ワルシャワ国際映画祭2009 受賞結果!

 第25回ワルシャワ国際映画祭(The 25th Warsaw Film Festival/10月9日~18日)の受賞結果――

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 ◆インターナショナル・コンペティション

 ・『牛は語らない/ボーダー』“Border / Sahman”(アルメニア・オランダ) 監督:ハルチュン・ハチャトゥリアン(Harutyun Khachatryan)
 ・“Jaffa”(イスラエル・仏) 監督:Keren Yedaya
 ◎“Lourdes”(オーストリア・仏・独) 監督:ジェシカ・ハウスナー ワルシャワ・グランプリ
 ・“Men on the Bridge / Köprüdekiler”(独・トルコ) 監督:Asli Özge
 ・“Metropia”(スウェーデン・デンマーク・ノルウェー・フィンランド) 監督:Tarik Saleh
 ・“Nothing Personal”(オランダ・アイルランド) 監督:Urszula Antoniak
 ・“One for The Road / La última y nos vamos”(メキシコ) 監督:Eva Lopez-Sanchez
 ・“Piggies / Świnki”(ポーランド) 監督:Robert Glińsk
 ・“Searching for the elephant / Pen-teu-ha-woo-seu Ko-kki-ri”(韓) 監督:Seung Koo Jhung
 ・“Slovenian girl / Slovenka”(スロヴェニア・独・セルビア・クロアチア) 監督:Damjan Kozole
 ・『しんぼる』“Symbol / Shinboru”(日) 監督:松本人志
 ・“Tales from the golden age / Amintiri din epoca de aur”(ルーマニア) 監督:クリスティアン・ムンジウ
 ○『ダーク・ハウス/暗い家』“The Dark House / Dom zły”(ポーランド) 監督:ヴォイテク・スマルゾフスキ(Wojciech Smarzowski) 観客
 ・“The Last Days of Emma Blank / De laatste dagen van Emma Blank”(オランダ・ベルギー) 監督:アレックス・ファン・ヴァーメルダム(Alex van Warmerdam)
 ○“The Passion of Gabriel / The La pasión de Gabriel”(コロンビア) 監督:Luis Alberto Restrepo 審査員特別賞
 ・“Thomas”(フィンランド) 監督:Mika Soini
 ・“Upperdog”(ノルウェー) 監督:Sara Johnsen

 ラインナップは、基本的にはヨーロッパ映画中心で、アメリカ映画は1本もなく、いわゆるスターの出演しているような作品も見当たりません。

 国際映画祭が重なりまくっていて、ユニークなプログラムが組みにくいこの時期にあって、ワルシャワ国際映画祭では、他の映画祭では特別招待部門やワールド・シネマ部門、ヨーロッパ映画部門に招待されるような作品をインターナショナル・コンペティションにエントリーさせているようです。

 その中に“Jaffa”や“Lourdes”、“Metropia”、“Nothing Personal”、“Slovenian girl”、“Tales from the golden age”など、評判のいい作品が入っているあたり、この時期に開催される映画祭のコンペティション部門としては、「東京」よりもややランクが上のような気がします。(『ダーク・ハウス/暗い家』は両方のコンペティションにエントリーされていますが。)

 驚いたのは、『しんぼる』がインターナショナル・コンペティション部門にエントリーされていたことで、ワルシャワ国際映画祭に出品されていることは日本でも伝えられていましたが、まさかインターナショナル・コンペティション部門とは!
 「1-2コンペティション」部門もあるのに、インターナショナル・コンペティション部門に選ばれたということはそれなりのクオリティーを認められたということでしょうか。

 グランプリは、この中では、唯一ベネチア国際映画祭コンペティション部門にエントリーされていたジェシカ・ハウスナー作品でした。

 *審査員:Jan A.P. Kaczmarek(審査員長/ポーランドの作曲家)、Anne Lai(アメリカのプロデューサー)、Ulrich Felsberg(ドイツのプロデューサー)、Christian Gaines(アメリカのWithoutabox代表)、Albert Wiederspiel(ハンブルク映画祭のディレクター)

