PV「北京オリンピック・聖火リレー」 by チャン・イーモウ 

 北京オリンピックの芸術監督として、開会式と閉会式の演出を手がけるチャン・イーモウは、聖火リレーのプロモーション・ビデオを制作しています。



 【物語】
 時計まわりに渦が広がっていく
 宇宙(銀河?)
 大地
 文様
 目のアップ
 雲の文様
 青空に大地
 花の咲いた木
 青い空に白い雲
 少女の目
 しずくが渦にしたたる
 青い空に白い雲と太陽
 雲と古代美人画
 渦と炎
 夜空に舞い上がる数多くの行灯
 闇の中に渦だけが残る
 渦から光が発する
 近代的なビル
 太鼓
 かかげられる聖火
 聖火ランナー
 炎
 大地を駆ける聖火ランナー
 「黄帝故里」の門
 石仏
 2008年の聖火
 万里の長城
 故宮 その上に雲の文様
 太鼓
 聖火とポスター

画像

 ◆コメント
 繰り返し出てくる渦は、単なる渦だけのものと、外枠線を閉じて、シッポをつけたものの2種類がありますが、これは北京オリンピックの聖火リレーのために、デザインされた「雲」だそうで、「誓いの雲」(Cloud of Promise)と命名されています。
 「誓いの雲」は、中国の歴史・美術・文化に由来する「雲」を、オリンピックのスポンサーの1つであり、聖火リレーのワールドワイド・パートナーであるレノボ(パソコン・メーカー)が聖火のデザイン用に現代風に図案化したもので、それがこのPVにも使用されている、というわけです。

 このPVのストーリーとしては――
 渦を銀河に重ねることで、原初=ここから何かが始まるぞというイメージをつむぎ、
 美人画や石仏、万里の長城によって、舞台となる中国の歴史と文化を示して、そこに度々雲のイメージを重ね合わせ(あるいはピック・アップし)、
 さらに、それだけではないという意味も込めて、現代中国を象徴する現代的なビルなども見せている、
 といった感じでしょうか。

 全体的には、何かが始まる予感と、中国の悠久の歴史や文化を「雲」でつなぎ、中国という国のスケール感や、たくましさ、力強さ、を示している、と見ることができます。

 ◆作品データ
 2007年/中国/1分9秒(インターナショナル・バージョン)
 台詞なし/字幕なし
 PV

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 3分バージョンもあります。



 こちらでは、1分バージョンではよくわからなかった図案化された「雲」がはっきり「雲」であると認識でき、その「雲」が中国の文化や歴史と、各パートのイメージをつないでいっていることがよくわかります。

 1分バージョンとの最も大きな違いは、聖火が世界各地をリレーして中国にやってくることを秒数を使って示していることで、「中国でオリンピックが行なわれること」を前面に出されている1分バージョンに対して、3分バージョンでは「聖火がリレーされて中国に来ること」がはっきりと示されています。

 CGやアニメーションも、1分と3分という長さの違い以上に、3分バージョンではより効果的に使われています。

 ◆作品データ
 2007年/中国/2分51秒
 台詞なし/字幕なし
 PV

 
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 *参考
 レノボのサイト:http://www.lenovo.com/news/jp/ja/2007/04/0427.html

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 ◆監督について
 チャン・イーモウ 張藝謀/Zhan Yimou
 中国第五世代を代表する監督の一人。

