多彩なラインナップ! リオ・デ・ジャネイロ国際映画祭2010の344本!

 リオ・デ・ジャネイロ国際映画祭2010の受賞結果を書き出しておきたいと思います。

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 リオ・デ・ジャネイロ国際映画祭(Rio International Film Festival / Festival do Rio)は、元々は、The Rio Cine Festival とThe Mostra Banco Nacional de Cinemaという2つの映画祭があったのが、1999年に合併して、現在の形になり、今年で第12回を迎えています。

 約1ヶ月後に、南米最大というか、世界的に見ても最大級の上映本数を誇るサンパウロ国際映画祭があるので、リオ・デ・ジャネイロは、その差別化に苦労するところですが、サンパウロがインターナショナル・コンペティションとブラジル・コンペティションをメインに、とことん数で勝負にくる(例えば、ワールド・シネマ部門が180本も上映するなど、各部門の上映本数がやたらに多い)のに対し、リオ・デ・ジャネイロは、ブラジル映画の紹介に力を入れつつも、サンパウロにはないような多彩な常設部門を設け、よりバラエティーに富んだプログラム編成を行なっています。

 特に力を入れているのは、複数の部門が設けられているドキュメンタリー映画ですが、そのほか、ミッドナイト・ムービー部門、ゲイ・ワールド部門、児童映画部門、環境映画部門などがあります。

 上映本数はサンパウロ国際映画祭に劣るといっても、こちらの上映本数も約300本あって、2週間の会期中に30近いスクリーンを使って上映が行なわれます。

 全上映作品を書き出したい気もしますが、さすがに負担が多すぎるので、メイン・コンペティション部門の受賞結果と基本情報の記載にとどめておくことにします。(公式サイトには過去3年分のプログラムがアーカイブ化されています。)

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 第12回リオ・デ・ジャネイロ国際映画祭(2010年9月23日-10月7日)

 ◆フィクション・コンペティション(Première Brasil:Fiction)
 ・“Além da estrada (Beyond the Road)” 監督:Charly Braun
 ・“Boca do Lixo (Boca)” 監督:Flavio Frederico
 ・“Como esquecer (So Hard to Forget)” 監督:Malu de Martino
 ・“Elvis & Madona” 監督:Marcelo Laffitte
 ・“Malu de bicicleta (Malu on a Bicycle)” 監督:Flavio Tambellini
 ・“Riscado (Craft)” 監督:Gustavo Piz
 ・“O senhor do labirinto (Lord of the Labyrinth)” 監督:Geraldo Motta
 ・“Trampolim do Forte (Diving Into the Blue)” 監督:João Rodrigo Mattos
 ・“VIPs” 監督:Toniko Mello

 ◎最優秀作品賞(Best fiction):“VIPs”

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 ◎監督賞:Charly Braun “Além da Estrada (Beyond the Road)”

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 ◎主演男優賞:Wagner Moura “VIPs”

 ◎主演女優賞:Karine Teles “Riscado (Craft)”

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 ◎助演男優賞:Jorge D'Elia “VIPs”

 ◎助演女優賞:Gisele Fróes “VIPs”

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 ◎脚本賞:Marcelo Laffite “Elvis & Madona”

 ◎撮影賞:Adrian Tejido “Boca do Lixo (Boca)”

 ◎編集賞:Vania Debs “Boca do Lixo (Boca)”.

 ◎観客賞 フィクション部門:“O Senhor do Labirinto (Lord of the Labyrinth)”

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 ◆ドキュメンタリー・コンペティション(Première Brasil:Documentaries)
 ・“Diário de uma busca (Diary, Letters, Revolutions…)” 監督:Flavio Castro
 ・“É Candeia (Candeia)” 監督:Márcia Watzl
 ・“Histórias reais de um mentiroso (True Stories of a Liar)” 監督:Mariana Caltabiano
 ・“Memória Cubana (Cuban Memory of the World)” 監督:Alice de Andrade
 ・“Noitada de samba (Samba’s Evening)” 監督:Cély Leal
 ・“Positivas (Positive)” 監督:Susanna Lira
 ・“Santos Dumont:pré cineasta? (Santos Dumont:Early Cinema)” 監督:Carlos Adriano
 ・“Solidão e fé (Solitude and Faith)” 監督:Tatiana Lohmann

