詳細!ベネチア国際映画祭2010 コンペティション部門 ラインナップ!

 第67回ベネチア国際映画祭のラインナップが発表になりました。(7月29日)

 コンペティション部門のラインナップは以下の通りです。

 ・“Balada Triste De Trompeta(A Sad Trumpet Ballad)”(西・仏) 監督:アレックス・デ・ラ・イグレシア
 ・“Happy Few”(仏) 監督:Antony Cordier
 ・“Potiche”(仏) 監督:フランソワ・オゾン
 ・“Venus Noire(Black Venus)”(仏) 監督:アブデラティフ・ケシシュ
 ・“Noi Credevamo(We Believed)”(伊・仏) 監督:マリオ・マルトーネ(Mario Martone)
 ・“La Passione”(伊) 監督:カルロ・マッツァクラティ(Carlo Mazzacurati)
 ・“La Pecora Nera(The Black Sheep)”(伊) 監督:Ascanio Celestini
 ・“La Solitudine Dei Numeri Primi(The Solitude of Prime Numbers)”(伊) 監督:Saverio Costanzo
 ・“Drei(Three)”(独) 監督:トム・ティクヴァ
 ・“Attenberg”(ギリシャ) 監督:Athina Rachel Tsangari
 ・“Ovsyanki (Silent Souls)”(ロシア) 監督:Aleksei Fedorchenko
 ・“Di Renjie Zhi Tongtian Diguo (Detective Dee And The Mystery Of Phantom Flame/狄仁杰之通天帝国)”(中) 監督:ツイ・ハーク
 ・『十三人の刺客』“Jûsan-Nin No Shikaku (13 Assassins)”(日・英) 監督:三池崇史
 ・『ノルウェイの森』“Noruwei No Mori (Norwegian Wood)”(日) 監督:トラン・アン・ユン
 ・“Barney's Version”(カナダ・伊) 監督:リチャード・J・ルイス
 ・“Black Swan”(米) 監督:ダーレン・アロノフスキー
 ・“Meek's Cutoff”(米) 監督:Kelly Reichardt
 ・“Miral”(米・仏・イスラエル) 監督:ジュリアン・シュナーベル
 ・“Promises Written In Water”(米) 監督:ヴィンセント・ギャロ
 ・“Road To Nowhere”(米) 監督:モンテ・ヘルマン
 ・“Somewhere”(米) 監督:ソフィア・コッポラ
 ・“Post Mortem”(チリ・メキシコ・独) 監督:パブロ・ラライン

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 ・“Balada Triste De Trompeta(A Sad Trumpet Ballad)”(西・仏) 監督:アレックス・デ・ラ・イグレシア
 出演:カルメン・マウラ、Carolina Bang、サンティアゴ・セグラ、アントニオ・デ・ラ・トーレ、フェルナンド・ギーエン・クエルボ(Fernando Guillen-Cuervo)
 物語:1937年のスペイン。サーカス団員たちは、国民戦線との戦いにおいて、共和国軍を支援するように命じられていた。道化師であるハヴィエルの父は、全身をコスチュームに身を包み、ナタを手に兵隊の隊列を蹴散らそうとする。ハヴィエルは、父を強制収容所から逃がそうとするが、失敗し、孤児になってしまう。
 1973年。ハヴィエルは大人になっていて、サーカスで道化師を務めている。サーカスにはもう1人の道化師セルヒオがいて、彼は凶暴で、仲間からも恐れられ、恋人ナタリアにも暴力を振るう。ハヴィエルがナタリアに恋してしまったことから、ハヴィエルとセルヒオは恋のライバルとなり、怒りと嫉妬の入り混じった争いを繰り広げることになる。
 [3大映画祭との関わり]:キャリア20年にして初めて。