 1951年、西安生まれ。
 高等中学を卒業後、1966年より農村や紡績工場などで働く。
 1978年に北京電影学院撮影科に入学、1982年卒業。
 1985年、西安映画製作所に配属される。『一人と八人』『黄色い大地』『大閲兵』『古井戸』の撮影監督を務め、中国ニューウェーブの映像・画面作りに大きく貢献した。
 1987年の『紅いコーリャン』で監督デビュー。この作品はベルリン映画祭金熊賞を受賞し、チェン・カイコーらとともに中国第五世代の登場を大きく印象づけた。
 1990年の『菊豆』は中国映画(香港映画を除く)として日本で初めて拡大公開された作品となった。
 1995年までの初期の監督作品は、過酷な歴史や厳しいしきたりの中で本音や本能で生きようとした女性を描いた作品で、女優コン・リーが主役を務め、「紅」を基調とした画面作りを特徴とした。
 1999~2002年は、それまでの作風から一転させ、現代中国の庶民の生き方をやさしいまなざしで見つめた3部作『あの子を探して』『初恋のきた道』『至福のとき』を発表。これ以降の作品は国外での配給をハリウッド・メジャーが手がけるようになった。
 2002年の『HERO』以降は、特撮を多用したスペクタクル性の強いアクション大作を発表し、新境地を開いた。
 さらに、2006年の『王妃の紋章』は、中国映画史上ナンバーワンとなる興行成績を残している。

 起用した俳優から才能を引き出す手腕には定評があり、何人ものスターを生み出している。

 『紅夢』でベネチア国際映画祭銀獅子賞、『秋菊の物語』でベネチア国際映画祭金獅子賞、『活きる』でカンヌ国際映画祭審査員特別賞、『あの子を探して』で2度目のベネチア国際映画祭金獅子賞、『初恋のきた道』でベルリン国際映画祭銀熊賞(審査員グランプリ)など受賞歴も多い。

 映画『「あの子を探して」ができるまで』は、単なるメイキングにとどまらない、チャン・イーモウの創作の秘密を知ることができる出色のドキュメントである。

 【フィルモグラフィー】
 ・1984年 『一人と八人』 [撮影] (監督:チャン・チュンチャオ)
 ・1984年 [撮影] (監督:チェン・カイコー)
 ・1985年 『大閲兵』 [撮影] (監督:チェン・カイコー)
 ・1987年 『古井戸』 [撮影/出演] (監督:ウー・ティエンミン)
 ・1987年 『紅いコーリャン』 [監督/出演] 
 ・1988年 『ハイジャック/台湾海峡緊急指令』 [監督] (共同監督:ヤン・フォンリャン)
 ・1989年 『テラコッタ・ウォリア/秦俑』 [出演] (監督:チン・シウトン)
 ・1990年 『菊豆』[監督](共同監督:ヤン・フォンリャン) 
 ・1991年 『紅夢』 [監督] 
 ・1992年 『画魂-愛、いつまでも』 [製作総指揮] (監督:ホァン・ショーチン)
 ・1992年 『秋菊の物語』 [監督] 
 ・1994年 『活きる』 [監督]
 ・1994年 『項羽と劉邦/その愛と興亡』 [監修](監督:スティーヴン・シン)
 ・1995年 『上海ルージュ』 [監督]
 ・1995年 『キング・オブ・フィルム/巨匠たちの60秒』[監督]
 ・1996年 『龍城恋歌』 [製作総指揮](監督:ヤン・フォンリャン)
 ・1997年 『キープ・クール』 [監督/出演]
 ・1999年 『あの子を探して』 [監督]
 ・1999年 『初恋のきた道』 [監督]
 ・2000年 『トゥーランドット』 [演出](監督:アラン・ミラー)
 ・2002年 『「あの子を探して」ができるまで』 [監修/出演](監督:吉田啓)
 ・2002年 『至福のとき』 [監督]
 ・2002年 『HERO』 [監督/脚本]
 ・2003年 “威馳新風” [監督][PV]
 ・2004年 『LOVERS』 [監督/脚本]
 ・2005年 『単騎、千里を走る。』 [監督/原案]
 ・2006年 『王妃の紋章』 [監督/脚本]
 ・2006年? “成都~一座來了就不想離開的都市” [監督][PV]
 ・2007年 『映画をみる』(『それぞれのシネマ』) [監督]
 ・2007年 『北京オリンピック・聖火リレー』 [監督][PV]

 ※参考:「tantano 短編映画を楽しむ」を楽しむ
 ・「tantano 短編映画をたのしむ」INDEX
 ・「tantano 短編映画をたのしむ」 人気動画 トップ39!

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