注目作多し! アリエル賞(メキシコ・アカデミー賞)2011 ノミネーション発表!

 メキシコ・アカデミー賞、アリエル賞のノミネーションが発表になりました。(3月22日)

 今のところ日本で公開予定となっているのは『Biutiful ビューティフル』のみですが、2010年度のメキシコ映画には、ロッテルダム国際映画祭のタイガー・アワード受賞作品、カンヌ国際映画祭カメラドール受賞作品、サンセバスチャン国際映画祭 新人監督部門グランプリ受賞作品があって、国際的に見て、優れた新人監督が何人も輩出した年ということになっています。

 2009年も新しい監督が活躍していましたから、近年、メキシコ映画には新しい映画の波が来ていると考えてよさそうです。

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 ◆作品賞(Mejor película)
 ・『アベルの小さな世界』“Abel” 監督:ディエゴ・ルナ
 ・“Chicogrande” 監督:フェリペ・カサルス(Felipe Cazals)
 ・“El infierno” 監督:Luis Estrada

 ◆監督賞(Mejor director)
 ・ディエゴ・ルナ 『アベルの小さな世界』“Abel”
 ・フェリペ・カサルス(Felipe Cazals) “Chicogrande”
 ・Luis Estrada “El infierno”

 ◆主演男優賞(Mejor actor)
 ・ハヴィエル・バルデム 『Biutiful ビューティフル』(監督:アレハンドロ・ゴンザレス。イニャリトゥ)
 ・ダミアン・アルカザール(Damián Alcazar) “El infierno”
 ・デミアン・ビチル(Demián Bichir) “Hidalgo, la historia jamás contada”(監督:アントニオ・セラーノ(Antonio Serrano))
 ・Hansel Ramírez “La mitad del mundo”(監督:Jaime Ruiz Ibáñez)

 ◆主演女優賞(Mejor actriz)
 ・カリナ・ギディ(Karina Gidi) 『アベルの小さな世界』“Abel”
 ・Mónica del Carmen “Año bisiesto”(監督:マイケル・ロウ(Michael Rowe))
 ・マリセル・アルバレス(Maricel Álvarez) 『Biutiful ビューティフル』
 ・Úrsula Pruneda “Las buenas hierbas”(監督:María Novaro)

 ◆助演男優賞(Mejor coactuación masculine)
 ・Daniel Martínez “Chicogrande”
 ・アーネスト・ゴメス・クルス(Ernesto Gómez Cruz) “El infierno”
 ・ホアキン・コシオ(Joaquín Cosio) “El infierno”
 ・Juan Ignacio Arana “Hidalgo, la historia jamás contada”

 ◆助演女優賞(Mejor coactuación femenina)
 ・マリア・ロホ(María Rojo) “El infierno”
 ・カロリーナ・ポリティ(Carolina Politti) “Hidalgo, la historia jamás contada”
 ・ルイサ・ウエルタス(Luisa Huertas) “La mitad del mundo”
 ・オフェリア・メディナ(Ofelia Medina) “Las buenas hierbas”

 ◆新人賞(Mejor actuación revelación)
 ・クリストファー・ルイス・エスパルサ(Christopher Ruiz Esparza) 『アベルの小さな世界』“Abel”
 ・Gerardo Ruiz Esparza 『アベルの小さな世界』“Abel”
 ・Natan Machado Palombini 『海へ』“Alamar”(監督:ペドロ・ゴンザレス・ルビオ)
 ・Iván Rafael González “Chicogrande”

 ◆オリジナル脚本賞(Mejor guión original)
 ・『アベルの小さな世界』“Abel”
 ・“Año bisiesto”
 ・“El infierno”

 ◆撮影賞(Mejor fotografía)
 ・『Biutiful ビューティフル』
 ・“Chicogrande”
 ・“El atentado”(監督:ホルヘ・フォンス(Jorge Fons))
 ・“El infierno”

 ◆編集賞(Mejor edición)
 ・『アベルの小さな世界』“Abel”
 ・『Biutiful ビューティフル』
 ・“El infierno”
 ・“Hidalgo, la historia jamás contada”

 ◆美術賞(Mejor diseño de arte)
 ・“Chicogrande”
 ・“El atentado”
 ・“El infierno”
 ・“Las buenas hierbas”

 ◆衣裳デザイン賞(Mejor vestuario)
 ・『Biutiful ビューティフル』
 ・“El atentado”
 ・“El infierno”
 ・“La mitad del mundo”

