手塚治虫 『めもりい』

 タイトルからは少女趣味的なものを連想させますが、中身は「記憶とは曖昧なもので、断片的にしか残らないことも多い」などというようなエッセイ風の作品です。



 この作品は、語られていることをそのままアニメ化したのではつまらないので、おそらくそこからどれだけ飛躍して、見た目でも面白くできるのかということにチャレンジした、というような作品です。
 静止画が多く、アニメーションとしてもごく単純なものですが、ところどころに様々な遊びが見られ、作り手自身が楽しんでいる様子も窺われます。
 こういうエッセイ風の語りにアニメーションをつけるという趣向は昔はたくさんあったような気がしますが(CMとか)、いつのまにかすっかりみかけなくなりました。手塚作品でもこれくらいでしょうか。
 この作品では、まず“語り”(主)があって、それにアニメーション(従)がつけられるというスタイルになっていますが、これ以降の作品では、まず絵があって、絵にすべてを語らせるという方向に向かっています。

 ◆作品データ
 1964年/日本/5分40秒
 日本語の台詞あり/英字幕あり
 アニメーション

 この作品は、最近では、仙台短編映画祭2005(http://www.shortpiece.com/2005/work.html)にて、『ある街角の物語』『おす』『人魚』『しずく』『創世記』『ジャンピング』『おんぼろフィルム』『プッシュ』『自画像』とともに「手塚治虫 10の実験フィルム」というプログラムで上映されました。

 また、この作品は、実験アニメーション全13作品を収めたDVD『手塚治虫 実験アニメーション作品集』に収録されています。

 
画像

 ◆監督について
 手塚治虫
 漫画家、アニメーター、医師。
 1928年11月3日 大阪府豊中市生まれ、1989年2月9日没
 父の家庭用映写機で、幼い頃からディズニー作品などのアニメーションにも親しんでいたとされる。
 漫画家としてのデビューは1946年。
 アニメーションとの直接の関わりは1960年の東映動画による『西遊記』から。
 1961年 アニメーション制作のためのプロダクション 手塚動画プロダクション設立。1962年に同プロダクションを虫プロダクションと改称。
 1963年 虫プロで日本初のテレビアニメシリーズ『鉄腕アトム』を制作(『鉄腕アトム』自体は1959年に実写版が放映されている)。
 1965年 日本初のカラーアニメシリーズ『ジャングル大帝』放送開始(手塚自身は直接関わっておらず、原作のみ)。
 1968年 漫画業務を扱うために、虫プロとは別に手塚プロダクションを設立。
 1971年 虫プロ社長から退任。劇場公開作品の興行的失敗などにより1973年虫プロ倒産。 以後、手塚プロにて、実験的な短編の制作を行なう。

 アニメーションにおける手塚治虫の功績としては、名実ともに日本に「テレビアニメ」を切り開いたこと、プロダクションを通じて、日本のアニメーションを担うことになる多くの人材を輩出したこと、などが挙げられます。「アニメーターとしても活躍し、映画監督もこなす漫画家」としても草分け的存在ということになります。

 以下には、演出、監督、総監督、製作、製作総指揮とクレジットされている作品のみ書き出してみました。
 ・1960年 『西遊記』[演出]
 ・1962年 『ある街角の物語』[製作] 38分
 ・1962年 『おす』[製作] 3分9秒
 ・1963~1966年 『鉄腕アトム』[総監督・演出]
 ・1964年 『人魚』[演出] 8分18秒
 ・1964年 『めもりい』[演出] 5分40秒
 ・1965年 『新宝島』<TV> [演出]
 ・1965年 『しずく』 [演出] 4分17秒
 ・1965年 『たばこと灰』[製作] 3分50秒
 ・1966年 『展覧会の絵』 [総監督] 39分
 ・1966年 『W3 ワンダースリー』<TV> [総監督・演出]
 ・1967年 『リボンの騎士』<TV> [総監督・演出]
 ・1968年 『創世記』[製作] 3分42秒
 ・1969年 『千夜一夜物語』[製作総指揮]
 ・1970年 『クレオパトラ』 [監督] 113分
 ・1970年 『やさしいライオン』[製作]
 ・1978年 『100万年地球の旅 バンダーブック』<TVM> [演出]
 ・1979年 『海底超特急マリン・エクスプレス』<TVM> [演出]
 ・1980年 『フウムーン』<TVM>[製作]
 ・1980年 『火の鳥2772 愛のコスモゾーン』 [総監督]
 ・1980~1981年 『鉄腕アトム』<TV> [演出]
 ・1981年 『ブレーメン4 地獄の中の天使たち』 <TVM> [監督] 90分
 ・1983年 『緑の猫』<OV> [監督] 24分
 ・1983年 『雨ふり小僧』<OV> [監督] 24分
 ・1984年 『大自然の魔獣 バギ』<TVM> [演出]
 ・1984年 『ジャンピング』 [監督] 6分20秒
 ・1985年 『るんは風の中』<OV> [監督] 24分
 ・1985年 『おんぼろフィルム』 [監督] 5分37秒
 ・1986年 『山太郎かえる』<OV> [監督] 24分
 ・1987年 『森の伝説PART-1』 [監督] 29分20秒
 ・1986年 『銀河探査2100年ボーダープラネット<TVM> [監督] 73分
 ・1987年 『村正』 [監督] 8分44秒
 ・1987年 『PUSH おす』[監督] 4分18秒
 ・1988年 『自画像(セルフ・ポートレート)』[監督] 10秒
 ・1989年 『青いブリンクあなたが夢をつかめる世界なら』<TV> [総監督]
 ・未完 『パーティー』
 ・未完 『モスキート』
 *すべての作品に関するストーリー、解説、データの詳細、ビデオ化情報など、下記公式サイトに詳しく書かれています。動画の一部も観ることができます。

 *参考サイト
 ・手塚治虫公式サイト 手塚治虫@ワールド:http://ja-f.tezuka.co.jp/index.html
 ・手塚治虫に関するWiki:http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%89%8B%E5%A1%9A%E6%B2%BB%E8%99%AB
 ・虫プロに関するWiki:http://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%99%AB%E3%83%97%E3%83%AD%E3%83%80%E3%82%AF%E3%82%B7%E3%83%A7%E3%83%B3
 ・手塚プロダクションに関するWiki:http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%89%8B%E5%A1%9A%E3%83%97%E3%83%AD%E3%83%80%E3%82%AF%E3%82%B7%E3%83%A7%E3%83%B3

 *当ブログ関連記事
 ・手塚治虫 『ジャンピング』
 ・手塚治虫 『おんぼろフィルム』
 ・手塚治虫 『自画像(セルフ・ポートレイト)』
 ・手塚治虫 『しずく』
 ・手塚治虫 『おす』
 ・手塚治虫 『人魚』

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