 ◆1-2コンペティション
 監督第1作か第2作を対象とするコンペティション部門

 ・“Be Calm and Count to Seven / Aram bash va ta haft beshmar”(イラン) 監督:Ramtin Lavafipour
 ・“Bitten Bullet / Bala mordida”(メキシコ) 監督:Diego Muňoz Vega
 ・『黒犬、吠える』“Black Dogs Barking / Kara Köpekler Havlarken”(トルコ) 監督:メフメット・バハドゥル・エル(Mehmet Bahadir Er)、マリナ・ゴルバチ(Maryna Gorbach)
 ◎『イースタン・プレイ』“Eastern plays”(ブルガリア) 監督:カメン・カレフ(Kamen Kalev)  最優秀作品
 ・“Eye of The Storm / No Meu Lugar”(ブラジル・ポルトガル) 監督:Eduardo Valente
 ・“Eyes Wide Open / Eynaim Pekukhot”(イスラエル・仏) 監督:Haim Tabakman
 ・“Foxes / Lištičky”(チェコ・スロヴァキア・アイルランド) 監督:Mira Fornayova
 ・“Li Tong/李童”(中) 監督:Nian Liu
 ・“Lost Persons Area”(ベルギー・オランダ・ハンガリー) 監督:Caroline Strubbe
 ・“Lost Times / Utolsó idök”(ハンガリー) 監督:Aron Matyassy
 ・“Low Lights / Artimos šviesos”(リトアニア) 監督:Ignas Miškinis
 ・“Lymelife”(米) 監督:Derick Martini
 ○“Reverse / Rewers”(ポーランド) 監督:Borys Lankosz 国際批評家連盟賞
 ◎『天国の5分間』“Seven Minutes in Heaven / Sheva Dakot Be'gan Eden”(イスラエル) 監督:オムリ・ギヴォン(Omri Givonand) 最優秀作品
 ・『世界で一番幸せな女の子』“The Happiest Girl in the World / Cea mai fericita fata din lume”(ルーマニア・オランダ) 監督:ラドゥ・ジュデ(Radu Jude)
 ・“The Miraculous / La Milagrosa”(コロンビア) 監督:Rafael Lara
 ・“The Other Bank / The Gagma Napiri”(グルジア・カザフスタン) 監督:George Ovashvili
 ・“The Search/尋我智美更登”(中) 監督:Pema Tseden
 ・“White Lightnin'”(英・米・クロアチア) 監督:Dominic Murphy

 “Be Calm and Count to Seven”は、ロッテルダム国際映画祭2009 タイガー・アワード受賞。上海国際映画祭2009 Asian New Talent Award審査員賞受賞。
 “Eyes Wide Open”は、カンヌ国際映画祭2009ある視点部門出品作品。 エルサレム国際映画祭2009 The Wolgin Award 長編部門 名誉賞(Honorable Mention)受賞。
 “Foxes”は、ベネチア国際映画祭2009批評家週間出品作品。釜山国際映画祭2009でも上映。
 “Li Tong/李童”は、Asian American International Film Festival2009でEmerging Director賞受賞、Woods Hole映画祭で観客賞受賞。
 “Lost Persons Area”は、カンヌ国際映画祭2009批評家週間に出品されて、SACD Prize受賞。
 “Lost Times”は、ハンガリアン・フィルム・ウィーク2009でグランプリ受賞。
 “Lymelife”は、トロント国際映画祭2008国際批評家連盟賞受賞。ゴッサム・アワード2009 ブレイクスルー・ディレクター賞ノミネート。
 “Reverse”は、ポーランド映画祭2009 ゴールデン・ライオン受賞。
 『天国の5分間』は、ハイファ国際映画祭2008でHaifa Cultural Foundation Award受賞。イスラエル・アカデミー賞で主演女優賞ノミネート。
 『世界で一番幸せな女の子』は、ベルリン国際映画祭2009 フォーラム部門に出品されて、CICAE賞受賞。ソフィア国際映画祭2009国際批評家連盟賞受賞。
 “The Other Bank”は、ベルリン国際映画祭2009のジェネレーション部門でワールドプレミアされた作品で、モスクワ国際映画祭2009ではMoscow Euphoria部門に、カルロヴィ・ヴァリ国際映画祭2009ではイースト・オブ・ウエスト部門に出品されていた作品。パリ映画祭2009審査員グランプリ(Prix du jury)受賞。釜山国際映画祭2009でも上映。
 “The Search/尋我智美更登”は、上海国際映画祭2009 審査員グランプリ受賞。ロカルノ国際映画祭2009 インターナショナル・コンペティション部門出品作品。
 “White Lightnin'”は、Dinard British Film Festival2009で上映されてGolden Hitchcock賞受賞。Fant-Asia Film Festival2009審査員賞受賞。

 ほぼ無名の監督の作品ばかりですが、上に記したようにさまざまな映画祭で賞を受賞した作品が多数出品されています。

 最優秀作品に選ばれた2本の作品のうちの1つは、東京国際映画祭2009でサクラ・グランプリと監督賞&男優賞を受賞した『イースタン・プレイ』でした。日本では全く報道されていませんでしたが、東京国際映画祭に先駆けて、ワルシャワで最優秀作品賞を獲っていたんですね。
 私は、東京国際映画祭のコンペ作品は半分くらいしか観られませんでしたが、インパクトと、ブルガリア(とおそらく東欧)の現在の社会状況を鋭く切り取っているという側面、そしてそれを個人と家族の苦悩として作品に取り込んでいるという点から、(審査員の顔ぶれからしても)賞を獲るとしたらこれかな、と思っていたら、予想通りの結果になりました。

