映画賞レース2008、いよいよスタート! まずは、ゴッサム・アワード

 映画賞レースの先陣を切って発表されるゴッサム・アワードのノミネートが発表されました。
 ゴッサム・アワードは、Independent Feature Project (IFP)という全米で最も大きなインディペンデント系のフィルムメーカーの組織で、ノミネート作品は、メジャー・スタジオの作品を対象にしないのと、ノミネート対象期間が早いのとで、他の映画賞とは多少ズレが出てきますが、これで2008年度の映画賞の賞レースをどんな作品がエントリーされることになるか(というか、どんな作品が2008年の賞レースを席捲することになるのか)、大雑把に知ることができます。

 また、ゴッサム・アワードは、新人に脚光を当てる賞(部門)が多く、受賞結果も、ゴールデン・グローブ賞やアカデミー賞と重なりつつも、違ったものになるのですが、ミニシアター系の作品が好きな人には納得できるものになっています。

 ちなみに、2007年の主な受賞結果は以下の通りです。
 最優秀作品賞:『イントゥ・ザ・ワイルド』
 最優秀ドキュメンタリー賞:『シッコ』
 新人賞:エレン・ペイジ
 新人監督賞:Craig Zobel(“Great World of Sound”)
 アンサンブル賞:“Before the Devil Knows You're Dead”、“Talk to Me”
 トリビュート・アワード 俳優部門:ハビエル・バルデム
 トリビュート・アワード フィルムメーカー部門:ミラ・ナーイル

画像

 2008年度のノミネーションは以下の通りです。受賞結果発表は12月2日です。

 【最優秀作品賞】
 ・ランス・ハマー Lance Hammer “Ballast”
 ・コートニー・ハント “Frozen River”
 ・チャーリー・カウフマン “Synecdoche, New York”
 ・トマス・マッカーシー “The Visitor”
 ・ダーレン・アロノフスキー “The Wrestler”

 【新人監督賞】(Breakthrough Director)
 ・アントニオ・カンポス Antonio Campos(“Afterschool”)
 ・デニス・ドイチ Dennis Dortch(“A Good Day to Be Black & Sexy”)
 ・ランス・ハマー Lance Hammer(“Ballast”)
 ・バリー・ジェンキンス Barry Jenkins (“Medicine for Melancholy”)
 ・アレックス・リヴェラ Alex Rivera(『スリープ・ディーラー』“Sleep Dealer”)

 【アンサンブル賞】(Best Ensemble Performance)
 ・“Ballast”(ランス・ハマー Lance Hammer)
 ・“Rachel Getting Married”(ジョナサン・デミ)
 ・“Synecdoche, New York”(チャーリー・カウフマン)
 ・“Vicky Cristina Barcelona”(ウディ・アレン)
 ・“The Visitor”(トマス・マッカーシー)

 【新人賞】(Breakthrough Actor)
 ・レドロ・カスタネーダ Pedro Castaneda(“August Evening”)
 ・ローズマリー・デウィット Rosemarie DeWitt(“Rachel Getting Married”)
 ・レベッカ・ホール Rebecca Hall(“Vicky Christina Barcelona”)
 ・メリッサ・レオ Melissa Leo(“Frozen River”)
 ・マイケル・J・スミス,Sr. Micheal J. Smith, Sr.(“Ballast”)

 【映画館じゃ上映してないけどいい映画で賞】(Best Film Not Playing at a Theater Near You)
 ・アントニオ・カンポス Antonio Campos “Afterschool”
 ・テイラー・グリーソン Taylor Greeson “Meadowlark”
 ・トム・クイン Tom Quinn “The New Year Parade”
 ・ニーナ・パレイ Nina Paley “Sita Sings the Blues”
 ・ジェイク・マハフィー Jake Mahaffy “Wellness”

 【最優秀ドキュメンタリー賞】(Best Documentary)
 ・グイド・サンティ Guido Santi、ティナ・マスカラ Tina Mascara “Chris & Don: A Love Story”
 ・ヴェルナー・ヘルツォーク 『世界の果ての出会い』“Encounters at the End of the World”
 ・ジェームズ・マーシュ “Man on Wire”
 ・マリア・ゼノヴィッチ Maria Zenovich “Roman Polanski: Wanted and Desired”
 ・ティア・レッシン Tia Lessin、カール・ディール Carl Deal “Trouble the Water”

