アジア太平洋映画賞2010 ノミネーション発表!

 第4回アジア太平洋映画賞(4th Annual Asia Pacific Screen Awards)のノミネーションが発表になりました。(10月18日)

 アジア太平洋映画賞といっても、世界各地で開催される様々な映画祭・映画賞の1つに過ぎませんが、スポンサーにユネスコとCNNと国際映画製作者連盟がついているというのがユニークで、そんな映画賞がなぜかオーストラリアのクイーンズランドを拠点として開催されています(音頭取りをしているのが、クイーンズランドだからなんですが)。

 アジア太平洋映画賞は、2007年から始まった賞で、中東までを含めたアジア全域と、オセアニアの映画の振興を目的とする賞で、対象国は70カ国にも及んでいます。(以上、当ブログの過去記事からそのまま転載)

 今年のノミネーションは以下のようになっています。

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 ◆作品賞(Best Feature Film)
 ・“Aftershock(唐山大地震)”(中・香港) 監督:フォン・シャオガン
 ・“Bal (Honey)”(トルコ・独) 監督:Semih Kaplanoglu
 ・『モンガに散る』“Báng-Kah (Monga)”(台湾) 監督:ニウ・チェンザー
 ・『坡州(パジュ)』“Paju”(韓) 監督:パク・チャノク
 ・“Poetry”(韓) 監督:イ・チャンドン

 米国アカデミー賞2011 外国語映画賞の中国代表、トルコ代表、台湾代表が順当に選ばれています。“Poetry”も次点だったので、全体的に見ても、まあまあ順当というところでしょうか。
 『坡州(パジュ)』はそんなに評価の高い作品ではなかったと思われること、これらの作品に匹敵する日本映画は1本もなかったのかということ、が気になります。
 イ・チャンドンは、2007年に『シークレット・サンシャイン』で作品賞を受賞しています。

 ◆監督賞(Achievement In Directing)
 ・フォン・シャオガン “Aftershock(唐山大地震)”(中・香港)
 ・Semih Kaplanoglu “Bal (Honey)”(トルコ・独)
 ・ニウ・チェンザー 『モンガに散る』“Báng-Kah (Monga)”(台湾)
 ・イ・チャンドン “Poetry”(韓)
 ・ワン・チュアンアン 『紡績姑娘』“Weaving Girl”(中)

 作品賞とは、『坡州(パジュ)』と『紡績姑娘』が入れ替わっています。
 規定で決まっているのかどうか、暗黙の約束事なのかはわかりませんが、過去3回はいずれも作品賞と監督賞は別の作品が受賞しています。

 ◆男優賞(Best Performance By An Actor)
 ・チェン・ダオミン(陳道明) “Aftershock(唐山大地震)”(中・香港)
 ・Tony Barry “Home By Christmas”(ニュージーランド)(監督:Gaylene Preston)
 ・Sergei Puskepalis “How I Ended This Summer”(ロシア)(監督:Aleksei Popogrebsky)
 ・Mark Ivanir “The Human Resources Manager”(イスラエル・独・仏・ルーマニア)(監督:エラン・リクリス)
 ・Atul Kulkarni “Natarang”(インド)(監督:Ravi Jadhav)

 昨年の受賞者は、『おくりびと』の本木雅弘でした。

 ◆女優賞(Best Performance By An Actress)
 ・シュイ・ファン(徐帆) “Aftershock(唐山大地震)”(中・香港)
 ・Tejaswini Pandit  “I Am Sindutai Sakpal”(インド)(監督:Ananth Mahadevan)
 ・ソ・ウ(Seo Woo) 『坡州(パジュ)』“Paju”(韓)(監督:パク・チャノク)
 ・ユン・ジョンヒ “Poetry”(韓)
 ・ユー・ナン 『紡績姑娘』“Weaving Girl”(中)(監督:ワン・チュアンアン)

 ◆脚本賞(Best Screenplay)
 ・スー・シャオフェイ(蘇小衛/Su Xiaowei) “Aftershock(唐山大地震)”(中・香港)
 ・黒沢久子、若松孝二 『キャタピラー』(日)(監督:若松孝二)
 ・ニル・ベルグマン(Nir Bergman) 『僕の心の奥の文法』“Intimate Grammar”(イスラエル)(監督:ニル・ベルグマン)
 ・サミュエル・マオス 『レバノン』“Levanon (Lebanon)”(イスラエル・仏・独)(監督:サミュエル・マオス)
 ・イ・チャンドン “Poetry”(韓)

 今年は、イスラエル映画が2本ノミネートされています。
 『キャタピラー』の脚本には、若松孝二はクレジットされていないのですが(少なくとも公式サイトや映画データベースでは黒沢久子と出口出)、若松作品の脚本担当の共同ペンネームである出口出が、今回は若松孝二であるというそういう判断なのでしょうか。(あるいは、エントリーの書類がそうなっていたのか、単なるミスか。)
 2008年はエラン・リクリスの“Lemon Tree”が、2009年は『彼女が消えた浜辺』が受賞しています。

