ロンドン映画批評家協会賞2010ノミネーション、または、30年間のベスト10!

 第30回ロンドン映画批評家協会賞のノミネーションが発表になりました。(12月21日)

 ロンドン映画批評家協会賞には、イギリス以外の映画を対象とする5つの部門と、イギリス映画を対象とする8つの部門があります。

 今回は、30回目の記念として、過去30年の受賞作から選んだベスト10も発表されています。

画像

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 ◆作品賞(FILM OF THE YEAR)
 ・『アバター』“Avatar”
 ・『ハート・ロッカー』“The Hurt Locker”
 ・“A Prophet”
 ・“The White Ribbon”
 ・『マイレージ、マイライフ』“Up in the Air”

 ◆監督賞(DIRECTOR OF THE YEAR)
 ・ジャック・オーディアール “A Prophet”
 ・キャスリン・ビグロー 『ハート・ロッカー』
 ・ジェームズ・キャメロン 『アバター』
 ・ミヒャエル・ハネケ “The White Ribbon”
 ・ジェイソン・ライトマン 『マイレージ、マイライフ』

 ◆男優賞(ACTOR OF THE YEAR)
 ・ジェフ・ブリッジス “Crazy Heart”
 ・ジョージ・クルーニー 『マイレージ、マイライフ』
 ・Tahar Rahim “A Prophet”
 ・マイケル・ストゥルバーグ “A Serious Man”
 ・クリストフ・ヴァルツ 『イングロリアス・バスターズ』

 ◆女優賞(ACTRESS OF THE YEAR)
 ・アビー・コーニッシュ “Bright Star”
 ・ヴェラ・ファーミガ 『マイレージ、マイライフ』
 ・モニーク 『プレシャス』
 ・ケアリー・マリガン “An Education”
 ・メリル・ストリープ 『ジュリー&ジュリア』

 ◆脚本賞(SCREENWRITER OF THE YEAR)
 ・Jesse Armstrong、Simon Blackwell、Armando Iannucci、Tony Roche “In the Loop”
 ・トーマス・ビドゲイン(Thomas Bidegain)、ジャック・オーディアール “A Prophet”
 ・ジョエル&イーサン・コーエン “A Serious Man”
 ・ミヒャエル・ハネケ “The White Ribbon”
 ・ニック・ホーンビィ “An Education”

 ◆アッテンボロー賞/イギリス映画賞(THE ATTENBOROUGH AWARD: BRITISH FILM OF THE YEAR)
 ・“Bright Star”
 ・“An Education”
 ・“Fish Tank”
 ・“In the Loop”
 ・“Moon”

 ◆イギリス人監督賞(BRITISH DIRECTOR OF THE YEAR)
 ・アンドレア・アーノルド “Fish Tank”
 ・Armando Iannucci “In the Loop”
 ・ダンカン・ジョーンズ “Moon”
 ・ケヴィン・マクドナルド “State of Play”
 ・サム・テイラー=ウッド “Nowhere Boy”

 ◆イギリス人男優賞(BRITISH ACTOR OF THE YEAR)
 ・ピーター・キャパルディ “In the Loop”
 ・コリン・ファース 『シングル・マン』
 ・トム・ハーディ(Tom Hardy) “Bronson”
 ・クリスチャン・マッケイ “Me and Orson Welles”
 ・アンディー・サーキス “Sex & Drugs & Rock & Roll”

 ◆イギリス人女優賞(BRITISH ACTRESS OF THE YEAR)
 ・エミリー・ブラント 『ヴィクトリア女王 世紀の愛』
 ・ヘレン・ミレン “The Last Station”
 ・ケアリー・マリガン “An Education”
 ・カティー・ジャーヴィス(Katie Jarvis) “Fish Tank”
 ・クリスティン・スコット・トーマス “Nowhere Boy”

 ◆イギリス人助演男優賞(BRITISH ACTOR IN A SUPPORTING ROLE)
 ・マイケル・ファスベンダー “Fish Tank”
 ・ジョン・ハート “44 Inch Chest”
 ・ジェイソン・アイザックス “Good”
 ・アルフレッド・モリーナ “An Education”
 ・ティモシー・スポール “The Damned United”

