だからレッドソックス・ファンはやめられない! 映画『ライフ・イズ・ベースボール』

 映画『ライフ・イズ・ベースボール』は、MLBワールドシリーズの中でも伝説のゲームとなっている1986年のニューヨーク・メッツ対ボストン・レッドソックスの試合をクライマックスとした2005年の作品です。
 監督が『素晴らしき日』『真夏の夜の夢』『卒業の朝』で知られるマイケル・ホフマン、脚本が小説家のドン・デリーロ、出演がマイケル・キートン、ロバート・ダウニーJr.という顔ぶれながら、熱狂的なレッドソックス・ファンが主人公という内容に日本ではあまり多くの観客を見込めないと思われたためか、日本での劇場公開が危ぶまれていた作品なんですが、松坂大輔のボストン・レッドソックス入団により、日本公開が決まった(と噂される)作品です。

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 ・『ライフ・イズ・ベースボール』公式ホームページ:http://www.lifeisbaseball.jp/index.html

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 【物語】
 
 1986年10月25日。
 この日は、劇作家ニック・ローガン(マイケル・キートン)の新しい芝居の初日であると同時に、ニックが愛するボストン・レッドソックスが3勝2敗でワールドシリーズ優勝に王手をかけた第6戦が行なわれる日であった。優勝すれば、1918年以来の快挙となるはずだったが、これまで惜しいところまで行きながら、優勝を逃していたレッドソックスだったから、熱烈なファンであるニックにとっても勝利を熱望していながら、ギリギリのところでまた期待を裏切られるのではないかという不安に苛まれてもいたのだった。
 また、劇作家仲間のエリオット(グリフィン・ダン)は、自分がそうであったように、批評家スティーブン・シュウィマー(ロバート・ダウニーJr.)に新しい芝居を酷評されて、キャリアを失ってしまうことになるかもしれない、とニックをさらに不安にさせるようなことを言う。
 さらに、ニッキーは、自らの愛人問題から、妻(キャサリン・オハラ)から離婚を切り出されてもいる。
 3つの不安を抱えることになったニック。レッドソックスがワールドシリーズを制覇すれば、自分の人生も変えられるはずだとレッドソックスの勝利が自分の希望となり、強迫観念ともなっていく。
 芝居の初日とワールドシリーズ第6戦の時間が刻々と迫る中、彼は、渋滞で動かないタクシーを乗り継ぎつつ、運命が宣告されるまでの時間を右往左往しつつ過ごすのだった……。

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 【キャスト】
 ※よく知られている俳優に関しては、紹介文は省略しました。

 ・マイケル・キートン:劇作家ニック・ローガン

 ・ロバート・ダウニーJr.:演劇批評家スティーブン・シュウィマー

 ・グリフィン・ダン:劇作家エリオット・リトバック
 この映画の製作も兼務する映画人で、俳優のほかに自ら監督を務めたりもしている。出演作は『狼男アメリカン』(1981)『アフター・アワーズ』(1985)『マイ・ガール』(1991)など多数あり。
 『アフター・アワーズ』では、1986年にゴールデン・グローブ賞最優秀助演男優賞コメディー/ミュージカル部門にノミネートされたほか、インディペンデント・スピリット・アワード作品賞を受賞。1996年には、“Fraiser”でエミー賞ゲスト男優賞ノミネート、“Duke of Groove”でアカデミー賞短編映画賞実写部門にノミネートされてもいます。
 父、叔父、妹など俳優一家の生まれで、本作で同じく製作に名を連ねているエミリー・ロビンソンは、プライベートでもパートナーを組んでいる。
 『ぼくの美しい人だから』(1990)など、ニューヨークを舞台とした都会派ドラマを手がけることが多い。代表的な監督作品は『プラクティカル・マジック』(1997)、『恋におぼれて』(1998)。

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 ・アリ・グレイノール:ローレル・ローガン(ニックの娘)
 ボストン生まれ。主な出演作に『ミスティク・リバー』(2003)、シガニー・ウィーバー主演の“Imaginary Heroes”(2004)、キャサリン・オハラと共演した“For Your Consideration”(2006)、エレン・ペイジ、キャサリン・キーナー共演の“An American Crime”(2007)などがある。

