国際ドキュメンタリー協会賞 IDAアワード2011 ノミネーション!

 国際ドキュメンタリー協会(International Documentary Association /IDA)が贈る第27回IDAアワードノミネーションが発表されました。(10月27日)

 【IDAアワード】

 IDAは、ドキュメンタリー作品の作り手の支援やドキュメンタリー作品の上映機会の増加のための活動を行なっている非営利団体で、ロサンゼルスに本部があり、世界53カ国に2800人の会員を有しています。

 IDAアワードは、そんな非営利団体が贈る賞ということで、一見地味~な印象も受けますが(実際のところ、あまり陽の目を見ないドキュメンタリー作品に積極的にスポットライトを当てようとしているようなところがあり、シリアスな作品も多いのですが)、ユニークな題材を扱った作品も多く、さまざまな映画祭で評価された作品もたくさん取り上げられています。

 過去の受賞作には、『アンヴィル! 夢を諦めきれない男たち』(長編ドキュメンタリー賞&音楽ドキュメンタリー賞2009受賞)、第4回UNHCR難民映画祭-東京で上映された『ウォー・チャイルド』(Video Source Award 2008)や『神は僕らを見放した』(Emerging Documentary Filmmaker 2006受賞)、『イラクのカケラを集めて』(長編ドキュメンタリー賞2006)、『未来を写した子どもたち』『華氏911』(ともに長編ドキュメンタリー賞2004)、『イメルダ』(Video Source Award 2004)、『バス174』(Video Source Award 2003)、『SUGIHARA: Conspiracy Of Kindness~杉原千畝 善意の陰謀』(Pare Lorentz Award 2000)、などがあります。

 IDAアワードを、アカデミー賞長編ドキュメンタリー賞の前哨戦とみなして、映画賞レース予想の判断材料にしたりすることはできませんが(受賞作どころか、ノミネーションが重なることもごく稀です)、こういう風に提示されなければ知らなかったであろう興味深い作品や題材もたくさんあります。

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 ◆長編ドキュメンタリー賞(Best Feature Award)
 ・“Better This World”(米) 監督:Katie Galloway、Kelly Duane de la Vega
 ・“How to Die in Oregon”(米) 監督:Peter D. Richardson
 ・『光、ノスタルジア』“Nostalgia for the Light”(仏・独・チリ) 監督:パトリシオ・グスマン(Patricio Guzmán)
 ・“The Redemption of General Butt Naked”(米・グルジア・リベリア) 監督:Eric Strauss、Daniele Anastasion
 ・“The Tiniest Place (El Lugar Más Pequeño)”(メキシコ) 監督:Tatiana Huezo

 “Better This World”は、SXSW映画祭2011 長編ドキュメンタリー・コンペティション部門出品。ゴッサム・アワード2011ドキュメンタリー賞ノミネート。
 “How to Die in Oregon”はサンダンス映画祭2011審査員グランプリ受賞。SXSW映画祭2011 FESTIVAL FAVORITES部門出品。
 『光、ノスタルジア』は、カンヌ国際映画祭2010特別上映作品。トロント国際映画祭2010 MASRERS部門出品。ピープルズ・チョイス賞ドキュメンタリー部門次点。ヨーロッパ映画賞2010 ドキュメンタリー賞受賞。サンタバーバラ国際映画祭2011 スペイン/ラテン・アメリカ映画賞受賞。山形国際ドキュメンタリー映画祭2011 山形市長賞(最優秀賞)受賞。
 “The Redemption of General Butt Naked”はサンダンス映画祭2011撮影賞受賞。ゴッサム・アワード2011 Film Not Playing at a Theater Near You賞ノミネート。
 “The Tiniest Place (El Lugar Más Pequeño)”は、ウィーン国際映画祭2011出品。Reader Jury of the“Standard”受賞。

 ◆短編ドキュメンタリー賞(Best Short Award)
 ・“Broken Doors”(米) 監督:Goro Toshima
 ・“Maya Deren’s Sink”(米) 監督:バーバラ・ハマー
 ・“Minka”(民家)(米・日) 監督:Davina Pardo
 ・“Poster Girl”(米) 監督:Sara Nesson
 ・“The Warriors of Qiugang(仇崗勇士)”(米) 監督:Ruby Yang

