えっ? 韓国・青龍映画賞2010 ノミネーション発表!

 韓国最大の映画の祭典、第31回青龍映画賞のノミネーションが発表になりました。(11月11日)

 どこかで韓国語のわかる誰かがノミネーション・リストを日本語で書き出してくれているかもしてませんが(個人でも韓国情報サイトでもおそらく完全版のリストは誰も書き出していないと思うけど)、ここでは韓国語の公式サイトから、まるでパズルを解くようにして、1つ1つ個別にチェックし、タイトルや人名を識別して、日本語表記にして書き出してあります。

 *公式サイト ノミネーション・リスト(韓国語):http://www.blueaward.co.kr/awards/?page_code=16

 ちょっと脱線―-
 たとえば、Google翻訳で、ある韓国人の人名を英訳すると、「Wired」と変換されました。(Googleの日本語翻訳を使わないのはGoogleの日本語訳はまるで当てにならないから。) 韓国語は表音文字なので、通常は、これでおおよその韓国語の読みがわかったりするんですが、ワイヤードなんて韓国人はいないから、おかしいなと思って調べていったらその人名は「ユソン」でした。「ユソン」→「有線」→「Wired」という具合にねじれて翻訳されていったんですね(たぶん見えないところで一度漢字に翻訳されて、それから英訳されたんだと思う)。「コ・ス」だと「Coriander」(コリアンダー)と翻訳されますが、これはたぶん見えないところで「香草」と変換されてるんですね。こんなおかしなことがしょっちゅうです。

 公式サイトが、英語に切り替えられるようになっていたら、まだ多少は、作業が楽になるんですが……。

 ま、それはともかく、以下が、できあがったノミネーション・リストになります。

画像

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 第31回青龍映画賞 ノミネーション

 ◆作品賞
 ・“아저씨(The Man From Nowhere)”(おじさん) ) 監督:イ・ジョンボム
 ・『黒く濁る村』 監督:カン・ウソク
 ・『義兄弟 SECRET UNION』 監督:チャン・フン
 ・『チョン・ウチ』 監督:チェ・ドンフン
 ・“The Housemaid”(下女) 監督:イム・サンス

 ◆監督賞
 ・カン・ウソク(『黒く濁る村』)
 ・イ・ジョンボム(“아저씨(The Man From Nowhere)”(おじさん) )
 ・イム・サンス(“The Housemaid”(下女) )
 ・チャン・フン(『義兄弟 SECRET UNION』)
 ・チェ・ドンフン(『チョン・ウチ』)

 ◆主演男優賞
 ・カン・ドンウォン(『義兄弟 SECRET UNION』)
 ・パク・ヒスン(『裸足の夢』)(監督:キム・テギュン)
 ・ウォンビン(“아저씨(The Man From Nowhere)”(おじさん) )
 ・イ・ビョンホン(“I Saw The Devil”(悪魔を見た) ) (監督:キム・ジウン)
 ・チョン・ジェヨン(『黒く濁る村』)

 ◆主演女優賞
 ・キム・ユンジン(『ハーモニー 心をつなぐ歌』) (監督:カン・テギュ)
 ・ソ・ヨンヒ (『ビー・デビル』) (監督:チャン・チョルス)
 ・スエ(“심야의 FM”(深夜のFM))(監督:キウ・サンマン)
 ・ユン・ジョンヒ(『詩』) (監督:イ・チャンドン)
 ・チョン・ドヨン(“The Housemaid”(下女) )

 ◆助演男優賞
 ・コ・チャンソク(『義兄弟 SECRET UNION』)
 ・リュ・スンニョン(『シークレット』)(監督:ユン・ジェグ)
 ・オ・ダルス(“방자전(房子伝/ The Servant)”(バンジャ伝)) (監督:キム・デウ)
 ・ユ・ジュンサン(『黒く濁る村』)
 ・ユ・ヘジン(『黒く濁る村』)

 ◆助演女優賞
 ・カン・イェウォン(『ハーモニー 心をつなぐ歌』)
 ・ナ・ムキ(『ハーモニー 心をつなぐ歌』)
 ・リュ・ヒュンギョン(“방자전(房子伝/ The Servant)”(バンジャ伝))
 ・ユソン(『黒く濁る村』)
 ・ユン・ヨジョン(“The Housemaid”(下女) )

 ◆脚本賞
 ・キム・デウ(“방자전(房子伝/ The Servant)”(バンジャ伝))
 ・キム・ヒョンソク(“Cyrano agency”(シラノ恋愛操作団))(監督:キム・ヒョンソク)
 ・イ・ジョンボム(“아저씨(The Man From Nowhere)”(おじさん) )
 ・タン・ミンソク(『義兄弟 SECRET UNION』)
 ・チャ・グァニョン(『ビー・デビル』)