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 ・キャサリン・オハラ:リリアン・ローガン(別居中のローガンの妻)

 ・トム・オルドリッジ:マイケル・ローガン(ニックの父)
 主にテレビで活躍するベテラン俳優。最近の主な出演作は、『コールド・マウンテン』(2003)、『オール・ザ・キングス・メン』(2006)。

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 ・ベーベ・ニューワース:ジョアンナ(ニックの舞台の製作者でニックの愛人)
 主な出演作は、『グリーン・カード』(1990)、『バグジー』(1991)、『ジュマンジ』(1995)、『ピノキオ』(1996)、『セレブリティ』(1998)、『パラサイト』(1998)、『サマー・オブ・サム』(1999)、『10日間で男を上手にフル方法』(2003)、『ル・ディヴォース』(2003)など。

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 ・シャロム・ハーロウ:ペイズリー(失業中の若手女優。シュウィマーの知人でもある)
 主な出演作は、『イン&アウト』(1997)、『バニラ・スカイ』(2001)、『メリンダとメリンダ』(2004)など。

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 ・ハリス・ヨリン:ピーター・レッドモンド(舞台俳優。ボルネオで寄生虫にやられたせいで記憶力が減退したと気に病んでいる)
 70年代から活躍するベテラン。悪役も多い。最近の主な出演作は、『クレイドル・ウィル・ロック』(1999)、『ハリケーン』(1999)、『ミリオン・ダラー・ホテル』(2000)、『ラッシュアワー2』(2001)、『トレーニング・デイ』(2001)、『チェルシーホテル』(2001)、『24』(2003)、『毛皮のエロス/ダイアン・アーバス 幻想のポートレイト』(2006)など。

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 ・ジョン・トーメイ:ジョージ(ニックとローレルが入るマニオンズ・オールド・ターヴァンの主人(?))
 主な出演作は、『リアル・ブロンド』(1997)、『ゴースト・ドッグ』(1999)、『ステイ』(2005)など。

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 ・リライアス・ホワイト:トヨタ・モースビー(ニックのことを人殺しと思い込む女タクシー・ドライバー)
 1997年に“The Life”でトニー賞主演女優賞を受賞した女優。映画での出演作には『ヘラクレス』(1997)(声の出演)、『アナスタシア』(1997)(声の出演)、『グロリア』(1999)など。1993~96年には『セサミ・ストレート』にも出演している。

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 ・アミル・アリ・サイード:マシュー(トヨタが預かって、タクシーに同乗させている男の子)
 主な出演作は、『エターナル・サンシャイン』(2004)、『インサイド・マン』(2006)。

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 【1986年 ワールドシリーズ 第6戦】
 ※以下は、ネット上から拾い集めた多くの情報により構成したものです。

 ◆前史1 黄金時代(1900~1920年)
 ワールドシリーズ優勝を6回経験しているレッドソックス。その6回のうち5回は1918年までに達成されたもの(1903年、1912年、1915年、1916年、1918年)で、レッドソックスの強豪チームとしての黄金期であった。

 ◆前史2 バンビーノの呪い(1920~)
 経営難に陥ったレッドソックスはベーブ・ルースをニューヨーク・ヤンキースのトレード。それ以後、ヤンキースが好成績を残し始める(1921年からの8年間に6度のリーグ優勝、うち3回ワールドシリーズ制覇)のに対して、レッドソックスの成績は下降線を辿った。レッドソックスが勝てないのは、ベーブ・ルースをトレードに出したせいだと考えられて、「バンビーノ(ベーブ・ルースの愛称)の呪い」と呼ばれるようになった。
 1986年以前にも、1946年、1967年、1975年とワールドシリーズに進出したが、優勝はできなかった。
 1978年にはずっと首位を独走しながら、故障者続出でシーズン最終日の追いつかれ、プレーオフで敗退し、地区優勝を逃した。

