『ウォーリー』のサイド・ストーリー 『バーニー』登場!

 映画『ウォーリー』のサイド・ストーリーの短編『バーニー』“Burn・E”です。

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 ピクサーの短編は、動画サイトにアップされてもすぐ削除されてしまうので、見られるうちに観てしまいましょう!



 【物語】
 2805年。
 宇宙に飛び出したウォーリーが、天の川(?)に手をかざすと、その中の石が隕石となって飛んでいき、アクシオン号に衝突する。
 故障発生の知らせを受けた修理保全ロボット バーニーが修理に向かう。
 バーニーは、第九を口ずさみながら、溶接スティックを使って、軽快に修理を行なう。
 しかし、突如近づいてきた宇宙船に気を取られて、彼は溶接スティックを落としてしまう。
 バーニーは、スペアの溶接スティックを取りに船内に戻る。
 再び修理にとりかかるバーニー。
 しかし、ウォーリーたちが騒ぎを起こしたために、注意をそがれて、バーニーはまた溶接スティックを落としてしまう。バーニーはまたスペアの溶接スティックを取りに船内へ。
 作業再開。
 すぐそばのハッチから宇宙遊泳していたイヴが船内に飛び込んだために、ハッチが閉まってしまう。
 中に戻れなくなったバーニーは焦る。
 しばらくして、スクラップにされたイヴとウォーリーが船内から捨てられたために、1つの扉が開くが、バーニーが駆け込もうとしても間に合わない。
 バーニーは、作業を続けているうち、バーナーで外壁を破って中に入ればいいことに気づき、実行。
 中ではちょうと艦長がAUTOと戦っている。
 バーニーは、自分の開けた穴で、故障ランプが点いていることを知るが、アクシオン号が揺れ、続いて、宇宙船が地球への高速飛行(ワープ?)に入ったので、身動きできなくなる。
 アクシオン号が地球に着陸。
 バーニーは、故障感知装置が、船外に飛び出してしまったのを知って、故障感知装置めがけて飛ぶ。
 故障はクリアされて、バーニーはようやく一連の修理から解放されたかと思いきや、宙に舞っていた円形のパーツがアクシオン号に激突して、再び故障中のランプが点く。
 バーニーはがっくりとうなだれる。

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 『バーニー』は、というより、『ウォーリー』は、ということでいうと、一つ一つCGアニメーションの技術を開発・修得し、一つ一つ作品世界を広げてきたピクサーによる、ピクサーらしい新たなステップを感じさせます。

 つまり、『ウォーリー』は、メカだけを主人公とする物語としては『カーズ』(2006)の延長線上にあり、宇宙ものSFとしては『レミーのおいしいレストラン』(2007)の併映作品であった短編『リフテッド』(2006)の延長線上にあって、宇宙を舞台にしたメカを主人公とする物語(長編)を、この時点で、満を持して登場させた、ということになるというわけです。

 ストーリー的にも、最新のメカとクラシックのメカとの心の交流という意味で『トイ・ストーリー』の延長線上にある作品ということができます。

 恋愛感情をメインのプロットに持って来たのは、ピクサー作品としては初めてで、それも、「ただ手をつなぎたいだけ」というのは、何事も一歩ずつ着実に進めなければ気が済まない、ピクサーらしい仕事(恋愛初心者?)、といってもいいかもしれません。人間どうしのロマンチックな/ドラマチックなラブ・ストーリーをCGアニメーションで描く、というのも、きっとピクサーの長期計画に入っているはずで、そう遠くない将来にきっと見せてもらえるだろうと思われます。スリラーとかホラー・タッチの作品とか新しいジャンルの作品にもきっといつか挑戦していくんでしょうが。

 『バーニー』は、大活劇を繰り広げている主人公たちの陰で、人知れず悪戦苦闘している脇役の物語で、いかにもサブ・ストーリー(あるいは、スピン・オフ)らしい作品です。
 イノセントでありながらもヒロイックな活躍をして本編の主役となってしまうウォーリーよりも感情移入しやすいキャラクターといってもいいかもしれません。
 ウォーリーもイヴもバーニーも組織に属して自分の使命を果たすだけの一ロボットですが、「辺境」にあってある程度の自由を獲得しているウォーリーや、ロボットの中でもエリートらしいイヴよりも、バーニーはより「管理社会の歯車」的なキャラクターで、一般的な社会人に近い存在だということもできます。

 これまでピクサー作品のスピン・オフ短編には、『モンスターズ・インク』に対して『マイクとサリーの新車でGO!』、『Mr.インクレディブル』に対して『ジャック・ジャック・アタック!』と『Mr.インクレディブルと友人たち』、『カーズ』に対して『メーターと恐怖の火の玉』という風に作られてきましたが、これまでのスピン・オフ作品は、長編のメイン・キャラクターもしくはサブ・キャラクターを使った小エピソードだったのに対して、『バーニー』は本編のサイド・ストーリーとなっているわけで、スピン・オフ作品としては新しいパターンということになります(もっとも『ジャック・ジャック・アタック!』は元々本編に組み込むはずだったエピソードをはずして短編にしたものですが)。

 『Mr.インクレディブルと友人たち』や『メーターと恐怖の火の玉』、そしてこの『バーニー』は、劇場公開時の併映作品ではなく、本編のDVDリリース時の特典として作られた短編で、DVDの1つの楽しみとなっているわけですが、本編完成後にこれだけの短編(長さだけ見ても本編の10数分の1ある)を本編公開からDVDリリース時までの期間(3~4ヶ月)で作れてしまうのは、やはり豊富な人材と組織力を誇るピクサーだからこそできる芸当、でしょうか。

 ◆作品データ
 2008年/米/7分35秒
 台詞なし/字幕なし
 CGアニメーション

 *この作品は、DVD特典として、DVD『ウォーリー』に収録されています。

 ◆監督について
 アンガス・マクレーン(Angus MacLane)
 アンガス・マクレーンは、『ゲーリーじいさんのチェス』(1997)以降のほとんどのピクサー作品(長編も短編も)に関わっているアニメーターで、『Mr.インクレディブル』(2004)ではアニー賞キャラクター・アニメーション賞を受賞。『ウォーリー』ではアニメーション監督を務めています。
 本作が初脚本・初監督作品になります。

 *当ブログ関連記事
 ・ピクサーの短編についてまとめてみました:http://umikarahajimaru.at.webry.info/200701/article_15.html
 ・映画『ウォーリー』をもっと楽しむための約35のトリビア:http://umikarahajimaru.at.webry.info/200812/article_35.html

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 ※参考:「tantano 短編映画を楽しむ」を楽しむ
 ・「tantano 短編映画をたのしむ」INDEX
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