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 ・“Happy Few”(仏) 監督:Antony Cordier
 出演:Marina Fois、エロディー・ブシェーズ、ロシュディー・ゼム、ニコラ・デュヴォシェル
 物語:2組のカップルが出会って、恋に落ち、混乱して、我を失う……。
 [3大映画祭との関わり]:初めて。
 Antony Cordierは、“Cold Showers”(2005)でルイ・デリュック賞新人賞受賞、セザール賞第1回作品賞ノミネート、台北電影奨ニュー・タレント・コンペティション グランプリ受賞。本作は、それ以来6年ぶりの新作。

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 ・“Potiche”(仏) 監督:フランソワ・オゾン
 出演:カトリーヌ・ドヌーヴ、ジェラール・ドパルデュー、ファブリス・ルキーニ、カリン・ヴィアール、ジュディット・ゴドレーシュ、ジェレミー・レニエ
 物語:1977年のプロヴァンス。スザンヌは、傘工場の社長ロベールと結婚して、何不自由ない生活を手に入れたつもりだったが、やがて夫が粗暴な人間だということがわかる。従業員には横暴だし、妻のことは戦利品としか思っておらず、当たり前のように愛人を作る。ところが、怒った従業員にストライキを起こされて、工場を閉め出され、さらに病の追い討ちに遭って、倒れてしまう。そんな夫に代わって、スザンヌが従業員の交渉に当たり、ストライキを終わらせて、引き続き、会社の運営に当たるが、彼女には、人心の掌握術や会社の運営能力があることがわかる。事態がようやく落ち着いた頃、病気から回復したロベールが戻ってきて、社長の座を奪還しようとする……。
 この作品はGAGAが買い付けたようです。
 [3大映画祭との関わり]:
 2000年 『焼け石に水』:ベルリン(テディ・ベア賞受賞)
 2002年 『8人の女たち』:ベルリン(Reader Jury of the "Berliner Morgenpost"受賞)
 2003年 『スイミング・プール』:カンヌ
 2004年 『ふたりの5つの分かれ路』:ベネチア
 2007年 『エンジェル』:ベルリン
 2009年 “Rickey”:ベルリン

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 ・“Venus Noire(Black Venus)”(仏) 監督:アブデラティフ・ケシシュ
 出演:Yahima Torres、オリヴィエ・グルメ、アンドレ・ジェイコブス
 物語:サールタイ・バートマン(1789-1815)の半生を描く。サールタイ・バートマンは、南アフリカのコイコイ人で、身体的特徴から、イギリス本国に連れられて、見世物にされた。彼女はホッテントット・ヴィーナスと呼ばれて、人気を博し、ヨーロッパ各地を巡回したが、いつしか自由になる日を夢見ていた……。(死後、フランスの博物館に脳と性器が展示されていたが、ネルソン・マンデラ大統領時代に返還が要求され、2002年に返還され、埋葬された。)
 [3大映画祭との関わり]:“Poetical Refugee”(2000)でベネチア国際映画祭(非コンペ) Luigi De Laurentiis Award&'CinemAvvenire' Award受賞。『クスクス粒の秘密』(2007)でベネチア国際映画祭コンペティション部門出品、審査員特別賞&国際批評家連盟賞&SIGNIS Award - Honorable Mention&Young Cinema Award受賞。

 ・“Noi Credevamo(We Believed)”(伊・仏) 監督:マリオ・マルトーネ(Mario Martone)
 出演:ルイジ・ロ・カーショ、Valerio Binasco、トニ・セルヴィッロ、ルカ・ジンガレッティ、ミケーレ・リオンディーノ、フランチェスカ・イナウディ、アンナ・ボナイウート
 物語:イタリア統一運動時代の物語。1848年の蜂起と、続く“統一”が幻滅に終わるまでを描く。
 Anna Bantiの同名小説からいくつかのエピソードと登場人物を抜き出して映画化したもの。
 [3大映画祭との関わり]:“Morte di un matematico napoletano”(1992)でベネチア国際映画祭審査員特別賞受賞。“Miracoli, storie per corti”(1994)でベネチア国際映画祭(非コンペ)FEDIC Award - Special Mention受賞。“The Vesuvians”(1997)をベネチア国際映画祭コンペティション部門出品。“Nasty Love”(1995)をカンヌ国際映画祭コンペティション部門出品。