 ◆撮影賞
 ・イ・モゲ(“I Saw The Devil”(悪魔を見た) )
 ・イ・モゲ(『義兄弟 SECRET UNION』)
 ・イ・テユン(“아저씨(The Man From Nowhere)”(おじさん) )
 ・チェ・チャンミン(“포화속으로/71-Into the Fire”(砲火の中へ)) (監督:イ・ジェハン)
 ・チェ・ヨンファン(『チョン・ウチ』)

 ◆照明賞
 ・カン・テヒ (『黒く濁る村』)
 ・キム・ソングァン(『チョン・ウチ』)
 ・オ・スンチョル(“I Saw The Devil”(悪魔を見た) )
 ・ユ・ヨンジョン(“포화속으로/71-Into the Fire”(砲火の中へ))
 ・イ・チョロ(“아저씨(The Man From Nowhere)”(おじさん) )

 ◆美術賞
 ・パク・イルヒョン(“방자전(房子伝/ The Servant)”(バンジャ伝))
 ・ヤン・ホンサム(“아저씨(The Man From Nowhere)”(おじさん) )
 ・イ・ハジュン(“The Housemaid”(下女) )
 ・チョ・ファソン(『チョン・ウチ』)
 ・チョ・ファソン(“I Saw The Devil”(悪魔を見た) )

 ◆音楽賞
 ・キム・ジュンソン(“심야의 FM”(深夜のFM))
 ・キム・テソン(“Cyrano agency”(シラノ恋愛操作団))
 ・モグ (“I Saw The Devil”(悪魔を見た) )
 ・シン・イギョン(『ハーモニー 心をつなぐ歌』)
 ・シム・ヒョンジョン(“아저씨(The Man From Nowhere)”(おじさん) )

 ◆技術賞
 ・パク・チョンリョル(“아저씨(The Man From Nowhere)”(おじさん) - アクション監督)
 ・チャン・チン(『黒く濁る村』- 特殊メイク)
 ・チョン・ドアン、イ・ヒギョン(“I Saw The Devil”(悪魔を見た) ) - 特殊効果)
 ・チョン・ドアン、イ・ヒギョン(“포화속으로/71-Into the Fire”(砲火の中へ)) - 特殊効果)
 ・A zworks(『チョン・ウチ』-CG)

 ◆新人男優賞
 ・コ・ス (“백야행/White Night”(白夜行))(監督:パク・シヌ)
 ・ソン・セビョク(“방자전(房子伝/ The Servant)”(バンジャ伝))
 ・ソン・ジュンギ(“마음이2”(マウミ2))(監督:イ・ジョンチョル)
 ・チェ・ダニエル(“Cyrano agency”(シラノ恋愛操作団))
 ・チェ・スンヒョン(“포화속으로/71-Into the Fire”(砲火の中へ))

 ◆新人女優賞
 ・シム・ウンギョン(“퀴즈왕(Quiz King)”(クイズ王))(監督:チャン・ジン)
 ・イ・ミンジョン(“Cyrano agency”(シラノ恋愛操作団))
 ・チョ・ヨジョン (“방자전(房子伝/ The Servant)”(バンジャ伝))
 ・ジ・ソンウォン(『ビー・デビル』)
 ・ハン・ヘジン(“용서는 없다/No Mercy”(許すことはできない))(監督:キム・ヒョンジュン)

 ◆新人監督賞
 ・カン・テギュ(『ハーモニー 心をつなぐ歌』)
 ・グォン・ヒョクジェ(“Troubleshooter”)
 ・キム・グァンシク(『私のチンピラのような恋人』)
 ・キム・ヒョンジュン(“용서는 없다/No Mercy”(許すことはできない))
 ・チャン・チョルス(『ビー・デビル』)

 (註) 韓国映画についてリストを書き出す時の常で、いろいろ面倒なことがありますが、日本での上映記録/上映予定、および、リリース記録/予定のあるものは邦題で示し、公式の英題があるものは英題を示し、それ以外のものに関しては、原題に邦訳をつける形で示してあります。

 人名は、定まった表記のない人もあり、資料により、表記が違う場合があります。ジなのかチなのか、ギなのかキなのか、デなのかテなのか等、いろいろ曖昧だったりしますが、ここでは特にルールを設けずに、たぶんこれが通り名なのではないかと思われる表記を選んでいます。

