グランプリの名称は「金のスリッパ賞」! ズリーン国際映画祭2010 受賞結果発表!

 ズリーン国際映画祭2010の受賞結果が発表になりました。(6月6日)

 ラインナップの記事でも書いているように、この映画祭は児童映画/青少年映画に特化した映画祭ですが、普段そうしたジャンル性をあまり気にしないこともあってか、あえて分類してみれば、このジャンルに分離されるという映画は意外に多いようです。ここでは上映されませんが、『ハリー・ポッター』や『ナルニア国物語』、『トワイライト・サーガ』などはもちろんこのジャンルの作品だし、『プレシャス』や『17歳の肖像』、『ローラーガールズ・ダイアリー』などもこの範疇に入ってしまうかもしれません。

 それはともかく、受賞作品の内容を調べてみると面白そうな作品が多く、既に日本での上映が決まっている作品もありますが、きっとこれから何らかの形で紹介されるんじゃないかなと思える作品もいくつかあります。

 受賞作品の中には、この映画祭以前にいろんな映画祭で高い評価を受け、賞を受賞している作品もたくさんあって、その中で少なくとも1本は確実に日本での劇場公開を期待しちゃっていいと思う(作品があると私は思う)のですが、どうでしょうか。

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 【インターナショナル・コンペティション 子供向け長編作品部門】 (International Competition of Feature Films for Children)

 ◆グランプリ/金のスリッパ賞(Golden Slipper - for Best Feature Film for Children)
 ◎“Magic Tree”(2009/ポーランド) 監督:Andrzej Maleszka
 物語:嵐で柏の木が倒される。しかし、それは魔法の木で、その木で作られた椅子は、夢をかなえてくれる魔法の椅子になる。その椅子をみつけた3人の子供、トーシャ、フィリップ、クキが、仕事で家を離れている両親に逢いたいと願うと、彼らは、椅子の魔法で、冒険の旅に導かれていく……。

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 ◆特別賞/ズリーン市賞(The City of Zlín Award - Special Recognition for Feature Film for Children)
 ◎“The Crocodiles(Die Vorstadtkrokodile)”(2009/独) 監督:Christian Ditter
 物語:10歳のハネスは、世界一クールなギャング団であるクロコダイル団に入りたくて仕方がなかった。その入団試験を受けるが、失敗し、危機に陥る。彼を危機から救ったのが、車椅子の少年カイで、実は彼もクロコダイル団に入りたいと考えていたが、クロコダイル団の方は彼のことを走れもしない役立たずとしてしか考えていなかった。ところが、ある日、カイが強盗を目撃したことをきっかけに、彼は、クロコダイル団に加わることになり、みんなで機知と勇気と独創力を使って事件を解決する。
 ドイツ映画賞2010 児童映画賞受賞。

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 ◆FICC審査員特別賞(Special FICC Jury Award)
 ◎“The Indian”(2009/オランダ) 監督:Ineke Houtman
 物語:もうすぐ8歳になるKoosは、典型的なオランダ人である父親のようになりたいと思っていたが、彼は体も小さく、肌も浅黒かった。実は、Koosは、ペルーからの養子なのだったが、ある日、スーパーの外で、奇妙な音楽を演奏しているペルー人の少年を見て、自分にもインディオの血が流れていることを知る。その日以来、彼は本物のインディオになろうと誓いを立てる。

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 ◆エキュメニカル審査員賞
 ◎“The Indian”(2009/オランダ) 監督:Ineke Houtman

 ◆子供審査員賞(Main Prize of the Children's Jury - for Best Feature Film for Children)
 ◎“The Crocodiles(Die Vorstadtkrokodile)”(2009/独) 監督:Christian Ditter

 ◆観客賞(The Golden Apple - for Most Successful Feature Film)
 ◎“Storm”(2009/デンマーク) 監督:Giacomo Campeotto
 物語:12歳のフレディーは、嵐の日に、癇癪持ちの飼い主から犬を助ける。彼は、その犬をストーム(嵐)と名づけて、こっそり自分の部屋で飼っていたが、すぐに父親に見つかってしまう。父親は、ストームを飼い主に帰して来なさいというが、フレディーはストームのためにもうちで飼った方がいいと言い張る。元の飼い主は、犬を譲ってほしいなら金を払えと高額のお金を要求してきたので、フレディーは、自分で働いて、お金を払おうとするが、なかなか目標の金額には達しない。ある時、彼は、ストームが非常に足が速いことに気づき、ストームがドッグ・レースで優勝すれば、その賞金で元の飼い主にお金も払え、ずっとストームと一緒にいられると考える……。
 デンマーク・アカデミー賞2010 最優秀児童映画ノミネート。

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 【インターナショナル・コンペティション 青少年向け長編作品部門】 (International Competition of Feature Films for Youth)