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 ・“La Passione”(伊) 監督:カルロ・マッツァクラティ(Carlo Mazzacurati)
 出演:シルヴィオ・オルランド、ジュゼッペ・バティストン、Corrado Guzzanti、クリスティーナ・カポトンディ、ステファニア・サンドレッリ、カシア・スムートニアック
 物語:ジャンニ(シルヴィオ・オルランド)は、かつては期待の俊英監督と言われたが、これといった実績も残せないまま、今はもう50歳になっている。今度の映画がラスト・チャンスだとわかっているから、精一杯張り切るが、バカげた要求を飲まされたり、理不尽な妥協をさせられたり、あるいは、トスカーナに建てている家に問題が起こったりで、心の休まる暇はなく、映画は思い通りの方向にはまるで進まない……。
 [3大映画祭との関わり]:ベネチア国際映画祭のコンペ部門にはこれが4度目の出品。“Il toro”(1994)(銀獅子賞受賞)、“Vesna va veloce ”(1996)、『聖アントニオと盗人たち』(2000)。1999年には非コンペで“Ritratti: Mario Rigoni Stern”を出品し、Children and Cinema Award - Special Mentionを受賞。

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 ・“La Pecora Nera(The Black Sheep)”(伊) 監督:Ascanio Celestini
 出演:Ascanio Celestini、ジョルジョ・ティラバッシ、マヤ・サンサ
 物語:精神病院を舞台にした物語で、企画もキャストも何年も前からされていたようです。
 [3大映画祭との関わり]:初めて。
 Ascanio Celestiniには、ドキュメンタリー作品が1本あるだけで、フィクション作品はこれが初めて。

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 ・“La Solitudine Dei Numeri Primi(The Solitude of Prime Numbers)”(伊) 監督:Saverio Costanzo
 出演:アルバ・ロルヴァケル、Luca Marinelli、フィリッポ・ティーミ、イザベラ・ロッセリーニ、マウリツィオ・ドナドーニ
 物語:アリーチェとマッティアの長い歳月にわたる物語。アリーチェは、7歳の頃に、父親に無理やりスキー学校に行かされて、ケガをする。そのおかげで、びっこを引くことになるが、それを笑われることがショックで、拒食症に陥ってしまう。マッティアは、クラスメイトの誕生会に行くのに、妹を公園に置き去りにして、妹を行方不明にしてしまい、それが深い心の傷になる。そんなアリーチェとマッティアは出会って、自然と惹かれあうようになる。しかし、年が過ぎ、アリーチェは、母の入院をきっかけに知り合った医師と結婚し、一方、マッティアは数学の才能を生かすべくスカンジナビアに向かう。いったんは別れ別れになった2人だが、運命の糸は、また再び彼らを結びつけることになる……。
 パオロ・ジェルダーノ『素数たちの孤独』の映画化。
 [3大映画祭との関わり]:“In Memory of Me”(2007)をベルリン国際映画祭コンペティション部門出品。それ以前には、2004年にロカルノ国際映画祭で長編デビュー作“Private”で金豹賞を受賞。長編監督作品としては本作が3本目。

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 ・“Drei(Three)”(独) 監督:トム・ティクヴァ
 出演:ゾフィー・ロイス、セバスティアン・シッパー(Sebastian Schipper)、デーヴィト・シュトリーゾフ(Devid Striesow)
 物語:現代のベルリン。40前後のカップルが、それぞれ別々に、同じ男性に恋に落ちてしまう……。
 [3大映画祭との関わり]:1998年にベネチアに『ラン・ローラ・ラン』を出品。2002年にベルリンに『ヘヴン』を出品。2004年にベルリンの短編コンペティション部門に『パリ、ジュテーム』の元になった短編“True”を出品。

