25週前のオスカー2011予想!

 昨年もこの時期に書き出していましたが、25週前(正確には25週半前)のオスカー予想を書き出しておきたいと思います。

 出典元は、MCN(Movie City News )で、下記作品賞候補リストは8月5日に出され、その下の配給会社ごとの各作品に関するコメントは、8月30日にアップされています。

 昨年の予想では、米国アカデミー賞2010作品賞にノミネートされた10作品のうち、この時期で、8作品まで予想できていたので、この予想の的中率は高く、信頼できる予想と言っていいと思います。

 昨年の予想で惜しかったのは、『ハート・ロッカー』や『アバター』『17歳の肖像』『プレシャス』『マイレージ、マイライフ』“A Serious Man”はもちろん、ダークホースと思われた『しあわせの隠れ場所』までこの時点で予想に入れておきながら、『イングロリアス・バスターズ』を外していたことで、カンヌで上映されていた『イングロリアス・バスターズ』がノミネートされることは予想不可能ではなかったのにと、ちょっと残念に思われます。もう1本のダークホース、『第9地区』は、さすがにこの時点では予想できていませんでした。

画像

 ※27週前のオスカー2010予想:http://umikarahajimaru.at.webry.info/200908/article_35.html

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 【25週前のオスカー2011予想】

 ◆最有力作品(The Films Most Likely)

 ・『トイ・ストーリー3』“Toy Story 3”(ディズニー) 監督:リー・アンクリッチ
 全米公開日:6月18日

 ・『インセプション』“Inception”(ワーナー) 監督:クリストファー・ノーラン
 全米公開日:7月16日

 ・“Get Low”(ソニー・ピクチャーズ・クラシックス) 監督:Aaron Schneider
 全米公開日:7月30日 プレミア:トロント国際映画祭2009

 ・“Hereafter”(ワーナー) 監督:クリント・イーストウッド
 全米公開日:10月22日 プレミア:トロント国際映画祭2010

 ・“True Grit”(パラマウント) 監督:ジョエル&イーサン・コーエン
 全米公開日:12月25日

 ◆有力作品(The Next Tier Of Likely)

 ・“The Social Network”(ソニー) 監督:デイヴィッド・フィンチャー
 全米公開日:10月1日 プレミア:ニューヨーク映画祭2010

 ・“Secretariat”(ディズニー) 監督:ランダル・ウォレス
 全米公開日:10月8日

 ・“Morning Glory”(パラマウント) 監督:ロジャー・ミッチェル
 全米公開日:11月12日

 ・“Made In Dagenham”(ソニー・ピクチャーズ・クラシックス) 監督:ナイジェル・コール
 全米公開日:11月19日 プレミア:トロント国際映画祭2010

 ・“The King’s Speech”(TWC) 監督:トム・フーパー
 全米公開日:11月24日 プレミア:テルライド映画祭2010

 ・“The Black Swan”(フォックス・サーチライト) 監督:ダーレン・アロノフスキー
 全米公開日:12月1日 プレミア:ベネチア国際映画祭2010 コンペティション部門

 ・“Everything You’ve Got”(ソニー) 監督:ジェームズ・L・ブルックス
 全米公開日:12月17日

 ・“Somewhere”(フォーカス) 監督:ソフィア・コッポラ
 全米公開日:12月25日 プレミア:ベネチア国際映画祭2010 コンペティション部門

 ◆その他の候補作品(The Rest Of The Legitimate Contenders)

 ・『シャッター・アイランド』“Shutter Island”(パラマウント) 監督:マーティン・スコセッシ
 全米公開日:2月19日

 ・“Winter’s Bone”(RdAtt) 監督:Debra Granik
 全米公開日:6月11日 プレミア:サンダンス映画祭2010 審査員グランプリ&脚本賞受賞