 ◆イギリス人助演女優賞(BRITISH ACTRESS IN A SUPPORTING ROLE)
 ・エミリー・ブラント 『サンシャイン・クリーニング』
 ・アンヌ=マリー・ダフ “Nowhere Boy”
 ・ロザムンド・パイク “An Education”
 ・カーストン・ウェアリング(Kierston Wareing) “Fish Tank”
 ・オリヴィア・ウィリアムズ(Olivia Williams) “An Education”

 ◆NSPCC賞/イギリス人ヤング俳優賞(THE NSPCC AWARD: YOUNG BRITISH PERFORMER OF THE YEAR)
 ・カティー・ジャーヴィス(Katie Jarvis) “Fish Tank”
 ・アーロン・ジョンソン(Aaron Johnson) “Nowhere Boy”、“Dummy”
 ・ジョージ・マッケイ(George MacKay) “The Boys Are Back”
 ・ビル・ミルナー(Bill Milner) “Is Anybody There? ”、“Sex & Drugs & Rock & Roll”
 ・シーアシャ・ローナン 『ラブリーボーン』

 ◆ブレイクスルー・イギリス人監督賞(BREAKTHROUGH BRITISH FILM-MAKER)
 ・ダニエル・バーバー(Daniel Barber ) “Harry Brown”
 ・Armando Ianucci “In the Loop”
 ・ダンカン・ジョーンズ “Moon”
 ・ピーター・ストリックランド “Katalin Varga”
 ・サム・テイラー=ウッド “Nowhere Boy”

 ◆外国語映画賞(FOREIGN LANGUAGE FILM OF THE YEAR)
 ・『パリ20区、僕たちのクラス』“The Class”
 ・『カティンの森』“Katyn”
 ・“Let the Right One In”
 ・“A Prophet”
 ・“The White Ribbon”

 ◆ディリス・パウエル賞(DILYS POWELL AWARD FOR EXCELLENCE IN CINEMA)
 ◎クエンティン・タランティーノ

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 主なノミネート状況は以下の通りです。

 ・“An Education”(7):英国作品・女優・英国女優・英国助演女優・英国助演女優・脚本
 ・“Fish Tank”(6):英国作品・英国監督・英国女優・英国助演男優・英国助演女優・ヤング
 ・“A Prophet”(5):作品・外国・監督・男優・脚本
 ・“In the Loop”(5):英国作品・英国監督・英国男優・脚本・ブレイク
 ・“Nowhere Boy”(5):英国監督・英国女優・英国助演女優・ヤング・ブレイク
 ・“The White Ribbon”(4):作品・外国・監督・脚本
 ・“Moon”(3):英国作品・英国監督・ブレイク
 ・『アバター』(2):作品・監督
 ・『ハート・ロッカー』(2):作品・監督
 ・“Bright Star”(2):英国作品・女優
 ・“A Serious Man”(2):男優・脚本
 ・“Sex & Drugs & Rock & Roll”(2):英国男優・ヤング

 イギリス映画部門では、“An Education”が最多ノミネートで、“Fish Tank”がそれに続き、イギリス映画以外の部門では、“A Prophet”が最多ノミネートで、“The White Ribbon”がそれに続いています。

 あまり見かけない作品もちらほら入っていますが、大多数の候補はいろんな映画賞に顔を出している候補ばかり、となっています。

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 【30周年記念賞~ベスト・オブ・受賞作品】
 30TH ANNIVERSARY AWARD: BEST OF OUR WINNERS SINCE 1980

 1.『地獄の黙示録』“Apocalypse Now”(フランシス・フォード・コッポラ/1980)
 2.『シンドラーのリスト』“Schindler’s List”(スティーヴン・スピルバーグ/1994)
 3.『善き人のためのソナタ』“The Lives of Others”(フロリアン・ヘンケル・フォン・ドナーズマルク/2007)
 4.『許されざる者』“Unforgiven”(クリント・イーストウッド/1992)
 5.『ブロークバック・マウンテン』“Brokeback Mountain”(アン・リー/2005)
 6.『ニュー・シネマ・パラダイス』“Cinema Paradiso”(ジュゼッペ・トルナトーレ/1990)
 7.『LAコンフィデンシャル』“L.A. Confidential”(カーティス・ハンソン/1997)
 8.『ファーゴ』“Fargo”(ジョエル・コーエン/1996)
 9.『遠い声、静かな暮らし』“Distant Voices, Still Lives”(テレンス・デイヴィス/1989)
 10.『キング・オブ・コメディ』“The King of Comedy”(マーティン・スコセッシ1983)

