バンデラス自身もバツイチ・再婚・1女あり! 『レジェンド・オブ・ゾロ』

画像 『レジェンド・オブ・ゾロ』を見て思うのは、現代アメリカが求めるヒーロー像の変化ですね。つまり、父親、もしくは1人の成人男性とかだけではなく、家族全員が力を合わせて“悪”と闘わなければないということ。名づけて“スパイ・キッズ・シンドローム”です。
 1人の男性ヒーローが家族を巻き込んで闘うことになる映画を家族史的に並べてみると――

 『スパイダーマン2』(2004)
     ↓
 『マスク・オブ・ゾロ』(1998)
     ↓
 『Mr.&Mrs.スミス』(2005)
     ↓
 『トゥルーライズ』(1994)
     ↓
 『レジェンド・オブ・ゾロ』(2005)
     ↓
 『スパイ・キッズ』(2001)
     ↓
 『Mr.インクレディブル』(2004)
     ↓
 『サンダーバード』(2004)

 本当は単に“ヒーローもの”がファミリー映画化しているだけなのかもしれませんが、お父さんだけ、成人男性だけを頼りにはできない、もしくはヒーロー視できない、というのが、アメリカ人の深層心理に芽生えてきたのではないか、という指摘はできるかもしれません。あるいは“強い男”を描くだけでもう差別的だと見なされるようになってきているのかもしれませんが。
 女性ヒーローものにはこの傾向はないようですが(『チャーリーズ・エンジェル フルスロットル』は“自分たちの今後(老い)”を意識していましたが)、その他のヒーローもの(『スーパーマン』や『バットマン』)もファミリー化したりしないか、ちょっと心配ですね。少なくとも007は大丈夫だと思いますが。

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 『レジェンド・オブ・ゾロ』の舞台は、南北戦争前のカリフォルニアで、カリフォルニア州が連邦(UNION)に加わるかどうかに関する選挙騒動を題材にしたものでしたが、これはどうみても、2000年のブッシュ対ゴアの大統領選を思わせるものでした。
 連邦―北軍―共和党-ブッシュという系譜で考えると、この映画は、親ブッシュ派の映画なのでしょうか?(2004年のブッシュ再選で前回の選挙の正当性も証明されたということ?)
 ハリウッド俳優の支持政党を見ても、「ヒーローが“悪”を倒しておしまいというような単純な構図を持った映画」、を支持したり、そういう映画に好んで出演するような俳優は圧倒的に共和党派が多いようですが。

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 『レジェンド・オブ・ゾロ』ひとくちメモ

 ・フランス系ワイナリー
画像 本作では、一応“悪役”ということになっているフランス系貴族のアルマン伯爵。彼のように悪役だったかどうかはともかく、1850年当時にカリフォルニア・ワインを手がけたフランス人がいたのかどうか調べてみました。
 ブログ「葡どう屋本舗の旅」(http://blog.livedoor.jp/budouyahonpo/archives/50426501.html)によると、1850年代に、シエネガ・バレーの原野を開墾し、自身のワイナリーを創設したフランス人Theophile Vacheという人物がいたようです(時期はちょうど合いますね)。このワイナリーは、北米最古のものの1つらしいのですが、残念ながら、Vacheの死後、いったんは荒れ果て、後に、ピエトラ・サンタ・ワイナリーとして復活したようです。 ピエトラ・サンタ・ワイナリーのHP(http://www.pietrasantawinery.com/page7155.html)。
 『レジェンド・オブ・ゾロ』では、単にメキシコ系の下層生活者を搾取する者として、対比的に(イメージ的に)フランス系貴族の入植者が“敵”として選ばれただけで、ここで(モデルであるかのように)Theophile Vacheを引き合いに出すのは、いい迷惑かもしれませんが、大いなる野望を抱いてフランスからカリフォルニアにやってきた人物とその後の人生に思いを馳せるのは悪くありませんよね。

 ・ニトログリセリン
1846年にイタリアの化学者アスカニオ・ソブレロ(Ascanio Sobrero)によって初めて合成された。一般的に衝撃で爆発すると言われていますが、実際の爆発事故は摩擦などの熱によることが多く、衝撃で爆発するという主張は、19世紀当時、他種の爆薬を製造していた業者が広めたそうです。ノーベルによってダイナマイトとして実用化されました。(参考:Wikipedea)

