こんな短編を書いてみたい… フランソワ・オゾン『ベッドタイム・ストーリーズ』

 タイトル通り、ベッドの上で演じられる7つのストーリー。
 ベッドの上の物語ということで、もともと照明を落としてある作品なんですが、ネット上で観るとかなり暗いですね。
 下記に示したストーリーを読むだけでも、ショートショートを読むみたいで面白く、ちょっと興味をそそられるかもしれません。




 フランス語での台詞のやり取りしかないような作品なので、日本語字幕がないというのもちょっとつらいかもしれません。
 日本語字幕つきでスクリーンで観るのが一番いいのですが、なかなかそんな機会もないので、DVDで日本語字幕のついたバージョンを観るのが、この作品に関しては望ましいかも知れません。あくまで次善の策としてですが。

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 「黒い穴」
 男が、「フェラチオしながら『ラ・マルセイエーズ』を歌うという特技があると聞いたんだが、やってくれないか」と娼婦に頼む。「やってもいいけど、暗くしないとできない」と娼婦。実際に娼婦はその技を披露する。
 男は、彼女がどうやっているのか、気になって、明かりをつける。すると、サイドボードの上に義眼が1つ。女は顔を上げ、髪をかき上げようとする……。

 「ミスター・クリーン」
 「さあ、始めましょう」と服を脱いだ女に、男は「自分は年に1回しかシーツも洗わないし、洗濯もシャワーもほとんどやらない」と言う。女は、驚き、さっさと服を着て、出て行ってしまう。男は残されたパンティーの匂いを嗅ぐ。

 「年上の女」
 「なんで私になんかついてきたの?」と女は33歳も年下の少年に訊く。「若い子は経験も浅いし、退屈だからさ」と少年。「私もそう思う」と女。
 ともにコトを急ぐことはなく、男は女の手の甲にキスをする。

 「互い違い」
 頭と足の方向を逆にしてベッドに横たわっているフランス男とスペイン女。100からカウントダウンを始めて、69で……。
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 「理想の人」
 男に告白しようかと迷っている女。「私が彼の代わりになってあげるからやってみて」と年上の女。
 年下の女の話を聞いた年上の女は、「あなたの思っているのは、理想であって、現実には存在しない」と突き放すように言う。ショックを受けた女に、年上の女は優しくキスしていく。年下の女はとまどうが、「これでいいのよ」と年上の女。

 「闇の中の愛」
 暗くしないとできないという男に、女はヒステリックになって、「私のつきあう男はどいつもこいつも問題のあるやつばかり」と叫ぶ。そういいながらも終電ももう出た後なので、一緒に寝ることに。
 男は勃ってきたので、オナニーしてもいいかと訊く。男が果てると、女は「とにかく役に立ててよかったわ」と言う。

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 「2人の童貞」
 男性経験のない男と女性経験のない男。「女性は歯を使うだろう」などといった会話があった後で、それぞれが相手のをしゃぶる。「うまいな。いきそうになった」。女性経験のない男が「キスしていい?」と訊き、男性経験のない男がOKして、キスをする。

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 映像的な部分で特に印象に残ったりはしませんが、ストーリーはやっぱりうまいですね。根っからのストーリーテラーなんだと思います。短編小説家になっても成功したかもしれませんね。

 ◆作品データ
 1997年/仏/25分5秒
 フランス語の台詞あり/字幕なし
 実写作品
 1998年アヴィニョン映画祭 Prix Panavision(短編部門ブランプリ)受賞。

 日本では、『クリミナル・ラヴァーズ』公開時(2000年)に、<フランソワ・オゾン短編集>として、『小さな死』『ベッドタイム・ストーリーズ』とともにユーロスペースでレイトショー公開されました。
 DVD『海を見る』に収録されています。ビデオ版『海を見る』には収録されていません。

 ◆キャスト
 *オゾン作品およびメジャー・タイトル出演者のみ表記しました。あまり見たことのないような出演者ばかりだったので、素人さんを中心に起用してるのかなと思ったら、けっこう有名な作品に出演されている俳優さんもいて、そのうちの何人かは何作がオゾン作品に出ている俳優さんなのでした。

 「黒い穴」
 ・François Delaive(客):“Thomas reconstitué”、『小さな死』
 そのほか『ミーティング・ヴィーナス』『エリザ』『レンブラントへの贈り物』『謎の薬剤師』

 「ミスター・クリーン」
 ・カミーユ・ジャピ Camille Japy(女):『小さな死』
 そのほか『宮廷円舞曲』『カフェ・オ・レ』『猫が行方不明』『絹の叫び』『アンア・オズ』『幸せな日々』『約束/ラ・プロミッセ』『犯罪の風景』