 ・“The Kids Are All Right”(フォーカス) 監督:リサ・チョロデンコ
 全米公開日:7月9日 プレミア:サンダンス映画祭2010

 ・『食べて、祈って、恋をして』“Eat Pray Love”(ソニー) 監督:ライアン・マーフィー
 全米公開日:8月13日

 ・“The American”(フォーカス) 監督:アントン・コービン
 全米公開日:9月1日

 ・“Never Let Me Go”(フォックス・サーチライト) 監督:Mark Romanek
 全米公開日:9月15日 プレミア:トロント国際映画祭2010

 ・“The Town”(ワーナー) 監督:ベン・アフレック
 全米公開日:9月17日 プレミア:ベネチア国際映画祭2010 アウト・オブ・コンペティション部門

 ・“It’s Kind Of A Funny Story”(フォーカス) 監督:アンナ・ボーデン、ライアン・フレック
 全米公開日:9月24日 プレミア:トロント国際映画祭2010

 ・『ウォール・ストリート』“Wall Street 2”(フォックス) 監督:オリバー・ストーン
 全米公開日:9月24日 プレミア:カンヌ国際映画祭2010 アウト・オブ・コンペティション部門

 ・“Conviction”(フォックス・サーチライト) 監督:トニー・ゴールドウィン
 全米公開日:10月15日 プレミア:トロント国際映画祭2010

 ・“127 Hours”(フォックス・サーチライト) 監督:ダニー・ボイル
 全米公開日:11月5日 プレミア:トロント国際映画祭2010

 ・“Love & Other Drugs”(フォックス) 監督:エドワード・ズウィック
 全米公開日:11月24日

 ・“Miral”(TWC) 監督:ジュリアン・シュナーベル
 全米公開日:12月1日 プレミア:ベネチア国際映画祭2010 コンペティション部門

 ・“The Fighter”(Par/Rel) 監督:デイヴィッド・O・ラッセル
 全米公開日:12月10日

 ・“The Tempest”(ミラマックス) 監督:ジュリー・テイモア
 全米公開日:12月10日 プレミア:ベネチア国際映画祭2010 アウト・オブ・コンペティション部門

 ・“Another Year”(ソニー・ピクチャーズ・クラシックス) 監督:マイク・リー
 全米公開日:12月29日 プレミア:カンヌ国際映画祭2010 コンペティション部門 エキュメニカル審査員賞スペシャル・メンション受賞

 ・“Blue Valentine”(TWC) 監督:Derek Cianfrance
 全米公開日:12月31日 プレミア:サンダンス映画祭2010

 ・“Biutiful”(?) 監督:アレハンドロ・ゴンザレス・イニャリトゥ
 全米公開日:未定 プレミア:カンヌ国際映画祭2010 コンペティション部門 男優賞(ハビエル・バルデム)受賞

 ・“London Boulevard”(?) 監督:ウィリアム・モナハン
 全米公開日:未定

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 以下は、デイヴィッド・ポーランドという映画批評家が、上記リストに対応する形で、8月30日にMCNに発表したオスカー予想のコメント(を簡単に抜書きしたもの)で、9月以前に全米公開された作品以外は、配給会社ごとにまとめられています。

 ◇9月以前に全米公開された作品

 ・『シャッター・アイランド』は、優れた作品であっても、ベストではない。9月以前に劇場公開されているので、作品賞にノミネートされる可能性は低い。

 ・『トイ・ストーリー3』。パート3もので、これまで作品賞にノミネートされた作品は『ゴッド・ファーザー PartⅢ』と『ロード・オブ・ザ・リング/王の帰還』くらいしかない。

 ・『インセプション』は、作品賞枠が5だったら難しいかもしれないが、作品賞枠が10なら、ノミネートされる可能性は高い。

 ・“Get Low”は、小さいけれども、面白い(funny)作品。ロバート・デュバルがノミネートされる可能性は高く、シシー・スペイセクやビル・マーレイがノミネートされる可能性もある。

 ◇フォックス・サーチライト・ピクチャーズ

 ・2008年の映画賞レースで対決したダーレン・アロノフスキーとダニー・ボイルの新作は、ともにフォックス・サーチライト・ピクチャーズ配給で全米公開予定。

 ・“Never Let Me Go”は、寡作な映画監督Mark Romanekの作品。9月15日全米公開というのが、配給会社の期待度の低さを表わしていると思われる。ただし、この作品には、キャリー・マリガンとキーラ・ナイトレイが出演しているので、彼女たちが映画賞レースをひっかきまわしてくれる可能性もある。