 ◆前日譚 1986年レギュラー・シーズン
 メッツは、108勝54敗という記録で2位フィリーズに21.5ゲームをつけてナシャナルリーグ東地区でぶっちぎりの優勝。チャンピオンシップでは4勝2敗でアストロズに勝利。
 この年のメッツは、内でも外でも“激闘”を演じたようで、7月19日には、バーで騒いで3人の選手が逮捕。その3日後の試合では、2人の退場者が出て、キャッチャーが3塁手にまわり、外野手が交代でピッチャーを務めるという結果になりながら、延長14回で勝利。さらにその数日後の試合では、乱闘中にベンチから出なかったという理由で前MVPであるジョージ・フォスターが解雇される、というような出来事も起こしている。

 レッドソックスは、95勝66敗で、2位ヤンキースに5.5ゲームをつけてアメリカンリーグ東地区で優勝。チャンピオンシップでは、対エンジェルス戦で、1勝3敗で迎えた第5戦にサヨナラホームランで勝利し、3連勝でリーグを制した。

 ◆1986年 メッツとのワールドシリーズ 第1戦~第5戦
 第1戦(シェイ・スタジアム) レッドソックス勝利 1-0
 レッドソックスのブルース・ハーストとメッツのロン・ダーリングの投手戦になった試合で、メッツの失点は7回の二塁手のエラーのみ。

 第2戦(シェイ・スタジアム)  レッドソックス2勝目 9-3
 レッドソックスはロジャー・クレメンス、メッツはドワイト・ゴードンという両エースの先発で、投手戦が期待されながら、結果は乱打戦となった。

 第3戦(フェンウェイ・パーク)  レッドソックス1敗 7-12
 レッドソックスのオイル・カン・ボイドが、初回に4点獲られ、その後、持ち直したものの、メッツのボブ・オジェダを打ち崩すことができず、敗退。

 第4戦(フェンウェイ・パーク)  レッドソックス2敗目 2-6
 レッドソックスは防御率5.38というアル・ニッパーを先発投手に起用するというギャンブルに出る。ニッパーは6回までに3失点のみに抑えるという好投を見せながら、味方がロン・ダーリングを打ち崩すことができず、敗退。

 第5戦(シェイ・スタジアム) レッドソックス3勝目 4-2
 ブルース・ハースト2度目の登板で好投。メッツのドワイト・グッデンは第2戦に続き敗戦投手となる。
 これで3勝2敗となり、レッドソックスが68年ぶりとなるワールドシリーズ優勝に王手をかけた。

 ◆第6戦(シェイ・スタジアム) 1回~9回
 レッドソックスの先発投手ロジャー・クレメンス(この年、最多勝、防御率1位、サイヤング賞、レギュラーシーズンMVP受賞)。
 1回表、ウェイド・ボッグズのタイムリーでレッドソックス先取点。1-0
 2回表 レッドソックス追加点、2-0。
 5回裏 メッツはダリル・ストロベリーがフォアボールで出塁し、二盗。レイ・ナイトのタイムリーとヒープのダブルプレーにより2-2。
 7回表 レイ・ナイトのエラーで、マーティ・バレットが生還し、3-2。クレメンスはこの回まででし、8回表の打順には代打が送られる。
 8回表 レッドソックスが満塁のチャンスを迎えるも、ビル・バックナーが凡退。
 8回裏 リリーフのカルヴィン・シラルディが、ゲイリー・カーターの犠牲フライを浴びる。3-3。
 9回裏 メッツがノー・アウトでランナー1塁・2塁。メッツのハワード・ジョンソンが送りバントで走者を3塁に送るはずが、バント失敗の後、監督のデイヴィ・ジョンソンがスイングに切り替えさせ、結局スイング・アウト。続く打者はともにフライで3アウトとなり、延長戦に突入することになった。

