大韓民国映画大賞2010 発表!

 第8回大韓民国映画大賞の結果が発表されました。(11月18日)

 昨年は経済不況の影響で開催されませんでしたが、今年は無事開催にこぎつけたようです。

 ノミネーションは、10月29日に発表されていたようで、あるとしても12月だろうと思っていたので、チェックできていませんでした。

 大鐘賞が晩秋に移動してきて初めての2009年は、大韓民国映画大賞が開催されなかったので、3つの映画賞の結果が同時期に出揃うというのは今年が初めてということになります。

 【大鐘賞】(1962年~ 中断あり):韓国映画人協会・SBS・中央日報社主催。
 韓国のアカデミー賞と呼ばれる。元々は政府主導。
 2008年までは6~7月開催。2009年からは11月に開催。
 これまでは、50人の一般審査員団と10人の専門家によって、大鐘賞映画祭出品作の中から選考を行なっていた。
 2010年は、50人の一般審査員団によって、大鐘賞映画祭出品作(2010年は47作品)の中から本選出品作10作品を選び、専門の審査員(2010年は11人)が、その中から各部門賞を決める。新人男優賞、新人女優賞、新人監督賞の3部門は、大鐘賞映画祭出品作の中から一般審査員団が候補を決めるところまで行なう。

 【青龍映画賞】(1963年~ 中断あり):スポーツ朝鮮主催、朝鮮日報・韓国放送公社後援。KBS中継。
 大鐘賞とともに韓国2大映画賞の1つ。
 11月に開催。
 選考方法:1年を通して国内で公開された韓国映画を対象に、ネチズンの意見(インターネット投票)と映画専門家の投票を総合して候補作品を選定、映画賞の推薦を受けた審査委員会が最優秀者・作品を決定する。
 『オアシス』(2002)以降、イ・チャンドンとその製作会社はボイコットを決めている。

 【大韓民国映画大賞】(2002年~ 昨年中止):MBC文化放送主催。
 これまでは12月開催。2010年は11月開催。
 500人の専門家審査団と500人の一般審査団が候補作を審査して、インターネット投票で受賞作を決める。

 公式サイトに書かれてあるに違いない(韓国語による)規定がスラスラ読めれば苦労はないのですが、そういうわけにもいかないので、ネット上にある商業サイトや個人ブログのバラバラの情報をつぎはぎした結果が上のようなものになります。なので、違っているところがある、あるいは、今年の選考方法は違う、などということがあるかもしれません。(大韓民国映画大賞のノミネーションの決定を誰が行なっているのかはわかりませんでしたが、公式サイトに「選定委員会」として示されている面々が決めているのでしょうか。また、大韓民国映画大賞の500人の一般審査員がノミネートされた全作品を観るというのは現実的にはほぼ不可能だと思いますが、何作品以上観ればよいとかいう規定があるのでしょうか。それも確かめられませんでした。)

 一般の観客の意向がもっとも反映しやすいのが、大韓民国映画大賞で、次が青龍映画賞、そして大鐘賞ということになるでしょうか。

 例えば、各映画賞の作品賞は―
 2007年 大鐘賞:『家族の誕生』、青龍映画賞:『優雅な世界』、大韓民国映画大賞:『シークレット・サンシャイン』
 2005年 大鐘賞:『マラソン』、青龍映画賞:『親切なクムジャさん』、大韓民国映画大賞:『トンマッコルへようこそ』
 2004年 大鐘賞:『春夏秋冬そして春』、青龍映画賞:『シルミド』、大韓民国映画大賞:『オールド・ボーイ』
 2002年 大鐘賞:『おばあちゃんの家』、青龍映画賞:『酔画仙』、大韓民国映画大賞:『オアシス』

 これまでは、まず大鐘賞が発表され、約5ヵ月後に青龍映画賞、そしてその後に大韓民国映画大賞という順に発表されていて、前者の結果が後者に影響を及ぼす(前者の結果を見て、投票を考え直す)ということは大いに考えられますが、そういうことを含めても、これでこれら3つの映画賞の違いは朧げに見えてくるように思います。