 【トリビュート・アワード】(決定済み)
 フィルムメーカー部門:ガス・ヴァン・サント、メルヴィン・ヴァン・ピープルズ
 俳優部門:ペネロペ・クルス

--------------------------------

 今年のカンヌのコンペ部門に選ばれた“Synecdoche, New York”や、今年のベネチアで金獅子賞を受賞した“The Wrestler”、同じく同映画祭で受賞を競った“Rachel Getting Married”が賞レースに参戦してくるのは、十分想定の範囲内でしたが、何と言っても注目されるのは、Lance Hammer “Ballast”とCourtney Hunt “Frozen Riverでしょうか。
 と言っても、Lance Hammer “Ballast”は今年のベルリン国際映画祭のコンペ部門に選出され、サンダンス映画祭でも監督賞&撮影賞を受賞した作品であり、Courtney Hunt “Frozen River”も今年のサンダンス映画祭で審査員賞を受賞したほか、ナンタケット映画祭で監督賞、ハンブルグ映画祭で批評家賞を受賞した作品で、先頃開催されたサン・セバスチャン国際映画祭でもコンペ部門に選出され、女優賞(Melissa Leo)&TVE Otra Mirada Awardを受賞しています。つまり、2作品とも、監督が新人で、有名な俳優が1人も出ていないということはありますが、今年の春から注目を浴びていた作品だったということです。この2作品は、今後、『リトル・ミス・サンシャイン』や『ジュノ』のように、賞レースを通して、一般的にも大きく知られていく作品になる可能性は高いですね。

画像

 “Ballast”は、ミシシッピ・デルタで暮らすシングル・マザーの物語で、“Frozen River”はモホーク地区で暮らすシングル・マザーの物語だそうです。

画像

--------------------------------

 ゴッサム・アワードには、主演男優賞や主演女優賞はありませんが、これらのノミネート作品から他の映画賞の俳優部門のノミネーションが出てくるであろうということも容易に想像できます。
 ミッキー・ローク(“The Wrestler”)、フィリップ・シーモア・ホフマン(“Synecdoche, New York”)、スカーレット・ヨハンセン(“Vicky Christina Barcelona”)、アン・ハサウェイ(“Rachel Getting Married”)あたりが、ノミネート当確という感じでしょうか。

 個人的には、今年の東京国際映画祭で観たばかりのヴェルナー・ヘルツォーク『世界の果ての出会い』がノミネートされてるのがうれしかったですね。
 この作品は、ヘルツォークが、科学財団に招かれて訪れた南極で撮影したドキュメンタリーで、極限的な世界で(研究等の目的で)生きる人々(&生き物)へのヘルツォークへの好奇心に沿って進行させつつ、最終的には観る者に人間の生き方や地球環境のことにまで考えさせる作品で(そういう意味では、同じく東京国際映画祭上映作品である『ザ・ムーン』と似た効果をもたらす作品です)、出色の面白さでした。現時点で観た今年の東京国際映画祭上映作品の中ではベストかもしれません。

画像

 *この記事がなかなかよかった!と思ったら、人気ブログランキングにクリックをお願いします。
 ↓ ↓ ↓ ↓
 
 ↑ ↑ ↑ ↑
 クリックしてね!

 追記:
 このほかの作品で、現在、賞レースの下馬評に上がっているのは、
 ・クリストファー・ノーラン『ダーク・ナイト』
 ・クリント・イーストウッド“Changeling”
 ・ロン・ハワード“Frost/Nixson”
 ・サム・メンデス“Revolutionary Road”
 ・ガス・ヴァン・サント“Milk”
 ・ジョー・ライト“The Solist”
 ・ダニー・ボイル“Slumdog Millionaire”
 ・スティーブン・ダルドリー『朗読者』
 ・デイヴィッド・フィンチャー『ベンジャミン・バトン 数奇な人生』
 ・バズ・ラーマン『オーストラリア』
 等があります。アニメーション部門は、『ウォーリー』がほぼ当確ですね。

 賞レースの大勢が判明するのは、12月上旬に発表されるナショナル・ボード・オブ・レビューと、ニューヨーク、ロサンゼルス、サンフランシスコの各映画批評家協会賞になります。

 参考 昨年の場合:http://umikarahajimaru.at.webry.info/200712/article_17.html

 ※受賞結果はこちらhttp://umikarahajimaru.at.webry.info/200812/article_7.html

 *当ブログ記事
 ・2008年度映画賞レース スケジュール表!:http://umikarahajimaru.at.webry.info/200811/article_10.html

この記事へのコメント

この記事へのトラックバック