劇場公開中なのに、もう…… 『リフテッド』

 現在公開中の『レミーのおいしいレストラン』の併映作品『リフテッド』“Lifted”。
 今年のアカデミー賞短編アニメーション賞にノミネートされていた作品なので、何らかの形で2006年に米国内で上映されたということなのでしょうが、今の段階で既に動画サイトに多数投稿されています。



 【物語】
 満月の夜。
 『インデペンデンス・デイ』を思わせる円盤が、ある一軒の家のそばに飛来する。
 円盤の中では、コンソールを前に宇宙人の新米操縦士がいて、光線を使って家の中の住人を円盤の中に引き上げようとしている。彼には指導教官の宇宙人が付き添っていて、新米の操作の出来をチェックしている。
 しかし、新米の操作はうまくいかず、なかなか住人を窓から出すことができず、壁や天井にぶつけてばかり。ようやく円盤の中まで引き上げたかと思うと、収容するのを忘れて、落としてしまったりする。
 指導教官は、落としかけた地球人を元の部屋に戻し、乱れた部屋の内部も元通りにする。
 指導教官の操縦で円盤が帰路につこうとしたところで、指導教官は新米が涙を流しているのを見て、せめて帰路の操縦だけは任せてみることにする。
 順調に上昇しかけた円盤は、しかし、急降下して、家を直撃する。
 円盤はゆらゆらとゆらめきながらも再浮上し、ワープして消え去る。
 後には、円盤の下敷きにならなかった地球人とそのベッドだけが、独立峰のてっぺんに取り残されたような形で残される。それでも目覚めない地球人はいびきをかいている。
 クレジット。その途中で、目覚まし時計が鳴り、目覚めた地球人の絶叫が聞こえる。

画像

 【コメント】
 アカデミー賞短編アニメーション賞は、物語、テーマ&メッセージ性、技術的側面、視覚的表現などが評価の対象になると思うのですが、『リフテッド』の場合、どこが評価されて、賞にノミネートされることになったのか、ちょっとわかりません。

 単なるギャグ・コメディーでしかないと思うのですが、どうなんでしょうか。
 暗い部屋に差し込む光線の立体感などは素晴らしいと思うのですが、そのくらいでノミネートされるものなのでしょうか。今年は、他のノミネート作品に『熱血どんぐりハンター』が入るくらいですから、総体的にレベルが低かったということなのかもしれません。
 まあ、『チャブチャブズ』や『フォー・ザ・バーズ』などという作品がノミネートのみならず、受賞までしてしまう年もあることですから、『リフテッド』がノミネートされるくらいなんということもないのですが。

 ◆作品データ
 2006年/米/5分
 台詞なし/字幕なし
 3D-CGアニメーション

 *2007年米国アカデミー賞短編アニメーション賞ノミネート

 *『レミーのおいしいレストラン』と併映されました。

 ◆監督について
 ゲイリー・リドストロム
 1959年 シカゴ生まれ。
 実は、ゲイリー・リドストロムは音響部門の大ベテランで、これ以前に米国アカデミー賞に9作品計13部門でノミネートされ、4作品7部門で見事受賞しています(すべて複数の該当者との共同受賞)。
 1992年 『バックドラフト』 音響賞・音響効果賞ノミネート
 1992年 『ターミネーター2』 音響賞・音響効果賞受賞
 1994年 『ジュラシック・パーク』音響賞・音響効果賞受賞
 1998年 『タイタニック』 音響賞受賞
 1999年 『プライベート・ライアン』音響賞・音響効果賞受賞
 2000年 『スター・ウォーズ エピソード1』 音響賞ノミネート
 2002年 『モンスターズ・インク』 音響効果賞ノミネート
 2003年 『マイノリティ・リポート』音響効果賞ノミネート
 2004年 『ファインディング・ニモ』音響効果賞ノミネート

 主な作品として、「音響」を担当した作品が、『ルクソーJr.』(1986)、『ティン・トイ』(1988)、『Knick Knack ニック・ナック』(1989)他。
 「音響デザイン」を担当した作品(およびsound re-recording mixerとクレジットされている作品)が、『コクーン2』(1988)、『ホット・スポット』(1990)、『F/X2』(1991)、『バックドラフト』(1992)、『ターミネーター2』(1992)、『リバー・ランズ・スルー・イット』(1992)、『ジュラシック・パーク』(1993)、『ミセス・ダウト』(1993)、『赤ちゃんのおでかけ』(1994)、『クイズ・ショウ』(1994)、『キャスパー』(1995)、『ストレンジ・デイズ』(1995)、『トイ・ストーリー』(1995)、『ジャイアント・ピーチ』(1996)、『ロスト・ワールド』(1997)、『ヘラクレス』(1997)、『モンタナの風に抱かれて』(1998)、『プライベート・ライアン』(1998)、『バグズ・ライフ』(1998)、『トイ・ストーリー2』(1999)、『アトランティス』(2001)、『A.I.』(2001)、『モンスターズ・インク』(2001)、『マイノリティ・リポート』(2002)、『ファインディング・ニモ』(2003)、『ピーター・パン』(2003)などなど。

 ゲイリー・リドストロムは、自分のところに作品がまわってきた段階では、作品はほとんど完成しかけている状態のもので、自分はもっと映画制作の最初から関わってみたいとずっと思ってきたのが、今回ピクサーによって初めて監督を任されることになって非常にうれしかったと話しています。

 作品として『リフテッド』はとりわけクオリティーが高いというわけではありませんが、アカデミー賞の会員はゲイリー・リドストロムの長年のハリウッドへの貢献を知っていて、そういう意味での功労賞的な意味合いも込めて、この初監督作品をアカデミー賞にノミネートさせた、のかもしれません。

 ゲイリー・リドストロムは、また、ずっと音響関係の仕事をしてきながらも、実はチャップリンやキートンが好きだと語っていますから、この『リフテッド』が台詞なしで進行させた本作品は、チャップリンやキートンらが活躍したサイレント映画へのオマージュでもあるかもしれません。

  
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