ルイ・デリュック賞2009 発表!

 ルイ・デリュック賞が発表になりました。(12月11日)

 ◆作品賞

 ・“A l'origine/In the Biginning”(はじめに) 監督:グサヴィエ・ジャノリ
 ・“Hadewijch” 監督:ブリュノ・デュモン
 ・“Les Herbes Folles”(雑草) 監督:アラン・レネ
 ・“Irène”(イレーネ) 監督:アラン・カヴァリエ(Alain Cavalier)
 ・“Je suis heureux que ma mère soit vivante”(母が健在で、ぼくはうれしい) 監督:クロード&ナタン・ミレール
 ・“Non ma fille, tu n'iras pas danser/ Making Plans For Lena”(娘よ、踊りに行ってはダメよ) 監督:クリストフ・オノレ
 ◎“Un Prophète”(預言者) 監督:ジャック・オーディアール
 ・『ウェルカム』“Welcome” 監督:フィリップ・リオレ

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 カンヌ国際映画祭グランプリから、ロンドン映画祭グランプリ、ヨーロッパ映画賞最多6部門ノミネート、米国アカデミー賞外国語映画賞フランス代表……と勢いづく“Un Prophète”が受賞しました。

 私は、「今年のフランス映画で最も評価が高いと感じるのは、ジャック・オーディアールの“Un Prophète”ですが、ドラマ性よりも作家性を評価し、娯楽性の強い作品よりも一般には評価されにくい作品を評価し、作品より作家を評価するのがルイ・デリュック賞であってみれば、今年の作品賞は“Un Prophète”ではないような気がします」と予想していたのですが、そんなことはなく、やはり順当に“Un Prophète”の受賞となりました。

 おかげで、ブリュノ・デュモンは今回もルイ・デリュック賞を手にすることはできませんでした。

 “Un Prophète”の物語は、「アラブ系の青年がフランスの刑務所に入れられ、そこを牛耳っているコルシカ系マフィアのボスと出会い、次々に出されるミッションをクリアして、彼の信頼を勝ち得ていく。一方で、秘密の計画も着々と準備を整えていく。」というようなものですが、単なるクライム・フィルムやノワールではなく、それ以上のもの、たとえば、アラブ系移民の現実といった社会的背景をしっかり描んだ作品(『イースタン・プロミス』や『シティ・オブ・ゴッド』のような?)になっているのかもしれません。

 これだけ評価の高いフランス映画が日本で公開されないということは考えられませんから、そう遠くない時期に日本でも劇場公開されるとは思いますが、ただ、懸念されるのは、これまでジャック・オーディアール作品を手がけた日本の配給会社がいずれも当時の姿をとどめていないことで、既になくなってしまっていたり、配給から撤退していたり、他社と合併していたりしています。ま、そうなってしまったのは、ジャック・オーディアール作品のせいではないとは思いますが……。

 ◆新人監督作品賞

 ・“Adieu Gary”(さよなら、ゲイリー) 監督:Nassim Amaouche
 ・“Les Beaux Gosses (The French Kisses)”(美しい子どもたち) 監督:Riad Sattouf
 ・“Espion(s)/ Spy(ies)”(スパイ(たち)) 監督:Nicolas Saada
 ・“Rien de personnel/The Ordinary People”(普通の人々) 監督:Mathias Gokalp
 ◎“Qu'un seul tienne et les autres suivront/Silent Voice” 監督:Léa Fehner

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 昨年もそうでしたが、今年もノミネーション発表段階ではノミネーションに含まれていなかった作品が新人監督作品賞に選ばれています。どういう事情でこういうことが起こるのかは知りませんが、困惑させられてしまいます。ノミニーや関係者はもっと困惑すると思いますが。

 新人監督作品賞に選ばれた“Qu'un seul tienne et les autres suivront/Silent Voice”は、「刑務所の面会室にやってきた人々の物語が交錯する」展開の作品だそうで、奇しくも作品賞ともども刑務所が舞台の作品が選ばれるという結果になりました。

 この作品は、ベネチア国際映画祭2009ベネチア・デイズ上映作品で、監督Léa Fehnerは1981年生まれ、FEMIS出身の監督で、FEMIS出身の監督によくあるように、FEMIS出身の他の監督作品に脚本家などで参加しつつ、この作品で長編監督デビューを果たしています。

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 *当ブログ記事
 ・ルイ・デリュック賞2009 ノミネーション発表:http://umikarahajimaru.at.webry.info/200911/article_39.html
 ・ルイ・デリュック賞2008発表:http://umikarahajimaru.at.webry.info/200812/article_22.html
 ・映画祭&映画賞カレンダー 2009年5月~2010年5月:http://umikarahajimaru.at.webry.info/200905/article_6.html

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