危ない映画、危ない写真集 映画『アブノーマル・ビューティ』

画像 初日の3回目の上映回を観ましたが、観客は私を含めて7人。寂しいですね~。
 監督であるパン・ブラザーズには、『レイン』という全国公開された映画(おそらくタイ映画としては日本初)があったにも拘らず、ですから、あまりにも落差が激しいですね~。
内容が内容であるということもあるのでしょうが(本来はレイトショー向き)、宣伝が行き届いていないと言うよりは、尋常ではない数の劇場公開作品の中に埋もれてしまったのでしょう、残念ながら。

 物語は、主人公が「死」に魅せられていく前半と犯罪が絡んでいく後半(『スナッフ』『8mm』『ザ・セル』などを思わせるアレ)に分かれます。数日前、当ブログでも「死を見つめて」という記事を書きましたが、この映画もそういった作品の1つと考えてよいようです。

 要するに、この映画が何であるかというと――
 ①あることをきっかけにして、主人公「死」に魅せられていく。
 ②それを、「でも、そんなことばかりしているとバチが当たるよ」、という展開で受け止め、
 ③だけど、「主人公がそういうことになったのには過去の出来事(トラウマ)が関係している」と示すことで、そうなったわけを説明する。
 という感じでしょうか。

 音楽で煽りすぎであるとか、プロットの甘さを多々指摘される本作ですが(主人公がパックをした自分の顔を鏡で見て衝撃を受けるのは、後半の展開を自ら予感したということなのでしょうか?)、『the EYE 2』『the EYE 3』の公開も控え、パン・ブラザーズ・ファンとしては、やはり押さえておきたい作品です(そうは言いつつも、今観たい映画だったかなあ、という思いはありますが)。

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 ◆キャスト
 ジンネイ(レース・ウォン) 美大生。過去にトラウマとなったような出来事があり、どんどん「死」に魅せられていく。母は仕事で忙しく、始終家を留守にするため、家庭的な愛情に飢えている。
 ジャスミン(ロザンヌ・ウォン) ジンネイの親友。ジンネイに対しては同性愛的な感情も持つ。
 アンソン(アンソン・リョン) 同じく美大生。ジンネイに思いを寄せ、ストーカーまがいの行為もする。

 レース・ウォンとロザンヌ・ウォンは、実の姉妹で、香港で、2Rというユニットで歌手としても活躍しているそうです。本作は、2004年10月に香港で封切られて2週連続ナンバーワン・ヒットになったそうですが、このヒットの要因には、2人のアイドル的な側面もあったのだと思われます(映画自体は、ファンの思惑を180度裏切るような衝撃作だったようですが)。

画像

 レース・ウォンは柴崎コウに、ロザンヌ・ウォンは安部麻美に、アンソン・リョンはイーキン・チェンに似ています。

 ◆予告編&最初の8分
 ここ(http://www.ifilm.com/ifilmdetail/2685364?htv=12)では、本作の予告編と最初の8分間の映像(First 8 Minutes)を観ることができます(英語。広告が入っていて、広告、最初の8分、予告、を繰り返し映し出します)。本編98分のうち8分も観られるということは、10分の1以上がタダで観られるということですね。
 本作には、重要なシーンでイーキン・チェンが出ているとチラシにも書いてありますが、それは、この「最初の8分」の中にあります。

 ◆ジョエル・ピーター・ウィトキン
 「死」に魅せられていくジンネイが、「こういう写真集ってやっぱりあったんだ」と歓喜する(そしてこの物語のキーともなる)写真集は、ジョエル・ピーター・ウィトキンによるものです。
 ジョエル・ピーター・ウィトキンは、知る人ぞ知る写真家などではなくて、ちょっとでも写真に興味を持ったことがあるような人であれば誰でも知っているようなメジャー写真家なので説明する必要もないと思われますが……。彼の作品に興味を持たれた方は、こちらをどうぞ(http://www.art-forum.org/z_Witkin/gallery.htm)。ジンネイがジャスミンに嬉々として見せる写真もここ(http://docentes.uacj.mx/fgomez/museoglobal/carpetas/W/witkin.htm)にあります。

 ジョエル・ピーター・ウィトキンの写真集を含む写真集のブックガイドとして飯沢耕太郎さんによる『危ない写真集246』(夜想・baby ステュディオ・パラボリカ刊)があります。ちょうど、この本で紹介されている全写真集を展示する展覧会が大阪で開催されます。

 「危ない写真展」@大阪・サブテレニアンズ 3月4日~22日

 『危ない写真集』に関する情報は、ステュディオ・パラボリカの公式サイトにあります(http://www.2minus.com/yb_1_abu.html)


 『危ない写真集246』に関する記事はここ(「オルサスのおすすめランチ「ランチdeチュ」その144」)でも読むことができます(http://www.gaden.jp/info/2005a/051208/1208.htm)

 ◆ドローイング
 本作で使われる絵(ジンネイが描いたことになっている)についても、興味を持って調べてみたのですが、香港の公式サイトが既に半閉鎖状態であることもあり、残念ながらわかりませんでした。おそらくプロの手によるものだと思われますが。

  [キャッチ・コピーで選ぶアジア映画 2006年1月~3月]

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 危ない写真集246

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