ミハエラ・パヴラートヴァー、発見! 『反復』

 ♪ズンズチャチャ、ズンズチャチャ、ズンズチャチャ、ズンズチャチャ……
 繰り返されるメロディーが心地よく、しばらく耳について離れなくなります。

 

 【物語】 子どもが乗ったブランコを押す映像から始まって、何組ものキス(性愛)・シーンが続き、そして犬の散歩に出かける男性が登場する。
 犬を散歩させているシーンの途中に、①新聞を読んでいる夫に食事させる妻、②首吊り自殺しようとしている男性と、ロープを切って、それをやめさせる女性、③男女がつかのまの逢瀬を楽しんでいるが、時間がきて、女性の方が帰らなければならなくなってしまう、という3つのシーンが挿入され、それらがBGMに合わせて、何度も“反復”されます。
 そのうち、映画の中の登場人物たちが反復にうんざりして立ち止まったり、息切れしたりしてしまう。犬が進むのを嫌がったり、①②③のパートが交錯し始めたり……。
 やがて、もつれた糸はほどけて、それぞれのカップルがキス。その結果、反復=日常性が取り戻され、映画はスタート時点に戻る。

 この作品は、日常生活の反復性についての映画ということになるでしょうか。
 毎日、同じことを繰り返すのが日常生活というものですが、たまには、反復に飽きたり、息切れしたりもするもので、それをこの作品では軽快なリズムとともに見せてくれます。

 ベースとなっている“犬の散歩”パートで、犬が足を踏ん張って歩こうとしないシーンなど、わりと簡略化されたイラストなのに、犬の足を踏ん張ってる感がとてもリアルに感じられますね。これは、作者の観察眼とデッサン力が優れているからでしょうか(作者は明らかに犬好きでしょう?)。
 下記にも挙げた『メッセージ・フロム・チェコアート』では、彼女へのインタビューが掲載されていて、そこで彼女は「キャラクターたちが動き出すのを楽しみに待っていますし、デッサンも好きです」と発言しています。

 同書では、彼女の作品が日常生活を題材とすることが多いということについても訊いていて、彼女はそれに「毎日の生活とは愉快で刺激的なもの」「自分の周りで起こる出来事を観察し、そこからヒントを得る」と発言しています。この辺に、彼女の作品の面白さを理解するヒントがありそうです。

画像

 ◆作品データ
 1994年/チェコ/9分12秒
 台詞なし/字幕なし
 アニメーション

 *日本では<チェコアニメ映画祭2006>のBプログラムで『夫婦生活』『クロスワード』『ことば、ことば、ことば』『反復』『永遠に…』が上映されました。

 *この作品は、DVD『Fantastic! Czech Animation 80’s~90’s 2D傑作アニメーション』に収録されています。

 *この作品は、アヌシー国際アニメーションフェスティバルが選ぶ短編アニメーション ベスト100の68位に選ばれています。

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 ◆監督について
 ミハエラ・パヴラートヴァー
 1961年 プラハ生まれ。
 1987年 プラハ工芸美術大学(UMPRUM)を卒業。卒業制作である『夫婦生活』が認められて、クラートキー・フィルムからオファーがあり、プロのアニメーション作家としての道が開ける。
 1992-98年 チェコ国立芸術アカデミーとプラハ工芸美術大学で教鞭を取る。
 1998年~ サンフランシスコのアカデミー・オブ・アート・カレッジで教鞭を取る。
 サンフランシスコでは、アニメーション製作会社Wildbrain Inc.( http://www.wildbrain.com/)と協力して制作を行なっている。『墓場』等はその成果の1つ。
 2002年にプラハに戻り、初めての実写作品『不貞ゲーム』を手がける。

 他に、ハーバード大学でも教鞭を取っているようです。

 小さい役ながら、映画仲間のいくつかの作品では女優としても出演している。

 CM作品として、ネスレ、コダック、マツダなど。

 イラストも手がけていて、その作品の1つ“Yoko、the Imaginary Dog”はここ(http://www.volny.cz/aamica/show/folder_ill/ill_yak00.html)で見ることができます。

 愛・地球博で“Letters from Czech Repubric”という作品(パヴェル・コウツキー、イジー・バルタ、アウレル・クリムトとの共同作品)が上映されています。

 ・1987年 『夫婦生活』 “Etuda z alba”
 ・1989年 『クロスワード』 “Krízovka(The Crossword Puzzle)”
 ・1991年 『ことば、ことば、ことば』 “Reci, reci, reci…(Words, Words, Words)”
 *米国アカデミー賞短編アニメーション賞ノミネート、クラクフ映画祭特別賞受賞、モントリオール国際映画祭短編映画部門グランプリ受賞
 ・1992年 『叔父と叔母』 “uncles and ants”
 ・1994年 『反復』 “Repete”
 *ベルリン国際映画祭最優秀短編映画賞受賞、広島国際アニメーションフェスティバル グランプリ受賞
 ・1995年 『私かもしれない』 “This could be me”
 ・1998年 『永遠に…』 “Az na veky(Forever and Ever)”
 *オタワ国際アニメーションフェスティバル Television Specials部門OIAF Award受賞
 ・1998年 『プラハの話』 “Praha ocima(Prague Stories/Prague vu par) ”
 ・2000年 『おばあさんの話』 “O babicce(On Grandma)”
 ・2001年 『墓場』 “graveyard”
 ・2002年 『シッポの話』 “Taily Tales”
 ・2003年 『不貞ゲーム』 “Neverné hry(Faithless Games)”
 *サンセバスチャン国際映画祭 Best New Director Special Mention受賞
 ・2005年 “Letters from Czech Repubric”
 ・2006年 『動物の謝肉祭』 “Karneval zvirat (Le Carnaval des Animaux / The Carnival of Animals).”

 *参考サイト
 ・インタビュー Radio Praha:http://www.radio.cz/en/article/78278

 ・アニメーション製作会社Wildbrain Inc.のサイト:http://www.wildbrain.com/about_us/bios/d_michaela.html

 ・http://www.volny.cz/aamica/show/folder_about/about_Mich.html

 *参考書籍
 ・『メッセージ・フロム・チェコアート』(2006年 アーティストハウス刊)

 *当ブログ関連記事
 ・短編アニメーション ベスト100!

この記事へのコメント

jay
2007年04月20日 16:05
面白~い!!
と思ったら、ベルリン・広島でも受賞している作品なんですね~。全く知りませんでした。
紹介していただいてありがとうございます。
umikarahajimaru
2007年04月20日 19:13
jayさま
パヴラートヴァーは、昨年のチェコアニメ映画祭2006で作品がまとめて紹介されたアニメ作家ですが、私はその時には見逃していて、今回ネットで見つけてはじめてその面白さを知りました。こういうことがあるから動画サイトは侮れないですよね。

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