 ・ピンカートン探偵社
 本作で、ピンカートン探偵社が出てくるのは、単に物語を面白くするためではなく、当時、実際にこうした活動に彼らが関わっていたからで、有名な例としては、リンカーンの護衛をして、リンカーンを狙撃から守ったこともあるそうです。探偵作家のダシール・ハメットもここの出身者として知られています。

 ・アメリカでの鉄道敷設
画像 1830年 アメリカ初の鉄道開業(ボルチモア―オハイオ間)。1846年にはアメリカの代表的な鉄道会社の1つであるペンシルベニア鉄道が開業。
 1848年に西部のカリフォルニア州がアメリカ領となり、1849年から始まるゴールドラッシュによって鉄道建設には拍車がかかりました。
 1869年5月10日、大陸横断鉄道が開通(西部から延びたセントラル・パシフィックと、東部から延びたユニオン・パシフィックが、ユタ州グレートソルトレーク北方のフロモントリーポイントで接合)。参考:ASTER HOBBY 鉄道の歴史(http://www.asterhobby.co.jp/history/america.html

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 『レジェンド・オブ・ゾロ』に関する“間違い探し”

 ・本作に出てくる列車には、現代的な連結器が使われているが、あのタイプの連結器が発明されたのは1871年で、1900年以降にならないと広まっていない。

 ・1850年頃という設定なのに、アルマン伯爵の地図には、48州のすべてが描かれている(本土最後の州、アリゾナが48番目の合衆国の州になったのは1912年)。

 ・ラストの結婚式のシーンで、ホアキンの髪型が変化している。

 ・ホアキンは、マックギブンスの馬車の下に隠れて、馬車から爆弾を荷卸しする場所を探ろうとする。しかし、次のシーンでは馬車が動いている時には馬車の下にホアキンの姿は見えず、馬車が止まった時、再び姿を現わす。

 ・ゾロとエレナの再婚式で、司祭が「父と子と精霊(Holy sprit)の名において」と言うが、つい最近までそういう言い回しは使われなかった(‘Holy Ghost’が使われた)。

 ・通信が印字されるチッカー・テープは、1876年にグラハム・ベルによって発明された(つまり本作で描かれる時代よりもっと後)。

 ・ニトログリセリンは、最初の大陸横断鉄道の敷設(カリフォルニア州サクラメントからネブラスカ州オマハまで)に不可欠だった。本作の中では、信じられないくらいの量のニトログリセリンを列車を使って運んでいるが、その鉄道自体、1869年まで待たなければ開通していない。

 以上、この項、元ネタはIMDb

 [トリビア]
 
 [キャッチ・コピーで選ぶアメリカ映画 2006年1月~3月]

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 「レジェンド・オブ・ゾロ」 オリジナル・サウンドトラック
「レジェンド・オブ・ゾロ」 オリジナル・サウンドトラック

この記事へのコメント

2006年02月13日 10:13
TBありがとうございました。
『ワイルド・ワイルド・ウエスト』と同様で、
まぁ、楽しいから時代考証はいいか、って感じですね(^_^;)
2006年02月13日 11:25
 TBありがとうございますm(_ _)m

 ま~娯楽作品としては、及第点wゾロ
より息子や馬の活躍の方が魅力的でした
が。

 間違い探し楽しく拝見しました。時代
考証ってやっぱ大事ですよね♪
2006年02月13日 16:55
こんにちは。
ちびソロ君とトルネードが面白くって結構笑って楽しみました。時代考察は全くしてなかったので、なるほど~と感心しました♪
葡萄屋本舗
2006年02月14日 12:16
umikarahajimaruさま
コメント拝見しました。ピエトラ・サンタ・ワイナリーに確認したところ、Vacheが正しく、語尾に"t"はつきませんでした。ご指摘有難うございました。ブログでご紹介頂きとても嬉しいです。読んでよかったと感じて頂けるようなブログを目指しています。今後ともよろしくお願いします。

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