 ◆グランプリ/金のスリッパ賞(Golden Slipper - for Best Feature Film for Youth)
 ◎“Sebbe”(2010/スウェーデン・フィンランド) 監督:Babak Najafi
 物語:Sebbeは、15歳の少年で、母親と2人暮らしだった。彼は母が好きで、母のためなら何でもしたが、それはそうする以外になかったからだった。彼の唯一の楽しみは、ガラクタ置き場に行って、壊れたものを再生させることで、彼にはそうした才能があり、そこにいると彼は自由になれた。しかし、その結果、彼はどんどん孤独になり、孤立していくのだった……。
 ベルリン国際映画祭2010 ジェネレーション14plus部門出品。
 ヨーテボリ映画祭2010 ノルディック・コンペティション出品。

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 ◆特別賞/ミロシュ・マコーレク賞(The Miloš Macourek Award - Special Recognition for Feature Film for Youth)
 ◎“Dear Lemon Lima”(2009/米) 監督:Suzi Yoonessi
 物語:バネッサは、ボーイフレンドとともに私立高校に進学するが、そこですっかり落ちこぼれてしまう。エスキモーの血を引く彼女が、自分を戻すために選んだのは、雪嵐の中のサバイバル・レースへの挑戦だった……。
 ロサンゼルス映画祭2009 最優秀パフォーマンス賞受賞(Shayne Topp)。

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 ◆FICC ドンキホーテ賞(FICC The Don Quixote Award)
 ◎“Karla and Jonas(Karla og Katrine)”(2010/デンマーク) 監督:Charlotte Sachs Bostrup
 物語:13歳のカルラは、孤児のジョナスを哀れんでいた。それは、彼には本当の家族がいないからだった。ある日、彼女は、テレビ番組をまねて、ジョナスと2人で、彼の本当のお母さんを捜す旅に出発する……。
 デンマーク・アカデミー賞2010 最優秀児童映画ノミネート。

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 ◆エキュメニカル審査員賞
 ◎“Sebbe”(2010/スウェーデン・フィンランド) 監督:Babak Najafi

 ◆青少年審査員賞(Main Prize of the Children's Jury - for Best Feature Film for Youth)
 ◎“Echoes of the Rainbow(歳月神偸)”(2010/香港・中) 監督:アレックス・ロー
 物語:舞台は、1960年代の香港。主人公は、わんぱく小僧の“大耳”で、労働階級の父と楽天家の母と、夢見がちな兄と4人で暮らしている。“大耳”は、いつも騒ぎばかり起こしていたが、ユーモアがあり、機転が利いて、どんどん変わっていく香港の街で、自由に遊び回っていた。ある日、彼の兄が初恋をする。その恋を通して、一家は、愛と希望と挫折と死と再生を経験する。
 『七小福』(監督)や『誰かがあなたを愛してる』(脚本)のアレックス・ロー監督最新作。
 ベルリン国際映画祭2010 ジェネレーションKplus部門 グランプリ受賞。
 香港電影金像奨2010 主演男優賞(サイモン・ヤム)&新人賞(アーリフ・リー)&脚本賞(アレックス・ロー)&歌曲賞受賞、主演女優賞(サンドラ・ン)&新人賞(チョン・シウトー)ノミネート

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 【インターナショナル・コンペティション 子供向けアニメーション部門】 (International Competition of Animated Films for Children)

 ◆グランプリ/金のスリッパ賞(Golden Slipper - for Best Animated Film)
 ◎『まいごのペンギン』“Lost and Found”(2009/英) 監督:フィリップ・ハント(Philip Hunt)
 物語:ある日、少年が戸口にペンギンがいるのを発見する。少年は、ペンギンがどこから来たのか、調べ、やがて、ペンギンを助けるために、南極へと旅立つ……。
 オリヴァー・ジェファーズの『まいごのペンギン』の映画化。
 オタワ国際アニメーションフェスティバル2009 子供向けTV作品コンペティション最優秀作品。
 ザグレブ国際アニメーションフェスティバル2010 児童映画コンペティション部門最優秀作品賞受賞。
 この作品は、キンダー・フィルム・フェスティバル2010で上映予定になっています。

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 ◆ヘルミーナ・ティールロヴァー賞/35歳以下のヤング・アーティスト賞(The Hermína Týrlová Award - Award for Young Artists up to the Age of 35)
 ◎『仕事人間』“The Employment”(2008/アルゼンチン) 監督:Santiago 'Bou' Grasso
 物語:人間が、人間をモノとして使うことが当たり前になっているような世界で、毎日、せっせと仕事にでかけていく……。
 ザグレブ国際アニメーションフェスティバル2010 児童映画コンペティション出品。
 ショートショートフィルムフェスティバル&アジア2010で上映予定。

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 ◆観客賞(The Golden Apple - for Most Successful Animated Film)
 ◎“Hip.Hop.Hippityhop.(Hoppeldihopp Hop)”(2009/独) 監督:Ralf Kukula
 物語:子供たちが家に帰った後、砂場では何が起こるのか? ゲオルグとアガタは、夜中に起き出して、夜の冒険にでかける。
 ザグレブ国際アニメーションフェスティバル2010 児童映画コンペティション出品。