 ◎最優秀ドキュメンタリー賞:“Diário de uma busca (Diary, Letters, Revolutions…)”

 ◎観客賞 ドキュメンタリー部門:“Positivas (Positive)”

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 ◎国際批評家連盟賞:“Diário de uma busca (Diary, Letters, Revolutions…)”

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 ◆短編コンペティション
 ◎最優秀短編賞:“Vento (The Wind)” 監督:Marcio Salem

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 ◎特別審査員賞(Special Jury Prize):“Geral” 監督:Anna Azevedo

 ◎観客賞 短編部門:“Um Outro Ensaio (Another Essay)” 監督:Natara Ney

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 ※短編コンペティションは、フィクション部門とドキュメンタリー部門に分かれていますが、最優秀短編賞はフィクション部門から1作品のみ選ばれています(特別審査員賞はドキュメンタリー部門から選ばれていますが)。この辺の事情は公式サイトにも明記していないのでよくわかっていません。

 ◆New Path部門
 ◎New Paths部門賞:“PARANÃ-PUCA - Where the sea breaks its back” 監督:Jura Capela

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 受賞作の中から気になった作品をいくつかピックアップしておきます。

 ・“VIPs” 監督:Toniko Mello
 作品賞・主演男優賞・助演男優賞・助演女優賞受賞。
 物語:実在の人物Marcelo do Nascimentoの人生に基づく作品。Marceloは、航空機のパイロットになることを夢見て、麻薬の運び人になる。様々な冒険があり、結果的に彼は金持ちになる。レシフェのカーニバルで、Gol航空の会長の弟のフリをして、ジェット族の中に入り込むが、ウソがばれて、逮捕されてしまう。彼は、厳重に管理された刑務所に収容されていたはずだったが、なぜか不死鳥のように人々の前に姿を現すのだった。

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 “VIPs”が、1本だけずばぬけてこれだけ評価が高いのは、主人公が、ブラジル人の夢や憧れを体言していて、罪は犯していても、親近感の感じられる憎めないヤツとして描かれているからでしょうか。
 題材的にも、そして憎めない詐欺師という点でも、『キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン』や『クヒオ大佐』、『キャプテン アブ・ライード』にちょっと似ているところがある、ということができるでしょうか。

 ・“Elvis & Madona” 監督:Marcelo Laffitte
 才能のあるカメラマンであるけれども食べていけなくてピザの宅配をしているレズビアンのエルヴィスと、ヘアドレッサーで夜毎ドラァグ・クラブで踊っているマドナのラブストーリー。
 モスクワ国際映画祭2010 Sex. Food. Culture. Glory部門や、ワルシャワ国際映画祭2010 フリー・スピリット・コンペティション部門で上映。

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 ・“Boca do Lixo (Boca)” 監督:Flavio Frederico
 1950年代にBoca do Lixoから勢力を伸ばして、ナイトクラブからストリップ小屋、バー、売春、麻薬の売買など幅広く手を広げて、キング・オブ・Boca do Lixoとも呼ばれた実在のギャング、Hiroitoの半生を映画化したもの。

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 ・“Diário de uma busca (Diary, Letters, Revolutions…)” 監督:Flavio Castro
 政治的な理想を求めて、ブラジルからチリ、アルゼンチン、ベネズエラ、フランスと、60年代~70年代にかけて、世界中を旅して、亡命生活を続けた監督自身の父Celso A. Castroとの記憶を掘り返し、日記や手紙なども参照しつつ、亡命の旅と父が追い求めたものを探る。

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 今年のリオ・デ・ジャネイロ国際映画祭の全ラインナップは以下のようになっています。(☆印は常設部門)