 最優秀作品のもう1つの作品である『天国の5分間』は東京フィルメックスのコンペ部門にエントリーされています。

 *審査員:Kasia Rosłaniec(ポーランドの監督)、Stephan Komandarev(ブルガリアの監督)、Ilmar Raag(エストニアの監督)

 ◆FREE SPIRIT コンペティション
 インディペンデント系で、野心的な(rebellious)作品を集めたコンペティション部門

 ・“A Matter of Size / Sipur Gadol”(イスラエル・仏・独) 監督:Erez Tadmor, Sharon Maymon
 ・“A Town Called Panic”(ベルギー・仏) 監督:Stephane Aubier, Vincent Patar
 ・“Bad Day to Go Fishing / Mal día para pescar”(ウルグアイ・西) 監督:Alvaro Brechner Free Spirit Awards
 ・“Beyond The Pole”(英) 監督:David L Williams
 ・“Castro”(アルゼンチン) 監督:Alejo Mogvillansky
 ・“Chilango chronicles / Crónicas chilangas”(メキシコ) 監督:Carlos Enderle
 ・“Here”(シンガポール) 監督:ホ・ツ・ニェン(Ho Tzu Nyen)
 ・“Journey to Saturn / Rejsen til Saturn”(デンマーク) 監督:Craig Frank, Kresten Vestbjerg Andersen, Thorbjorn Christoffersen
 ・“Manila”(フィリピン) 監督:アドルフォ・アリックスJr、Raya Martin
 ・『宮本武蔵-双剣に馳せる夢-』“Musashi:The Dream of The Last Samurai”(日) 監督:西久保瑞穂
 ◎“Purgatory / Purgatorio”(メキシコ) 監督:Roberto Rochin Naya Free Spirit Awards
 ・“Some Place Nowhere / Algún lugar en ninguna parte”(アルゼンチン) 監督:Victor Dizenzon
 ・“The Enemy / El Enemigo”(ベネズエラ) 監督:Luís Alberto Lamata
 ・“The Misfortunates / De helaasheid der dingen”(ベルギー) 監督:Felix van Groeningen
 ・“Transmission”(ハンガリー) 監督:Roland Vranik

 *審査員:Madeleine Elles-Hill(イギリスのプロデューサー)、Renato Bautista(フィリピンの監督)、Grzegorz Artur Brzozowicz(ポーランドのジャーナリスト/作家)

 ◆ドキュメンタリー・コンペティション

 ・“Bad Boys cela 425 / Bad Boys. Cela 425”(ポーランド) 監督:Janusz Morozowski
 ・『ベジャール、そしてバレエはつづく』“Béjart: of Heart And Courage”(西) 監督:アランチャ・アギーレ(Arantxa Aguirre)
 ・“Big River Man”(米・英) 監督:John Maringouin
 ・“Children of the Pyre”(インド) 監督:Rajesh S. Jala
 ○“Defamation / Hashmatsa”(イスラエル・オーストリア) 監督:Yoav Shamir 観客賞
(Israel, Austria 2009), 93’. Original version:
 ◎“Disco and Atomic War”(エストニア) 監督:Jaak Kilmi, Kiur Aarma 最優秀作品
 ・“Favela on Blast”(ブラジル・米) 監督:Leandro HBL, Wesley Pentz
 ・“Fiesta, to fight or not to fight”(西) 監督:Luis Cerezo
 ・“Fixer: The Taking of Ajmal Naqshbandi”(米) 監督:Ian Olds
 ・“Kimjongilia”(米・仏・韓) 監督:NC Heikin
 ・“Know Your Mushrooms”(カナダ) 監督:Ron Mann
 ・“My Greatest Escape / Ne me libérez pas, je m'en charge”(仏) 監督:Fabienne Godet
 ・“Oh My God”(米) 監督:Peter Rodger
 ・“Only When I Dance”(ブラジル) 監督:Beadie Finzi
 ・“Osadné”(スロヴァキア) 監督:Marko Skop
 ・“Outrage”(米) 監督:Kirby Dick
 ・“Plastic Planet”(オーストリア・独) 監督:Werner Boote
 ・“Playground”(米 監督:Libby Spears
 ・“Sunrise/Sunset / Rassvet/Zakat. Dalaj Lama 14”(ロシア) 監督:Vitaly Mansky
 ・“The Thorn in the heart / L'épine dans le coeur”(仏) 監督:ミシェル・ゴンドリー
 ・“We live in public”(米) 監督:Ondi Timoner
(USA 2009), 90’. Original version: English
 ・“Z 32”(イスラエル) 監督:Avi Mograbi

