エキサイティングなある木の一生 “The Exciting Life of a Tree”

 tantano 101本目はこんな感じで……。




 丘に生えた1本の木の一生を描いたアニメーション。

 苗木時代から始まって、馬や虫、人などによって、食われたり、蝕まれたり、切り倒されたりする危険を回避しつつ、1本の木として500年くらいは生きたという計算になるでしょうか。

 向かいの3本の木のうち、真ん中の木が右側の木にちょっかいを出すシーンがありますが、このシーンは、まるで近所の子どもたちがふざけ合うのをこちらの木がほほえましく思いながら見ているようにも見えますし、それにひきかえ、こちらの木にはちょっかいを出す相手も出してくる相手もいなくて、ちょっと孤独感を味わっていたんじゃないかとも感じられてきます。だから、向かいの木が切り株になってしまったシーンでは、その喪失感に軽いショックを受けたりもするんですね。

 ビル・プリンプトンにはゆる~いギャグ・アニメも多いんですが、こうした人生のペーソスを感じさせるような、“ちょっとしたドラマ”を見せてくれる作品もあるので、あなどれないですね。

 作品のテイストは違いますが、この後、このアニメーションは、フレデリック・バックの
『クラック!』につながっていくと考えてみるのも面白いかもしれません。

 短い間に、長い時間の移ろいを見せていくというのは、短編アニメーションの得意とするところで、当ブログで取り上げた作品にも、『岸辺のふたり』『岩のつぶやき』があります。いずれも評価が高い作品になっています。

画像

 ◆作品データ
 1999年/米/6分8秒
 台詞なし/字幕なし
 アニメーション

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 ◆監督について
 ピル・プリンプトン
 1946年 オレゴン州ポートランド生まれ。3男3女の6人兄弟の1人。父は銀行員。
 14歳の時にディズニーに自分の描いたマンガとアニメーターになりたいという手紙を送ったが、まだ早すぎると断りの返事をもらう。
 1964年 オレゴン市立高校を卒業し、ポートランド州立大学に入学。
 大学では、映画同好会に入り、年鑑の編纂委員も務めた。彼が最初に作ったアニメーションは、年鑑のためのプロモーション作品だという。
 1967-72年 ベトナム戦争への徴兵を逃れるために、国家警備隊に入隊。
 1968年 ニューヨークのビジュアル・アートの学校に入学。専攻はグラフィック・デザイン。
 ニューヨークでは長らくイラストレーターや漫画家として活躍し、“Cineaste”や “Filmmakers Newsletter”、“Film Society Review”といった雑誌のデザインを担当し、「ニューヨーク・タイムズ」や「ヴィレッジ・ヴォイス」「ローリング・ストーン」「ヴォーグ」「ヴァニティ・フェア」にもイラストを提供した。
 1975年に“The Soho Weekly News”紙で、“Plympton”という政治マンガを始め、1981年にはユニバーサル・プレスの配信により12紙以上の新聞に掲載されるようになった。
 アニメーションを作るようになったのは1983年になってからで、Jules Feifferの曲 “Boomtown”のための作品で、プロデューサーからの依頼で制作に取りかかった。
 以後、取り憑かれるようにしてアニメーション作品を制作し、現在にいたるまで世界中の映画祭を席捲している。
 数多くの短編アニメーション作品のほか、中編アニメーションを1本、長編アニメーションを4本、実写作品を3本(うち2本はドキュメンタリー)を制作している。
 1987年の『君の顔』、2004年の『ガード・ドッグ』でアカデミー賞短編アニメーション賞にノミネート、1997年の『スーパー変態ハネムーン 花婿はヘンな人(新郎は変な人)』と2001年の『ミュータント・エイリアン』ではアヌシー国際映画祭グランプリを受賞。2007年にはアニー賞でウィンザー・マッケイ賞(生涯貢献賞)を受賞。そのほか受賞した賞は数知れない。