 「年上の女」
 ・Evelyne Ker(年上の女):『夢追い』『愛と哀しみのボレロ』など。2005年没。

 「互い違い」
 ・ルシア・サンチェス(スペイン女):『サマードレス』『X2000』『ホームドラマ』
 そのほか『ベルニー』『めざめ』『誰がバンビを殺したの?』
 ・François Genty(フランス男):“Victor”、『サブリナ』

 「闇の中の愛」
 ・Bruno Slagmulder(男):『X2000』、『パパラッチ』

 「2人の童貞」
 ・セバスチャン・シャルル(女性経験のない男):『サマードレス』『ホームドラマ』
 そのほか『焼け石に水』『8人の女たち』で振り付けを担当

 ◆監督について
 フランソワ・オゾン
 1967年パリ生まれ。
 子役としてモデルをしていたこともあり、そのお金で映画館に通っていた。
 父親がスーパー8で家族を撮っているのを見て、自分でも撮るようになる。
 1989年にパリ第一大学映画コースで修士号を取得。1993年に国立の映画学校フェミスの監督コースを卒業。大学卒業後に発表し始めた短編は評判になり、OZON OSER(大胆なことをやるオゾン)と呼ばれるようになる。
 1995年にはフランス大統領選をリオネル・ジョスパン(のちにフランス首相)の側から撮った『ジョスパンの光』というドキュメンタリーを発表(ジョスパンは友人の父親だった)。
 1998年『ホームドラマ』で長編監督デビュー。
 いつしかフランスの女優がこぞって出演を希望する監督となり、今やフランス映画界のエースと言っていい存在となっている。
 1999年の初来日時の言葉:「ぼくにとって映画づくりはカタルシス(浄化)であって、エクソシズム(悪魔払い)でもあるんだ。もし映画を撮っていなかったら、父親を殺して、母親と寝るような人間になっていたかもしれないな」

 ・1988年  “Photo de famille”「家族写真」
 ・1988年 “Les Doigts dans le ventre”「腹に指」 DVD『まぼろし』に収録
 ・1990年  “Mes parents un jour d'été”「ある夏の日の両親」  DVD『まぼろし』に収録
 ・1991年 “Une goutte de sang”「血の一滴」
 ・1991年 “Le Trou madame” *短編ドキュメンタリー
 ・1991年 “Peau contre peau” *短編ドキュメンタリー
 ・1991年 “Deux plus un”
 ・1992年 “Thomas reconstitué”
 ・1993年 “Victor”
 ・1994年 『僕らの間にあるバラ』 “Une rose entre nous”
 ・1994年 『アクション、ヴェリテ』
 ・1995年 『小さな死』 DVD『ホームドラマ』に収録
 ・1995年 “Jospin s'éclaire”(ジョスパンの光)
 ・1996年 『サマードレス』 DVD『海をみる』に収録
 ・1997年 『海をみる』
 ・1997年 『ベッドタイム・ストーリーズ』 DVD『海をみる』に収録
 ・1998年 『X2000』 DVD『焼け石に水』に収録
 ・1998年 『ホームドラマ』
 ・1999年 『クリミナル・ラヴァーズ』
 ・2000年 『焼け石に水』 ベルリン国際映画祭コンペ部門出品 テディ賞受賞
 ・2001年 『まぼろし』
 ・2002年 『8人の女たち』 ベルリン国際映画祭コンペ部門出品 Reader Jury of the "Berliner Morgenpost"受賞
 ・2003年 『スイミング・プール』 カンヌ国際映画祭コンペ部門出品
 ・2004年 『ふたりの5つの分かれ路』 ベネチア国際映画祭コンペ部門出品
 ・2005年 『ぼくを葬る』
 ・2006年 “Un lever de rideau” *久々の短編
 ・2007年 “Angel”(The Real Life of Angel Deverell) ベルリン国際映画祭コンペ部門出品 *現代ものではない初めての作品

 *このほか、1988年のソフィー・マルソー主演の『スチューデント』には学生役で出演もしています(ノン・クレジット)。

 *フランソワ・オゾンのことを「短編王」と呼ばれたと紹介してある記事がありますが、これは最初にオゾンの作品を配給したユーロスペースが紹介文の中に織り込んだもので、実際にはオゾンが「短編王」と呼ばれたことはありません(直接本人に確認しました)。上にも書いたように、フランスでは短編時代のオゾンをOZON OSER(大胆なことをやるオゾン)と呼んでいたそうです。
 オゾン作品の配給が、ユーロスペースからギャガに変わるに及び、オゾンのプロフィール紹介文の中から「短編王」の称号は消えていきました。

 *参考サイト
 オゾンの公式サイト:http://www.francois-ozon.com/

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