 *審査員:Krzysztof Gierat(クラクフ映画祭ディレクター)、David Hausen(アメリカの監督/プロデューサー)、Stephan Nobbe(ドイツ・ゲーテ・シンスティテュートのディレクター)

 ◆短編コンペティション

 ◎最優秀作品:“Apuntes Sobre El Otro / Notes On The Other / Być Kimś Innym”(西) 監督:Sergio Oksman

 ※ワルシャワ国際映画祭には、上記のほかに
 ・MASTER'S TOUCH / GALA SCREENINGS
 ・DISCOVERIES - VISIONS OF CONTEMPORARY WORLD
 ・FAMILY CINEMA WEEKEND
 の各部門があります。

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 【観客賞】
 映画祭最終日の翌日(19日)に発表。

 ◆長編部門

 ◎観客賞:『ダーク・ハウス/暗い家』“Dom zły / The Dark House”(ポーランド) 監督:ヴォイテク・スマルゾフスキ(Wojciech Smarzowski)

 ◎同賞:『ウェルカム』(仏) 監督:フィリップ・リオレ

 3位. “A Matter of Size / Sipur Gadol”(イスラエル・仏・独) 監督:Erez Tadmor, Sharon Maymon
 4位. “A Shine of Rainbows”(カナダ・アイルランド) 監督:Vic Sarin
 5位. 『ラ・ボエーム』“La Boheme”(オーストリア・独) 監督:ロバート・ドーンヘルム(Robert Dornhelm)
 6位. “The Secret of Kells”(仏・ベルギー・アイルランド) 監督:Tomm Moore、Nora Twomey
 7位. 『ママは美容院です』“Mommy is at the Hairdresser's”(カナダ) 監督:レア・プール
 8位. “The Two Horses of Genghis Khan”(独) 監督:Byambasuren Davaa
 9位. “Lymelife”(米) 監督:Derick Martini
 10位. “Native Dancer / Baksy”(ロシア・カザフスタン・仏・独) 監督:Guka Omarova

 ◆ドキュメンタリー部門

 ◎観客賞:“Defamation /Hashmatsa”(イスラエル・オーストリア) 監督:Yoav Shamir

 2位. “Big River Man”(米・英) 監督:John Maringouin
 3位. 『ベジャール、そしてバレエはつづく』“Béjart: of Heart And Courage”(西) 監督:アランチャ・アギーレ(Arantxa Aguirre)
Béjart: of Heart And Courage 監督:Arantxa Aguirre
 4位. “Only When I Dance”(ブラジル) 監督:Beadie Finzi
 5位. “Disco and Atomic War”(エストニア) 監督:Jaak Kilmi, Kiur Aarma
 6位. “Children of the Pyre”(インド) 監督:Rajesh S. Jala
 7位. “Bad Boys. Cell 425”(ポーランド) 監督:Janusz Morozowski
 8位. “Fixer: The Taking of Ajmal Naqshbandi”(米) 監督:Ian Olds
 9位. “Osadne”(スロヴァキア) 監督:Marko Skop
 10位. “Kimjongilia”(米・仏・韓) 監督:NC Heikin

 ◆短編部門

 ◎観客賞:“The Pig/Grisen”(デンマーク) 監督:Dorte W. Hogh

 2位. “A Practical Guide for Imaginary Friends (Abridged)”(西) 監督:Ciro Altabás
 3位. “Good Advice/ Goda Råd”(スウェーデン) 監督:Andreas Tibblin
 4位. “Edgar”(独) 監督:Fabian Busch
 5位. “Sand/Zand Joost van Ginkel”(オランダ) 監督:Joost van Ginkel

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 ワルシャワ国際映画祭に関しては、今回初めて詳しく調べてみましたが、ポジション的には、開催時期が重なっていることもあり、東京国際映画祭に近いものであることがわかりました。ワルシャワがヨーロッパ映画を中心に展開させているのに対して、東京はアジア&日本を中心に展開させているという違いはありますが。双方のプログラミング・ディレクターはいろんなところでかち合っているのではないでしょうか。

 ちなみに、ワルシャワ国際映画祭は、アルゼンチンで開催されるマル・デル・プラダ国際映画祭(今年は11月6日~16日開催)とパートナーシップを結んでいるそうです。

 日本からは、上にも記した『しんぼる』と『宮本武蔵-双剣に馳せる夢-』のほか、『不灯港』、“First Squad: The Moment Of Truth”が上映されました。

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 *当ブログ記事
 ・映画祭&映画賞カレンダー 2009年5月~2010年5月:http://umikarahajimaru.at.webry.info/200905/article_6.html

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