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zoom RSS 『クラック!』 フレデリック・バック

<<   作成日時 : 2007/01/14 02:33   >>

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 森から切り出された木がロッキング・チェアに生まれ変わり、途中で何度も壊れ、修理されながらも、やがて……。

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 カナダのアニメーション界を代表するアニメーション作家・フレデリック・バックの代表作の1つです。


 押しと止めようもない時の流れと人の生活の営みを1つのロッキング・チェアを通してやさしく見つめていきます。

 やわらかな色鉛筆のタッチにぬくもりがあって、カラフルな色が音楽に合わせて舞い踊る様子も美しい。ちょっとシャガールの絵を思い出させたりもします。

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 短い中にも何十年もの時を凝縮させ、人や物のうつろいを描きこむ様も素晴らしい。テーマとしては、バージニア・リー・バートンの名作絵本“The Little House”(ちいさいおうち)(1942年刊)に通じるものもありますね。

 題材(手づくりのロッキング・チェア)、物語、手法(色鉛筆による作画)、音楽が渾然一体となった傑作と言っていいと思います。

 フレデリック・バック作品は、ラピュタ・アニメーション・フェスティバルをはじめ、その時々の上映会や特集上映でスクリーンでの鑑賞が可能なようです。

 私がこの作品に出会ったのは、今はなき中野武蔵野ホールで開催された「フレデリック・バックの世界」と題して、『イリュージョン』から『大いなる河の流れ』までの6作品が上映された時(1995年2月)でした。『大いなる河の流れ』の劇場初公開時かと思っていたのですが、それは記憶違いで、調べてみると『大いなる河の流れ』は1994年10月に初公開になっていました。私が観たのは、『大いなる河の流れ』完成記念の上映会の凱旋上映か何かだったかもしれません。

 2000年に『イリュージョン』から『大いなる河の流れ』までの6作品を収めたDVD「フレデリック・バック作品集」が、パイオニアLDCから出ました(税込み7140円)が、その後、初DVD化作品を含む9作品を収めた「フレデリック・バック作品コレクション」がジェネオン エンタテインメントから発売されました(税込み12800円。新たに収録された作品は『アブラカダブラ』『神様イノンと火の物語』『鳥の誕生』)。
 私が持っているのは、前者の方で、フレデリック・バック自身の解説が書かれた小冊子が封入されています。それによると、『クラック!』には、娘のために作ったロッキング・チェアのお話が原点にあって、その中に現在のケベックでもほとんど失われてしまった慣習や、信仰、生活風習といった日常生活を織り込み、忘れられた昔の画家たちに賛辞を送った、と書かれています。

 ◆監督について
 フレデリック・バック
 1924年 ドイツのザールブリュッケン(当時はフランス領)生まれ。父親は音楽家。
 1938-1939 年 パリのEcole Estienneで学ぶ。
 1939-1945年 レンヌの美術学校で画家マテラン・メウに学ぶ。
 1948年 文通で知り合ったカナダ人女性に会うために、カナダに向かう。
 1949年 結婚。以後、モントリオールを活動拠点とする。
 1952年 カナダ国営放送(Radio Canada)にグラフィック・アーティストとして参加し、教育番組や科学番組の作画や視覚効果を担当する。
 1967年 モントリオールのPlace-des-Arts Metro station にL'histoire de la musique à Montréal ("history of music in Montreal") という題のステンドグラスを制作。
 1968年 Hubert Tisonによって開設されたアニメ部門に移る。最初はタイトル・ロゴなどを担当していたが、70年以降、子ども番組を制作するようになる。
 1989年 ケベック州からナイトの称号を受ける(National Order of Quebec)。
 2004年 Planet in Focus film festivalでEco-Hero Media Award を受賞。
 色鉛筆とフェルペンによる作画で、1作品1作品、時間をかけて制作。作品の中に、ケベック州の美しい自然を描き、人と自然環境をテーマに作品を作り続けている、と評される。

 1970年 『アブラカダブラ』“Abracadabra”
 1971年 『神様イノンと火の物語』“Inon Ou LaConquet De Feu”
 1973年 『鳥の誕生』“The miracle of spring”
 1974年 『イリュージョン』
 1977年 『タラタタ』
 1978年 『トゥ・リエン』 アカデミー賞短編アニメーション賞ノミネート
 1981年 『クラック!』 アカデミー賞短編アニメーション賞受賞
 1987年 『木を植えた男』 アカデミー賞短編アニメーション賞受賞
 1993年 『大いなる河の流れ』 アカデミー賞短編アニメーション賞ノミネート

 公式HP:http://www.fredericback.com/

 参考サイト:http://www.animationarchive.org/bio/2005/12/back-frederic.html

 ◆データ
 1981年/カナダ/15分19秒
 アニメーション
 台詞なし/字幕なし
 制作期間:22ヶ月
 音楽監督:ノーマン・ロジェ

 1982年 オタワ国際アニメーションフェスティバル グランプリ受賞、アカデミー賞短編アニメーション賞受賞。

 『世界と日本のアニメーションベスト150』(ふゅーじょんぷろだくと)で12位。

 この作品は、映画化ののち、ギーレン・パケン=バックにより絵本化され、日本でもあすなろ書房から発売されています。

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 *当ブログ関連記事
 ・フレデリック・バック 『木を植えた男』

 ・フレデリック・バック 『タラタタ』

 ・アカデミー賞短編アニメーション賞 リスト!

 ・短編アニメーション ベスト100!

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短編アニメーションの上映会へ
mixiで情報を得て、溝ノ口の公民館(川崎市高津市民館というらしい)みたいな建物... ...続きを見る
増田新の写真日記
2009/02/11 21:52
嵐の中を
台風が近づいていて上陸するだろうなんて言われていたけれども大丈夫だろうと、一度決めた計画が計画通り実行されないのが嫌な要は融通の利かない人間なので、テレビや我孫子市のtwitterから「必要のないお出かけは控える様に...」と言われ続けるのも聞かず、東京へ出た。 金町から浅草に行くバスを本所吾妻橋で降り、現代美術館を通る新橋行きのバスに乗り継ぐ。 東京都現代美術館に「フレデリック・バック展」を観に行く。「クラック!」や「木を植えた男」の作者として、日本では比較的名の売れたアニメーション作家だが... ...続きを見る
増田新の写真日記
2011/09/22 18:48

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コメント(2件)

内 容 ニックネーム/日時
はじめまして。
大学でこの作品を見たときに感銘を受け、探していたところ、ここに来ました。
とても好きな作品で、不覚にも涙してしまう、心温まる作品だと思います。
ありがとうございました。
okamocheese7
2008/05/08 02:54
okamocheese7さま
コメントありがとうございます。
あまり大げさなことは言わなくても、伝えるべきメッセージがちゃんと伝わるいい作品ですよね。私もフレデリック・バック作品の中でこれが一番好きです。
umikarahajimaru
2008/05/08 19:42

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