 ◆メイキャップ賞(Mejor maquillaje)
 ・『Biutiful ビューティフル』
 ・“Chicogrande”
 ・“El atentado”
 ・“El infierno”

 ◆視覚効果賞(Mejores efectos visuals)
 ・“De día y de noche”
 ・“Las buenas hierbas”
 ・“Seres génesis”(監督:Angel Mario Huerta)

 ◆特殊効果賞(Mejores efectos especiales)
 ・“El atentado”
 ・“El infierno”
 ・“Hidalgo, la historia jamás contada”
 ・“Somos lo que hay”(監督:Jorge Michel Grau)

 ◆録音賞(Mejor sonido)
 ・『海へ』“Alamar”
 ・“Chicogrande”
 ・“El infierno”

 ◆オリジナル音楽賞(Música original)
 ・『Biutiful ビューティフル』
 ・“Hidalgo, la historia jamás contada”
 ・“Somos lo que hay”
 ・“Vaho”(監督:Alejandro Gerber Bicecci)

 ◆第1回作品賞(Mejor ópera prima)
 ・『海へ』“Alamar” 監督:ペドロ・ゴンザレス・ルビオ(Pedro González Rubio)
 ・“Año bisiesto” 監督:マイケル・ロウ(Michael Rowe)
 ・“La mitad del mundo” 監督:Jaime Ruiz Ibáñez

 ◆ドキュメンタリー賞(Mejor documental)
 ・“El árbol olvidado” 監督:Luis Rincón
 ・“La cuerda floja” 監督:Nuria Ibáñez
 ・“La historia en la mirada” 監督:José Ramón Mikelajáuregui
 ・“La vida loca” 監督:Christian Poveda
 ・“Un día menos” 監督:Dariela Ludlow

 ◆短編映画賞(Mejor corto ficción)
 ・“Busco empleo” 監督:Francisco Valle
 ・“El último canto del pájaro Cú” 監督:Alonso Ruiz Palacios
 ・“La mina de oro” 監督:Jaquez Bonnavent
 ・“En aguas quietas” 監督:Astrid Rondero

 ◆短編ドキュメンタリー賞(Mejor corto documental)
 ・“Casa cuna” 監督:Alicia Segovia Juárez
 ・“Extravíos” 監督:Adriá Campmany Buisán
 ・“Hasta la punta de los dedos” 監督:Alejandro Murillo MArtínez
 ・“Rio Lerma” 監督:Esteban Arrangoiz

 ◆短編アニメーション賞(Mejor corto animación)
 ・“Luna” 監督:Raúl Cárdenas、Rafael Cárdenas
 ・“Martyris” 監督:Luis Felipe Hernández
 ・“Moyana” 監督:Emilio González
 ・“Xochimilco 1914” 監督:Colectivo Viumasters

 ◆イベロ・アメリカン映画賞(Mejor película Iberoamericana)
 ・“El hombre de al lado”(アルゼンチン) 監督:Mariano Cohn、Gastón Duprat
 ・“José Martí: el ojo del canario”(キューバ) 監督:Fernando Pérez
 ・“También la lluvia”(西) 監督:イシアル・ボリャン(Icíar Bollaín)

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 主な作品のノミネート状況は以下の通りです。

 ・“El infierno”(14):作品・監督・主演男優・助演男優・助演男優・助演女優・脚本・撮影・編集・美術・衣裳・メイク・特殊効果・録音
 ・“Chicogrande”(8):作品・監督・助演男優・新人・撮影・美術・メイク・録音
 ・『アベルの小さな世界』(7):作品・監督・主演女優・新人・新人・脚本・編集
 ・『Biutiful ビューティフル』(7):主演男優・主演女優・撮影・編集・衣裳・メイク・音楽
 ・“Hidalgo, la historia jamás contada”(6):主演男優・助演男優・助演女優・編集・特殊効果・音楽
 ・“El atentado”(5):撮影・美術・衣裳・メイク・特殊効果
 ・“La mitad del mundo”(4):主演男優・助演女優・衣裳・第1回
 ・“Las buenas hierbas”(4):主演女優・助演女優・美術・視覚効果
 ・“Año bisiesto”(3):主演女優・脚本・第1回
 ・『海へ』(3):新人・録音・第1回
 ・“Somos lo que hay”(2):特殊効果・音楽
 ・“De día y de noche”(1):視覚効果
 ・“Seres génesis”(1):視覚効果
 ・“Vaho”(1):音楽