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 ・“Attenberg”(ギリシャ) 監督:Athina Rachel Tsangari
 出演:Ariane Labed、Vangelis Mourikis、Evangelia Randou、Yorgos Lanthimos
 物語:1組の少女と、2台のスクーターと、1台のボルボと、1人の父親と、テーブルサッカーと、デイヴィッド・アッテンボローと、アラン・ヴェガと、自殺と、そして町にやってきた黒人の物語。
 [3大映画祭との関わり]:初めて。
 監督のAthina Rachel Tsangariは、これが卒業制作以来10年ぶり第二長編で、ギリシャではプロデューサーとしても活躍していて、昨年のカンヌである視点賞を受賞した“Dogteeth”でアソシエイト・プロデューサーを務めています。同作品の監督Yorgos Lanthimosは、本作に俳優として出演しています。この10年間は、アメリカのオースティンで後進の指導に当たったり、映画祭の運営をしたり、その後、ギリシャに帰って、アテネ・オリンピック(2004)や新アクロポリス・ミュージアム(2009)のオープニング・セレモニーの演出をしたりしていたと伝えられています。

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 ・“Ovsyanki (Silent Souls)”(ロシア) 監督:Aleksei Fedorchenko
 出演:イゴール・セルゲーエフ(Igor Sergeyev)、ユーリ・ツリロ(Yuriy Tsurilo)、Yuliya Aug、ヴィクトル・スホルコフ(Victor Sukhorukov)
 物語:男とその友人たちが、男の愛する妻の遺体を火葬にするために旅をする。その途上、2人が新婚旅行で訪れた思い出の川辺に立ち寄ることになる……。
 原作は、Denis Osokinの短編。
 撮影は、『父、帰る』などのアンドレイ・ズビャギンツェフ作品で知られるミハイル・クリチマン。
 [3大映画祭との関わり]:初めて。“Pervye na Lune”(2005)でベネチア国際映画祭Venice Horizons Documentary Award受賞(非コンペ部門)。
 監督のAleksei Fedorchenkoは、これが第二長編。

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 ・“Di Renjie Zhi Tongtian Diguo (Detective Dee And The Mystery Of Phantom Flame/狄仁杰之通天帝国)”(中) 監督:ツイ・ハーク
 出演:アンディ・ラウ、カリーナ・ラウ、トニー・レオン
 物語:女帝の戴冠式を遅らせるような怪死事件が相次ぎ、一度は追放された探偵が事件解決のために呼び戻される。
 [3大映画祭との関わり]:コンペ部門参加は初めて。『ドリフト』(2000)でベネチア国際映画祭(非コンペ)Future Film Festival Digital Award受賞。『セブンソード』が2005年のベネチア国際映画祭のオープニング作品に選ばれています。

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 ・『十三人の刺客』“Jûsan-Nin No Shikaku (13 Assassins)”(日・英) 監督:三池崇史
 出演:役所広司、山田孝之、伊勢谷友介、稲垣吾郎
 [3大映画祭との関わり]:2007年に『スキヤキ・ウエスタン ジャンゴ』をベネチア国際映画祭コンペティション部門出品。

 ・『ノルウェイの森』“Noruwei No Mori (Norwegian Wood)”(日) 監督:トラン・アン・ユン
 出演:松山ケンイチ、菊地凛子、高良健吾、霧島零香
 [3大映画祭との関わり]:『青いパパイヤの香り』(1993)をカンヌ国際映画祭コンペティション部門出品、Award of the Youth受賞。『シクロ』(1995)をベネチア国際映画祭コンペティション部門出品、金獅子賞受賞。

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 ・“Barney's Version”(カナダ・伊) 監督:リチャード・J・ルイス
 出演:ポール・ジアマッティ、ダスティン・ホフマン、ロザムンド・パイク、ミニー・ドライヴァー
 モルデカイ・リチラー(Mordecai Richler)のコミック・ノヴェルの映画化。
 物語:バーニー・パノフスキーは、至って普通に見えるが、普通ではない人生を送ってきた男で、彼の40年の歳月、2大陸で、3人の妻や、風変わりの父親、遊び人の親友と過ごしてきた人生が語られる。
 [3大映画祭との関わり]:初めて。
 リチャード・J・ルイスは、長編映画の監督は初めてではないものの、これまではほとんどテレビを中心に活躍。