 今年の大韓民国映画大賞のノミネーション&受賞結果は、以下の通りです。

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 ◆作品賞
 ・“방자전(房子伝/ The Servant)”(バンジャ伝)) 監督:キム・デウ
 ◎『詩』 監督:イ・チャンドン
 ・“아저씨(The Man From Nowhere)”(おじさん) ) 監督:イ・ジョンボム
 ・“Oki's Movie” 監督:ホン・サンス
 ・“Ha Ha Ha” 監督:ホン・サンス

 ◆監督賞
 ◎イ・チャンドン 『詩』
 ・イ・ジョンボム “아저씨(The Man From Nowhere)”(おじさん) )
 ・ホン・サンス “Oki's Movie”
 ・チャン・フン 『義兄弟 SECRET UNION』
 ・ホン・サンス “Ha Ha Ha”

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 ◆主演男優賞
 ・パク・チュンフン 『私のチンピラのような恋人』(監督:キム・グァンシク)
 ・パク・ヒスン 『裸足の夢』(監督:キム・テギュン)
 ◎ウォンビン “아저씨(The Man From Nowhere)”(おじさん) )
 ・チェ・ミンシク “I Saw The Devil”(悪魔を見た) (監督:キム・ジウン)
 ・チョン・ジェヨン 『黒く濁る村』(監督:カン・ウソク)

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 ◆主演女優賞
 ◎ソ・ヨンヒ 『ビー・デビル』(監督:チャン・チョルス)
 ・チョン・ユミ 『私のチンピラのような恋人』
 ・ユン・ジョンヒ 『詩』
 ・チョン・ドヨン “The Housemaid”(下女) (監督:イム・サンス)
 ・ムン・ソリ “Ha Ha Ha”

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 ◆助演男優賞
 ・キム・ジョンテ “방가? 방가!”(パンガ? パンガ!) (監督:ユク・サンヒョ)
 ・ソン・セビョク “방자전(房子伝/ The Servant)”(バンジャ伝))
 ・Thanayong Wongtraku “아저씨(The Man From Nowhere)”(おじさん) )
 ・チョン・グクァン 『義兄弟 SECRET UNION』
 ◎ユ・ヘジン 『黒く濁る村』

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 ◆助演女優賞
 ・ペク・スリョン 『ビー・デビル』
 ・リュ・ヒュンギョン “방자전(房子伝/ The Servant)”(バンジャ伝))
 ・パク・シネ “Cyrano agency”(シラノ恋愛操作団))(監督:キム・ヒョンソク)
 ・ソウ “The Housemaid”(下女)
 ◎ユン・ヨジョン “The Housemaid”(下女)

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 ◆脚本賞
 ・チャ・グァニョン 『ビー・デビル』
 ・キム・グァンシク 『私のチンピラのような恋人』
 ・ユク・サンヒョ “방가? 방가!”(パンガ? パンガ!)
 ・キム・デウ “방자전(房子伝/ The Servant)”(バンジャ伝))
 ◎イ・チャンドン 『詩』

 ◆撮影賞
 ・『ビー・デビル』 キム・ギテ
 ◎“아저씨(The Man From Nowhere)”(おじさん) ) イ・テユン
 ・“I Saw The Devil”(悪魔を見た) イ・モゲ
 ・『チョン・ウチ』(監督:チェ・ドンフン) チェ・ヨンファン
 ・『坡州(パジュ)』(監督:パク・チャノク) キム・ウヒョン

 ◆編集賞
 ・『詩』 キム・ヒョンギ
 ・“Cyrano agency”(シラノ恋愛操作団)) ボム、キム・ジェボム
 ◎“아저씨(The Man From Nowhere)”(おじさん) ) ボム、キム・ジェボム
 ・“I Saw The Devil”(悪魔を見た) ナム・ナヨン
 ・『義兄弟 SECRET UNION』 ナム・ナヨン

 ◆照明賞
 ・『ビー・デビル』 ナム・ジナ
 ・『男たちの挽歌』(監督:ソン・ヘソン) イム・ジェヨン
 ◎“아저씨(The Man From Nowhere)”(おじさん) ) イ・チョロ
 ・“I Saw The Devil”(悪魔を見た) オ・スンチョル
 ・『坡州(パジュ)』 キム・スンギュ