 “Maya Deren’s Sink”はベルリン国際映画祭2011 テディ賞受賞。
 “Minka”はアスペン国際短編映画祭2011出品。ホットドックス国際ドキュメンタリー映画祭2011出品。シルバードックス国際ドキュメンタリー映画祭2011出品。
 “Poster Girl”は、米国アカデミー賞2011短編ドキュメンタリー賞ノミネート。
 “The Warriors of Qiugang”は、米国アカデミー賞2011短編ドキュメンタリー賞ノミネート。

 ◆ドキュメンタリー・シリーズ賞 限定シリーズ部門(Best Limited Series Award)
 ・“Boomtown”(米) 監督:Rachel Libert
 ・“If God is Willing and Da Creek Don’t Rise”(米) 監督:スパイク・リー
 ・“Michael Feinstein’s American Songbook”(米) 監督:Amber Edwards
 ・“The National Parks Project”(カナダ) 監督:Brenda Kovrig、Mike Downie、David New、Sarah Goodman、Jeff Thrasher、Sean Michael Turrell、Ryan J. Noth、Geoff Morrison
 ・“On Series”(米) 監督:Tom Barbor-Might、Jon Brooks、Neil Edson

 ◆ドキュメンタリー・シリーズ賞 継続シリーズ部門(Best Continuing Series Award)
 ・“30 for 30”(米)
 ・“American Experience”(米)
 ・“The Passionate Eye”(カナダ)
 ・“POV”(米)
 ・“Vanguard”(米)

 ◆学生作品部門賞(David L. Wolper Student Documentary Award)
 ・“Guañape Sur”(伊・ペルー) 監督:János Richter
 ・“Heart-Quake”(伊・セルビア) 監督:Mark Olexa
 ・“River of Victory”(米・カンボジア) 監督:Trevor Wright
 ・“Smoke Songs”(米) 監督:Briar March
 ・“Transit”(シンガポール) 監督:Regina Tan

 “Guañape Sur”は、シルバードックス・ドキュメンタリー映画祭2011 Sterling Award 受賞。サンセバスチャン国際映画祭2011 International Film School Meeting Award第2席。

 ◆ヒューマニタス賞(IDA Humanitas Award)
 文化や人種、ライフスタイル、政治的信条、宗教的信念は違っていても、人類としてまったく変わりはないということを探求しているようなドキュメンタリー作品に贈られる。
 ・“The Carrier”(米・ザンビア) 監督:Maggie Betts
 ・“How to Die in Oregon”(米) 監督:Peter D. Richardson
 ・“The Learning”(米) 監督:ラモーナ・S・ディアス(Ramon S. Diaz)
 ・『星空の下で』“Position Among the Stars (Stand van de Sterren)”(オランダ) 監督:レナート・レーテル・ヘルムリッヒ(Leonard Retel Helmrich)
 ・“The Tiniest Place (El Lugar Más Pequeño)”(メキシコ) 監督:Tatiana Huezo

 “How to Die in Oregon”はサンダンス映画祭2011審査員グランプリ受賞。SXSW映画祭2011 FESTIVAL FAVORITES部門出品。
 ラモーナ・S・ディアスは『イメルダ』の監督。
 『星空の下で』は、山形国際ドキュメンタリー映画祭2011インターナショナル・コンペティション部門出品。
 “The Tiniest Place (El Lugar Más Pequeño)”は、ウィーン国際映画祭2011出品。Reader Jury of the“Standard”受賞。

 ◆ABCニュース ビデオソース賞(ABC News Videosource Award)
 ドキュメンタリーに不可欠な要素としてニュース・フッテージがあるが、その用法がもっとも優れた作品にこの賞が贈られる。
 ・“The Green Wave”(独) 監督:Ali Samadi Ahadi
 ・“Michael Feinstein's American Songbook- ep. 2 ‘Best Band in the Land’”(米) 監督:Amber Edwards
 ・“POV- The Most Dangerous Man in America: Daniel Ellsberg and the Pentagon Papers””(米) 監督:Judith Ehrlich、Rick Goldsmith
 ・“The Pruitt-Igoe Myth”(米) 監督:Chad Freidrichs
 ・“Reagan”(米・英) 監督:Eugene Jarecki