 7本がアメリカ映画で、ドイツ映画が1本、イタリア映画が1本、イギリス映画はわずかに『遠い声、静かな暮らし』1本にとどまっています。

 以前、イギリス・オブザーバー紙による過去25年間のベストテンが発表され(http://umikarahajimaru.at.webry.info/200909/article_1.html)、そこでも『遠い声、静かな暮らし』がトップに選ばれていましたが、ここでもやはり高い評価を受けています。

 テレンス・デイヴィスは、日本では『遠い声、静かな暮らし』と『ネオン・バイブル』が劇場公開されていますが、2本ともVHSリリースのみで、まだDVDリリースはありません。
 これだけ評価が高いのだから、日本でもビジネス・チャンスあり、と見てもいいかもしれませんね。DVDリリースの可能性を探るのはもちろんですが、リバイバル上映やテレンス・デイヴィス・レトロスペクティヴなんていうのもあっても考えてもいいかもしれません。

 監督別で見ると、イーストウッドを含めて、アメリカン・ニューシネマ出身の監督が4人、それから意外とキャリアの長いカーティ・ハンソンがいて、80年代半ばから活躍し始めたコーエン兄弟、1990年前後から活躍し始めたジュゼッペ・トルナトーレ、テレンス・デイヴィス、アン・リーの3人、それから、00年代も半ばを過ぎてフロリアン・ヘッケル・フォン・ドナーズマルクが登場する、という形になります。

 デビュー作もしくはそれに準じる作品が3本あります(『善き人のためのソナタ』『ニュー・シネマ・パラダイス』『遠い声、静かな暮らし』)。

 内容としては、第二次世界大戦を背景とした作品が2本、ベトナム戦争を背景とした作品が1本、それ以前の時代を扱った作品が1本、現在から過去を回想している作品が2本あります。純粋に現代劇と言えるのは、『キング・オブ・コメディ』(当時)と『ファーゴ』くらいでしょうか。

 全体的には、ローカルで、(無名の)主人公を中心とした小さな世界を描いたものが多いように思います。

 受賞歴としては、カンヌ国際映画祭コンペ部門出品作が5本(『地獄の黙示録』『ニュー・シネマ・パラダイス』『LAコンフィデンシャル』『ファーゴ』『キング・オブ・コメディ』)があり、そのうち『地獄の黙示録』がパルムドールを受賞しています。
 そのほか、米国アカデミー賞作品賞受賞作が1本(『許されざる者』)、米国アカデミー賞外国語映画賞受賞作が2本(『ニュー・シネマ・パラダイス』『善き人のためのソナタ』)あり、ベネチア国際映画祭金獅子賞受賞作が1本(『ブロークバック・マウンテン』)あります。

 このベスト10は、いろいろ入れ替えは可能だと思いますが、一見バラバラのように見えて、各監督の代表作と呼べる作品が選ばれているし、案外バランスの取れたいいベスト10のようにも思います。まあ、30年間のエポック・メイキングな作品を選べ、というのだったら、また違うベスト10ができるのでしょうが……。

 ちなみに、無理にでも、10本全部を通しての共通のテーマを探してみるなら、それは「救い」、でしょうか。

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 受賞結果発表は2月18日です。

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 *当ブログ記事

 ・BAFTAスコットランド2009 受賞結果発表:http://umikarahajimaru.at.webry.info/200911/article_15.html
 ・ブリティッシュ・インディペンデント・フィルム・アワード2009 発表:http://umikarahajimaru.at.webry.info/200912/article_12.html

 ・第29回ロンドン映画批評家協会賞 結果発表:http://umikarahajimaru.at.webry.info/200902/article_7.html

 ・「ロンドン・タイムズ」が選ぶ10年間のベスト100:http://umikarahajimaru.at.webry.info/200911/article_14.html
 ・「デイリー・テレグラフ」が選ぶ10年間のベスト100:http://umikarahajimaru.at.webry.info/200911/article_19.html

 ・2009年度映画賞レース スケジュール表:http://umikarahajimaru.at.webry.info/200912/article_32.html
 ・映画祭&映画賞カレンダー 2009年5月~2010年5月:http://umikarahajimaru.at.webry.info/200905/article_6.html

 追記:
 第30回ロンドン映画批評家協会賞 結果発表:http://umikarahajimaru.at.webry.info/201002/article_32.html

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