 ◆第6戦 10回
 10回表 デイヴ・ヘンダーソンのホームランと、ウェイド・ボッグズの2塁打、マーティ・バレットのシングル・ヒットで2得点。5-3。
 10回裏 簡単に2アウトを取る。これでワールドシリーズ優勝まであと1アウト。
 この時、NBCにMVPにマーティ・バレットが選ばれたと誤ってテロップが流れ、シェイ・スタジアムの電光掲示板にもレッドソックス優勝という文字が点灯する。
 ところが、ゲイリー・カーターがレフト前ヒット、続く代打ケヴィン・ミッチェルがセンター前ヒットで2アウト、ランナー1塁・2塁。
 カルヴィン・シラルディはレイ・ナイトをカウント2-0と追い込むが、センターにヒットを打たれ、ゲイリー・カーターが生還、ケヴィン・ミッチェルは3塁へ。5-4となる。ここで、ピッチャーがカルヴィン・シラルディからボブ・スタンリーに交替。
 スタンリーは、ムーキー・ウィルソンを2ストライク1ボールに追い込む。ウィルソンは3度のファールでねばりを見せる。ここでスタンリーが暴投し、この間にケヴィン・ミッチェルがホームイン。5-5。ナイトは2塁へ。
 ウィルソンはさらにファールを重ね、そして10球目。ウィルソンの打った打球は、一塁方向へ向かって転がっていくが、その球を1塁手ビル・バックナーがトンネル。ナイトが生還し、5-6でメッツが勝利。バックナーのこのエラーは、この後、迷プレーとしてテレビで繰り返し放送されることになる。

 ↓“バックナーのトンネル”の動画


 ただし、バックナーがミスしなくても駿足で知られるウィルソンはセーフになったのではないか(そしてスコアリング・ポジションにランナーを進めた)と考えるのが一般的な見方だそうで、それよりも、膝の悪いバックナーをマクナマラ監督がなぜもっと早い時期に交替させなかったのかということに疑問が投げかけられている(そうです)。

 *10回の攻防がNintendo RBI Baseball(http://www.youtube.com/watch?v=JArXRxuVTgY)で再現されています(実況は本物を使用)。8分39秒

 

 ◆後日譚1 第7戦(シェイ・スタジアム)
 雨のため1日遅れで開催。レッドソックスは、 2回に3点獲って、ロン・ダーリングを打ち崩すが、6回に追いつかれて3-3。リリーフのカルヴィン・シラルディが7回にレイ・ナイトに先頭打者ホームランを許し、この回だけで3失点。8回にも2点を失い、結局5-8で敗退。レイ・ナイトはシリーズMVPとなり、カルヴィン・シラルディはもう1年レッドソックスで過ごした後、3つのチームを渡り歩き、1991年に引退する。

 ◆後日譚2 1987年~2003年
 1988年 アメリカンリーグ東地区優勝 アメリカンリーグ チャンピオンシップ 対アスレチックス戦0-4で敗退、ワールドシリーズ制覇はドジャース
 1990年 アメリカンリーグ東地区優勝 アメリカンリーグチャンピオンシップ 対アスレチックス戦0-4で敗退、ワールドシリーズ制覇はレッズ
 1995年 アメリカンリーグ東地区優勝 アメリカンリーグ デヴィジョンシリーズ 対インディアンズ戦0-3で敗退、リーグ優勝はインディアンズ、ワールドシリーズ制覇はブレーブス
 1998年 アメリカンリーグ ワイルドカード獲得 アメリカンリーグ デヴィジョンシリーズ 対インディアンズ戦1-3で敗退、リーグ優勝&ワールドシリーズ制覇はヤンキース
 1999年アメリカンリーグ ワイルドカード獲得 アメリカンリーグチャンピオンシップ対ヤンキース戦1-4で敗退、ワールドシリーズ制覇はヤンキース
 2003年 アメリカンリーグ ワイルドカード獲得 アメリカンリーグチャンピオンシップ対ヤンキース戦3-4で敗退、ワールドシリーズ制覇はマーリンズ

 ◆後日譚3 2004年 “バンビーノの呪い”からの解放
 シーズン前&7月に戦力補強
 ワイルドカード獲得。対エンジェルズ戦3連勝。
 アメリカンリーグチャンピオンシップ 対ヤンキース戦 3連敗4連勝(MLB史上3度目の快挙)
 ワールドシリーズ 対カージナルス戦 4勝0敗(球団史上初の快挙)

