヘルマンの映画」‘The Shooting’(All Roads Lead to Nowhere The Films of Monte Hellman, HFA)

 ◆特別賞(Special Commendations)
 ◎ブラトル映画財団
 その10年に及ぶ非営利団体としての活動と、映画の保存を持続的に行なっていること、および、ブラトル劇場での作品のチョイスと歴史的文化的に優れたプログラミングに対して。(To the Brattle Film Foundation for ten years as a nonprofit, for its continued commitment to film preservation, and for its eclectic, and historically and culturally relevant repertory programming at the Brattle Theater.)

 ◎DocYardの創立者Ben Fowlie、Sara Archambault、Sean Flynnに対して
 DocYardを通して、ボストンのドキュメンタリー・コミュニティーに重要なドキュメンタリー作品を観る機会を提供し、フィルムメーカーたちと有意義なディスカッションの場を設けたことに対して。(To Ben Fowlie, Sara Archambault, and Sean Flynn, co-founder programmers of DocYard, for presenting a vibrant forum for the Boston documentary community to see important new non-fiction works and to have meaningful discussions with the filmmakers.)

 ◎ボストン美術館
 クリスチャン・マークレーのフィルム・インスタレーション『The Clock』を購入し、プログラムを組み、24時間上映という稀有な体験を観客に提供したことに対して。(To The Museum of Fine Arts for purchasing, programming, and broadly promoting Christian Marclay's film installation, The Clock, and for allowing audiences to experience this unique work of cinema in its full 24-hour runtime on select dates.)

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 いわゆる主要映画部門ではない項目がやたら多く、“The Artist”が作品賞を獲っていることなどもはやあまり注目に値しなくなっていますが、このボストン映画批評家協会賞2011で、目を惹くのは、多数の部門に顔を出している映画“Margaret”、および、クリスチャン・マークレーの“The Clock”でしょうか。

 “Margaret” 監督:ケネス・ロナーガン(Kenneth Lonergan)
 出演:アンナ・パキン、J・スミス=キャメロン、マーク・ラファロ、ジーニー・バーリン、ジャン・レノ、サラ・スティール、ジョン・ギャラガー Jr.、Cyrus Hernstadt、アリソン・ジャネイ、キーラン・カルキン、マット・デイモン
 物語:ニューヨークの高校生、マーガレットは、バスの事故を目撃する。事故に関して、それが故意であったのかどうかが議論の焦点となり、彼女は、正しいことをしようと思って証言するが、次々に彼女と立場を異にする証言者が現れる。彼女はフラストレーションで、家族や友人や先生、果ては自分に対してまで当たり散らす。やがて思いもかけぬ真実が浮かび上がり、若い彼女の理想は、大人の世界の妥協や現実と衝突する。
 監督のケネス・ローガンは、これが『ユー・キャン・カウント・オン・ミー』(2000)以来となる第2長編で、『ユー・キャン・カウント・オン・ミー』と『ギャング・オブ・ニューヨーク』で米国アカデミー賞オリジナル脚本賞にノミネートされています。そのほか、『アナライズ・ミー』などの脚本を手がけています。
 本作は上映時間2時間半となる大作で、アメリカでは9月30日に公開され、カナダやイギリスで公開され、フランスでは2012年8月に公開されることが決まっています。

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 『The Clock』“The Clock” 監督:クリスチャン・マークレー(Christian Marclay)
 『The Clock』は、1955年生まれのアメリカのビデオ・アーティスト、クリスチャン・マークレーの2010年のビデオ・インスタレーション作品で、映画やテレビ番組から抜き出された数千もの「時計が映っているシーン」で構成され、上映時刻が時計が映っている時間とシンクロするようにして作られた上映時間24時間の作品です。
 2010年にロンドンのWhite Cubeで初披露された後、ニューヨークやロサンゼルス、パリなどの美術館やギャラリーなどで上映されたほか、2011年にヴェネチアビリエンナーレにも出品されて、金獅子賞を受賞しました。
 作品は、50万ドルで販売されており、いくつもの美術館が購入したそうです。
 日本では、2011年10月26日20時から27日20時にかけて、ヨコハマトリエンナーレ2011で1回限りの上映会が行なわれました。定員60名で、ヨコハマトリエンナーレのチケットを持っている人なら誰でも入場可(ということは1600円?)。トイレ休憩でなどで途中退出することは可能だが、定員を超えた場合は、空席待ちとなっているため、席の保証・確保はできない、という形での上映だったそうです。
 映画狂などが作った、映画狂であることを見せびらかすような作品ではなく、シーンのチョイスや構成、編集にアーティストとしてのセンスが伺える素晴らしい作品である、というような評判が伝えられています。

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 ボストン映画批評家協会賞が上映活動などのリコメンデーションを行なっていることは、これまではチェックできていませんでしたが、これまでも毎年行なってきていることであるようです。(公式サイトを見たら、使命として、年間最優秀映画やフィルムメイカー、および、地元の映画館や上映団体の活動を評価する、という風に書かれていました。)

 *公式サイト:http://www.bostonfilmcritics.org/content/Mission

 昨年は、“Marwencol”を新人監督賞とドキュメンタリー賞に選んでいるのがちょっと変わってるなというくらいの印象だったのですが、こうしてみてくると、ボストン映画批評家協会賞は、劇場公開作品にとどまらず、アート作品やインディペンデント系の作品を中心に広くヴィジュアル・アートを評価してきているということがわかります。

 さすが、ハーバード大学やボストン美術館、ボストン・オペラハウス、ボストン交響楽団、そしてボストン・グローブ紙を擁する学問と芸術の町ボストンの映画賞といった感じでしょうか。

 
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 *当ブログ記事
 ・ボストン映画批評家協会賞2010 結果発表:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201012/article_25.html
 ・ボストン映画批評家協会賞2009 結果発表:http://umikarahajimaru.at.webry.info/200912/article_23.html
 ・ボストン映画批評家協会賞2008 結果発表:http://umikarahajimaru.at.webry.info/200812/article_24.html

 ・ゴッサム・アワード2011 結果発表:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201111/article_25.html
 ・ニューヨーク映画批評家協会賞2011:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201111/article_27.html
 ・ナショナル・ボード・オブ・レビュー2011:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201112/article_1.html
 ・ワシントンDC映画批評家協会賞2011:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201112/article_10.html
 ・ロサンゼルス映画批評家協会賞2011:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201112/article_17.html
 ・ニューヨーク映画批評家オンライン賞2011:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201112/article_18.html
 ・サンフランシスコ映画批評家協会賞2011:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201112/article_19.html

 ・サテライト・アワード2011 ノミネーション:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201112/article_6.html
 ・インディペンデント・スピリット・アワード2012 ノミネーション:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201111/article_28.html
 ・ヒューストン映画批評家協会賞2011 ノミネーション:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201112/article_16.html

 ・2011年11月時点でのオスカー予想:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201111/article_16.html

 *全米の映画批評家協会系映画賞について調べてみました:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201101/article_2.html

 ・全米の映画批評家協会系映画賞について調べてみました その2 「米国アカデミー賞に
最も近い受賞結果を出す映画賞はこれだ!」:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201101/article_3.html

 ・全米の映画賞について調べてみました:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201001/article_45.html

 ・映画祭&映画賞カレンダー 2011年6月~2012年2月:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201106/article_3.html

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