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 ・“Black Swan”(米) 監督:ダーレン・アロノフスキー
 出演:ナタリー・ポートマン、ウィノナ・ライダー、ヴァンサン・カッセル、バーバラ・ハーシー、ミラ・クニス
 物語:ニーナ(ナタリー・ポートマン)は、ニューヨーク・シティ・バレエ・カンパニーのバレリーナで、自らもバレリーナであった母(バーバラ・ハーシー)の管理の下に日々レッスンを積んでいた。芸術監督のトマ(ヴァンサン・カッセル)は、新シーズンのオープニングのプリマをベス(ウィノナ・ライダー)から別のダンサーに替えようと考えていて、その第一候補がニーナだった。しかし、彼女にはライバルがいた。「白鳥の湖」には、無垢と優雅さを持つ白鳥と、狡猾さと色気を持つ黒鳥とを演じる資質が求められた。ニーナに似つかわしいのは白鳥の方だったが、ライバル争いを繰り広げるうち、彼女の中にダークな部分が芽生えてくるのだった……。
 [3大映画祭との関わり]:ダーレン・アロノフスキーは、2006年に『ファウンテン 永遠につづく愛』でベネチア国際映画祭コンペ部門に参加。2008年に『レスラー』でベネチア国際映画祭金獅子賞を受賞。

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 ・“Meek's Cutoff”(米) 監督:Kelly Reichardt
 出演:ミシェル・ウィリアムズ、ブルース・グリーンウッド、ウィル・パットン、ゾーイ・カザン、ポール・ダノ、シャーリー・ヘンダーソン
 物語:1845年のオレゴン山道。3家族を乗せた幌馬車がカスケード山脈を通って、先へと道を進んでいる……。
 [3大映画祭との関わり]:初めて。
 Kelly Reichardtは、“Wendy & Lucy”(2008)をカンヌ国際映画祭ある視点部門に出品。これが第三長編。

 ・“Miral”(米・仏・イスラエル) 監督:ジュリアン・シュナーベル
 出演:フリーダ・ピント、ヒアム・アッバス、ウィレム・デフォー、ヤスミン・アル=マスリー(Yasmine Al Masri)、ヴァネッサ・レッドグレーブ
 物語:1948年のエルサレム。Hind Husseiniは、路上で55人の孤児を見つけて、家に連れ帰り、食べ物とねぐらを与える。6ヶ月後、最初の55人は2000人近くまでふくれあがっている。ミラルは、7歳の時に母を失い、父にHind Husseiniのところに行くように言われる。彼女は、そのままそこで育ち、17歳になった時、難民キャンプで先生をするように求められる。ミラルは、ナイーブな少女だったが、その時になってやっと自分たちが置かれている状況がどういうものなのかを理解する。そして、自分たちの未来のために戦うことと、平和への道は教育にありと考えるママHindの考え方のギャップに引き裂かれそうになるのだった。
 [3大映画祭との関わり]:ベネチアのコンペ部門には、1996年『バスキア』出品、2000年『夜になるまえに』(審査員特別賞、OCIC Award - Honorable Mention受賞)。カンヌのコンペ部門には2007年に『潜水服は蝶の夢を見る』を出品(監督賞&技術賞(撮影監督 ヤヌス・カミンスキーに対して)受賞)。