 ◆美術賞
 ・『ビー・デビル』 シン・チョムヒ
 ◎“방자전(房子伝/ The Servant)”(バンジャ伝)) パク・イルヒョン
 ・“I Saw The Devil”(悪魔を見た) チョ・ファソン
 ・『黒く濁る村』 チョ・ソンウォン、イ・テフン
 ・“The Housemaid”(下女) イ・ハジュン

 ◆視覚効果賞
 ◎“아저씨(The Man From Nowhere)”(おじさん) ) パク・チョンリュル
 ・『黒く濁る村』 チャン・ジン
 ・『チョン・ウチ』(監督:チェ・ドンフン) チョン・ドアン
 ・『チョン・ウチ』 チョ・ヨンソク
 ・“포화속으로/71-Into the Fire”(砲火の中へ) (監督:イ・ジェハン) チョン・ドアン、イ・ヒギョン

 ◆録音賞
 ・『詩』 イ・スンチョル
 ◎“심야의 FM”(深夜のFM)(監督:キウ・サンマン) コン・テウォン、チョ・ミンホ
 ・“아저씨(The Man From Nowhere)”(おじさん) ) サン・ジュン、キム・ソクウォン、パク・ジュガン
 ・“I Saw The Devil”(悪魔を見た) チェ・テヨン、キム・キョンテ
 ・“포화속으로/71-Into the Fire”(砲火の中へ) パク・チョングン、パク・チュンウ

 ◆音楽賞
 ・“바람(Wish)”(願い)(監督:イ・ソンハン) チョン・ジェイル
 ・“방가? 방가!”(パンガ? パンガ!) シン・ヒョン
 ◎“아저씨(The Man From Nowhere)”(おじさん) ) シム・ヒョンジョン
 ・『黒く濁る村』 チョ・ヨンウク
 ・“The Housemaid”(下女) キム・ホンジブ

 ◆新人男優賞
 ◎ソン・セビョク “방자전(房子伝/ The Servant)”(バンジャ伝))
 ・イ・デイヴィッド 『詩』
 ・チェ・ダニエル “Cyrano agency”(シラノ恋愛操作団))
 ・オム・ギジュン “파괴된 사나이”(破壊された男) (監督:ウ・ミノ)
 ・チェ・スンヒョン(TOP) “포화속으로/71-Into the Fire”(砲火の中へ)

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 ◆新人女優賞
 ・オ・ウジョン “계몽영화(Enlightenment Film)”(監督:パク・トンフン)
 ・チ・ソンウォン  『ビー・デビル』
 ・イ・アイ(이아이) “대한민국 1%”(大韓民国1%)(監督:チョ・ミョンナム)
 ・シン・ヒョンビン “방가? 방가!”(パンガ? パンガ!)
 ◎キム・セロン  “아저씨(The Man From Nowhere)”(おじさん) )

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 ◆新人監督賞
 ◎チャン・チョルス 『ビー・デビル』
 ・キム・グァンシク 『私のチンピラのような恋人』
 ・ウ・ミノ “파괴된 사나이”(破壊された男)
 ・カン・テギュ 『ハーモニー』
 ・チャン・ゴンジェ 『Eighteen-旋風-』

 ◆功労賞
 ◎シン・ソンイル
 シン・ソンイルは、60年代から活躍しているベテラン俳優で、『ロマンス・パパ』(デビュー作)、『常緑樹』、『野菊は咲いた』、『山火事』などから『キルソドム』、『タイフーン』まで、出演作は、500本を越えるそうです。

