ヨーロッパ短編アニメーション ベストワン! カトゥーン・ドール2010 ノミネーション発表!

 ヨーロッパの短編アニメーションのベストワンを決めるカトゥーン・ドール(Cartoon D’or)のノミネーションが発表になりました。(7月12日)

 カトゥーン・ドールというのは、孤独な作業を続ける短編アニメーション作家たちと、彼らとは無関係に展開を繰り広げるアニメーション産業とを結びつける目的で1991年に設立されたもので、毎年、ヨーロッパ各国の持ち回りで開催されるカトゥーン・フォーラム(Cartoon Forum:製作者、バイヤー、ジャーナリスト、投資家など、ヨーロッパのアニメーション関係者たちの集い)で授賞式が行なわれます。

 ノミネーション候補は、アヌシーなど、カトゥーン・ドールとパートナーとなっている15の映画祭の受賞作から選ばれ、その中から5作品がノミネーション作品として選出されます。

 本年度のノミネーション候補は、29作品あり、審査員である3人のアニメーション作家ジョアンナ・クイン(英)、Valérie Schermann (仏)、Géza M. Tóth (ハンガリー)によって、5作品に絞り込まれました。

 第20回を迎える本年度のカトゥーン・ドールの発表は、2010年9月17日に、ハンガリーのショプロンで開催されるマジャール・カトゥーン・フォーラムで行なわれ、カトゥーン・ドール受賞者には、トロフィーとともに、賞金10000ユーロが贈られることになっています。

 ◆カトゥーン・ドール2010 ノミネート5作品

 ・“A Family Portrait”(英) 監督:Joseph Pierce
 物語:単なる家族写真の撮影のはずが、その裏には嫉妬と疑念が渦巻いていて、思いも寄らない事態に至る……。
 ザグレブ国際アニメーションフェスティバル2010 コンペティション部門出品。
 アヌシー国際アニメーションフェスティバル2010 アウト・オブ・コンペティション部門出品。

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 ・“Logorama”(仏) 監督:H5 (François Alaux、Hervé de Crécy、Ludovic Houplain)
 カンヌ国際映画祭2009 批評家週間 コダック短編賞(Kodak Discovery Award for Best Short Film)受賞。
 米国アカデミー賞2010短編アニメーション賞受賞。
 クラクフ映画祭2010 短編アニメーション部門 ドン・キホーテ賞受賞。
 ザグレブ国際アニメーションフェスティバル2010 スペシャル・メンション受賞。
 アヌシー国際アニメーションフェスティバル2010 コンペティション部門出品。
 *当ブログ記事:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201003/article_19.html

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 ・『リトル・パペット・ボーイのお話』“Saga nom lille Dockpojken(The Tale of Little puppetboy)”(スウェーデン) 監督:ヨハネス・ナイホルム(Johannes Nyholm)
 物語:パペットボーイはガールフレンドを家に迎えるのに懸命で、滝のような粘土の汗を流している。彼女がやってくれば、やってきたで、彼はさらにパニックに陥る。
 ザグレブ国際アニメーションフェスティバル2010 スペシャル・メンション受賞。
 アヌシー国際アニメーションフェスティバル2010 アウト・オブ・コンペティション部門出品。
 この作品は、イメージフォーラム・フェスティバル2010で上映されました。

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 ・“Sinna Mann(Angry Man)”(ノルウェー) 監督:Anita Killi
 物語:そのまま秘密にしておいた方がいいと思われる秘密についての物語。
 アヌシー国際アニメーションフェスティバル2010 審査員特別賞&観客賞&ユニセフ賞受賞。

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 ・『クロコダイル』“Krokodill(Crocodile)”(エストニア) 監督:カスパル・ヤンシス(Kaspar Jancis)
 物語:主人公は、元オペラ歌手で、人気もあり、数々の受賞歴もあったが、声が出なくなり、ワニの気ぐるみを着て、ショッピング・センターで子供の相手をするハメになってしまう。そうした運命と子供たちの仕打ちに嫌気が刺し、どんどんフラストレーションがたまっていくが、ある日、ある女性と運命的な出会いをする……。
 ザグレブ国際アニメーションフェスティバル2010 パノラマ部門出品。
 アヌシー国際アニメーションフェスティバル2010 短編コンペティション部門出品。
 この作品は、ラピュタアニメーションフェスティバル2010で上映されました。