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 ・“Promises Written In Water”(米) 監督:ヴィンセント・ギャロ
 出演:ヴィンセント・ギャロ、デルフィーヌ・バフォー(Delfine Bafort)、セイジ・スタローン(Sage Stallone)、Lisa Love
 物語:美しい少女が病で死に瀕している。彼女は、耐えられなくなるまでは、手当てをしてもらうことはもちろん、病院にも行くこともしない。彼女の恐れることは、彼女が死んだ後に体に起こる変化のことで、彼女は火葬を望み、あるカメラマンにその手配を頼む。カメラマンはそれを了承し、その準備を行なう。
 ヴィンセント・ギャロがすべて自己資金で製作したという7年ぶりの新作。
 [3大映画祭との関わり]:カンヌ国際映画祭コンペティション部門に『ブラウン・バニー』(2003)を出品。

 ・“Road To Nowhere”(米) 監督:モンテ・ヘルマン
 出演:シャニン・ソサモン(Shannyn Sossamon)、ドミニク・スウェイン(Dominique Swain)、ジョン・ディール(John Diehl)、ファビオ・テスティ(Fabio Testi)
 物語:若き映画作家が、ロケで撮影している時に、ある犯罪に巻き込まれる。
 [3大映画祭との関わり]:コンペ部門は初参加。『イグアナ/愛と野望の果て』(1989)でベネチア国際映画祭(非コンペ) Filmcritica "Bastone Bianco" Award - Special Mention受賞。

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 ・“Somewhere”(米) 監督:ソフィア・コッポラ
 出演:スティーヴン・ドーフ、エル・ファニング、ベニチオ・デル・トロ、ミシェル・モナハン、ラウラ・キアッティ(Laura Chiatti)、シモナ・ヴェントゥーラ(Simona Ventura)
 物語:ジョニー・マルコ(スティーヴン・ドーフ)は、俳優で、ハリウッドでは随分とやんちゃなこともしてきたが、いきなり、娘だという11歳の少女(エル・ファニング)の訪問を受けて、衝撃を味わう……。
 [3大映画祭との関わり]:2003年に『ロスト・イン・トランスレーション』でベネチア国際映画祭(非コンペ) Lina Mangiacapre Award 受賞。2006年に『マリー・アントワネット』でカンヌ国際映画祭コンペティション部門出品、Cinema Prize of the French National Education System受賞。

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 ・“Post Mortem”(チリ・メキシコ・独) 監督:パブロ・ラライン
 出演:アルフレド・カストロ(Alfredo Castro)、Antonia Zegers
 物語:1973年のチリのクーデターの真っ只中。55歳のマリオは、モルグで検死報告書を書きながら、隣人であったキャバレーのダンサー、ナンシーのことを考えている。隣人の家は、コミュニストで、アジェンデ政権の支持者だったので、真っ先に狙われたのだった。彼自身は、体制がどうなろうと、死体の山が築かれていこうと、ただ検死報告書を書き続けていくだけ。しかし、ナンシーのことだけは気にかかるのだった。そんな彼に、軍病院に来て、特別な検死報告書を書くよう、命令が下る。
 [3大映画祭との関わり]:初めて。
 パブロ・ララインは、これが第三長編。

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 フランス映画が3本、イタリア映画が4本、アメリカ映画が6本と、これら3カ国の映画だけで、全体の65%を占めています。

 地元イタリアの映画が多いのは、以前からですが、マルコ・ミュラーが芸術監督に就いてからは、米国アカデミー賞をも視野に入れた作品を積極的に取り込もう(そのことで話題性を高め、映画祭を盛り上げよう)という意図があからさまで、アンバランスなまでにアメリカ映画がエントリーされることになっています。

 イギリスや中東、東南アジア、韓国、オセアニア、アフリカからは1本も選ばれておらず、チリを除けば、新たな映画のムーブメントが起こっているような国々からも1本も選ばれませんでした。

