ただ美しくなりたかったロボットの運命  “Doll Face”

 ネット上で、いろいろ覗いていて見つけた1篇。You Tubeでは、200万以上ヒットしている動画で、「これは、素人の仕事じゃないな」と思ったら、23歳の学生(当時)(ただしプロとしてもキャリアを積んでいた)の作品でした。2006年に日本の「ギズモード・ジャパン」でも紹介されて話題になった作品だそうです。

 

 【物語】
 高位置に取り付けられたテレビ。
 その前に、ハンドルつきのアルミのボックスがあり、ハンドルが倒れて、中から機械じかけの“Doll Face”が顔を出す。
 “Doll Face”は、目の前に映し出されるテレビの映像に関心を示す。
 そして、テレビに映し出される女性の顔をまねて、唇に口紅を塗り、アイラインを入れ、チークを入れる。
 テレビが離れると、体を伸ばして、テレビに映る映像をもっとよく見ようとする。
 “Doll Face”は、眼球を入れ、皮膚の色も整える。
 さらにテレビが離れていくと、“Doll Face”も体を伸ばして、テレビを追おうとする。
 しかし、“Doll Face”の体長には限界があり、限界を超えて伸びようとしたために、ショートし、壊れてしまう。
 床にたたきつけられて、破損する“Doll Face”の顔。
 その姿を映していたのも実はテレビで、自動的にスイッチが切れる。

画像

 ◆コメント
 進化し、自律性を獲得し始めたロボットやアンドロイドが、より人間に近づこうとして、あるいは、人間と同等になろうとしてかなわずに、悲劇的な運命を享受するという物語は、これまでにも数多く作られていますが、これもそうした系譜につらなる作品です。

 とてもシンプルな物語ながら、悲しみとしかいいようのない思いに胸を打たれるのは、やはり、①きれいになりたいというシンプルな気持ちに共感し、また、②あらかじめ決定され、受け入れるしかない“定め”というものがあり、そうした宿命性に対してシンパシーを覚えるから、でしょうか。

 このロボットの、顔だけが人間に似せられている、という点では、スピルバーグの『A.I.』を思い出させるところもあります。

 この監督は、今はCMやミュージック・ビデオなどを中心に活躍しているようですが、いずれは長編作品を依頼され、有名になっていくのではないでしょうか。なんといっても23歳でこのようなクオリティーの高い作品を作ることができたのですから。

 ちなみに、この監督は、自分のホームページも持っていますが、Andrewhuの名前で、自分の作品をYou Tubeにアップしてもいます。

 ◆作品データ
 2006年/米/4分13秒
 台詞なし/字幕なし
 CGアニメーション

 音響・音楽も監督自身が担当しています。
 人形の造形は、Christina Frenzelです。

 
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 ◆監督について
 アンドリュー・トーマス・ファン Andrew Thomas Huang
 ロサンゼルス在住のアニメーター、監督、アーティスト
 1983年(?)生まれ。
 南カリフォルニア大学で現代美術とアニメーションを学ぶ。
 2006年に“Doll Face”がSIGGRAPH Electronic Theaterで紹介されて注目を浴びる。
 在学中からRoot Filmsでキャリアを積む。
 日産Shift2.0などのCMやミュージック・ビデオも手がけている。

 【フィルムグラフィー】
 ・?年 “Fluxis”[ミュージック・ビデオ]
 ・2006年 “Doll Face”[短編]
 ・2007年 “The Gloaming”[短編]
 ・?年 “Pom Tea:Find your inner pom”[CM]
 ・2007年 Minipop “Like I Do”[ミュージック・ビデオ]
 ・2007年 “Projections”[短編]
 ・2008年 Eric Avery “All Remote & No Control”[ミュージック・ビデオ]

 *参考サイト
 ・公式HP:http://www.andrewthomashuang.com
 ・Root Films:http://www.rootfilm.com/
 ・マイコミジャーナル:http://journal.mycom.co.jp/articles/2006/08/04/siggraph03/001.html
 ・SIGGRAPH2006:http://www.siggraph.org/s2006/main.php?f=conference&p=caf&s=et

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