米国アカデミー賞2011 長編アニメーション賞候補ロングリスト 発表!

 米国アカデミー賞2011長編アニメーション賞候補のロングリストが発表されました。(11月15日)

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 【米国アカデミー賞2011長編アニメーション賞候補ロングリスト】

 ・“Alpha and Omega”(米・インド) 監督:Anthony Bell、Ben Gluck [ライオンズ・ゲート]
 声の出演:ジャスティン・ロング、ヘイデン・パネッティーア、デニス・ホッパー、ダニー・グローバー
 物語:群れの中での階級では天と地ほどの違いのある2頭の狼が、外国の地に捨てられ、故郷に戻るために力をあわせる。

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 ・『キャッツ&ドックス 地球最大の肉球大戦争』“Cats & Dogs: The Revenge of Kitty Galore”(米) 監督:ブラッド・ペイトン [ワーナー]

 ・『怪盗グルーの月泥棒』“Despicable Me”(米) (米)] 監督:クリス・ルノー、ピエール・コフィン [東宝東和][ユニバーサル(米)]
 アヌシー国際アニメーションフェスティバル2010 プレミア部門出品。

 [アカデミー賞受賞歴]
 クリス・ルノーは、『熱血どんぐりハンター』“No Time for Nuts”(2006)で、米国アカデミー賞2007短編アニメーション賞にノミネートされています。

 ・『夢の王国』“The Dreams of Jinsha(夢回金沙城)”(中) 監督:Chen Deming(陳德明) [ ]
 物語:「自然と向き合う人々、人と人の絆、そして中国文化の根源の物語。小龍という男の子が時空を超えて金砂古城に辿り着いた。彼はそこの人々と象の神と一緒に、愛と勇気で奇跡を起こし、破壊的な災害から古城を守った。」
 2010東京中国映画週間にて上映。

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 ・『ヒックとドラゴン』“How to Train Your Dragon”(米) 監督:クリス・サンダース、ディーン・デュボア [パラマウント]

 [アカデミー賞受賞歴]
 クリス・サンダースとディーン・デュボアは、監督作品『リロ&スティッチ』(2002)が米国アカデミー賞2003長編アニメーション賞にノミネートされています。

 ・“Idiots and Angels”(米) 監督:ビル・プリンプトン [Bill Plympton Studios]
 物語:エンジェルは、自分勝手で、口汚く、道徳的にも破綻していた。ある日、彼が、目覚めると、背中に羽根が生えている。その羽根は、彼の意思にも拘わらず、彼を善行に導く。彼は、なんとかその羽根を剥ぎ取ろうとするが、そのうち、その羽根を幸運や名声に導く鍵と考えて狙う人々と闘うことになる……。
 アヌシー国際アニメーションフェスティバル2008 長編コンペティション部門出品。特別賞受賞。
 ザグレブ国際アニメーションフェスティバル2009 長編コンペティション部門出品。

 [アカデミー賞受賞歴]
 ビル・プリンプトンは、“Your Face”(1987)と“Guard Dog”(2004)で、米国アカデミー賞短編アニメーション賞ノミネート。


 ・『イリュージョニスト』“The Illusionist(L'illusionniste)”(仏・英) 監督:シルヴァン・ショメ [クロックワークス/三鷹の森ジブリ美術館][ソニー・ピクチャーズ・クラシックス(米)]
 物語:時代の流れで、ミュージシャンなどが人気者になっていくのに対して、奇術師はどんどん落ち目になっていく。食うにも事欠く状況になって、彼は、怪しげな契約を結び、カフェやバーやガーデン・パーティーなどで奇術をすることになる。その中の1つ、スコットランドの孤島での催しは、孤島に電気が通じたお祝いとして催されたものだったが、彼が披露した奇術を見て、無垢な女の子アリスは彼を本物の魔法使いだと信じ込んでしまう。アリスは、彼についてまわるようになり、彼はアリスの夢を壊さないように、魔法使いであるかのように振る舞い続けるのだった……。
 ジャック・タチが残した脚本を『ベルヴィル・ランデブー』のシルヴァン・ショメが映画化。
 ベルリン国際映画祭2010 ベルリナーレ・スペシャル部門出品。
 アヌシー国際アニメーションフェスティバル2010 プレミア部門出品。
 オタワ国際アニメーションフェスティバル2010 長編コンペティション部門出品。
 サンパウロ国際映画祭2010 ヤング審査員賞受賞。
 ブリティッシュ・インディペンデント・フィルム・アワード2010 技術賞ノミネート。
 ヨーロッパ映画賞2010 長編アニメーション賞ノミネート。

 [アカデミー賞受賞歴]
 シルヴァン・ショメは、『老婦人とハト』(1998)で米国アカデミー賞短編アニメーション賞1998ノミネート。『ベルヴィル・ランデブー』(2003)で長編アニメーション賞2004ノミネート。

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 ・『ガフールの伝説』“Legend of the Guardians: The Owls of Ga’Hoole”(米) 監督:ザック・スナイダー [ワーナー]

