ゴッホ風のアレクサンドル・ペトロフ! “Pacific Life”

 You Tubeにアップされたばかりらしいアレクサンドル・ペトロフの最新動画。



 【物語】
 (ゴッホ風の)海と空。
 海面からクジラがジャンプして身を翻らせる。
 クジラは、海中に戻ると、激しい水しぶきを飛び散らせる。
 そして海面から尾を出して海面をたたく。
 (ミロ風のタッチで)並んで泳ぐ3頭のクジラ。
 (また元の絵のタッチに戻って)海面から尾を出したり、水を噴き上げたりしているクジラの群れ。
 1頭のクジラがまた海面から大きく身を乗り出させたところで、「海面近くからきらめく水面を見上げるアングルで撮った実写画像」をバックにしたPacific Lifeのロゴに重なる。

画像

 ◆コメント
 Pacific Lifeは、テニスの大会(Pacific Life Open)のスポンサーとして有名ですが、1868年創業のアメリカの会社で、保険、年金、投資信託などを扱う資産運用会社の老舗です。

 しかし、ニューファンドランド・ラブラドール州のプロモーション用スポットを作るならともかく、アレクサンドル・ペトロフが資産運用会社のスポットを作ったりするの?と、私には彼がPacific Lifeのスポットを作ったということにちょっと意外さを感じたりもしたんですが、彼もPASCAL BLAIS ANIMATION(http://www.pascalblais.com/index2.html)と契約している立場上、仕事を選んでばかりもいられないということなのでしょうか。

 Pacific Lifeのロゴは、「海面から上体をのり出させて、今にも身を翻らせようとしているクジラ」ですが、おそらくペトロフの『老人と海』を観て、両者に通じ合うものを感じた人がいたということなのでしょう。You Tubeにアップされている動画は、最後にPacific Lifeのロゴが入っている以外は純粋なアニメーション作品ですが、スポットとしてはテロップとナレーションが入った、いわゆるCMらしい作品になったものが別にちゃんとあります(Pacific LifeのHP(http://www.pacificlife.com/About+Pacific+Life/General+Information/advertising.htm)で観ることができます)。

 作品としては、ゴッホ風の(後期印象派を思わせる)タッチの画像に、ミロ風のタッチの絵が挿入されているのがアクセントになっていますが、これは「クジラの跳躍」そのものの映像の中に、それを観た子どもの絵日記風のイメージ画が織り込まれている、と考えればよいでしょうか。

 「動く油絵」として知られるペトロフですが、これまではロシア風の物語画を思わせるようなタッチの作品が多かったのに対して、今回のようなゴッホ風の作品はちょっと新鮮で面白かったですね。ひょっとすると、次回作として、ゴッホ、もしくはゴッホ風の作品を構想中、ということなのかもしれません。だとしたらちょっと楽しみですね。

 ◆作品データ
 2007年?/カナダ/34秒
 台詞なし/字幕なし
 アニメーション

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 ◆監督について
 アレクサンドル・ペトロフ
 1957年ヤロスラヴリ州プリスタチャ村生まれ。

 美術専門学校で絵画を学ぶ。卒業後、モスクワのゼンソ映画大学アニメ画学部に入学し、イワン・イワノフ=ワ—ノの講座をとる。3年の時にユーリ・ノルシュテインの『話の話』を観て衝撃を受ける。81年、卒業と同時にウラルのスベルドロク(現エカテリンブルグ)の映画スタジオで、アニメーション美術を担当する。
 その後、改めて映画大学の“アニメーションの監督とシナリオライターのための特別コース”に入学し、ユーリ・ノルシュテインに教わる。

 卒業制作作品『雌牛』で広島国際アニメーションフェスティバル グランプリ受賞。

 ガラス板に油絵の具で絵を描くという手法(ガラス・ペインティング)を得意とし、文芸色の強い作品を発表し続けている。

 日本・カナダ・ロシアで共同製作した『老人と海』でアカデミー賞短編アニメーション賞を受賞。
 『マイラブ 初恋』は、広島国際アニメーションフェスティバルで観客賞&国際審査員特別賞を受賞。タイトルを『春のめざめ』と変えて、三鷹の森ジブリ美術館の配給で2007年3月17日より、東京・渋谷シネマアンジェリカにて劇場公開(同時上映『岸辺のふたり』)。「『春のめざめ』原画展」が2007年1月27日より三鷹の森ジブリ美術館ギャラリーで開催。

 アレクサンドル・ペトロフ選出によるベスト・アニメーション(『世界と日本のアニメーションベスト150』(ふゅーじょんぷろだくと))は―
 『クラック!』『木を植えた男』『話の話』『霧につつまれたハリネズミ』『あおさぎと鶴』『岸辺のふたり』『禿山の一夜』『手』『灰色のめんどり』『草上の朝食』『タンゴ』『ボニファティウスの休暇』『犬が住んでいました』『ストリート』『がちょうと結婚したふくろう』『丘の農家』『ウォレスとグルミット ペンギンに気をつけろ!』『作家』『柔和な女』『ストリート・オブ・クロコダイル』。

 ・1981年 “Khalif-aist”<TV>[脚本]

 ・1984年 “Poteryalsya slon”[プロダクション・デザイナー]

 ・1986年 “Dobro pozhalovat”(Welcome)[アート・ディレクター]

 ・1988年 “Marathon”[アニメーター]

 ・1989年 『雌牛』 “Korova”(Cow)[監督]

 ・1991年 “I vozvrashchaetsya veter...”(And the Wind Returneth)[プロダクション・デザイナー]

 ・1991年 “Tsareubiytsa”[セット・デザイナー]

 ・1992年 『おかしな人間の夢』 “Son smeshnogo cheloveka”(Сон смешного человека、The Dream of a Ridiculous Man)[監督]

 ・1997年 『マーメイド(水の精)』 “ Rusalka”(Mermaid)[監督]

 ・1999年 『老人と海』 “The Old Man and the Sea” [監督]

 ・2003年 『冬の日』の「影法の暁寒く火を焼きて あるじは貧にたえし虚家」(杜国)を担当[アニメーション制作]

 ・2006年 『春のめざめ(マイラブ 初恋)』“My Love” [監督]
 *「見直してみたら、凄かった! 『春のめざめ』」

 ・2006年 ニューファンドランド・ラブラドール州 プロモーション用アニメーション“Pitch Plant” [監督]

 ・2007年? “Pacific Life” [監督]

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