けっこう意欲的! 第21回シンガポール国際映画祭!

 4月4日から、第21回シンガポール国際映画祭が開催されます。

 まあ、シンガポール国際映画祭といってもなじみがないと思いますが、45カ国以上からの300を越える作品が上映される東南アジアで最大級の国際映画祭です(7月に開催されるバンコク国際映画祭もかなり規模が大きく、フィリピンには今年で10回目を迎えるシネマニラ国際映画祭があります)。

 シンガポール国際映画祭がスタートしたのは、1987年ですが、この映画祭が面白いのは、自国シンガポールで1本も長編映画が作られていないという状況が20年近くも続いていた中で開催が始まった映画祭だということです。
 そういう国で、国際映画祭が成立し得るの?とは誰しも疑問に思うことだと思いますが、映画祭は一度で終わることなく開催され続け、次第に規模も大きくなりました。

 そんな映画祭に関わりながら、シンガポールの人々も、映画祭を開くこと、自国で映画を作る意味を考えざるを得なかったはずで、映画祭との直接的な因果関係があるかどうかはわかりませんが、結果的に、自分たちの映画、自分たちの物語が観たい、自国で映画を作ろう、という動きが形となり、1991年からシンガポール短編映画のコンペティション・プログラムがスタートし、後年、シンガポール映画を専門に紹介するシンガポール・パノラマ部門も誕生しました(ビデオの普及とともにインディペンデントで短編映画を作る動きは以前からありました)。「シンガポール映画」自体は、まだ10数年しか実質的な歴史はありませんが、映画祭と歩みを揃えるように、徐々に国際的な注目を浴びる映画や映画作家も輩出してきているようです。

画像

 公式サイト(英語):http://www.filmfest.org.sg/index.php

 以下に、今年のシンガポール国際映画祭のラインナップを紹介してみたいと思います。

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 ◆オープニング
 ウェイン・ワン “The Princess of Nebraska”

 ◆クロージング
 デレク・チウ “Road To Dawn”(中)

 ◆シンガポール・ショート Singapore Shorts
 コンペティション部門。ファイナリストに残った7作品を上映。

 ◆シンガポール・パノラマ Singapore Panorama
 17作品の上映

 ・Han Yew Kwang “18 Grams of Love”
 ・ロイストン・タン “After the Rain”[短編]
 ・Tan Siok Siok “Boomtown Beijing”
 ・Ellery Ngiam “Dance of a Modern Marriage”[短編]
 ・Eng Yee Peng “Diminishing Memories 2”[中編]
 ・Yousry Mansour “Dirt Out”
 ・Kan Lumé “Dreams From The Third World”
 ・Sherman Ong “Hashi”(日本・シンガポール・マレーシア)
 ・Anthony Chen “Haze”[短編]
 ・James Leong、Lynn Lee “Homeless FC”
 ・Abdul Nizam Hamid “Keronchong For Pak Bakar”[中編]
 ・Sun Koh 他 “Lucky7”
 ・Harman Hussin “Road to Mecca”[中編]
 ・Craig Ower “To Speak”(カンボジア・オーストラリア・シンガポール)
 ・Zaihirat Banu Codelli “Veil of Dreams”[中編]
 ・Sam Loh “Vivid”[短編]
 ・Lim Mayling “Women Who Love Women: Conversations in Singapore”[中編]

 ◆アジア映画 Asian Cinema
 シンガポール国際映画祭には、部門としての「コンペティション部門」というのはありませんが、アジア映画の中からグランプリ(シルバー・スクリーン・アワード)、監督賞、男優賞、女優賞などが選ばれます。対象となるのは、おそらく「シンガポール・パノラマ部門」とこの「アジア映画部門」からだろうと思われます。

 2008年度は、上映作品が、インドネシア映画が9本でトップ、続いて、ベトナム映画6本、フィリピン映画5本、インド映画・マレーシア映画・イラン映画がそれぞれ4本、中国映画が3本、日本映画・韓国映画がそれぞれ2本、クルディスタン・パキスタン・シリア・カンボジア・台湾・カザフスタン・タイがそれぞれ1本ずつとなっています。

 マレーシアのジェームズ・リー監督作品が3本上映されるほか、ベトナムのLai Van Sinh監督作品とインドネシアのSjuman Djaya監督作品が2本ずつ上映されます。