 ・『メガマインド』“Megamind”(米) 監督:トム・マクグラス [パラマウント]
 声の出演:ウィル・フェレル、ブラット・ピット、ティナ・フェイ
 物語:悪の化身メガマインドは、ついに長年の宿敵であるヒーロー、メトロマンを倒す。しかし、その後で、戦う相手もなしに、どうやって生きていけばいいのかわからなくなるのだった……。
 トム・マクグラスは、『マダガスカル』『マガガスカル2』で脚本を手がけた人。


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 ・“My Dog Tulip”(米) 監督:Paul Fierlinger、Sandra Fierlinger [New Yorker Films]
 声の出演:クリストファー・プラマー、イザベラ・ロッセリーニ
 物語:年配の独身男とそのジャーマン・シェパードの友情の物語。
 アヌシー国際アニメーションフェスティバル2009 長編コンペティション部門出品。
 トロント国際映画祭2009 DISCOVERY部門出品。(北米プレミア)
 オタワ国際アニメーションフェスティバル2009 長編コンペティション部門出品。オナラブル・メンション受賞。

 [アカデミー賞受賞歴]
 Paul Fierlingerは、“It's So Nice to Have a Wolf Around the House”(1979)で、米国アカデミー賞1980短編アニメーション賞ノミネート。

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 ・『シュレック フォーエバー』“Shrek Forever After”(米) 監督:マイク・ミッチェル [パラマウント]
 アヌシー国際アニメーションフェスティバル2010 プレミア部門出品。

 [アカデミー賞受賞歴]
 『シュレック』は、米国アカデミー賞長編アニメーション賞第1回受賞作品(2002年)。
 『シュレック2』は、米国アカデミー賞2005長編アニメーション賞ノミネート。

 ・『サマーウォーズ』“Summer Wars”(日) 監督:細田守 [ワーナー]
 シッチェス・カタロニア国際ファンタスティック映画祭2009 長編アニメーション賞受賞。
 アヌシー国際アニメーションフェスティバル2010 長編コンペティション部門出品。

 ・『塔の上のラプンツェル』“Tangled”(米) 監督:バイロン・ハワード、ネイサン・グレノ [ディズニー]
 声の出演:マンディー・ムーア、ザカリー・レヴィー
 物語:長い髪のお姫さまラプンツェルは、これまでの人生をすべて塔の中で過ごしてきた。しかし、たまたま見かけた盗賊に恋してしまう。彼を見つけ出すために、彼女は生まれて初めて塔の外に出る……。

 [アカデミー賞受賞歴]
 バイロン・ハワードは、監督作品『ボルト』で、米国アカデミー賞2009 長編アカデミー賞ノミネート。

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 ・“Tinker Bell and the Great Fairy Rescue”(米) 監督:Bradley Raymond [ディズニー]
 声の出演:メエ・ホイットマン、マイケル・シーン、ルーシー・リュー
 物語:ティンカー・ベルは、自分たちの存在を人間に知られないようにするために、ライバルの妖精と手を組む。
 昨年度は『ティンカー・ベルと月の石』“Tinker Bell and the Lost Treasure”がエントリー。

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 ・『トイ・ストーリー3』“Toy Story 3”(米) 監督:リー・アンクリッチ [ディズニー]

 [アカデミー賞受賞歴]
 『トイ・ストーリー』は、米国アカデミー賞1996に脚本賞・作曲賞・歌曲賞にノミネートされて無冠。ただし、ジョン・ラセターが特別功労賞を受賞。
 『トイ・ストーリー2』は、米国アカデミー賞2000の歌曲賞にノミネートされて受賞ならず。
 長編アニメーション賞は、2002年からスタート。
 ピクサー作品は、現在3年連続で長編アニメーション賞連覇中。
 リー・アンクリッチは、『トイ・ストーリー2』『モンスターズ・インク』『ファインディング・ニモ』の共同監督で、このうち『モンスターズ・インク』は米国アカデミー賞2002長編アニメーション賞ノミネート、『ファインディング・ニモ』は米国アカデミー賞2004長編アニメーション賞受賞。ただし、リー・アンクリッチ自身は、いずれの作品でも受賞対象者になっていない。

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 この部門は、『トイ・ストーリー3』が受賞確実なので、それでおしまいと言えばおしまいなのですが、ノミネーション3作品のうち、3番目に滑り込むのはどの作品かなど、細かく見ていくと、いろいろと見どころがあります。

 ※エントリー作品が8~15作品であれば、ノミネーション作品は3作品、16作品以上であれば、ノミネーション作品は5作品という規定(いつできた規定?)なので、昨年度はエントリー作品が20作品あったのでノミネーション作品が5作品でしたが、本年度はエントリー作品が15作品なのでノミネーション作品が3作品ということになります。

 下馬評(Gurus o’ Gold)での人気は、『トイ・ストーリー3』が文句なしにナンバーワンで、2位も『ヒックとドラゴン』で確定です。3位以下が混戦で、今のところ、『怪盗グルーの月泥棒』が3位、『イリュージョニスト』が4位、『塔の上のラプンツェル』が5位で、『メガマインド』や『シュレック フォーエバー』はそれ以下となっています。残念ながら、『サマーウォーズ』の入り込む余地は全くありません。