 ・“Conviction”は、ダークホース的な作品で、主演はオスカー女優のヒラリー・スワンク。

 ・“Black Swan”は、『レスラー』と同クラスの出来だとすれば、作品賞枠10作品の中には入るのではないか。ただし、それも映画祭での評判次第であるが。

 ・“127 Hours”は、オスカー級の作品なのか、それとも商業映画なのか。公開日から判断すると商業映画である可能性は高い。

 ◇フォーカス・フィーチャーズ

 ・“The Kids Are All Right”は、演技部門や脚本部門のノミネートが有力。

 ・“The American”は、9月1日全米公開というのが怪しい。フォーカス・フィーチャーズがこの時期に全米公開した作品でオスカーにからんだのは『ナイロビの蜂』くらい。

 ・“It’s Kind Of A Funny Story”は、『(500)日のサマー』をビターにしたような作品か。

 ・“Somewhere”は、ジェームズ・ブルックスの失敗作『ハリウッド・トラブル』と似たにおいがする。

 ◇ソニー・ピクチャーズ・クラシックス

 ・ソニー・ピクチャーズ・クラシックスは、いつもトロント国際映画祭に注目作を送り込んで来る。しかし、今年は意表をついてくるような作品は見当たらない。

 ・ナイジェル・コールの“Made in Dagenham”は、サリー・ホーキンスにオスカーのノミネートをもたらすかもしれない。

 ・シルヴァン・ショメの“L’illusionniste”は、『トイ・ストーリー3』のオスカーを脅かすかもしれない。『ベルヴィル・ランデヴー』が『ファインディング・ニモ』を脅かしたように。

 ・そのほかに“Get Low”と、マイク・リーのカンヌ出品作“Another Year”がある。

 ◇ミラマックス

 ・“The Tempest”。ジュリー・テイモアは、前2作がトロントでワールド・プレミアだったのに、今回は、トロントでは上映せず、ベネチアがワールド・プレミアで、ニューヨーク映画祭の目玉としている。それが怪しい。

 ◇ザ・ワインスタイン・カンパニー

 ・ジュリアン・シュナーベルの“Miral”は、既に前評判が高い。

 ・サンダンス映画祭からは“The Company Men”と“Blue Valentine”がある。“Blue Valentine”は評価の高い作品だが、嫌いだという人も多く、今シーズンのダークホース的な作品となりそう。

 ・“The King’s Speech”には、コリン・ファース、ジェフリー・ラッシュ、ガイ・ピアース、ヘレナ・ボナム・カーター、マイケル・ガンボン、ティモシー・スポール、デレク・ジャコビと、オスカー級の俳優がゾロゾロ出演している。

 ・そのほか、『ノーウェアボーイ』や、ドキュメンタリー作品“The Tillman Story”がある。

 ◇ライオンズゲート

 ・今年はオスカーにからみそうな作品は見当たらない。唯一可能性のありそうなのは、タイラー・ペリーの“For Colored Girls Who Have Considered Suicide When the Rainbow is Enuf”。

 ◇サミット

 ・昨年は『ハート・ロッカー』があったが、今年はオスカーにからみそうな作品は見当たらない。しかし、まだ全米の配給会社が見つかってない“Biutiful”と“London Boulevard”を,、トロント以降、サミットがゲットするかもしれない。“Biutiful”は、売り方の難しい作品ではあるが。

 ◇その他の小さな配給会社の作品

 ・昨年の“The Messenger”のようなポジションにある作品がRoadside Attractions の“Winter’s Bone”。脚本賞にノミネートされる可能性が高いが、作品賞にノミネートされる可能性もある。

 ◇パラマウント

 ・可能性のありそうなのは、デイヴィッド・O・ラッセルの“The Fighter”と、コーエン兄弟の“True Grit”。ダークホースとしてロジャー・ミッチェルの“Morning Glory”。

