『白いリボン』だけじゃない! オーストリア映画賞/映画祭2010

 オーストリア映画祭Diagonale (Diagonale, the Festival of Austrian Film)が開催され、各賞が発表されました。(会期は3月16日~22日)

 Diagonaleは、毎年3月にオーストリアのグラーツで開催される映画祭で、オーストリア映画の長編フィクション作品、長編ドキュメンタリー作品、短編映画、短編ドキュメンタリー、実験映画/アニメーション、その他の特別プログラムなどが上映されるほか、前年度のオーストリア映画の中から最優秀作品を選ぶプログラムもあって、それらの作品はShowcase部門で上映されます。

 本年度のShowcase部門上映作品は以下の通りです。
 ・“Blutsfreundschaft” 監督:Peter Kern
 ・“Bock for President” 監督:Houchang Allahyari & Tom-Dariusch Allahyari
 ・“Die Frauenkarawane” 監督:Nathalie Borgers
 ・“Der Fall des Lemming” 監督:Nikolaus Leytner
 ・“Lourdes” 監督:ジェシカ・ハウスナー
 ・“Mount St. Elias” 監督:Gerald Salmina
 ・“La Pivellina” 監督:Tizza Covi & Rainer Frimmel
 ・“Plastic Planet” 監督:Werner Boote
 ・“Der Räuber” 監督:Benjamin Heisenberg
 ・“Sturmfrei” 監督:Hans Selikovsky & Nikolai Selikovsky
 ・『白いリボン』“Das weiße Band” 監督:ミヒャエル・ハネケ

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 本年度各部門の受賞結果は以下のようになっています。

 【Showcase部門】

 ◆最優秀オーストリア映画賞(Grand Diagonale Prize for Best Austrian Feature Film)
 ◎“La Pivellina” 監督:Tizza Covi & Rainer Frimmel

 ◆オーストリア撮影監督協会賞(Diagonale Austrian Association of Cinematographers Prize)
 ◎最優秀撮影賞(Best cinematography feature film):クリスチャン・ベルガー 『白いリボン』

 ◆男優賞(Diagonale Prize Best Actor)
 ◎Andreas Lust “Der Räuber (The Robber)”

 ◆女優賞(Diagonale Prize Best Actress)
 ◎フランツィスカ・ヴァイス(Franziska Weisz) “Der Räuber (The Robber)”

 【長編映画部門】

 ◆オーストリア編集協会賞(Diagonale austrian editors association Prize)
 ◎最優秀編集賞(Best editing feature film):Gerhard Fillei、Joachim Krenn “South”(監督:Gerhard Fillei、Joachim Krenn)

 【ドキュメンタリー部門】

 ◆最優秀オーストリア・ドキュメンタリー賞(Grand Diagonale Prize for Best Austrian Documentary Film)
 ◎“Hana, dul, sed …” 監督:Brigitte Weich、Karin Macher

 ◆Diagonale Diocese Graz-Seckau Prize for Best Documentary or Short Film
 ◎“Die Kinder vom Friedrichshof” 監督:Juliane Großheim

 ◆オーストリア撮影監督協会賞(Diagonale Austrian Association of Cinematographers Prize)
 ◎最優秀ドキュメンタリー撮影賞(Best cinematography documentary film) Peter Schreiner “Totó”(監督:Peter Schreiner)

 ◆オーストリア編集協会賞(Diagonale austrian editors association Prize)
 ◎最優秀ドキュメンタリー編集賞(Best editing documentary film):Michael Palm  “Jobcenter”(監督:Angela Summereder)

 ◆ヤング審査員賞(Diagonale Youth Jury Prize for Best Young Talent Film)
 ◎“Kick off” 監督:Hüseyin Tabak

 ◆観客賞(Diagonale Audience Prize)
 ◎“Kick off” 監督:Hüseyin Tabak

 【実験映画/アニメーション部門】

 ◆イノベーション賞(Diagonale Prize for Innovative Cinema for Best Experimental, Animated or Short Film)
 ◎“B-star, untötbar! reloaded” 監督:Sabine Marte

 【男優賞大賞】(Grand Diagonale Actors-Prize)
 ◎クラウス・マリア・ブランダウアー

 【イノヴェーティヴ・プロダクション賞】(Prize for Innovative Production)
 ◎Neue Sentimentalfilm “Plastic Planet”
 ◎Dor Film “Der Knochenmann”、“Wüstenblume (Desert Flower)”
 ◎wega Film 『白いリボン』

 【カール・マイヤー脚本コンペティション】(Carl Mayer Script Prize)
 ◎メイン賞(Main Prize) Wolfgang Rupert  “Grossmattglocknerhorn”

 ◎ヤング・タレント賞(Young Talent Prize):Henning Backhaus “Kinderszenen”

 ◎Thomas Pluch Script Prize:ジェシカ・ハウスナー “Lourdes”

 ◎Thomas Pluchヤング・タレント賞(Thomas Pluch Young Talent Script Prize):Thomas Woschitz “UNIVERSALOVE”
 ◎同賞:Jasmina Eleta “Fern & Nah”
 ◎同賞:Anna Schwingenschuh “Der Herzerlfresser”

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 オーストリア映画祭Diagonaleは、過去1年間に劇場公開された作品と新作プレミアが入り乱れ、映画祭から贈られるオフィシャルな賞と外部団体から贈られる賞が共存し、さらに公式上映部門とは無関係の賞やコンペティションもあったりして、ちょっとごちゃごちゃしていますが、それをなんとかわかりやすい形で示したのが上記のようなリストになります。