 ネット上で観られる短編は基本的にはギャグ・コメディーですが、ギャグにはしても、対象を見下すことで笑いを取っているわけではないので、嫌な感じはしません。

 プリンプトンが作り出す笑いには2通りあって、人間の欲望や強迫観念、うかつさ、妄想などを笑うもの(人間観察による)と、連想や誇張、エスカレートなどによって笑わせるもの(自由な発想による)とがあるようです。

 1988年の“Self Portrait”は、川本喜八郎、手塚治虫、ヤン・シュヴァンクマイエルら世界中のアニメ作家が自分(自画像)を題材にして作った競作短編ですが、プリンプトンは、元々、顔(の変容)を題材にした作品の多いアニメ作家のようです。

 テックス・エイヴリーが好きらしく、本人もその影響を認めているらしいのですが、シュヴァンクマイエル作品に通じるものを感じる作品も多々あります。

 ・1985年 “Drawing Lesson #2”
 ・1985年 “Boomtown”
 ・1987年 『君の顔』“Your Face”  *1988年アカデミー賞短編アニメーション賞ノミネート
 ・1987年 “Love in the Fast Lane”
 ・1988年 “Self Portrait”
 ・1988年 “One of Those Days”
 ・1989年 “How to Kiss”
 ・1989年 “25 Ways to Quit Smoking”
 ・1990年 “Tango Schmango”
 ・1990年 “Dig My Do”
 ・1991年 “Push Comes to Shove”
 ・1991年 “The Wiseman”
 ・1991年 “Plymptoons”
 ・1992年 “The Tune”[中編]
 ・1993年 “Draw”
 ・1994年 “Nose Hair”
 ・1994年 “J. Lyle”[長編][実写]
 ・1994年 “Faded Roads”
 ・1995年 『女の攻略法』“How to Make Love to a Woman”
 ・1995年 “Guns on the Clackamas: A Documentary” [長編] [実写]
 ・1996年 “Smell the Flowers”
 ・1996年 “Boney D”
 ・1997年 “Walt Curtis: The Peckerneck Poet”[中編] [実写]
 ・1997年 “Spike and Mike's Festival of Animation Sick & Twisted Volume 4”(V)
 ・1997年 “Sex and Violence”
 ・1997年 “Mondo Plympton” [長編]
 ・1997年 『スーパー変態ハネムーン 花婿はヘンな人(新郎は変な人)』“I Married a Strange Person!” [長編] *1998年 アヌシー国際アニメーションフェスティバル グランプリ受賞、アニー賞長編アニメーション部門ノミネート 日本版DVDリリースあり
 ・1998年 “More Sex and Violence”
 ・1998年 “General Chaos: Uncensored Animation”
 ・1999年 “Surprise Cinema”
 ・1999年 “The Exciting Life of a Tree”
 ・2000年 “Can't Drag Race with Jesus”
 ・2001年 “Eat”
 ・2001年 “12 Tiny Christmas Tales”(V)
 ・2001年 『ミュータント・エイリアン』“Mutant Aliens” [長編] *2002年 アヌシー国際アニメーションフェスティバル グランプリ受賞
 ・2003年 “Parking”
 ・2004年 『ヘア・ハイ』“Hair High”[長編]
 ・2004年 『ガード・ドッグ』“Guard Dog” *2005年アカデミー賞短編アニメーション賞ノミネート DVD『広島国際アニメーション傑作選 vol.1』に収録
 ・2005年 『花と扇風機』“The Fan and the Flower”
 ・2006年 “Guide Dog”
 ・2006年 “Don't Download This Song”(“Straight Outta Lynwood )(V)
 ・2006年 “Don't Download This Song”(“Al TV”) (V)

 *参考サイト

 ・ビル・プリンプトンの公式サイト Bill Plympton On-Line!:http://www.awn.com/plympton/

 ・Acme Fimworks:http://www.acmefilmworks.com/dir_folders/dirPlympton/plympton.html#

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