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 ◆惜しくもノミネーションに漏れた24作品

 ・『まいごのペンギン』“Lost and found”(英) 監督:フィリップ・ハント(Philip Hunt)
  ザグレブ国際アニメーションフェスティバル2010 児童映画コンペティション 最優秀作品賞受賞。
  ズリーン国際映画祭2010 子供向けアニメーション部門グランプリ受賞。
 ・“Photograph of Jesus”(英) 監督:Laurie Hill
 ・“Rabbit Punch”(英) 監督:Kristian Andrews
 ・“Granny O'Grimm's Sleeping Beauty”(アイルランド) 監督:Nicky Phelan
  米国アカデミー賞2010 短編アニメーション賞ノミネート。
 ・“Mi vida en tus manos”(ポルトガル) 監督:Nuno Beato
 ・“Alma”(西) 監督:Rodrigo Blaas
 ・“The Lady and the Reaper (La Dama y la Muerte)”(西) 監督:Javier Recio Gracia
  米国アカデミー賞2010 短編アニメーション賞ノミネート。
 ・“French Roast”(仏) 監督:Fabrice O. Joubert
  米国アカデミー賞2010 短編アニメーション賞ノミネート。
 ・“Je criais contre la vie. Ou pour elle”(仏) 監督:Vergine Keaton
 ・“Jean-François”(仏) 監督:Tom Haugomat & Bruno Mangyoku
  アヌシー国際アニメーションフェスティバル2010 第一回作品賞受賞。
 ・『燃えよプチ・ドラゴン』“Le petit dragon”(仏) 監督:Bruno Collet
  シッチェス・カタロニア国際ファンタスティック映画祭2009 短編アニメーション賞受賞。
 ・“Les escargots de Joseph”(仏) 監督:Sophie Roze
 ・“Grise mine”(ベルギー) 監督:Rémi Vandenitte
 ・“Je te pardonne(I Forgive You)”(ベルギー) 監督:Pierre Mousquet & Jérôme Cauwe
  アヌシー国際アニメーションフェスティバル2010 CANAL+賞受賞。
 ・“Red-end and the Seemingly Symbiotic Society”(オランダ) 監督:Robin Noorda & Bethany de Forest
 ・“Il re dell'isola”(伊) 監督:Raimondo Della Calce
 ・“Recordare”(伊) 監督:Leonardo Carrano & Alessandro Pierattini
 ・“Videogioco”(伊) 監督:Donato Sansone
 ・“Chicken wings”(独) 監督:Pauline Kortmann
 ・“Love & Theft”(独) 監督:Andreas Hykade
  ザグレブ国際アニメーションフェスティバル2010 スペシャル・メンション受賞。
  アヌシー国際アニメーションフェスティバル2010 オリジナル音楽賞受賞。
 ・“Dog's Story”(チェコ) 監督:ブジェチスラフ・ポヤル(Bretislav Pojar)
 ・“My Way(Moj put)”(クロアチア) 監督:Svjetlan Junakovic & Veljko Popovic
  ザグレブ国際アニメーションフェスティバル2010 Premium Catoon East受賞。
 ・“Miss Remarkable & Her Career(Fröken Märkvärdig & Karriären)”(スウェーデン) 監督:Joanna Rubin Dranger
  アヌシー国際アニメーションフェスティバル2010 国際批評家連盟賞受賞。
 ・『雨の中のダイバー』“Divers in the Rain(Tuukrid vihmas)”(エストニア) 監督:オルガ・パルン&プリート・パルン(Olga Parn & Priit Parn)
  ザグレブ国際アニメーションフェスティバル2010 グランプリ受賞。