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 【ヨーロッパ初監督長編 コンペティション】 (Competition of Feature-Length Debuts – European First Films)

 ◆ヨーロッパ賞(The Europe Award)
 ◎“If I want to whistle, I whistle”(2010/ルーマニア・スウェーデン) 監督:Florin Serban
 出演:George Piştereanu、Ada Condeescu、Clara Vodă、Mihai Constantin
 物語:シルビウは、あと5日で少年院から釈放されることになっていた。そこに、長年、音信不通だった母親が突然現れて、これからは次男は自分が育てると宣言する。次男のことは、これまで自分の息子のように面倒を見てきていたので、シルビウは、突然現れた母親に彼を連れ去られてしまうことが我慢ならず、何もできない5日間が苦痛で耐えられないほどになる。一方で、シルビウは、少年院にインターンとしてやってきていたソーシャルワーカーのアナに恋してもいて、この機会に、アナをさらって、少年院を脱走してしまおうと考える。
 ベルリン国際映画祭2010 コンペティション部門出品。銀熊賞(審査員グランプリ)&アルフレッド・バウアー賞受賞。
 トランシルヴァニア国際映画祭2010 ルーマニア・デー最優秀長編賞受賞。

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 ◆審査員特別賞
 ◎“Silent Voices”(2009/仏) 監督:Léa Fehner
 物語:年配の女性が、暴力事件で息子を失う。彼女は、息子が、どうして、どういう動機で殺されたのか知りたくて、それ以外には目に入らなくなる。若い娘が魅力的な不良を好きになり、彼に会うために、刑務所に面会に行くようになる。お金に困った男がいて、彼は、自分にそっくりな犯罪者の代わりに刑務所に入らないかという提案を受ける。3つの物語は、交わって、登場人物もそれぞれ係わり合いになっていく……。
 リュミエール賞2009新人女優賞受賞(Pauline Etienne)。
 ルイ・デリュック賞2009 新人監督賞受賞。
 セザール賞2010 有望若手女優賞(Pauline Etienne)&第1回作品賞ノミネート。

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 【ヴィシェグラード・コンペティション】 (Competition of Productions from the Visegrad Countries)

 ◆チェコ文化省賞(The Czech Minister of Culture Award):
 ◎“Mall Girls”(2009/ポーランド) 監督:Katarzyna Roslaniec
 物語:14歳の少女が新しい高校に転校してくる。彼女は、典型的な田舎者で、新しい学校で生き抜くためには、そこを仕切っている少女たちのグループとうまくやっていかなければならなかった。彼女たちが転校生に与えた課題は、ショッピング・モールをぶらついて、男を引っ掛け、どれだけ最新グッズや服を買ってもらうことができるか、であった。
 トロント国際映画祭2009 DISCOVERY部門出品。

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 【その他】

 ◆生涯功労賞(Recognition for Lifetime Achievement in Film-making for Children and Youth)
 ◎ズデニェク・スヴィエラーク(Zdeněk Svěrák)
 ズデネック・スヴィエラークは、ヤン・スヴィエラークの父親で、息子の監督作品『小学校』『コーリャ 愛のプラハ』『ダーク・ブルー』のほか、『スイート・スイート・ビレッジ』などに出演しています。これら4作品をはじめ、出演作の脚本を担当することも多いようです。

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 受賞作品の内容をみてみると、友情と旅をテーマとした作品が非常に多いことに気づきます。ま、言ってみれば、子供のロードムービーということになりますが、これは、昨今のはやりなのでしょうか。

 あと、このジャンル(子供向け映画、青少年向け映画)の作品の一大ショーケースとなっているのは、どうやらベルリン国際映画祭のジェネレーション部門らしく、ベルリン国際映画祭のジェネレーション部門を経て、ズリーンやそのほかの映画祭で上映される作品が非常に多いことにも気づかされました。一般にマスコミで注目されるのは、メインのコンペ部門ばかりですが、ジェネレーション部門も非常に重要だったんですね~。

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 *当ブログ記事
 ・ズリーン国際映画祭2010 ラインナップ:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201005/article_28.html

 ・ザグレブ国際アニメーションフェスティバル2010ラインナップ:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201005/article_18.html
 ・ザグレブ国際アニメーションファスティバル2010 受賞結果発表:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201006/article_5.html
 ・アヌシー国際アニメーションフェスティバル2010 オフィシャル・セレクション:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201005/article_24.html
 ・アヌシー国際アニメーションフェスティバル2010 オフィシャル・セレクション以外のプログラム その1:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201005/article_26.html
 ・アヌシー国際アニメーションフェスティバル2010 オフィシャル・セレクション以外のプログラム その2:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201005/article_27.html
 ・クラクフ映画祭2010 ラインナップ:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201006/article_1.html
 ・クラクフ映画祭2010 受賞結果発表:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201006/article_8.html

 ・映画祭&映画賞カレンダー 2010年5月~2011年2月:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201005/article_23.html

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