 2010年に国際的に最も注目を浴びたメキシコ映画は、『Biutiful ビューティフル』でしたが、アリエル賞では、『Biutiful ビューティフル』よりも多くのノミネートを受けている作品が2本も出ました。

 最多ノミネーションを受けた“El infierno”は、大きな国際映画祭には出品されていないノーマークの作品でしたが、メキシコでは2010年9月に劇場公開されて、高い評価を受け、スペインのゴヤ賞でもスペイン語外国映画賞にノミネートされています。
 監督のLuis Estradaは、日本には全く紹介されていませんが、メキシコの2世映画監督で、映画監督としては既に約20年のキャリアがあり、“La ley de Herodes”(1999)でアリエル賞で14部門にノミネートされ、作品賞・監督賞・脚本賞をはじめとする10部門受賞という快挙を成し遂げています。“El infierno”は、“La ley de Herodes”から2本目の第6長編監督作品ということになります。

 そのほか、冒頭にも書きましたが、ロッテルダム国際映画祭のタイガー・アワード受賞作品『海へ』(“Alamar/To The Sea”)、カンヌ国際映画祭カメラドール受賞作品“Año bisiesto(Leap Year)”、サンセバスチャン国際映画祭 新人監督部門グランプリ受賞作品『アベルの小さな世界』(“Abel”)もあって、今年のアリエル賞はなかなか賑やかです。

 ちなみに、米国アカデミー賞2011外国語映画賞メキシコ代表作品は、『Biutiful ビューティフル』でしたが、そのほかの候補には、『アベルの小さな世界』、“Chicogrande”、“Conozca la cabeza de Juan Pérez”(監督:Emilio Portes)、“El atentado”、“Las buenas hierbas”、“Norteado(Northless)”(監督:Rigoberto Pérezcano)、“Vaho”が挙がっていました。

 第53回アリエル賞の受賞結果の発表は、5月7日です。

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 以下に、主なノミネート作品を簡単に紹介しておきます。

 ・“El infierno”(メキシコ) 監督:Luis Estrada
 出演:デミアン・ビチル(Demián Bichir)、アーネスト・ゴメス・クルス(Ernesto Gómez Cruz)、ホアキン・コシオ(Joaquín Cosio)、マリア・ロホ(María Rojo)
 物語:ベンハミン・ガルシア、愛称ベニーは、アメリカから強制送還されて、帰郷するが、帰郷後、彼は、麻薬ビジネスに巻き込まれていく。ベニーが麻薬に関わったのは、人生でこれが初めてだったが、金、女など、いろんな楽しみが一気に彼のまわりに押し寄せるようになる。しかし、犯罪生活は彼の望んだようには進まず、たちまち地獄へとまっさかさまに突き落とされることになるのだった……。
 ゴヤ賞2011 スペイン語外国映画賞ノミネーション。

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 ・“Chicogrande”(メキシコ)監督:フェリペ・カザルス(Felipe Cazals)
 出演:ダミアン・アルカザール(Damián Alcázar)、Daniel Martínez、Juan Manuel Bernal、Iván Rafael González、Tenoch Huerta、Patricia Reyes Spíndola
 物語:1916年。コロンバスを襲撃したパンチョ・ヴィラは、カランサの政府軍との戦いで、脚を負傷し、山中への後退を余儀なくされる。一方、アメリカからのメキシコ遠征軍には、生死を問わず、パンチョ・ヴィラを捕らえよという命令が下される。パンチョ・ヴィラの若き部下、チコグランデは、ボスを救うために、命がけで、医者を捜しにでかけていく……。
 サンセバスチャン国際映画祭2010 コンペティション部門出品。
 監督のフェリペ・カザルスは、前回のアリエル賞で、Ariel de Oro(特別賞/金のアリエル賞)を受賞しています。

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 ・『アベルの小さな世界』“Abel”(メキシコ・米) 監:ディエゴ・ルナ
 出演:カリナ・ギディ(Karina Gidi)、クリストファー・ルイス・エスパルサ(Christopher Ruiz Esparza)、Gerardo Ruiz Esparza
 物語:「9歳の少年アベルは、父親の失踪後、心を閉ざして人と話すことをやめてしまう。母はそんな息子を心配するが、ある朝、アベルは突然話し始め、自分は子供たちの父親だと言い出す。アベルの大人びた振る舞いに戸惑いながらも、家族は次第にアベルを頼りにし始める。そんな時、2年ぶりに父親が帰ってきた…。」
 サンダンス映画2010 プレミア部門出品。
 カンヌ国際映画祭2010 特別上映作品。
 サンセバスチャン国際映画祭2010 Zabaltegi-New Directors部門出品。最優秀作品賞受賞。
 日本ではラテンビート映画祭2010で上映されました。