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 ◆過去の受賞作品

 1991年 『快適な生活』“Creature Comforts”(英) 監督:ニック・パーク
 1992年 “Manipulation”(英) 監督:Daniel Greaves
 1993年 『ヴィレッジ』“The Village”(英) 監督:マーク・ベイカー(Mark Baker)
 1994年 『ペンギンに気をつけろ!』“The Wrong Trousers”(英) 監督:ニック・パーク
  “Os Salteadores”(ポルトガル) 監督:Abi Feijo スペシャル・メンション
 1995年 『お坊さんとさかな』“Le Moine et le Poisson”(オランダ) 監督:マイケル・デュドク・ドゥ・ヴィット
 1996年 “Quest”(独) 監督:Tyron Montgomery
 1997年 『老婦人とハト』“La Vieille Dame et les Pigeons”(仏) 監督:シルヴァン・ショメ(Sylvain Chomet)
 1998年 “L'Enfant au Grelot”(仏) 監督:Jacques-Rémy Girerd
 1999年 “Migrations”(仏) 監督:Constantin Chamski
 2000年 “A Suspeita (The Suspect)”(ポルトガル) 監督:José Miguel Ribeiro
 2001年 『岸辺のふたり』“Father and Daughter”(オランダ・英) 監督:マイケル・デュドク・ドゥ・ヴィット
 2002年 “Home Road Movies”(英) 監督:Robert Bradbrook
 2003年 “Sans Queue, Ni Tête”(仏) 監督:Sandra Desmazières
 2004年 “Fast Film”(独・ルクセンブルク) 監督:Virgil Widrich
 2005年 “Jojo in the Stars”(英) 監督:Marc Craste
 2006年 “Dreams and Desires - Family Ties”(英) 監督:ジョアンナ・クイン(Joanna Quinn)
 2007年 “The Pearce Sisters”(英) 監督:Luis Cook
 2008年 “A Mouse’s Tale”(仏) 監督:Benjamin Renner
 2009年 “Please Say Something”(独・アイルランド) 監督:デイヴィッド・オライリー(David O’Reilly)

 その年を代表する短編アニメーションといえば、まず、米国アカデミー賞短編アニメーション賞受賞作品か、アヌシー国際アニメーションフェスティバルの短編部門のグランプリ受賞作品が思い浮かびますが、カトゥーン・ドールの過去の受賞作を見ると、概して、知らない監督の知らない作品ばかりで、ちょっと地味だなという印象を受けます。

 ニック・パークやシルヴァン・ショメ、マイケル・デュトク・ドゥ・ヴィットなども、ちゃんと選ばれているといえば選ばれていますし、アヌシー等の結果を踏まえつつ、あえてこの作品を選んだ、ということもあるのでしょうが、もっとほかに別の作品があったんじゃないかという年もあるような気もします。

 この賞自体、ヨーロッパのアニメーション産業振興のために行なっているものなので、ヨーロッパ諸国の作品に限定されるのは仕方がありませんが、対象の中に、アニメーション大国たるカナダやアメリカ、日本を含むアジア諸国、そしてロシアが、含まれていないということは、やはり賞や作品のヴァリエーションを狭くしているような気がして仕方がありません。

 ま、それもこれも言わずもがなのことなんですが……。

 受賞作品にイギリス作品が多いのはちょっと示唆的で、アニメーション作家とアニメーション産業が幸福な共存をしている(ように見える)イギリスならでは、でしょうか。

 本年度のノミネーション作品に関しては、いまさら“Logorama”に賞をあげなくてもいいんじゃないかという気もし、でも、2010年を代表する短編アニメーションと言えばやはり“Logorama”であり、アニメーション産業が掬い上げるべき有能なフィルムメーカーに賞を贈るのがこの賞の目的だと言われれば、やっぱり“Logorama”の受賞が順当、という気もしてしまいます。
 さて、どういう結果になるでしょうか。

 *カトゥーン・ドール公式サイト(英語):http://www.cartoon-media.be/OR/index.php

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 *当ブログ記事
 ・アヌシー国際アニメーションフェスティバル2010 オフィシャル・セレクション:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201005/article_24.html
 ・アヌシー国際アニメーションフェスティバル2010 オフィシャル・セレクション以外のラインナップ その1:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201005/article_26.html
 ・アヌシー国際アニメーションフェスティバル2010 オフィシャル・セレクション以外のラインナップ その2:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201005/article_27.html
 ・アヌシー国際アニメーションフェスティバル2010 受賞結果発表:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201006/article_13.html
 ・ザグレブ国際アニメーションフェスティバル2010ラインナップ:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201005/article_18.html
 ・ザグレブ国際アニメーションフェスティバル2010:受賞結果発表:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201006/article_5.html
 ・ズリーン国際映画祭2010 ラインナップ:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201005/article_28.html
 ・ズリーン国際映画祭2010 受賞結果発表:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201006/article_10.html
 ・オーバーハウゼン国際短編映画祭2010 受賞結果発表:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201005/article_12.html
 ・クラクフ映画祭2010 受賞結果発表:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201006/article_8.html

 ・映画祭&映画賞カレンダー 2010年5月~2011年2月:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201005/article_23.html

 ・アヌシー国際アニメーションフェスティバル グランプリ リスト 1960-2007:http://umikarahajimaru.at.webry.info/200703/article_22.html
 ・米国アカデミー賞短編アニメーション賞 リスト 1970-2007:http://umikarahajimaru.at.webry.info/200701/article_11.html

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