 ・Arup Manna “Aideu - Behind the Screen”(インド)
 ・廣木隆一 『縛師』(日)
 ・ジェームズ・リー “Breathing in Mud”(マレーシア)
 ・Sudabeh Mortezai “Children of the Prophet”(イラン)
 ・Lav Diaz “Death in the Land of Encantos”(フィリピン)
 ベネチア国際映画祭2007 Orizzonti Doc部門スペシャル・メンション
 ・John De Rantau “Denias, Singing on the Cloud”(インドネシア)
 ・Hiner Saleem “Dol - The Valley of Tambourines”(クルディスタン・仏・独)
 ・Ariani Darmawan “Dragons Beget Dragons”(インドネシア)[中編]
 ・Liew Seng Tat “Flower in the Pocket”(マレーシア)
 ・Robin Weng Shouming “Fujian Blue”(中)
 ・ジェームズ・リー “Histeria”(マレーシア)
 ・周防正行 『それでもボクはやってない』(日)
 ・Ann Dong-hee 他. “If You Were Me: Anima Vision 2”(韓)
 ・Shoaib Mansoor “In The Name Of God”(パキスタン)
 ・Surabhi Sharma “Jahaji Music”(インド)
 ・Eros Djarot、Gotot Prakosa、Slamet Rahardjo Djarot “Kantata Takwa”(インドネシア)
 ・Dao Duy Phuc “The Life”(ベトナム)
 ・Hai Ninh “Little Girl of Hanoi”(ベトナム)
 ・Yoon Seong-ho “Milky Way Liberation Front”(韓)
 ・Lai Van Sinh “Mrs. Nam”(ベトナム)[短編]
 アジア・太平洋映画祭2000 最優秀短編映画賞
 ・Pham Ky Nam “Mrs. Tu Hau”(ベトナム/1963)
 ・Bappaditya Bandopadhyay “Our Time”(インド)
 ・アブドゥルラティフ・アブドゥルハミド 『サービス圏外』(シリア)
 アラブ映画祭2008にて上映
 ・Rithy Panh “Paper Cannot Wrap Up the Embers”(カンボジア・仏)
 ・Lai Vanh Sinh “Path of Justice”(ベトナム/2005)
 ・Auraeus Solito “Philippine Science”(フィリピン)
 ・Nan Triveni Achnas “The Photograph”(インドネシア)
 ・Babak Shirinsefat “Raami”(イラン・アゼルバイジャン)
 ・Charlie Nguyen “The Rebel”(ベトナム)
 ・Ron Morales “Santa Mesa”(フィリピン・米)
 ・Ashish Avikunthak “Shadows Formless”(インド)
 ・Sjuman Djaya “Sharp Gravel”(インドネシア/1987)
 ・Sjuman Djaya “Si Mamad”(インドネシア/1973)
 ・Farshid Azari “The Sight”(イラン)
 ・Gotot Prakosa “Sitarasmi”(インドネシア)
 ・ブリラント・メンドーザ “Slingshot”(フィリピン)
 第2回アジアン・フィルム・フェスティバル 編集賞ノミネート
 ・チャン・ツォーチ “Soul of a Demon”(台湾)
 ・Abai Kulbai “Swift”(カザフスタン)
 ・ガリン・ヌグロホ “Teak Leaves at the Temple”(インドネシア)
 ・リー・チーシアン 『思い出の西幹道』(日・中)
 ・Djenar Maesa Ayu “They Say, I'm a Monkey!”(インドネシア)
 ・Naghi Nemati “Those Three”(イラン)
 第2回アジアン・フィルム・フェスティバル撮影賞ノミネート
 ・Pimpaka Towira “The Truth be Told”(タイ)
 ・ワン・チュアンアン 『トゥヤーの結婚』(中)
 ベルリン国際映画祭2007金熊賞&国際批評家連盟賞
 ・ジェームズ・リー “Waiting For Love”(マレーシア)
 ・John Torres “Years When I Was a Child Outside”(フィリピン)

 ◆ワールド・シネマ World Cinema
 主な上映作品は以下の通り

 ・ウェイン・ワン “1000 Years of Good Prayers”(米)
 ・バーバラ・リーボヴィッツ 『アニー・リーボヴィッツ』(米)
 ・エラン・コリリン 『迷子の警察音楽隊』(イスラエル)
 ・ガイ・マディン 『脳に烙印を!』(カナダ)
 ・アレクセイ・バラバノフ “Cargo 2000”(ロシア)
 ・ガエル・ガルシア・ベルナル “Déficit”(メキシコ)
 ・ピーター・ウィアー “Gallipoli”(オーストラリア)
 ・トッド・ヘインズ 『アイム・ノット・ゼア』(米)
 ・サム・ガルバルスキ 『やさしい手』(独・ベルギー・ルクセンブルグ・英・仏)
 ・パスカル・フェラン 『レディ・チャタレイ』(仏・ベルギー・英)
 ・カトリーヌ・ブレイヤ “The Last Mistress”(仏)
 ・ジュリアン・シュナーベル “Lou Reed’s Berlin”(米)
 ・タル・ベーラ “The Man from London”(ハンガリー・独・仏)
 ・ガイ・マディン “My Winnipeg”(カナダ)
 ・アンドレア・アーノルド “Red Road”(英・デンマーク)
 ・ピーター・ボグダノヴィッチ “Runnin' Down A Dream: Tom Petty & The Heartbreakers”(米)
 ・ミルチョ・マンチェフスキー “Shadows”(マケドニア・独・伊・ブルガリア・西)
 ・マルコ・S・プッチオーニ “Shelter”(伊)
 ・ロイ・アンダーソン 『愛おしき隣人』(スウェーデン)

 ◆Free Program
 短編や中編、特別上映作品などを上映するプログラム。主な上映作品は以下の通り。

 ・韓国フィルム・アカデミー短編2007
 ・ライナー・ヴェルナー・ファスビンダー “Plague of the Gods”(独/1970)
 ・タン・チュイムイ “Nobody’s Girlfriend”(マレーシア)[短編]
 ・ニーナ・ダヴェンポート “Operation Filmmaker”(米)
 ・シンガポール短編特集:ノン・コンペティション 1~5
 ・ライナー・ヴェルナー・ファスビンダー “The Third Generation”(独/1979)

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 ラインナップを見ると、客寄せのためのハリウッド映画のプレミア上映などはなくて、アジア映画に目を向けたなかなか意欲的な映画祭になっていることがわかります。

 ANAのキャンペーンで、シンガポール・ツァーが39800円になると盛んにCMで宣伝されていますが、それがGWからで、この映画祭期間と重ならないのが、残念と言えば残念ですね。

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