 *2004年のペナントレースを背景に、映画『2番目のキス』が作られています。

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 【ボストン・レッドソックスについて】

 アメリカンリーグの東地区に属するMLBのチームで、発足は1893年。本拠地はボストンで(発足時はオハイオ州トレドで、1900年にアメリカンリーグ発足とともにボストンに移転)、ホーム球場はフェンウェイ・パーク。フェンウェイ・パークはMLBで最も古い球場としても知られています。

 ニューヨーク・ヤンキースが長年のライバルで、観客動員数でも争っている(実数ではシェイ・スタジアムに敵わないが、それは球場のキャパの違いによると見なされている)。

 いいところまでいきながらワールドシリーズ優勝というところまでいけないことで、熱狂的で、かつ自虐的なファンが多いとも言われる。阪神タイガースに譬えられることも多い。

 レッドソックスの勝利への夢を打ち砕くのは、いつもBで、これらがすべて「バンビーノの呪い」だと言われています。
 ①ベーブ・ルースのB
 ②1978年アメリカンリーグ東地区でのプレーオフ、レッドソックス対ヤンキース戦で、逆転ホームランで優勝をかっさらっていったヤンキースの打者バッキー・デントのB
 ③1986年のワールドシリーズ第6戦で、致命的なエラーをしたレッドソックスのビル・バックナーのB
 ④2003年のアメリカンリーグ チャンピオンシップで、サヨナラホームランを出したヤンキースの打者アーロン・ブーン

 2006年6月27日に1986年当時のレッドソックスの選手がフェンウェイ・パークに集まったが、ビル・バックナーだけは出席しませんでした(http://boston.redsox.mlb.com/news/article.jsp?ymd=20060627&content_id=1525259&vkey=news_bos&fext=.jsp&c_id=bos)

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 ・レッドソックスに関するWikipedia(英語):http://en.wikipedia.org/wiki/Boston_Red_Sox

 ・レッドソックスに関するWikipedia(日本語):http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%9C%E3%82%B9%E3%83%88%E3%83%B3%E3%83%BB%E3%83%AC%E3%83%83%E3%83%89%E3%82%BD%E3%83%83%E3%82%AF%E3%82%B9

 ・カルヴィン・シラルディに関するWikipedia(英語):http://en.wikipedia.org/wiki/Calvin_Schiraldi

 ・ビル・バックナーに関するWikipedia(英語):http://en.wikipedia.org/wiki/Bill_Buckner

 ・ワールドシリーズに関するWikipedia(日本語):http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%AF%E3%83%BC%E3%83%AB%E3%83%89%E3%82%B7%E3%83%AA%E3%83%BC%E3%82%BA

 ・1986年のワールドシリーズに関するWikipedia(英語):http://en.wikipedia.org/wiki/1986_World_Series

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 【レッドソックス・ファンの有名人・著名人】

 ◆米国の政府高官:ニコラス・バーンズ国務次官、クリス・ヒル国務次官補、世界貿易機関(WTO)のキース・ロックウェル報道官

 ◆作家:スティーブン・キング(『トム・ゴードンに恋した少女』という作品も書いている)、ロバート・B・パーカー(スペンサー・シリーズの主人公スペンサーもレッドソックス・ファン)

 ◆映画関係:ファレリー兄弟(『2番目のキス』を監督)、マット・デイモン、ベン・アフレック

 ◆ミュージシャン:エアロスミス、ドロップキック・マーフィーズ

 ◆日本人:小澤征爾、安西水丸

 ・kyodo weekly コラムcafé「松坂と米外交官:「激しいソックス族」」:http://kk.kyodo.co.jp/is/column/k-weekly/week-070212.html

 ・青山時間/安西水丸の青山日記:http://www.aoyamajikan.com/style/column/anzai/vol10.html

 ・ベン・アフレック、レッドソックスのDVDのナレーションを務める:http://hollywoodbackwash.com/2007/03/13/ben-affleck-stars-in-red-sock-brainwashing-baby-video/