 Premiere Brasil 部門
 ・Premiere Brasil Competiton:Features コンペティション部門 ブラジル映画フィクション作品 9作品 ☆
 ・Premiere Brasil Competiton:Documentaries コンペティション部門 ブラジル映画ドキュメンタリー作品 8作品 ☆
 ・Premiere Brasil Competiton:Short Fiction コンペティション部門 短編ブラジル映画作品 17作品 ☆
 ・Premiere Brasil Competiton:Short Documentaries コンペティション部門 ブラジル映画短編ドキュメンタリー作品 4作品 ☆
 ・Premiere Brasil Hors Concours:Features 非コンペティション部門 ブラジル映画フィクション作品 2作品 ☆
 ・Premiere Brasil Hors Concours:Documentaries 非コンペティション部門 ブラジル映画ドキュメンタリー作品 3作品 ☆
 ・Premiere Brasil Hors Concours:Short Fiction 非コンペティション部門 短編ブラジル映画 2作品 ☆
 ・Premiere Brasil Portraits 人物に焦点を当てたドキュメンタリー作品(ブラジル映画)。 7作品 ☆
 ・Premiere Brasil Short Portraits 人物に焦点を当てた短編ドキュメンタリー作品(ブラジル映画)。 3作品
 ・Premiere Brasil New Paths ブラジル映画の意欲的な作品や野心作を集めたプログラム。2009年のNew Directions部門よりリニューアル。 5作品
 ・Premiere Brasil Politics 政治や選挙、政策などをモチーフにした作品を集めたブラジル映画。 4作品

 ・World Panorama:ワールド・シネマ。全78作品。 ☆
 主な上映作品を書き出しておくと―、クロード&ナタン・ミレール“I’m Glad My Mother Is Alive”、カルロ・マッツァクラティ“The Passion”、トッド・ソロンズ“Life During Wartime”、グレッグ・アラキ“Kaboom”、クリスティアン・ムンジウ他“Tales from the Golden Age”、アントン・コービン“The American”、ミカ・カウリスマキ“The House of Branching Love”、ベン・アフレック『ザ・タウン』、ソフィア・コッポラ“Somewhere”、『素数たちの孤独』、ジョン・セイルズ“Amigo”、ニール・ジョーダン“Ondine”、『ノーウェア・ボーイ』、ジョン・タトゥーロ“Passione”、エドガー・ライト“Scott Pilgrim vs. the world”、『アバター 特別版』、『食べて、祈って、恋をして』、オリバー・パーカー“Dorian Gray”、『サンシャイン・クリーニング』、フェルザン・オズペテク“Loose Canntons”、ダニエレ・ルケッティ“La nostra vita”、グサヴィエ・ボーヴォワ『神々と男たち』、イ・チャンドン『詩』、パオロ・ヴィルツィ“The First Beautiful Thing”、『ミックマック』、イム・サンス“The Housemaid”、チャン・イーモウ“A Woman, a Gun and a Noodle Shop”、マイケル・ウィンターボトム“The Killer Inside Me”、リサ・チョロデンコ“The Kids Are All Right”、シルヴィオ・ソルディーニ“What more do I want”、サミュエル・マオズ『レバノン』、ラシッド・ブシャール“Outside the Law”、ウディ・アレン“You Will meet a tall dark stranger”、オリヴィエ・アサイヤス“Carlos”、ケン・ローチ“Route Irish”、ジャン=リュック・ゴダール“Film Socialism”、アッバス・キアロスタミ『贋作』、フリオ・メデム“Room in Rome”、ジャ・ジャンクー『海上伝奇』、マチュー・アマルリック“On Tour”、『ブンミおじさん』など……。

 ・Expectations 2010:他の映画祭で賞を受賞したり、話題になったりした作品を集めたプログラム(おそらくは比較的若い監督の作品を中心にプログラミング)。 全39作品 ☆
 主な上映作品は―、Gareth Edwards“Monsters”、Ascanio Celestini“The Black Sheep”、コーネル・ムンドムッツォ“Tender Son, the Frankenstein Project”、 Javier Rebollo “Woman without Piano”、Raya Martin “independencia”、Radu Muntean“Tuesday After Christmas”、“Last Train Home”、“Yo, también”、“R.U.There”、“Adrienn Pál”、“A Film Unfinished”など……。

 ・Dox:ドキュメンタリー部門 全15作品 ☆

 ・Film Doc:映画監督や俳優をモチーフにしたドキュメンタリー。全6作品
  “Rock Hudson - Dark and Handsome Stranger”(監督:Andrew Davies、André Schäfer)
  “Milos Forman: What doesn’t kill you…”(監督:Miloslav Smidmajer)
  “Roman Polanski”(監督:Alê Primo)
  “Roman Polanski: Wanted and Desired”(監督:Marina Zenovich)
  “Sam Peckinpah”(監督:Umberto Berlenghini、Michelangelo Dalto)
  “Fragments of Conversations with Jean-Luc Godard”(監督:Alain Fleischer)。