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 ・“Hidalgo, la historia jamás contada”(メキシコ) 監督:アントニオ・セラーノ(Antonio Serrano)
 出演:デミアン・ビチル(Demián Bichir)、Juan Ignacio Arana、カロリーナ・ポリティ(Carolina Politti)
 物語:イダルゴは、チワワの陸軍病院の独房の中で、これまでの人生を振り返る。特に思い出されるのは、彼が小さな村で司祭をしていた頃のことで、彼は、そこで、モリエールの『タルチュフ』を翻訳し、舞台化しようとしていた。しかし、それがきっかけで、彼は、3人の子持ちの女性と恋に落ち、司祭という仕事にピリオドを打ってしまうことになるのだった……。

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 ・“El atentado(File of Attempted Murder)”(メキシコ) 監督:ホルヘ・フォンス(Jorge Fons)
 出演:ホセ・マリア・ヤスピク(José María Yazpik)、ダニエル・ヒメネス・カチョ(Daniel Giménez Cacho)、Julio Bracho、イレーネ・アスエラ(Irene Azuela)、Arturo Beristáin
 物語:1897年に独裁者ポルフィリオ・ディアスを暗殺しようとしたArnulfo Arroyoの実話に基づいた物語。
 モントリオール世界映画祭2010 アウト・オブ・コンペティション部門出品。

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 ・“La mitad del mundo”(メキシコ) 監督:Jaime Ruiz Ibáñez
 出演:Hansel Ramírez、ルイサ・ウエルタス(Luisa Huertas)
 物語:ミンゴは、精神に障害を患っていたが、森羅万象を観察する才能に溢れ、優れた詩心を有していた。そんな彼が、恋をしたことから、それまで隠されていた人々の彼に対する偏見が噴出することになる……。

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 ・“Las buenas hierbas(The Good Herbs)”(メキシコ) 監督:María Novaro
 物語:ダリアは、息子のコシモと2人暮らしで、父から財政的支援を受けている。しかし、母がアルツハイマー病を発症したために、生活が根底から覆ってしまう。
 グアダラハラ国際映画祭2010 メキシコ映画コンペティション部門出品。脚本賞・撮影賞・観客賞・ヤング審査員賞受賞。
 ローマ映画祭2010 コンペティション部門出品。最優秀女優賞受賞(全女性キャストに対して)

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 ・“Año bisiesto(Leap Year)”(メキシコ) 監督:マイケル・ロウ(Michael Rowe)
 出演:Monica del Carmen、Gustavo Sánchez Parra
 物語:ラウラは、過去にあったオアハカでの出来事がトラウマになって、いまも孤独な生活を続けている。しかし、アルトゥーロと出会って、彼女の引きこもりの生活にもピリオドが打たれる……。
 カンヌ国際映画祭2010 監督週間出品。カメラドール受賞。
 トロント国際映画祭2010 CONTEMPORARY WORLD CINEMA部門出品。
 ロンドン映画祭2010 スペシャル・メンション受賞。

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 ・『海へ』“Alamar(To The Sea)”(2009/メキシコ) 監督:ペドロ・ゴンザレス・ルビオ(Pedro Gonzalez-Rubio)
 物語:若きメキシコ人の父親と、半分イタリア人の血が入った息子が、やむを得ない理由から離れ離れになることになって、2人は世界で2番目に大きなサンゴ礁へと旅をする。
 トロント国際映画祭2009 VISIONS部門出品。
 ベルリン国際映画祭2010 ジェネレーション kplus 長編部門出品。
 ロッテルダム国際映画祭2010 タイガー・アワード受賞。
 マイアミ国際映画祭2010 審査員グランプリ受賞。
 日本では、なら国際映画祭2010で上映。

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 *当ブログ記事
 ・映画祭&映画賞カレンダー 2010年12月~2011年5月:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201012/article_48.html

 ・アリエル賞2010 ノミネーション:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201002/article_23.html
 ・アリエル賞2010 結果発表:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201004/article_11.html
 ・アリエル賞2009 結果発表:http://umikarahajimaru.at.webry.info/200904/article_1.html

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