 事前に下馬評に挙がっていた名前には、いろいろありましたが、
 ベン・アフレックとジュリー・テイモアは、アウト・オブ・コンペティション部門で上映されることになり、
 マイク・ミルズ、ローワン・ジョフィー、トニー・ゴールドウィン、ジョン・マッデン、ライアン・フレック&アンナ・ボーデン、ナイジェル・コール、ジョン・キャメロン・ミッチェル、スザンネ・ビアー、ブルース・ロビンソンなどは、作品は完成したものの、上映作品には選ばれず、
 ピーター・ミュラン、アウグスティン・ビラロンガ、ラウル・ルイス、河瀬直美は、サンセバスチャン国際映画祭に流れ、
 ダニー・ボイル、ジョディー・フォスター、ケヴィン・マクドナルド、デイヴィッド・O・ラッセル、ウォン・カーウァイ、エドワード・ズウィック、ガス・ヴァン・サント、テレンス・マリック、ジョエル&イーサン・コーエン、タル・ベーラ、ピーター・ウィアー、ダスティン・ランス・ブラックなどは、どうやら間に合わなかったようです。

 少なくともあと1本は追加上映するということが発表されているので、この中からどれかが滑り込む可能性も考えられます。

 監督の3大映画祭との関わりで見てみると――

 ・金獅子賞受賞経験者は、トラン・アン・ユンとダーレン・アロノフスキーの2人のみで、銀獅子賞受賞経験者は、カルロ・マッツァクラティのみ。金熊賞やパルムドールの受賞経験者は1人もいません。そういう点ではちょっと物足りない顔ぶれです。

 ・3大映画祭のコンペ部門初参加が10人もいて、これは例年よりも多い。

 ・アレックス・デ・ラ・イグレシア、ツイ・ハーク、モンテ・ヘルマンは、ベテランなわりには、3大映画祭のコンペ部門初参加ですが、これは、ひょっとすると昨年のジョージ・A・ロメロや塚本晋也と同じようなポジションでのエントリー(金獅子賞を争わせるためのエントリーというより、ここにエントリーさせることそれ自体に意味がある)なのかもしれません。

 ・新人監督こそいませんが、これが第二長編だという監督が4人(Antony Cordier、Ascanio Celestini、Athina Rachel Tsangari、Aleksei Fedorchenko)、これが第三長編だという監督が3人(Saverio Costanzo、Kelly Reichardt、パブロ・ラライン)います。
 このうち、少なくとも、Antony Cordier、Saverio Costanzo、Kelly Reichardt、パブロ・ララインの4人は、期待の俊英と見なしてよいようです。

 人気監督の名前がちらほら散見されるので、一見わりと魅力的なラインナップにも見えますが、こうしてみると、案外、作品集めには苦労した、ということになるのかもしれません。(ま、例年、こんなものだと言えば、確かにこんなもの、なのですが。)

 内容的には、特にこれといった傾向性は見られませんが――
 ・映画や舞台などをモチーフとした作品
 ・(モチーフはバラバラながら)さまざまに生と死を見つめた作品
 ・激動の時代を生きる人々を描いた作品
 ・さまざまな恋の形とパートナーのヴァリエーションを描いた作品
 というようなタイプに分けられるようです。

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 多少とも気になるのは、やはり受賞の行方ですが、それには審査員の顔ぶれが大いに関わってきます。今年の審査員は、クエンティン・タランティーノ(審査員長)、ギレルモ・アリアガ、インゲボルカ・タブコウナイテ、アルノー・デブレシャン、ダニー・エルフマン、ルカ・グァダニーノ、ガブリエーレ・サルバトレス、です。

 評論家や研究者、文化人が1人も混じっていないこと(つまり直接映画制作に関わっている制作サイドの人間のみだということ)と、クエンティン・タランティーノが審査員長を務めるということが、今回のポイントでしょうか。

 通例だと、ジャンル映画はコンペティションにエントリーされても受賞はないということになっていますが、タランティーノだとあえてジャンル映画を選ぶということもあり得ますから油断がなりません。