 2009年度のオーストリア映画といえば、『白いリボン』、“Der Räuber”、“La Pivellina”、 “Lourdes”の4作品が多くの映画祭で上映され、その中でも『白いリボン』が圧倒的な高い評価を受けていたのですが、オーストリア国内では断トツの評価というほどでもないようで、『白いリボン』は撮影賞のみにとどまりました。

 オーストリア映画で、日本でも紹介される予定になっている作品は、今のところ『白いリボン』しかありませんが、ここでは上記リストの中から目ぼしい作品を紹介しておきたいと思います。

 注目は、サッカーをモチーフとした2本のドキュメンタリー映画でしょうか。

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 ・“La Pivellina” (オーストリア・伊)
 監督:Tizza Covi & Rainer Frimmel
 物語:2歳で公園に捨てられた少女が拾われた先はある風変わりな家だった……。
 カンヌ国際映画祭2009 監督週間出品 ヨーロッパ映画賞受賞。
 ムンバイ映画祭2009 審査員グランプリ受賞。
 ヒホン国際映画祭2009 グランプリ、女優賞受賞(Patrizia Gerardi)。
 ベルリン国際映画祭2010 ジェネレーション部門出品。


 ・『白いリボン』“Das weise Band (The White Ribbon)”(独・オーストリア・仏・伊)
 監督:ミヒャエル・ハネケ
 出演:ブルクハルト・クラウスナー、スザンネ・ローター、Maria-Victoria Dragus
 物語:事件後、何年も経った後、教師の回想という形で、物語が語られる。1913年から14年にかけて、北ドイツの、厳格な伝統に守られた村に不可解な出来事が次々と起こる。家の入り口の木の間にひもが張られていたことから医師が落馬する。荘園に不審火が出て、納屋が焼け落ちる。男爵の息子が行方不明になり、手足を縛られ、尻を鞭打たれた状態で発見される。ハンディキャップを抱える助産婦の子供が木にくくりつけられた姿で発見され、その頬には天罰を思わせる刻印が刻まれている。教師が調べていくうち、村の暗い秘密にたどりつき、主犯格らしい人物も浮かんでくるが、やがて、ヨーロッパ全土を巻き込む第一次世界大戦という狂乱の波に、この村も否応なくのみ込まれていく……。
 カンヌ国際映画祭2009 パルムドール、国際批評家連盟賞、エキュメニカル審査員賞スペシャル・メンション。
 ノルウェー国際映画祭2009 The Andreas Award。
 ヨーロッパ映画賞2009 作品賞・監督賞・脚本賞受賞。
 米国アカデミー賞2010外国語映画賞ドイツ代表。
 ドイツ映画賞2010、13部門ノミネート(作品・監督・主演男優・主演女優・助演男優・脚本・撮影・編集・美術・衣裳・メイク・音響)。

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 ・“Der Räuber(The Robber)” (独・オーストリア)
 監督:Benjamin Heisenberg
 出演:Andreas Lust、Walter Huber、フランツィスカ・ヴァイス(Franziska Weisz)
 物語:趣味が泥棒というマラソン・ランナーの物語。
 Martin Prinzの小説の映画化。
 バイエルン映画賞2010 新人監督賞受賞。
 ドイツ映画賞2010撮影賞ノミネート。

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 ・ “Lourdes”( オーストリア)
 監督:ジェシカ・ハウスナー
 出演:シルヴィー・テステュー、リー・シドー、ブルーノ・トデスキーニ
 物語:車椅子生活で、孤独な毎日を送っているクリスティーネは、そんな日常から抜け出るために、ピレネー山脈の麓にある巡礼の地ルルドに向かう。
 『Lovely Rita』のジェシカ・ハウスナー監督最新作。
 ベネチア国際映画祭2009 コンペティション部門出品。国際批評家連盟賞、SIGNIS Prize、La Navicella - Venice Cinema Award、Brian Award受賞。
 ワルシャワ国際映画祭2009 ワルシャワ・グランプリ。


 ・“Hana, dul, sed …(1、2、3)”
 監督:Brigitte Weich、Karin Macher
 北朝鮮の女子サッカー・ナショナル・チームの4人のメンバーを2年間にわたって追いかけたドキュメンタリー。彼らは、2003年のアジア・チャンピオンシップで勝利するが、2004年のアテネ・オリンピック予選で敗退し、彼らのキャリアは唐突に終焉を迎える……。
 その後、4人のうちの1人はコーチになり、別の1人は審判になる。
 イデオロギー色の少ない作品でありながら、国民が飢えている時でも彼らには十分な食事が与えられるし、国民のエリートとして田舎の家族にもアパートが与えられる、といった描写で、北朝鮮のお国柄や政治、社会事情が見え隠れする。


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 ・“Kick off”
 監督:Hüseyin Tabak
 物語:8人のオーストリア人ホームレスが、メルボルンで開催されるホームレス・ワールドカップを目指す。彼らの中には文字通りのホームレスもいれば、施設を求めて転々としている者もいるし、元アルコール依存症患者もいれば、ドラッグ常用者もいる。彼らは、この大会で賞金は得られないかもしれないが、かつて自分も精一杯生きていたという証を求め、これをチャンスとして、人生の再起を図ろうとする。

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 *当ブログ記事
 ・2009年度映画賞レース スケジュール表:http://umikarahajimaru.at.webry.info/200912/article_32.html

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