 ◆Pare Lorentz Award
 1930~40年代に活躍したドキュメンタリー作家Pare Lorentz(1905~1992)にちなんだドキュメンタリー賞。自然環境の適切な利用やすべての者に対する公平、急を要する社会問題にスポットライトを当てることなど、模範的な映画制作を行なっている作品に贈られる。
 ◎“The Last Mountain”(米) 監督:Bill Haney

 ◆Jacqueline Donnet Award(新人監督賞)
 ◎Danfung Dennis(“Hell and Back Again”)

 ◆生涯貢献賞(Career Achievement Award)
 ◎Les Blank
 Les Blankは、1984年の“In Heaven There Is No Beer?”(サンダンス映画祭特別審査員賞&メルボルン国際映画祭グランプリ)や1982年の“Burden of Dreams”(BAFTAフラハティー賞)などで知られるドキュメンタリー作家。.

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 昨年まであった音楽ドキュメンタリー賞はなくなってしまったようです。音楽ドキュメンタリーはコンスタントに制作されるので、ジャンル的には十分に成立するはずですが、他の部門とあまりにも違いすぎる(商業的すぎる?)ので、廃止されたのでしょうか。

 ノミネート作品には、バーバラ・ハマーやスパイク・リーの作品があるほか、山形国際ドキュメンタリー映画祭2011で上映された作品が2本あり、当ブログの記事のどこかで紹介した作品もいくつかありますが、ここでは、日本がらみの2作品について、触れておきたいと思います。

 短編ドキュメンタリー賞にノミネートされている“Broken Doors”の監督はGoro Toshimaという名前で、名前からして、日本人か日系人であると思われます。公式サイト(http://www.gorotoshima.com/)はありますが、特に出自については触れられていません。
 Goro Toshimaは、撮影監督として、HBOやPBS、サンダンス・チャンネルで仕事をしつつ、ドキュメンタリー映画の制作を行なっていて、監督長編“A Hard Straight”(2004)でSXSW映画祭とサンタバーバラ国際映画祭で審査員賞を受賞しているようです。
 最新作の短編“Broken Doors”は、ハリウッドの通りで暮らす若いカップルのホームレスに関するドキュメンタリーで、彼女が妊娠してしまったことで生活が危機に直面するといった内容の作品。

 同じく短編ドキュメンタリー賞にノミネートされている“Minka”は、とある日本の「民家」とその思い出についてのドキュメンタリー。
 1967年当時、APの外国人特派員であったJohn Roderick氏は、岐阜の合掌造りの民家がダム建設で湖底に沈むことを知り、オーナーとなって、解体し、鎌倉に移築する。これに協力したのが、地元岐阜の出身で、その時早稲田大学の学生であった瀧下嘉弘さんで、彼は、 Roderick氏とともにその移築した家に移り住み、のちにRoderick氏の養子となる。撮影は、1993年にRoderick氏が亡くなったところから始められ、合掌造りの家とそれにまつわる記憶、および、建築、家の持つ意味について語られる。
 瀧下さんは、現在、NPO法人日本古民家保存協会代表、ハウス・オブ・アンテイックス(House of Antiques)代表取締役で、『民家移築』という著書もあり、こういうことに関連した講演活動もされているようなので、そうした講演もセットにして、日本でこの作品を上映したりすることも考えられるのではないでしょうか。テーマも今の時代にぴったりだし。(上映時間:16分)

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 受賞結果の発表は12月2日です。

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 *当ブログ記事
 ・IDAアワード2010 ノミネーション:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201011/article_27.html
 ・IDAアワード2010 受賞結果:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201012/article_7.html
 ・IDAアワード2009 ノミネーション:http://umikarahajimaru.at.webry.info/200911/article_24.html
 ・IDAアワード2009 受賞結果:http://umikarahajimaru.at.webry.info/200912/article_10.html

 ・映画祭&映画賞カレンダー 2011年6月~2012年2月:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201106/article_3.html

 追記:
 ・IDAアワード2011 受賞結果:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201112/article_7.html

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