 参考になるのは、タランティーノが審査員長を務めた2004年のカンヌで、ここでは、『華氏911』をパルムドールに、『オールド・ボーイ』をグランプリに、トニー・ガトリフ(『愛よりも強い旅』)を監督賞に選んでいます。
 他のエントリー作品には、『2046』『クリーン』『みんな誰かの愛しい人』『誰も知らない』『モーターサイクル・ダイアリーズ』『ベルリン、僕らの革命』『イノセンス』『愛の果てへの旅』『モンドヴィーノ』『トロピカル・マラディ』『レディ・キラーズ』『ライフ・イズ・コメディ!』『女は男の未来だ』『ライフ・イズ・ミラクル』“La Niña Santa”が並び、この年は稀に見る“豊作”の年になっていました。

 『モーターサイクル・ダイアリーズ』や『ベルリン、僕らの革命』だってエポック・メイキングな作品だったし、『ライフ・イズ・ミラクル』がパルムドールだってよかったはずですが、それらを差し置いて『華氏911』や『オールド・ボーイ』を選んだところに、少なからずタランティーノの意志のようなものが感じられます。

 タランティーノの好きなジャンルで言えば、ツイ・ハークや三池崇史(あんたも好きねえと思えるような作品)で、ここらへんが判断に迷うところですが、ファンタスティック映画祭ならともかく、やっぱりこれらはベネチアで賞を与えるものでもないのではないかというのが私の予想です。(三池版『十三人の刺客』は、時代劇版『クローズZERO』であり『スキヤキ・ウエスタン ジャンゴ』なのではないか、と私は想像しています。)

 ということを踏まえて、各部門の予想をしてみると――

 金獅子賞
 ・“Venus Noire(Black Venus)”
 ・“Miral”

 監督賞
 ・アブデラティフ・ケシシュ
 ・Aleksei Fedorchenko
 ・ジュリアン・シュナーベル
 ・パブロ・ラライン

 男優賞(これという本命がいません)
 ・イゴール・セルゲーエフ(“Ovsyanki (Silent Souls)”)
 ・アルフレド・カストロ(“Post Mortem”)

 女優賞
 ・Yahima Torres(“Venus Noire(Black Venus)”)
 ・アルバ・ロルヴァケル(“La Solitudine Dei Numeri Primi(The Solitude of Prime Numbers)”)
 ・ナタリー・ポートマン(“Black Swan”)
 ・ヒアム・アッバス(“Miral”)

 トラン・アン・ユンは、よくて監督賞、順当なところで審査員特別賞というところでしょうか。

 追加されることになる1本によって、また受賞結果も変わってきますが、内容不詳作品がいろいろある中で、現時点での予想はざっとこんなところになります。

 タランティーノらしい変化球があるとすれば何なのか、ということも考えてみましたが、ちょっと思いつきませんでした。

 あと、ライト・コメディーっぽいものには賞は行かない、審査員の中にイタリア人が2人もいるのでイタリア映画になんらかの賞は贈られるのではないか、ということはあるかもしれません。

 なお、ちょっと意地悪なことをつけくわえておくと――
 ・タランティーノが審査員長を務めた2004年のカンヌの審査員仲間にはツイ・ハークがいる。
 ・デプレシャンは、これまでカンヌのコンペに4回出品して無冠だが、それぞれの年の審査員には、ジャラール・ドパルデュー(92年)、トラン・アン・ユン(96年)、マリオ・マルトーネ(00年)、ナタリー・ポートマン(08年)がいる。
 ま、これらが審査にどう働くかはわからないのですが。

 そのほかの部門のラインナップについては、後日、改めて記事にしたいと思います。

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 *当ブログ記事
 ・ベネチア国際映画祭2010 コンペティション部門以外 ラインナップ その1:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201007/article_30.html
 ・ベネチア国際映画祭2010 コンペティション部門以外 ラインナップ その2:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201008/article_1.html
 ・ベネチア国際映画祭2010 追加上映作品:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201008/article_4.html
 ・ベネチア国際映画祭2010 受賞結果発表:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201009/article_21.html
 ・映画祭&映画賞カレンダー 2010年5月~2011年2月:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201005/article_23.html

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