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 【ドン・デリーロについて】

 1936年ニューヨーク生まれで、現在もニューヨーク在住の小説家。現代アメリカ文学を代表する小説家の1人。 10代の夏に駐車場係のアルバイトをしている間に読書の楽しみを知るようになる。大学卒業後は、広告業界でコピーライターとして働くが、働くのが嫌になって辞める。最初に出版された小説は1971年の『アメリカーナ』で、1985年には『ホワイト・ノイズ』で全米図書賞受賞。

 戯曲も3作著している。映画の脚本は本作のみ。

 2007年に“The Rapture of the Athlete Assumed Into Heaven”が短編映画として映画化。現在制作中の“Money for Nothing”にもWriterとしてクレジットされています(詳細は不詳)。

 『ホワイト・ノイズ』が、バリー・ソネンフェルド監督によって映画化予定。

 ・ドン・デリーロに関するWikipedia(英語):http://en.wikipedia.org/wiki/Don_DeLillo

 ・ドン・デリーロに関するWikipedia(日本語):http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%89%E3%83%B3%E3%83%BB%E3%83%87%E3%83%AA%E3%83%BC%E3%83%AD

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 【映画『ライフ・イズ・ベースボール』に関するトリビア】

 ・マイケル・キートン、ロバート・ダウニーJr.、ベーベ・ニューワースの3人は、1日100ドルという安い出演料で出演をOKした。

 ・『ライフ・イズ・ベースボール』の脚本は1990年代前半に書かれていたが、レッドソックスがワールドシリーズで優勝した翌年の2005年になるまで映画化されなかった。

 ・『ライフ・イズ・ベースボール』の脚本は、小説家ドン・デリーロが書いた唯一の映画の脚本である。

 ・『ライフ・イズ・ベースボール』は、脚本を担当したドン・デリーロの小説『ホワイト・ノイズ』との類似点が指摘されている(クライマックスが主人公が殺人を犯しそうになるところとか)。本編の中には、主人公が“ホワイト・ノイズ”と呼ばれるシーンがある(未確認。情報源:http://en.wikipedia.org/wiki/Game_6_%28film%29)

 ・ニッキーの芝居が上演されるMusic Boxという劇場はニューヨークに実在する(http://www.newyorkcitytheatre.com/theaters/musicboxtheater/theater.html)

 ・邦題は『ライフ・イズ・ベースボール』だが、原題は“Game6”(第6戦)。本編の中では、“Life is Baseball”ではなく、“Baseball is Life.Life is good”(野球こそ人生。人生は素晴らしい)というフレーズが何度も繰り返されます。

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 【映画『ライフ・イズ・ベースボール』の感想を少しだけ】

 『2番目のキス』は公開時に観ていたのですが、「バンビーノの呪い」やレッドソックス・ファンについては「へえ~、そんなことがあるんだ~」と思ったくらいで、あまり気に留めていなかったのですが、調べてみるとレッドソックスもレッドソックス・ファンもなかなか興味深いですね。

 『ライフ・イズ・ベースボール』自体は、不自然なところやかなり無理やりな展開もあって、観終わった後、この映画はいったい何が言いたかったのかということをちょっとつかみかねるところもあるのですが、最終的にはやはり“希望の物語”ということになるでしょうか。
 物語的には、ラストで、ニックをもっと深い奈落へつき落とすこともできたと思うのですが、そうしなかったのは、ドン・デリーロの希望に関する考え方の反映でしかないわけで、彼は「人生はいい時もあれば、悪い時もあり、いいめぐり合わせになるか悪いめぐり合わせになるかは、ほんの偶然にすぎないし、つかみかけた幸運もちょっとしたことで逃げてしまう」と言っているように思われます。その証拠に、シュウィマーが高評価した“ピーター・レッドモンドの間”も、実際には彼が台詞を思い出せず、苦悶している表情が役柄とシチュエーションにぴたりとはまってプラスに評価されたということにすぎません。