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 全25作品のノミネート&受賞状況は以下の通りです。

 ・“아저씨(The Man From Nowhere)”(おじさん) ) (7/11):作品・監督・主演男優・助演男優・撮影・編集・照明・視覚効果・録音・音楽・新人女優
 ・『ビー・デビル』(2/8):主演女優・助演女優・脚本・撮影・照明・美術・新人女優・新人監督 ・『詩』(3/7):作品・監督・主演女優・脚本・編集・録音・新人男優
 ・“방자전(房子伝/ The Servant)”(バンジャ伝))(2/6):作品・助演男優・助演女優・脚本・美術・新人男優
 ・“I Saw The Devil”(悪魔を見た) (0/6):主演男優・撮影・編集・照明・美術・録音
 ・“The Housemaid”(下女) (1/5):主演女優・助演女優・助演女優・美術・音楽
 ・“Cyrano agency”(シラノ恋愛操作団))(0/5):助演女優・編集・新人男優
 ・『黒く濁る村』(1/4):主演男優・助演男優・美術・視覚効果
 ・『私のチンピラのような恋人』(0/4):主演男優・主演女優・脚本・新人監督
 ・“방가? 방가!”(パンガ? パンガ!) (0/4):助演男優・脚本・音楽・新人女優
 ・“Ha Ha Ha”(0/3):作品・監督・主演女優
 ・『チョン・ウチ』(0/3):撮影・視覚効果・視覚効果
 ・『義兄弟 SECRET UNION』(0/3):監督・助演男優・編集
 ・“포화속으로/71-Into the Fire”(砲火の中へ) (0/3):視覚効果・録音・新人男優
 ・“Oki's Movie”(0/2):作品・監督
 ・『坡州(パジュ)』(0/2):撮影・照明
 ・『男たちの挽歌』(0/2):照明
 ・“파괴된 사나이”(破壊された男) (0/2):新人男優・新人監督
 ・“심야의 FM”(深夜のFM)(1/1):録音
 ・『裸足の夢』(0/1):主演男優
 ・“바람(Wish)”(願い) (0/1):音楽
 ・“계몽영화(Enlightenment Film)”(0/1):新人女優
 ・“대한민국 1%”(大韓民国1%) (0/1):新人女優
 ・『ハーモニー』(0/1):新人監督
 ・『Eighteen-旋風-』 (0/1):新人監督

 大鐘賞や青龍映画賞で善戦していた『黒く濁る村』は、ノミネート段階でわずかに4部門という風に大きく後退し、1部門の受賞にとどまりました。

 その代わり、これまでの映画賞ではまったくノミネートされてこなかったホン・サンス監督の2作品が作品賞と監督賞にダブルでノミネートされました。結局、どちらの作品も受賞は逃しましたが。

 青龍映画賞と同じく最多ノミネートになっていたのは、“아저씨(The Man From Nowhere)”(おじさん) )で、ノミネートされていた11部門中7部門で受賞を果たすという快挙を達成しました。

 ただし、作品賞・監督賞・脚本賞という主要3部門を独占したのは『詩』で、受賞確実と見られた主演女優賞を逃したものの、押さえるべきところはすべて『詩』が押さえたという結果になりました。

 ノミネーションでは、いい位置につけていた『ビー・デビル』と“방자전(房子伝/ The Servant)”(バンジャ伝))は、ともに2部門の受賞にとどまり、『義兄弟 SECRET UNION』、 『裸足の夢』、“I Saw The Devil”(悪魔を見た)、『私のチンピラのような恋人』、『ハーモニー』などは無冠に終わりました。

 大鐘賞と同じ結果になったのは、作品賞、主演男優賞、助演女優賞、脚本賞、編集賞の5部門でした。

 利川春史映画祭と併せて、3つとも同じ結果になったのは、助演女優賞のユン・ヨジョンのみです。

 新人監督賞は、利川春史映画祭が『ハーモニー』のカン・テギュ、大鐘賞と大韓民国映画大賞が『ビー・デビル』のチャン・チョルスでした。

 あと、注目すべきは、『冬の小鳥』のキム・セロンちゃんがここで新人女優賞を受賞したことでしょうか。

 世界中で賞を獲りまくっている『豆満江』が、昨年の『冬の小鳥』のように、韓国内の映画賞で完璧に無視されているのもちょっと気になりました。

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 *当ブログ記事
 ・利川春史映画大賞映画祭2010 ラインナップ:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201009/article_15.html
 ・利川春史映画大賞映画祭2010 受賞結果:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201009/article_30.html
 ・大鐘賞2010 受賞結果:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201011/article_3.html
 ・青龍映画賞2010 ノミネーション:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201011/article_25.html

 ・映画祭&映画賞カレンダー 2010年5月~2011年2月:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201005/article_23.html

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