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 全21作品のノミネート状況は以下の通りです。

 ・“아저씨(The Man From Nowhere)”(おじさん) )(9):作品・監督・主演男優・脚本・撮影・照明・音楽・美術・技術
 ・『黒く濁る村』(8):作品・監督・主演男優・助演男優・助演男優・助演女優・照明・技術
 ・『義兄弟 SECRET UNION』(6):作品・監督・主演男優・助演男優・脚本・撮影
 ・『チョン・ウチ』(6):作品・監督・撮影・照明・美術・技術
 ・“I Saw The Devil”(悪魔を見た) (6):主演男優・撮影・照明・音楽・美術・技術
 ・“방자전(房子伝/ The Servant)”(バンジャ伝) (6):助演男優・助演女優・脚本・美術・新人男優・新人女優
 ・“The Housemaid”(下女) (5):作品・監督・主演女優・助演女優・美術
 ・『ハーモニー 心をつなぐ歌』(5):主演女優・助演女優・助演女優・音楽・新人監督
 ・『ビー・デビル』(4):主演女優・脚本・新人女優・新人監督
 ・“Cyrano agency”(シラノ恋愛操作団) (4):脚本・音楽・新人男優・新人女優
 ・“포화속으로/71-Into the Fire”(砲火の中へ) (4):撮影・照明・技術・新人男優
 ・“심야의 FM”(深夜のFM) (2):主演女優・音楽
 ・“용서는 없다/No Mercy”(許すことはできない) (2):新人女優・新人監督
 ・『裸足の夢』(1):主演男優
 ・『詩』(1):主演女優
 ・『シークレット』(1):助演男優
 ・“백야행/White Night”(白夜行) (1):新人男優
 ・“마음이2”(マウミ2) (1):新人男優
 ・“퀴즈왕(Quiz King)”(クイズ王) (1):新人女優
 ・“Troubleshooter”(1):新人監督
 ・『私のチンピラのような恋人』(1):新人監督

 最初にこのノミネーションをざっと眺めた時、「えっ?」と思い、よくよく見て、「あ~、やっちゃった~」と思ってしまいました。

 というのは、2010年の韓国映画界のベストと目されるイ・チャンドンの『詩』がわずか1部門しかノミネートされていなかったからです。同じカンヌに出品されていながら、さして評判のよくなかった一方の『下女』が5部門にノミネートされたり、先行する映画賞には全くからんでこなかった『チョン・ウチ』が6部門にノミネートされたりしているのにも拘わらず、です。

 映画賞をこまめにチェックしていると、たまに大本命を無視して、大きな非難を浴びてしまうものがありますが(2009年度の大鐘賞とかジニー賞とか)、今年の青龍映画賞もそれをやっちゃったのか、と思ってしまったんですね。

 でも、本当はそうではなくて、『詩』は、もう既に大きな注目をいただいているからと監督のイ・チャンドンがエントリーを辞退させてほしいと発言し、結果的に主演女優賞のみのノミネートにとどまったのだそうです。

 言われてみれば、な~んだ、そうだったのか、ということになりますが、ちゃんと説明されないとわからないじゃないですか。映画賞の結果というものは、記録としてそれだけで永遠に残るものですし。

 そうした予想外の出来事を除けば、大ヒット作“아저씨(The Man From Nowhere)”(おじさん) )と、『詩』とともに2010年の韓国映画賞レースのトップを走っていた『黒く濁る村』が最多ノミネートの1位、2位となり、ノミネーション全体としては、まあまあ悪くない、順当な結果になっています。これに『詩』が加わっていれば、やはり8部門か9部門でノミネートされ、その分、他の作品が押し出されることになっただろうということは予想に難くありません。

 ちょっと意外だったのは、米国アカデミー賞2011外国語映画賞韓国代表になった『裸足の夢』がわずか1部門ノノミネートにとどまったことでしょうか。

 その他、ノミネーション状況を見てみると、『義兄弟 SECRET UNION』が男性の映画であり、『ハーモニー 心をつなぐ歌』が女性の映画であり、『ビー・デビル』や“Cyrano agency”(シラノ恋愛操作団)がフレッシュな映画であることがわかって、ちょっと面白いですね。