 そう考えて、物語を再度たどり直してみると、意外と大きな意味があったのかもしれないと思えてくるのは、さりげなく織り込まれたトヨタ&マシューの登場シーンで、彼らが「人は信頼できる(People are dependable.)」「信じれば報われる(Faith is rewarded.)」と繰り返しているのは、単なる楽観論や性善説というより、人生が偶然に左右されるなら、「人を信じて生きていく」方が楽しく有意義に生きられる、というドン・デリーロのメッセージであるように思えます。

 ☆トヨタの台詞:“You're afraid to risk believing. Believe in them. Believe in your self. Take a risk. It will humanize you as a person.”(人を信じることを恐れていてはダメよ。人を信じ、自分を信じなさい。そうすれば、人間らしくなれるわ)

 脚本としては、物語が「主人公の移動による場面転換」と「会話」によってのみ進行するというところがあって、あまり映画的ではない(演劇的である)ということはできるかもしれません。
 不自然に思えるくらい主人公が無目的的にタクシーに乗っているシーンが出てきて、それはシーンを埋めるためのシーンとしか思えなかったりもするのですが、これらを通してニューヨークやニューヨークの人々をさりげなく活写し、しかも日常生活がいかに暴力に満ちているのかをスポーツや演劇に対比して見せているようなところもあります。

 世界は暴力に満ちているというのは、実はこの映画に隠されたもう1つのテーマでもあって、暴力にまつわる話が何度も出てきますし、最後には主人公も暴力への衝動にかられてしまいます。ニックの娘ローレルが犯罪学を学んでいるというのもちょっと暗示的ですね。
 暴力に対するドン・デリーロの答えは、やはりトヨタの発言の中の「人を信じること」にあるように思われます。

 頻繁に、タクシーのシーンが出てき、また、ニック自身も昔タクシーの運転手をしていたと意味では、この作品は、タクシーを通して世界を描く、ドン・デリーロ版『ナイト・オン・ザ・プラネット』であり、『月はどっちに出ている』である、と言うこともできるかもしれません。

 なお、ドンデリーロによるオリジナル脚本はネットで読むことができます(http://www.dailyscript.com/scripts/game_6.html)

 おまけ。ニックと妻との対話で、ニックが、話しているのとはまた別の愛人がいるのにそれを明かさないのは妻への不実の表われであり、ニックが床屋に行ったのに、それに気づかずに「髪を切れ」という妻の発言は、もうすっかり夫への愛が冷めていることを示しているように思われます。

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この記事へのコメント

2007年05月20日 23:33
TB御礼。
まだ新宿でしかやっていないこの映画
私が観た時は5人でした。
GOALを代々木競技場で観た時、さほど内容も良くないのに
臨場感たっぷりだった事を思うと
この映画は野球場がTVだけなのでサイズ的には
あの小さな映画館で良かった!
ラストの「銃で解決」が少し気になりましたが
エンドロールで「私を野球に連れてって」に拍手!
63本目、今のところ今年のベスト10に入ってます。
ありがとうございました。
umikarahajimaru
2007年05月21日 23:52
ちーさま
TB&コメントありがとうございました。
東京の映画館でもお客さんが入ってなくて、けっこう寂しい思いをすることってありますよね。私もそういう映画の中にマイ・フェイバリットを見つけたりします。
ゴールデンウィークに私が観た映画では、満席になった映画もありましたが、お客さん3人だけという映画もありました。好きな席で気兼ねなく観られるのはいいんですが、やっぱりちょっと寂しいですよね~。
2007年05月22日 21:24
素晴らしくよく調べられてますね~感動しました。
どのチームも歴史とそれに即したカラーがあって、ファンにもカラーがあるんですよね。
興味深い映画でした。TBさせてくださいね!
umikarahajimaru
2007年05月23日 02:43
カオリさま
コメント&TBありがとうございました。
そちらの記事は早くから拝見していて、こちらの方から先にそちらにTB差し上げたつもりだったのですが、反映されていないようでした。改めてTBさせていただきます。

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