 ・Ubique Itineraries:美術や写真などを手がけるアーティストをモチーフにしたドキュメンタリー。2009年のARTE in Focus部門よりリニューアル。全14作品
 “How much does your building weigh, Mr. Foster?”(Norman Foster)、“Spray”(João Wainer)、“5+5+”(Carlos Vergara)、“Obscene: A Portrait Of Barney Rosset And Grove Press”、“The Universe of Keith Haring”、“Black White + Gray: A Portrait of Sam Wagstaff and Robert Mapplethorpe”、“Louise Bourgeois: the Spider, the Mistress and the Tangerine”、“Chuck Close: The Life and Work of the Man Who Reinvented Portraiture”、“Rem Koolhaas: a Kind of Architect”、『バスキアのすべて』、“Over your Cities Grass Will Grow”(アンセルム・キーファー)、“Milton Glaser: To Inform & Delight”、“Picasso & Braque Go To The Movies”、“Traces of a Diary”(荒木経惟・森山大道・Horomix・中平卓馬)。

 ・Environment:自然や環境、エコロジーなどをテーマにした作品のセクション。全12作品 ☆
 “Garbage Dream”、“Within the River, Among the Trees”、“THE BROKEN MOON”、“The Rainbow Warriors of Waiheke Island”、“CLIMATE OF CHANGE”、“Cleveland versus Wall Street”、“Severn, the Voice of our Children”、“Think Global, Act Rural”、“Gasland”、『ザ・コーヴ』、“Dirty Paradise”、“2012: Time for Change”。

 ・Brazil Screen(Brazilian Music on the Screen):ブラジルの音楽ドキュメンタリー。全4作品 ☆

 ・Limits & Frontiers:国境・越境・難民などをモチーフにしたフィクションやドキュメンタリーを集めたセクション。全10作品 ☆
 “The Oath”、“Son of Babylon”、“Armadillo”、“War Don Don”、“Gaza on Air”、『リトル・エイリアン』、“Ceasefire”、“Illegal”、“The Arrivals”、“My Lai”。

 ・Midnight Movies:ファンタ系の作品や音楽ドキュメンタリーを上映。全14作品 ☆
 “We Live in Public”、『マチェーテ』、“LennonNYC”、“Smoke Screen”、“Ride Rise Roar”、“RUSH: Beyond the Lighted Stage”、『ストーンズ・イン・エグザイル』、『双子のデュオ~アンタッチャブル・ガールズ』、『タイヤ』、ジル・マルシャン“Black Heaven”、“Bibliotheque Pascal”、“Stigmata”、“In the Woods”、“Blank City”。

 ・Generation:児童映画の上映。全15作品 ☆

 ・Gay World:LGBT映画。全8作品 ☆
 “Hymn to Love”、“Plan B”、“The Mouth of Wolf”、“108”、“BearCity”、“The String”、“David’s Birthday”、“Amphetamine”。

 ・Latin Premier:最新アテンアメリカ映画特集。全16作品 ☆

 ・アルゼンチン映画特集(Focus Argentina) 全18作品

 ・Brazil By Others:外国人監督がブラジルで撮影した映画を集めたプログラム。 ☆

 ・ブリュノ・デュモン特集(Humanity According to Bruno Dumont) 全5作品
 『ジーザスの日々』『ユマニテ』『欲望の旅』『フランドル』『ハデウェイヒ』

 ・イエジー・スコリモフスキー特集(Essential Skolimowski) 全5作品
 『身分証明書』『不戦勝』『バリエラ』“Moonlighting”『アンナと過ごした4日間』

 ・アモス・ギタイ特集(Amos Gitai Retrospective) 全11作品
 『エステル』(1985)、『ベルリン・エルサレム』(1992)、『ゴーレム さまよえる魂』(1992)、『カドッシュ』(1999)、『キプールの記憶』(2000)、『ケドマ』(2002)、『アリラ』(2003)、『フリー・ゾーン』(2005)、『家からの報せ、故郷からの報せ』(2005)、“One Day,You Will Understand”(2008)

 ・Cinema Treasures from the Archives:旧作の特別上映。1作品 ☆

 ・Web Docs:ウェブ・ドキュメンタリー。全4作品

 ざっと見たところでは、日本からの出品は1本もなかったようです。

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 *当ブログ記事
 ・映画祭&映画賞カレンダー 2010年5月~2011年2月:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201005/article_23.html

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