 ◇ソニー・ピクチャーズ

 ・ソニー・ピクチャーズが期待をかけているのは、『ベンジャミン・バトン』で13のノミネートを果たしたデイヴィッド・フィンチャーの“Social Network”。

 ・『ジュリー&ジュリア』のようなポジションにある作品として『食べて、祈って、恋をして』がある。

 ・オスカー受賞者ジャック・ニコルソンやリース・ウィザー・スプーンの出演している“Everything You’ve”もオスカーにからんでくる可能性がある。

 ◇ワーナー・ブラザース映画

 ・『インセプション』は、たぶんもう既に安全圏内にある。

 ・ベン・アフレックの“The Town”。公開日が微妙だが、監督デビュー作となった前作では才能を感じさせてくれた。

 ・イーストウッドの“Hereafter”。

 ・『ハングオーバー』の監督であるトッド・フィリップスの最新作で、ロバート・ダウニーJr.も出演している“Due Date”も注目。

 ◇20世紀フォックス映画

 ・有力なのは、エドワード・ズウィックの“Love and Other Drugs”。

 ・『ウォール・ストリート』もあるけれど、公開日が微妙。

 ◇ディズニー

 ・『トイ・ストーリー3』と“Secretariat”。

 ◇ユニバーサル

 ・長編アニメーション賞狙いで『怪盗グルーの月泥棒』。

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 記事を読んでみると、この予想が、
 ①監督や出演者の過去の実績―過去にオスカーにからんだことのある人は、実力ありと見なされて、注目されやすく、実際にノミネートもされやすい。
 ②全米公開時期―配給会社が力を入れている作品は映画賞レースを見込んで、いいタイミングに公開する(というのが恒例になっている)。実際のところ、9月以前に全米公開された作品がオスカーにノミネートされる可能性は乏しい。
 という2つのポイントから立てられていることがわかります。

 しかしながら、昨年は、最有力作品を3本挙げていながら、2本は外しているわけで、現時点で最有力作品に挙げられている5作品も(『トイ・ストーリー3』を除けば)あっさり外してしまう可能性もあります。

 でも、ほかに有力作品も見つからないので、この5作品を当確と考えると、そのほかで有力なのは、とりあえず“The Social Network”と“Miral”あたりでしょうか。

 なお、この段階で、ビッグ10(作品賞ノミネート10作品)に挙がっていない作品としては、ロマン・ポランスキーの.“The Ghost Writer”、Nicole Holofcenerの“Please Give”、『ヒックとドラゴン』、『アイアンマン2』などがあります。

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 以下に、今後の全米映画賞レースのスケジュールを軽くおさらいしておきます。

 9月1日:米国アカデミー賞の長編ドキュメンタリー部門と短編部門のエントリー締め切り

 9月:ベネチア国際映画祭とトロント国際映画祭(およびテルライド映画祭)にて、2010年の映画賞レースの有力作品の大半がお披露目

 10月1日:米国アカデミー賞外国語映画賞のエントリー締め切り

 10月末:映画賞レースの先陣を切ってゴッサム・アワードのノミネーション発表(あと8週)

 12月上旬:ナショナル・ボード・オブ・レビュー発表(あと13週)

 12月上旬~1月上旬:映画批評家協会系映画賞、続々発表

 12月末:米国アカデミー賞各部門エントリー締め切り(あと17週半)

 2011年1月:組合系映画賞、続々発表

 1月25日:米国アカデミー賞2011ノミネーション発表(あと20週半)

 2月27日:米国アカデミー賞2011授賞式(あと25週半)

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 *参考記事
 ・MCN 2010年8月5日付 Big Picture Chart:http://moviecitynews.com/2010/08/best-picture-4/
 ・MCN “30 Weeks To Go Yeah… It’s Time To Start Thinking Oscar Again”:http://moviecitynews.com/2010/08/30-weeks-to-go-yeah-its-time-to-start-thinking-oscar-again/

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 *当ブログ記事
 ・2010年前半期全米ムービー・チャート TOP35!:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201007/article_9.html
 ・映画祭&映画賞カレンダー 2010年5月~2011年2月:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201005/article_23.html

 追記:
 ・第83回米国アカデミー賞 ノミネーション発表
http://umikarahajimaru.at.webry.info/201101/article_40.html

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