 先行する映画賞では―

 作品賞 利川春史大賞映画祭:『黒く濁る村』、大鐘賞:『詩』
 監督賞 利川春史大賞映画祭:カン・ウソク(『黒く濁る村』) 、大鐘賞:カン・ウソク(『黒く濁る村』)
 主演男優賞 利川春史大賞映画祭:ソル・ギョング((“용서는 없다/No Mercy”(許すことはできない))) 、大鐘賞:ウォンビン(“아저씨(The Man From Nowhere)”(おじさん) ))
 主演女優賞 利川春史大賞映画祭:オム・ジョンファ(『ベストセラー』) 、大鐘賞:ユン・ジョンヒ(『詩』)

 という結果になっています。

 ノミネート対象作品が違ったりするので、そういう点でノミネートや受賞結果に食い違いが出てきますが、そうしたズレを含めて、2010年度韓国映画賞レースにおいて、カン・ウソクの監督賞、ユン・ジョンヒの主演女優賞は手堅く、『黒く濁る村』に抗して、“아저씨(The Man From Nowhere)”(おじさん) )が作品賞・主演男優賞を含めて、どれだけ賞を受賞できるかが見どころとなっている、と言うことができるでしょうか。

 ちなみに、これまでの青龍映画賞作品賞は、『母なる証明』(2009)、『私たちの生涯最高の瞬間』(2008)、『優雅な世界』(2007)、『グエムル』(2006)、『親切なクムジャさん』(2005)、『シルミド』(2004)、『春夏秋冬そして春』(2003)、『酔画仙』(2002)、『春の日は過ぎゆく』(2001)、『JSA』(2000)という顔ぶれで、作家主義にポピュラリティーを加味した、わりとオーソドックスな映画賞となっています。

 受賞結果の発表は、11月26日です。

 なお、主なノミネート作品の内容に関しては、当ブログ記事「利川春史映画大賞映画祭2010 ラインナップ」に書き出してあります。下記リンクから覗いて見てみてください。

 *当ブログ関連記事
 ・利川春史映画大賞映画祭2010 ラインナップ:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201009/article_15.html
 ・利川春史映画大賞映画祭2010 受賞結果:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201009/article_30.html
 ・大鐘賞2010 受賞結果:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201011/article_3.html

 ・青龍映画賞2009 ノミネーション:http://umikarahajimaru.at.webry.info/200911/article_23.html
 ・青龍映画賞2009 受賞結果:http://umikarahajimaru.at.webry.info/200912/article_5.html

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 *当ブログ記事
 ・映画祭&映画賞カレンダー 2010年5月~2011年2月:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201005/article_23.html

 追記:
 ・青龍映画賞2010 受賞結果:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201011/article_32.html

この記事へのコメント

midori
2010年11月18日 11:08
こんにちは^^
ほんとに名前は難しいですよね。私も翻訳機にはお世話にはなるけど苦労してます。個別にチェックされるのも、さぞ大変な作業かと思います。
さて、新人男優賞の一番下ですが、これはチェ・スンヒョンだと思います。BIGBANGのT.O.Pです。ちなみにチャ・スンウォンさんは차승원です。先日の大鐘賞韓流人気賞を受賞したのも、スンヒョンのほうです。紛らわしいですが、ご確認くださいね^^
これからも更新がんばってください。
ass
2010年11月18日 13:44
「詩」の監督が辞退した理由は 政治に対する抵抗だと聞きました。
女優賞にノミネートされたのは 俳優に罪は無いからと言う事です。
この監督は前にも 同じようにノミネートを辞退した事があり 同じように俳優のみノミネートされました。
umikarahajimaru
2010年11月18日 19:33
midoriさま
丁寧に見てくださり、どうもありがとうございました。チェ・スンヒョンに関しては、翻訳云々ではなく、単なる私のミスでした。『砲火の中に』にチャ・スンウォンとチェ・スンヒョンが共演していたことから、混同してしまったんですね。
大変失礼しました。
訂正させていただきますね。
umikarahajimaru
2010年11月18日 20:25
assさま
コメントありがとうございます。
韓国の情報サイトによると、イ・チャンドン監督と製作会社は、『オアシス』(2002)以降、政治的理由により、この映画祭には参加しないと宣言しているようですね。
「政治的理由」というのが何なのかはわかりませんが、他の映画賞/映画祭には普通に参加しているところを見ると、青龍映画賞の主催者もしくは主催者のやり方に対して、ネガティブな感情を持っているということなのでしょう。
上の「『詩』は、もう既に大きな注目をいただいているからと監督のイ・チャンドンがエントリーを辞退させてほしいと発言し」というのは、日本の某サイトに書いてあったことの引用で、これが公式声明に基づくものなのか、日本側がいろんな事情を深慮してあえてこういう書き方をしたのかはわかりませんが、それを読んで、私は「へえ~、そうなのか」と思ったというわけです。

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