 ◆撮影賞(Achievement In Cinematography)
 ・リュイ・ユエ(呂楽/Lu Yue) “Aftershock(唐山大地震)”(中・香港)
 ・Bariþ Özbiçer “Bal (Honey)”(トルコ・独)
 ・ジェイク・ポロック(Jake Pollock/包軒鳴)  『モンガに散る』(台湾)
 ・サントーシュ・シヴァン(Santosh Sivan)、V. Manikandan 『ラーヴァン』“Raavan”(インド)(監督:マニ ラトナム)
 ・Sudhir Palsane “Vihir (The Well)”(インド)(監督:Umesh Vinayak Kulkarni)

 ◆長編アニメーション賞(Best Animated Feature Film)
 ・『いばらの王 King of Thorn』“Ibara No Ou (King Of Thorn)”(日) 監督:片山一良
 ・『ガフールの伝説』“Legend Of The Guardians: The Owls Of Ga’Hoole”(オーストラリア・米) 監督:ザック・スナイダー
 ・『マイマイ新子と千年の魔法』“Mai Mai Shinko To Sennen No Maho (Mai Mai Miracle)”(日) 監督:片渕須直
 ・『ホッタラケの島 遙と魔法の鏡』“Hottarake No Shima – Haruka To Maho No Kagami (Oblivion Island: Haruka And The Magic Mirror)”(日) 監督:佐藤信介
 ・“Piercing 1”(中) 監督:Liu Jian

 例年、この部門は日本映画だらけです。わざわざこの部門を設ける意味はあるのかっていう感じもしますが。
 そういうノミネーション状況であるのにも拘わらず、2009年の受賞作は『メアリーとマックス』、2008年の受賞作は『戦場でワルツを』、2007年の受賞作は『秒速5センチメートル』でした。
 全世界で公開されたばかりの『ガフールの伝説』が入っているわりには、『借りぐらしのアリエッティ』や『カラフル』は入っておらず、日本では昨年公開された『ホッタラケの島』や『マイマイ新子』が入っているのが気になります。単にエントリーしたか、しなかったか、ということでしょうか。

 ◆ドキュメンタリー賞(Best Documentary Feature Film)
 ・“12 Angry Lebanese: The Documentary”(レバノン) 監督:Zeina Daccache
 ・“Budrus”(パレスチナ・イスラエル・米) 監督:Julia Bacha
 ・“Enemies Of The People”(カンボジア・英) 監督:Rob Lemkin、Thet Sambath
 ・“Karamay(克拉玛依)”(中) 監督:Xu Xin(徐辛)
 ・“Last Train Home”(中・カナダ) 監督:Lixin Fan

 国際的にも注目されるべきドキュメンタリー作品の約半数は、アジアを舞台にしたもので(ドキュメンタリーの対象になるような題材が特にアジア地域に多いということですが)、そういった状況を反映したノミネーションになっています。

 ◆児童映画賞(Best Children’s Feature Film)
 ・“Boy”(ニュージーランド) 監督:Taika Waititi
 ・“Bran Nue Dae”(オーストラリア) 監督:Rachel Perkins
 ・“Echoes Of The Rainbow(歳月神偸)”(香港) 監督:アレックス・ロー
 ・“The Other”(イラン) 監督:Mehdi Rahmani
 ・“Udaan”(インド) 監督:Vikramaditya Motwane

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 主なノミネート状況は以下の通りです。

 ・“Aftershock(唐山大地震)”(6):作品・監督・男優・女優・脚本・撮影
 ・“Poetry”(4):作品・監督・女優・脚本
 ・“Bal (Honey)”(3):作品・監督・撮影
 ・『モンガに散る』(3):作品・監督・撮影
 ・『坡州(パジュ)』(2):作品・女優
 ・『紡績姑娘』“Weaving Girl”(2):監督・女優

 日本や東南アジア諸国からももっとノミネーションがあってもよかったような気がしますね。

 “Aftershock(唐山大地震)”は、わりと愛国主義的な映画らしいという噂を聞いているので、中国人以外の人が観て共感できる作品になっているのかどうかはわからないのですが、少なくともここでは最多ノミネーションになっています。

 ノミネーションは、エントリー方式で、選定委員(Nominations Council)が決められて、その選定委員がエントリーされた中からノミネーションを行なうというシステムになっています。

 今年の選定委員は、Hong-Joon Kim(韓国芸術総合学校教授)、Mohammad Atebbai(イランのマネージング・ディレクター)、Azize Tan(イスタンブール国際映画祭のディレクター)、Anne Démy-Geroe(ブリスベーン国際映画祭のディレクター)、Russell Edwards(オーストラリアの映画批評家/オールトラリア映画批評家協会の元会長)、Maithili Rao(インドの映画批評家/作家)、坂野ゆか(川喜多映画記念財団国際関係担当)、Peggy Chiao(台湾のプロデューサー/作家)、Nan Achnas(インドネシアの監督/プロデューサー)、という9名でした。

 このあと、別途、審査員が選出されて、審査を行ない、12月2日の授賞式で受賞結果発表される予定になっています。

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 *当ブログ記事
 ・アジア太平洋映画賞2009 結果発表:http://umikarahajimaru.at.webry.info/200911/article_44.html
 ・アジア太平洋映画賞2008 結果発表:http://umikarahajimaru.at.webry.info/200811/article_7.html

 ・映画祭&映画賞カレンダー 2010年5月~2011年2月:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201005/article_23.html

 追加:
 アジア太平洋映画賞2010 受賞結果:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201012/article_6.html

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