 どれでもいいのであれば、アカデミー賞が目配りの行き届いているところを見せるために外国作品を入れておこうと考えるかもしれず(どうせ受賞作品は決まっているのだし)、そうすると『イリュージョニスト』が選ばれる可能性が高いということになります。
 ただし、長編アニメーション賞ノミネーションに外国作品が選ばれるのは2年に1度の割合で、本年度はめぐり合わせから言えば、選ばれない年に当たっています。

 エントリー作品を細かく見ていくと、なかなか興味深くて――

 ・シリーズ作品が全部で4つある。

 ・そのうちこれまでアカデミー賞を受賞したことがあるのは『シュレック』のみ。

 ・監督作品がこれまでアカデミー賞長編アニメーション賞にノミネートされたことのある監督が4組。
 クリス・サンダースとディーン・デュボア(『ヒックとドラゴン』):『リロ&スティッチ』
 シルヴァン・ショメ(『イリュージョニスト』):『ベルヴィル・ランデブー』
 バイロン・ハワード(『塔の上のラプンツェル』):『ボルト』
 リー・アンクリッチ(『トイ・ストーリー3』):『トイ・ストーリー2』『モンスターズ・インク』『ファインディング・ニモ』

 ・監督作品がこれまでアカデミー賞短編アニメーション賞にノミネートされたことのある監督が3人います。
 クリス・ルノー(『怪盗グルーの月泥棒』):『熱血どんぐりハンター』(2006)
 ビル・プリンプトン(“Idiots and Angels”):“Your Face”(1987)、“Guard Dog”(2004)
 シルヴァン・ショメ(『イリュージョニスト』):『老婦人とハト』(1998)
 Paul Fierlinger(“My Dog Tulip”):“It's So Nice to Have a Wolf Around the House”(1979)

 ・しかしながら、受賞したことのある監督は1人もいない。

 ・外国作品が3作品で、中国からは初エントリー。

 ・映画会社別だと、ディズニーが3作品、パラマウントが3作品、ワーナーが2作品。

 過去の長編アニメーション賞にノミネートされたことのある実力派の監督の作品をノミニーに選ぶ、あるいは、今回のノミネーションをディズニー×パラマウント×外国作品の構図と考えてそれぞれから1本ずつノミニーを選ぶ、と考えても、やはりバランスのいいノミネーションは、『トイ・ストーリー3』『ヒックとドラゴン』『イリュージョニスト』の3本ということになります。

 外国作品でエントリーされてもよかったかもしれないと思えるのは、スウェーデンの“Metropia”くらいでしょうか。(これが入れば、ノミネート作品が5つになったのに!)

 中国は、今年のアヌシー国際アニメーションフェスティバルの長編コンペティション部門に“Piercing 1(刺痛我)”(監督:劉健(Liu Jian))をエントリーしていました(中国作品としてたぶん初めて)が、今回こうして米国アカデミー賞にも作品を送り込んできたということで、長編アニメーションの分野でも着実に実力をつけてきているということができるでしょうか。今年は、中国の長編アニメーション元年になったと言えるかもしれませんね。
 日本の長編アニメーション作品のクレジットにも中国人らしき名前がゾロゾロ出てきますから、日本のアニメーションの制作現場で力をつけたアニメーターが今後どんどん世に出てくる可能性があります。
 SIGGRAPH 2010でも、中国学生アニメーションのプログラムが組まれていましたから、国としても人材の育成にも力を入れ、若い世代も順調に育っていると見ることもできそうです。
 ただ、『夢の王国』に関しては、中国映画週間で観た人も少ないのか、ブログ等でこの作品に言及している人は少ないようです。

 昨年は、エントリー作品の中にCG作品がいくつ、ストップ・モーション・アニメーション作品がいくつというような考察がなされていましたが、今年はそうしたことは全然話題になっていないようです。
 ざっと見渡したところ、今年のエントリー作品には、CG作品とセル・アニメ作品しかなさそうですが、今年はCG作品VS ×××という構図にはなっていない、もしくは、CG全盛時代に、それに対抗しうるローテク作品は見当たらなかった、ということでしょうか。

 上記の15作品のうち、『夢の王国』『イリュージョニスト』『サマーウォーズ』『塔の上のラプンツェル』の4作品は、アカデミー賞ノミネートの条件であるロサンゼルスでの劇場公開をまだクリアしていないので、規定期間以内にこの条件をクリアしなければなりません。

 ノミネーション3作品の発表は、2011年1月25日です。

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 *当ブログ記事
 ・米国アカデミー賞2010 長編アカデミー賞候補ロングリスト:http://umikarahajimaru.at.webry.info/200911/article_21.html

 ・米国アカデミー賞2011短編ドキュメンタリー候補ショートリスト:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201010/article_25.html
 ・米国アカデミー賞2011 外国語映画賞各国代表65作品:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201010/article_22.html

 ・映画祭&映画賞カレンダー 2010年5月~2011年2月:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201005/article_23.html

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